

ヘラフラッシュホイールを限界まで外側に出しても、車検は通ると思っていませんか?実は、はみ出し量が10mm以上になると整備不良で罰金6,000円+違反点数1点が課せられます。
ヘラフラッシュとは、ホイールのリムをフェンダー(タイヤハウスの縁)とほぼ面一(ツライチ)、あるいはわずかに外側へ突き出した状態に仕上げるカスタムスタイルのことです。英語では "Hella Flush" と表記し、北米のカーカルチャーから2000年代後半に日本へ伝わりました。
もともとは「めちゃくちゃフラット(面一)」という意味のスラングで、車のサイドビューを見たときにタイヤがフェンダーラインから一切はみ出さず、かつ隙間もない状態が理想とされています。リムとボディラインが一体化して見えるため、車をより低く・ワイドに見せる効果があります。
日本では「ツライチ」文化と融合し、独自の進化を遂げました。意外ですね。国産車でもVIP系・スタンス系カスタムの文脈でヘラフラッシュを目指すオーナーが増え、SNS映えするスタイルとして2010年代から急速に普及しています。
ヘラフラッシュを実現するためには、ホイールの「オフセット」と「インセット」の数値を正確に理解することが前提です。オフセットとはホイール中心面からハブ取り付け面までの距離(mm)で、この数値が小さい(または負値=アウトセット)ほどホイールは外側へ出ます。一般的な国産乗用車の純正オフセットは+35〜+50mm程度ですが、ヘラフラッシュを狙う場合は+15〜+25mm程度まで落とすことが多いです。
数値だけでは伝わりにくいので例えると、オフセットを+45mmから+20mmに変更すると、ホイールは片側25mm(約2.5cm=ペットボトルのキャップ1個分弱)外へ出ます。たった2cm強の変化が、横から見た車の印象を劇的に変えるということです。これは使えそうです。
ヘラフラッシュのスタイルが映えやすい車種には共通した特徴があります。フェンダーのアーチ形状がホイールに対してタイトで、サイドビューがフラットに近いこと、そしてボディ全体のシルエットが低いことです。
国内で人気の高い車種としては、トヨタ・クラウン(S200系・S210系)、日産・シルビア(S15型)、ホンダ・シビック(EK・EG型)、マツダ・ロードスター(NA・NB型)などが代表例です。これらは純正フェンダーとタイヤハウスの隙間が適度にあり、フェンダーを叩き出したりオーバーフェンダーを装着したりすることでホイールの張り出しに対応できます。
ホイール選びで最も重要な数値は「PCD(ピッチサークル径)」「ボルト穴数」「ハブ径」「オフセット」「リム幅」の5つです。このうちオフセットとリム幅の組み合わせが、ヘラフラッシュの仕上がりを左右します。
タイヤの引っ張り(通称「タイヤ引っ張り」)を組み合わせることも多いです。タイヤ引っ張りとは、ホイールのリム幅より細いタイヤを装着して側面を外側へ傾斜させる手法で、リムをさらに外に出して見せる効果があります。ただしタイヤビードのリム落ちリスクが高まるため、空気圧管理が通常以上に重要になります。つまり見た目と安全のバランスが条件です。
ヘラフラッシュで最も気をつけなければならないのが、道路運送車両法の保安基準への適合です。厳しいところですね。
保安基準第178条では、タイヤ・ホイールがフェンダーから突出することを原則として禁止しています。ただし「フェンダーより外側に出ない」もしくは「フェンダーの外側端から左右それぞれ10mm以内の範囲に収まる」場合は認められています(2017年6月の改正後)。
この10mmという数値がポイントです。ホイールのリムやタイヤの一部が10mmを超えてフェンダーから出た状態で公道を走ると、道路交通法第62条「整備不良車両の運転禁止」違反となり、罰則は反則金6,000円(普通車)+違反点数1点です。累積点数によっては免許停止にも近づきます。
車検の際、陸運局(運輸支局)や民間車検場では外観検査でフェンダーとタイヤの位置関係を目視確認します。グレーゾーンと思われがちですが、検査員の判断で「要是正」とされると当日の通過は不可能です。車検前に信頼できる整備士に確認してもらうのが最も確実な方法です。
また、事故が発生した場合に改造車であることが原因と認定されると、自動車保険(任意保険)が免責となるリスクもあります。これは知らないと大きな損失につながります。保険会社によっては加入時に改造内容の申告を求めており、申告漏れは告知義務違反にもなりかねません。保険会社への事前確認だけは必ず行うようにしてください。
実際にヘラフラッシュを実現するための手順は大きく4段階に分かれます。ホイール選定・ローダウン・アライメント調整・フェンダー処理の順に進めるのが基本です。
まず第1段階のホイール選定では、前述のオフセットとリム幅を現車に合わせて計算します。ホイールメーカー各社が公開している「フィッティングデータ」や、カーショップのスタッフへの相談が最も信頼性が高い方法です。通販サイトのレビューだけで判断すると、車種の年式やサブモデルの違いで干渉が起きるケースがあります。
第2段階のローダウンでは、車高調(車高調整式サスペンション)またはダウンサスを使います。車高調はバネレートと車高を個別に調整できるため、ヘラフラッシュを目指すカスタムには最適です。一般的なモデルで価格は片側1セット2万〜8万円程度(フロント・リアで4〜16万円)です。
第3段階のアライメント調整は必須です。ローダウンをするとキャンバー角・トー角が変化し、タイヤの片減りや直進安定性の低下を招きます。4輪アライメント調整の費用は工賃込みで1万5,000〜3万円程度です。ヘラフラッシュを成立させるために意図的なネガキャンを設定する場合も、アライメントデータを取りながら調整するのが安全です。アライメント調整は必須です。
第4段階のフェンダー処理では、ホイールがフェンダーから出る場合に「叩き出し」(内側のフェンダー裏をハンマーで広げる手法)や「オーバーフェンダー装着」を行います。板金・塗装を伴う本格的な叩き出しは専門業者で3万〜8万円程度が相場で、素人作業で失敗するとボディに割れやサビが生じることもあります。
ヘラフラッシュはカスタムの初期費用だけでなく、維持にかかるランニングコストも見落としがちです。これを知らないと出費が膨らみます。
最も頻繁にかかるのがタイヤ代です。引っ張りタイヤを装着している場合、タイヤの外側ショルダー部への負荷が集中し、通常より摩耗が早まります。一般的な走行パターンでは純正タイヤの寿命が4〜5年・3〜4万kmとされているのに対し、強い引っ張り状態では2〜3年・1.5〜2万km程度に短縮するケースも報告されています。
また、駐車場での縁石接触やタイヤチェーン装着不可といった日常上の制約も発生します。特にタイヤチェーン非装着状態での冬用タイヤ規制道路の走行は、チェーン規制違反(反則金6,000円・点数なし)に問われる可能性があります。スタッドレスタイヤへの履き替えスペースが車体とタイヤの関係でさらに制限されることもあるため、冬季の運用ルールを事前に考えておく必要があります。
維持費全体を試算すると、ヘラフラッシュを維持する年間コスト(タイヤ交換・アライメント調整・軽微な補修)は通常車両より年間3万〜8万円程度増加するとみておくのが現実的です。これだけ覚えておけばOKです。
参考として、国土交通省が公開している「道路運送車両の保安基準」の詳細ページで、タイヤ・ホイールのはみ出し規制の正確な条文を確認できます。
国土交通省|道路運送車両の保安基準(タイヤ・ホイール関連条文)
ヘラフラッシュを楽しみながら公道での安全と法規制を守るためには、カスタム前に専門ショップでの相談と、改造内容の任意保険会社への申告を必ず済ませておくことが最低限のポイントです。スタイルの完成度を上げることと、法令遵守・安全確保を両立させることが、長くヘラフラッシュを楽しむための唯一の方法です。

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