
改造車のカスタムをどこから始めるべきか迷う初心者には、まず「元に戻せるカスタム」からスタートすることが推奨されます。具体的には、タイヤ・ホイールの交換が最も優先度が高いカスタムです。タイヤとホイールが組み付けられた状態であれば、ディーラーやショップに依頼せずとも自分の手で元に戻すことができ、見た目の印象も大きく変わるためです。
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次にオススメなのは、カーオーディオのスピーカー交換です。純正交換タイプの比較的安価なスピーカーを選んでも音質が向上しやすく、費用対満足度も高い傾向にあります。3番目の優先順位としては、車検や12ヵ月点検と一緒に交換作業がしやすいブレーキパッドの交換が挙げられます。使用環境に適した特性を持つパッドを選べば、制動力やペダルタッチ、コントロール性に対する不満・不安を解消できます。
初心者が避けるべきは、単体の部品代だけで10万円を超える高額なパーツや、内外装パーツ・電装パーツで穴あけ・加工・塗装などの作業が必要で元に戻しにくいものです。ボディフィルムの貼り付けやマグネット式のドレスアップパーツ、差し込み式のLEDランプなど、工具をほとんど使わず低予算で始められるリバーシブルカスタムが安全です。
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保安基準とは、道路運送車両法に定められた自動車の安全性と環境保全に関する技術的な基準です。この基準は、車の大きさ、重量、各種灯火類の明るさや色、タイヤのはみ出し、マフラーの騒音や排気ガスの成分など、非常に細かく規定されています。保安基準の主な目的は、交通の安全確保と公害の防止の2点です。
保安基準に適合しない状態で車を公道で走行させることは「違法改造」となり、様々なペナルティが科せられます。具体的には、整備命令の発令、悪質な場合は車両の使用停止、さらには6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることもあります。また、保安基準を満たしていない車は車検に合格することができず、公道を走ることができなくなります。
保安基準には「指定部品」という分類があり、これらは取り付け方法や製品自体が保安基準に適合していれば、陸運支局などへの特別な届け出(構造変更検査など)が不要です。指定部品の例としては、エアスポイラー、フェンダーカバー、エキゾーストパイプ、マフラーカッター、タイヤやホイール、ステアリングホイール、変速レバー、コイルスプリング、ショックアブソーバーなどがあります。ただし、指定部品であってもサイズや重量を超過すると車検に通りません。
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車高の変更に関しては、最低地上高が9cm以上確保されていることが原則です。サスペンションの交換による車高の変化が±4cm以内であれば、多くの場合は構造変更検査が不要とされていますが、車種や部品により異なる場合があります。ただし、4cm以上の車高変更でも、指定部品を溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合は、一定範囲を超えても自動車検査証の記載変更手続きを行わなくてもよいとされています。
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タイヤとホイールの変更では、タイヤがフェンダー(車体)からはみ出さないことが絶対条件です。ホイールやタイヤが車体の他の部分(サスペンション、ブレーキなど)に干渉しないこと、タイヤのロードインデックス(荷重指数)が車両の重量に対して十分であることも重要です。インチアップそのものは問題ありませんが、ボディからホイールがはみ出してしまうようなインチアップはNGです。
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タイヤの外径が大きくなる場合は、スピードメーターが表示される速度よりも実際の速度の方が高くなりますが、この速度差があまりに大きくなると車検NGとなります。誤差範囲は年式によって異なりますが、概ね10%以内が一つの目安です。また、外径アップによってボディにタイヤが干渉する場合も車検NGとなります。
マフラー交換では、近接排気騒音や加速走行騒音が車種や年式ごとに定められた規制値をクリアしていることが必須です。CO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)の排気ガス濃度も規制値以下である必要があります。「JASMA認定品」や「JQR認定品」といった保安基準適合を証明するプレートが付いたマフラーは比較的安心ですが、経年劣化で音が大きくなったり、内部が破損したりすると車検に通らないこともあります。
マフラーの取り外しや切断、マフラー手前にある触媒装置の取り外しは違法改造に該当します。基準不適合マフラーの装着や消音器の取り外しにより騒音が増大し、周囲に多大な迷惑を与えることとなるため、このような改造は禁止されています。
参考)不正改造の具体例
灯火類に関しては、ヘッドライトは白色または淡黄色、テールランプは赤色、ウインカーは橙色(オレンジ色)と各灯火の色が法律で定められています。これ以外の色に変更することは原則できません。社外品のLEDバルブやHIDキットに交換する際は、色温度(ケルビン数)が高すぎると青みが強くなり車検に通らないことがあります。また、ウインカーやハザードランプ以外の灯火が点滅することは禁止されています。
国土交通省による不正改造の具体例についての公式情報
構造変更検査が必要になるのは、車体の寸法(全長±3cm、全幅±2cm、全高±4cm)や車両重量(±50kgや±100kg、車種により異なる)が一定範囲を超えて変化する場合です。原動機(エンジン)の載せ替え、動力伝達装置の変更、乗車定員の変更なども構造変更検査の対象となります。
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構造変更手続きの申請には、申請書、自動車検査証、自動車検査票、点検整備記録簿、自動車損害賠償責任保険証明書、使用者の委任状、所有者の委任状、手数料納付書、自動車重量税納付書、納税証明書などが必要です。普通車は管轄の運輸支局、軽自動車は管轄の軽自動車協会で申請を行います。
構造変更検査の手数料は、小型車が2,000円、小型車以外が2,100円です。構造変更申請が受理され合格しても、その後に再車検(公認車検)を受けなければなりません。構造変更検査を受けると、その時点で車検の有効期間がリセットされ、新たに2年(または1年)の有効期間が付与されます。そのため、通常の車検直後に改造した場合、さらに車検を受けることになり余計な車検費用が生じてしまうので、車の改造は車検時期に合わせて行うことが推奨されます。
参考)改造車を車検に通すための構造変更と公認車検について解説
構造変更申請を行うタイミングは車検の時期に合わせることがおすすめです。構造変更を申請することで車にかかる税金や自賠責保険料、車検の有効期間などが変わるためです。既に重量税を支払っている場合に構造変更を行うと、再び改造した車の分の重量税を支払うことになり大きな負担になってしまいます。
改造車の再車検は公認車検と呼ばれ、お住まいの地域によっては「公認車検屋」という専門業者もあります。正規ディーラーやカー用品店は改造車の車検を渋ることが多いので、改造車の車検は専門業者に依頼することが推奨されます。
改造車の車検に関する注意点と手続きの詳細解説