

ハブリングをつけたまま純正ホイールに換えると、走行中にホイールが脱落することがあります。
ホイールを交換したことがあるドライバーなら、一度は耳にするパーツ「ハブリング」。しかし、実際にどんな役割を持つのか、なぜ必要と言われるのかを正確に理解している人は意外と少ないものです。
ハブリングとは、ホイールのセンターホール(中心の穴)と車体側のハブ(ホイールが取り付けられる突き出た部分)の隙間を埋めるリング状のパーツです。純正ホイールはメーカーごとに最適なサイズで設計されているため、この隙間がほぼゼロになっています。ところが社外ホイールは、多くの車種に対応できるよう、センターホールをあえて大きめに作っています。
つまり基本です。純正ホイールにはハブリングは不要で、社外ホイールを装着する場合にのみ必要性が生じます。
たとえばトヨタ車のハブ径は54mmが主流ですが、人気の社外ホイールブランド「ENKEI(エンケイ)」は多くのモデルでセンターホール径を75mmで設定しています。差は片側10.5mm、直径で21mmもの隙間ができる計算になります。これはちょうど鉛筆1本分ほどの直径差に相当し、走行中にホイールがわずかに動ける遊びが生まれてしまいます。
この隙間にぴったり収まるよう成形されたのがハブリングです。外径をホイールのセンターホール径に、内径を車体側のハブ径に合わせて製作されており、装着することでホイールが完全にセンターに固定されます。これが「センター出し」と呼ばれる作業の核心部分です。
知恵袋でも「ハブリングって本当に要るの?」という質問は定期的に投稿されており、回答も「要る派」と「要らない派」に分かれています。この論争が長年続いている背景には、「テーパーナットでもセンターは出せる」という事実があります。次のセクションで詳しく説明します。
ハブリングとは?社外ホイールに必要?役割から選び方までを解説(グーネットピット)
知恵袋の回答でたびたび登場する「ハブリング不要論」の根拠は、テーパーナットの構造にあります。これを理解しないまま判断すると、誤った結論に至りかねません。
テーパーナットとは、ナットとホイールの座面が円錐形(テーパー形状)に設計されたナットのことです。締め込んでいくほどナットの傾斜面がホイールの穴に密着し、自然とホイールをセンター方向に誘導する構造になっています。これを「ナットセンター方式」と呼び、国産車のほとんどがこの方式を採用しています。
つまりテーパーナットが条件です。このナットが正しく使われていれば、ハブリングなしでも走行に問題のないレベルのセンター出しは可能です。
実際に知恵袋でも「20年以上ハブリングなしで問題なく走っている」「高速でも振動なし」という報告は数多く存在します。振動が出る場合のほとんどはホイールバランスの問題であり、ハブリングの有無とは無関係なケースが多いとも言われています。
では、ハブリングはまったく不要かというと、それも正確ではありません。テーパーナット方式で「とりあえずセンターは出る」としても、センター精度の高さという点ではハブリングの方が有利です。特に欧州車の多くは「ボルト締め方式」を採用しており、テーパーナットによるセンター出し機能がそもそも存在しません。欧州車オーナーにとってハブリングは実質的に必須パーツです。
これは例外です。欧州車ユーザーにはハブリング不要論はまったく当てはまりません。
また、テーパーナットを採用していても、ホイールのハブ穴とハブの差が大きい場合(例:φ54→φ75)は、ナットに横方向の余計な力がかかり続けることになります。長期使用でハブボルトに微細なダメージが蓄積するリスクは、ハブリングを使えば大幅に軽減できます。
ホイールとハブはしっかり適合させよう!ハブ径やハブリングについて(イエローハット)
「念のためつけておけば安心」と思いがちなハブリングですが、使い方を誤ると逆にトラブルを引き起こします。これは多くの人が見落としている重大なリスクです。
最も多いトラブルが「固着」です。アルミ製のハブリングをスチール製のハブに装着したまま長期間放置すると、異種金属間の電食(ガルバニック腐食)と錆の影響で、リングがハブに溶着したように固まります。タイヤ交換のプロショップでも「固着は詰み」と表現されるほど厄介な状態で、無理に外そうとするとハブやホイールを傷つけるリスクがあります。固着したハブリングを専門業者に依頼して取り外してもらうと、工賃だけで数千円から1万円以上かかることもあります。痛いですね。
さらに見過ごせないのが、安価な社外ハブリングのリスクです。国内の実例として、ヤフオクで購入したエンケイ対応と書かれた社外ハブリングが、実際には0.3mm厚みがオーバーしており、ホイールがハブに完全密着できない状態になっていたケースがあります。0.3mmは一見わずかな差に見えますが、この状態でサーキット走行を行ったところ、ナットが繰り返し緩むというトラブルに発展しました。最悪の場合は脱輪です。
ハブリングのメーカー純正品(たとえばエンケイ純正は1個約1,800円)は高く感じるかもしれません。しかし4個揃えても約7,200円で、ホイール1本を破損した場合の修理費(数万円〜)と比べれば、明らかにコスト効率が高い選択です。
加えて、もう一つ忘れがちなリスクがあります。社外ホイールにハブリングをつけて使用した後、純正ホイールに戻す際にハブリングを外し忘れるケースです。純正ホイールのセンターホールはハブ径にぴったり合わせて作られているため、そこにハブリングが残っていると、純正ホイールがハブに正常に装着できません。そのまま締め付けると、ホイールやナットにダメージを与え、最悪の場合は走行中に脱輪が起きる可能性があります。
注意喚起!安物の社外ハブリングにご用心 車輪脱落の恐れも(くぬぎランナー)
ハブリングは「サイズさえ合っていればOK」というパーツではありません。内径・外径・高さ(厚み)・ツバの有無、この4点すべてが適合していないと正しく機能しないどころか、前述のようなトラブルの原因になります。
まず確認すべきは車体側のハブ径(センターボア径)です。国産車の主な例を挙げると、トヨタ・マツダ(4穴)はφ54mm、ホンダはφ64mm、日産はφ66mm、マツダ・三菱(5穴)はφ67mmが主流です。ただしこれはあくまで目安で、同一メーカーでも年式や車種によって異なります。
次にホイール側のセンターホール径です。エンケイはφ75mm、レイズは4穴φ65mm・5穴φ73mmを採用しているモデルが多いです。この車体側とホイール側の2つの数値が確定して、初めてハブリングのサイズが決まります。
サイズが条件です。外径がホイールのセンターホール径に一致し、内径が車体ハブ径に一致するものを選びます。
素材については大きく分けて金属製(アルミ)と樹脂製の2種類があります。精度と強度では金属製が優れますが、固着しやすいというデメリットがあります。樹脂製は固着しにくく、冬用タイヤへの付け替えが多いドライバーには扱いやすい素材です。ただし耐久性は金属製に劣るため、長距離走行や高速走行が多い場合は金属製のほうが安心です。
ツバの有無についても注意が必要です。ホイールのセンターホール形状によっては、ツバなしのハブリングが奥まで入り込んでしまい、外せなくなるケースがあります。ホイールメーカーの適合表や公式サイトで確認するのが最も確実な方法です。
サイズ選びに不安がある場合は、カー用品店やタイヤショップで実車を見ながら相談するのが一番です。KYO-EI(協永産業)はハブ径適合表を公式サイトで公開しており、メーカーサイトからも確認が可能です。
ハブリングを長く安全に使うには、装着時のひと手間と定期的なメンテナンスが欠かせません。知恵袋では「固着して外れなくなった」という声が毎年冬タイヤ交換の時期に増えます。これは防げるトラブルです。
装着前に必ずやるべきことが、ハブ面の清掃です。錆や汚れが残ったままハブリングを装着すると、それが固着の起点になります。ワイヤーブラシやサンドペーパーで錆を軽く落とし、ウエスで拭き取ってから装着します。次に、ハブリングの接触面に薄く銅系グリスまたはモリブデングリスを塗布します。これだけで固着リスクは大幅に下がります。
装着後のセンター出し手順も重要です。ナットを対角線上に交互に、規定トルクの1/2 → 2/3 → 本締め、という3段階で均等に締めていきます。一か所だけを一気に締めるのはNGです。ホイールが斜めに固定されてしまい、ハブリングの効果が消えます。
メンテナンスの頻度については6ヶ月〜1年に1回、タイヤ交換時にハブリングを外してチェックするのが理想です。特に冬タイヤと夏タイヤの交換を年2回行うドライバーは、その都度確認する習慣をつけるだけで固着はほぼ防げます。
もし固着してしまった場合は、まずマイナスドライバーをハブリングとホイールの隙間にあてて、リング全周を少しずつ叩きながら浮かせていきます。ハブリングに切り欠きがあれば、そこを使ってこじると外れやすいです。アルミ製のハブリングには熱を加えると膨張差で外れやすくなる場合もありますが、周辺部品への影響があるため、無理な場合は専門店に相談することをおすすめします。
ハブリングとは?必要性・サイズの選び方・取り付け方法と注意点(cobby)
「ハブリングは必要か?」という問いへの答えは、一律に決まらないのが実情です。車種・ホイールの種類・走行環境という3つの軸で整理すると、判断がぐっと明確になります。
【ハブリングが不要なケース】
【ハブリングが必要なケース】
このように整理すると、「ハブリングはいらない」という結論は、特定の条件下では正しく、別の条件下では非常に危険な誤りとなります。自分の車と使用するホイールの組み合わせを必ず確認することが出発点です。
アルミホイールには必ずハブリングが必要か?(実測軽量ホイールズ)

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