

スタンス系カスタムを「なんとなくカッコいい」で始めると、最低地上高9cm未満で保安基準違反になり6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を受けることがあります。
「スタンス(stance)」という英単語は、もともと「立ち位置・姿勢・構え」を意味します。ビジネスシーンでも使われる言葉ですが、車のカスタム文化においては意味が大きく異なります。
車の世界における「スタンス」とは、車高を下げてタイヤ・ホイールをフェンダーに合わせた状態を整え、足元の「構え」を美しく決めるカスタム全体を指します。広義には「足回りがかっこよく決まっているドレスアップカー」という意味として使われることが多いです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| スタンス | 車高・ホイール・キャンバーなど足回りの構えをキメるカスタム全般 |
| シャコタン | 車高を低く落とすこと(スタンスの一手法) |
| ツライチ | フェンダーとホイール外面が面一(つらいち)に揃った状態 |
| 鬼キャン | タイヤが極端にハの字に傾いた状態のこと |
「スタンスネーション(Stancenation)」という世界規模のカーショーがあり、日本でも2013年から開催が始まりました。2024年のスタンスネーション・ジャパン東京では、1,200台以上のスタンス仕様車が集結しています。これだけ多くの台数が集まるということですね。
重要なのは、スタンスは「速さを追求するチューニング」ではなく、「見た目・スタイルの美しさを追求するドレスアップ」という点です。エンジンパワーを上げるのではなく、足元の美学を磨くことに特化しています。これが他のカスタムジャンルとの最大の違いです。
また、スタンスは車種やメーカーを選ばない点も特徴的です。セダン・ハッチバック・SUV・スポーツカー、どんな車体でもスタンスは適用できます。そのため、参加者層が非常に幅広く、カスタム文化全体の間口を広げる役割を担っています。
スタンスはアメリカ生まれのカスタムカルチャーとして世界に広まりましたが、そのルーツは実は日本にあります。意外ですね。
日本では1970年代後半から「シャコタン」と呼ばれる車高を低く落とすスタイルが普及しました。最初は暴走族の車両でよく見られるスタイルでしたが、徐々にストリートカー文化として一般に広まっていきます。1980年代のバブル経済期になると、トヨタ・セルシオやクラウンのような高級セダンに豪華なエアロや大径ホイールを装着し、車高を落とした「VIPカー」というジャンルが確立されました。
つまり、日本→アメリカ→世界→日本という逆輸入の流れです。「アメリカのカルチャーが日本に入ってきた」と思っている人も多いですが、大本をたどれば1970年代の日本が源流なのです。
VIPカーとスタンスは見た目が似ていますが、目的が異なります。VIPカーは「高級感と威圧感の演出」、スタンスは「車種やジャンルを問わない足元の美学追求」という違いがあります。スタンスのほうが自由度が高く、ミニバンや軽自動車にも適用されるため、より幅広い層に支持されています。
参考:VIPカーの起源と歴史について詳しく書かれた記事
VIPスタイル編集部が贈る「歴史物語〜VIPのルーツを探る〜」 | ALESS Magazine
スタンス系カスタムには、組み合わせて使われる代表的な手法が5つあります。それぞれ異なる効果を持ちます。
スタンス系の入門として最も手軽なのはローダウン(ダウンサス交換)で、費用相場は部品代4万円〜程度から始められます。本格的なエアサス化になると、キット代だけで30万〜80万円、工賃10万〜20万円が加わることもあります。段階的に始めるのが賢明です。
スタンス系カスタムは「外見がかっこよければOK」では済まない場合があります。知らないと損する法律の話をします。
まず、最低地上高について押さえておく必要があります。道路運送車両の保安基準(第3条)では、自動車の最低地上高は9cm(90mm)以上であることが義務づけられています。車高を下げすぎて9cmを切った状態で公道を走ると保安基準違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
| カスタム | 保安基準の要点 | 違反時のリスク |
|---|---|---|
| ローダウン | 最低地上高9cm以上を確保すること | 懲役6ヶ月以下 or 罰金30万円以下 |
| ツライチ・はみ出しタイヤ | タイヤのみ10mm未満まで可(ホイールはみ出しはNG) | 車検不合格・整備不良 |
| ネガティブキャンバー | 前方30°・後方50°の範囲がフェンダー内に収まること | 車検不合格・整備命令 |
| ワイドボディ(20mm超) | 構造変更申請が必要 | 無申請で走行すると不正改造扱い |
よく誤解されているのが「車高変化±4cm以内なら必ず車検OK」という解釈です。これは間違いです。±4cmはあくまで「車検証の全高記載値からの差分」の基準であり、最低地上高9cm以上は別の独立した基準として必ず満たす必要があります。両方の条件を同時にクリアしなければなりません。
また、2017年6月の保安基準改正により「タイヤのみ10mm未満のフェンダーはみ出しは許容される」ようになりました。ただしこれはタイヤのはみ出しに限った話です。ホイールやナットがはみ出している場合は一切認められません。
保安基準・車検の詳細については下記が参考になります。
不正改造等の禁止と罰則について | 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)
保安基準を守ることが前提です。カスタムを楽しむためにこそ、法律の基本は必ず押さえておきましょう。
ここからは、検索上位記事にはあまり書かれていない独自の視点をお伝えします。
スタンス系カスタムの最大の悩みのひとつが「カッコよくしたいが日常使いが辛くなった」という問題です。車高を限界まで落とすと、コンビニの駐車場の段差すら擦るようになり、乗り心地が悪化し、タイヤの偏摩耗も早まります。スタンスカーにおける「日常使いと魅せの両立」は実は難しい課題です。
この問題に対してもっとも有効な答えが「エアサスペンション」の採用です。エアサスは空気圧を手元のコントローラーで操作できるため、走行中は車高を上げて段差に対応し、停車・駐車時に車高を下げてスタンスのスタイルを演出できます。まさに「いいとこ取り」の方法です。
エアサスにしたら車検対策が楽になると思う人もいますが、これは半分正解・半分間違いです。エアサスを使えば車検時に車高を上げられますが、最低地上高9cm以上を常に確保できる状態にしておく必要があります。また、純正エアサス車に車高調を装着する場合は「走行装置の変更=改造」とみなされ構造変更申請が必要になる点も注意が必要です。
もうひとつの視点として、スタンス系カスタムはタイヤの管理コストが上がる点を計算に入れておく必要があります。ネガティブキャンバーや引っ張りタイヤを採用すると偏摩耗が通常より早まり、タイヤの交換サイクルが短くなります。国産の一般的なタイヤでも1本1万〜3万円の出費が発生するため、年間ランニングコストとして計上しておくのが賢明です。
スタンスを「きれいに・長く・楽しく」続けるためには、見た目の追求と同時にコスト計算・法律チェック・定期メンテナンスを習慣化することが欠かせません。これが結論です。
スタンスカーのアライメント調整や足回りのメンテナンスについては、信頼できるカスタムショップへの定期相談が効果的です。アライメントがズレたままだと偏摩耗を加速させるため、足回り変更後には必ず3Dアライメント調整を行いましょう。
参考:スタンス系カスタムの手法とエアサス・車高調の詳細解説

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