ハの字スキーの基本から正しい姿勢と上達の手順

ハの字スキーの基本から正しい姿勢と上達の手順

ハの字スキーの正しい姿勢と上達に向けた練習方法

ハの字をちゃんとやっているのに、スピードがどんどん上がってしまうことがあります。


この記事でわかること
🎿
ハの字(プルーク)の基本と正しい姿勢

スキー板のかかとを外に押し出す動作と、膝・足首・股関節の3か所の曲げ方を正しく覚えることが上達の第一歩です。

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後傾が引き起こす「暴走」と怪我のリスク

重心が後ろに傾く「後傾」は、ブレーキが効かなくなる原因。膝への過負荷にもつながるため、早めに矯正することが大切です。

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ハの字からパラレルへのステップアップ

プルーク → シュテムターン → パラレルターンという3段階の流れを理解すれば、上達の道筋が明確になります。


ハの字スキー(プルーク・ボーゲン)とは何か





スキーを始めると、最初に必ず教わるのが「ハの字」と呼ばれる基本姿勢です。これはスキー板のトップ(先端)を近づけて、テール(後方)を外側に開いた形で、足元に三角形(おにぎり型)を作るような状態を指します。専門用語では「プルーク」や「ボーゲン」とも呼ばれますが、言い方が異なるだけで意味はすべて同じです。


この形を取ることで、スキー板の内側エッジが雪面に食い込み、摩擦力が発生してスピードを自然に抑えられる仕組みになっています。つまりスピードコントロールが原則です。ハの字の幅が広いほど抵抗が大きく減速しやすくなり、逆に幅を狭めるとスピードが増します。ゲレンデでよく「ピザの形にして!」と教えている場面を見かけることがありますが、あれはまさにこの三角形をイメージさせた表現です。


スキーを楽しむうえで、このハの字(プルーク)は単なる初心者向けの「スタート技術」ではありません。中級者以上がスピードをコントロールする場面でも使われる、スキーの根幹をなす動作です。正しく習得しておくことが後々の上達に大きく影響します。最初に正確に覚えることが基本です。


呼び方 意味・使い場面
ハの字 形を直感的に表した日本語の通称
プルーク スキー技術用語(ドイツ語由来)
ボーゲン ターンを伴う滑り方(プルーク+ターン)
プルークボーゲン ハの字を維持しながら連続してターンする技術


初心者の方は「ボーゲン」と「プルーク」を混同しやすいですが、ボーゲンはターン動作を含んだ言い方です。スキースクールでは両方の言葉が登場するので、この違いだけ頭に入れておくと混乱しにくくなります。


参考:スキー検定1級所持者によるプルーク解説ページ。基本姿勢の作り方や失敗パターンがイラスト付きで詳しく説明されています。


【完全攻略】スキーの「正しい」プルークをマスターしよう(ハの字・ボーゲン)


ハの字スキーの正しい姿勢と3つの関節の使い方

ハの字の「形」を作ること自体は難しくありませんが、問題は「正しい姿勢で作れているかどうか」です。形だけ合っていても、体の重心やポジションが間違っていると、スピードがコントロールできなくなったり、無駄に疲れたりします。


まず覚えておきたいのが「3つの関節を曲げる」という原則です。具体的には膝・足首・股関節の3か所を適度に曲げることで、スキー板に力が伝わりやすくなります。頭の後ろとかかとを結んだ線がスキー板に対して垂直になるイメージで立つと、自然と正しいポジションになります。


  • 🦵 膝:軽く曲げて、太ももの内側を内旋させるように。膝がくっつきすぎると力が伝わらなくなるので注意が必要です。
  • 👢 足首:ブーツの前側(スネ)に足首を押し付けるようにするのがポイント。足首が緩むと後傾の原因になります。
  • 🧍 股関節:お尻を真後ろに引くのではなく、軽く前傾させる意識で。腰を落とし込みすぎると棒立ちと同じ状態になります。


腕の位置も見落としがちですが、意外と大事です。両手をやや前に出し、正面から見てㇵの字になるよう広げてください。腕が後ろに下がると、上半身も引っ張られて後傾になってしまいます。


目線も正面に固定します。足元が気になって下を向くと背中が丸まり、重心が崩れやすくなります。スキー中は常に数メートル先を見るクセをつけることが、安定した滑りにつながります。目線の確保が条件です。


ハの字スキーで止まれない・暴走する原因と対策

「ちゃんとハの字にしているのになぜか止まれない」「どんどん速くなってしまう」という悩みは、スキー初心者がほぼ全員経験します。この現象には、明確な原因があります。


最大の原因が「後傾(こうけい)」です。体の重心がスキー板の後方に移動してしまうと、板のトップ(先端)が浮き気味になり、エッジが効かなくなります。エッジが効かなければ、どんなにハの字を広げても雪面との摩擦が生じず、スピードが落ちません。暴走の主な原因がこれです。


後傾になる主な原因は以下のとおりです。


  • 恐怖心から腰が引ける:斜面が怖くなると本能的に体が後ろに逃げます。これがもっともよくある後傾のきっかけです。
  • 足首が緩む:スキーブーツは前傾角度が設計されていますが、足首の力が抜けると後傾になります。スネをブーツの前側に押し付け続けることが重要です。
  • お尻を下げすぎる:「低く構えよう」と意識しすぎてお尻だけが落ちてしまい、逆に後傾になるケースも多いです。


後傾の姿勢は、止まれないだけでなく膝への負担も大きくなります。スキーによる膝の怪我の中でも、前十字靭帯損傷や内側側副靱帯の損傷が多いとされており、後傾での転倒は膝に強いねじれの力が加わりやすいため、健康面でも深刻なリスクがあります。


後傾を防ぐ具体的な意識は「おなかと腰の間にストックが挟まるくらい前傾」「手は常に体の前にキープ」「スネをブーツに押し付ける」の3点です。この3点に注意すれば大丈夫です。


参考:スキーによる膝の怪我のリスクや症状について詳しく解説されたページ。前十字靭帯損傷の危険性が具体的に説明されています。


スキーでの怪我は整形外科へ!後遺症を残さないための正しい対処法


ハの字スキーでターンするための重心移動のコツ

ハの字でまっすぐ滑れるようになったら、次はターン(曲がること)に挑戦します。ターンは意外とシンプルで、「曲がりたい方向と反対側の足(外足)に体重をかける」これが基本中の基本です。


たとえば右に曲がりたいときは、左足側のスキー板に体重をかけます。外足に体重が乗ると、そのスキー板のエッジが雪面に食い込み、自然と進行方向が変わります。外足への荷重が原則です。


感覚をつかむためのコツとして、「ターンの外側の肩を少し下げるイメージ」がよく使われます。肩に重りが乗っている感覚でグッと体重を乗せると、自然に外足荷重ができます。逆に内足に力を入れすぎてしまうとバランスが崩れるため、外足と内足の荷重配分は「9対1」か「8対2」を目安にするとよいでしょう。


  • ➡️ 右に曲がりたい:左足(外足)のかかとを外に押し出すように荷重する
  • ⬅️ 左に曲がりたい:右足(外足)のかかとを外に押し出すように荷重する
  • 🎯 目線:曲がりたい方向の先を見ながら体重移動すると、スムーズに曲がれる


腕の使い方も補助的に活用できます。両手を羽根のように広げ、曲がりたい方向と反対側の手を少し下げるだけで、自然と重心が移動しやすくなります。これは意識せずとも体重移動が連動するための簡単なテクニックです。これは使えそうです。


ターンを繰り返し練習するうちに、緩斜面でのジグザグ(連続ターン)ができるようになれば、初級者コースを安全に楽しめる段階になります。急いでパラレルに移ろうとせず、まずハの字での連続ターンをしっかり身につけることが、後の上達を左右します。


参考:ボーゲンでの連続ターン習得にフォーカスした解説ページ。1〜2日で連続ターンを習得するための具体的な流れが紹介されています。


【スキー初心者】プルークボーゲンで連続ターンを身につける方法


ハの字スキーからパラレルへの移行ステップと独自の視点

「ハの字は脱出してパラレルで格好よく滑りたい」というのは、多くのスキーヤーの目標です。ところが、ここで多くの人がつまずきます。ハの字からいきなりパラレルを目指すと、ポジションが崩れて悪い癖がつきやすいからです。


一般的な上達ステップは「プルーク(ハの字)→ シュテムターン → パラレルターン」の順番で練習することが効果的とされています。シュテムターンとは、ターンの入り口だけハの字に開き、その後は板を揃えた斜滑降に戻す動作のことです。これがハの字とパラレルの橋渡し役になります。


  • 🔰 プルークボーゲン:常にハの字を維持しながらターン。スピードコントロールを覚える段階。
  • 🔁 シュテムターン:ターン時のみハの字を使い、その後板を揃える。外足荷重の感覚を育てる段階。
  • 🏔️ パラレルターン:終始板を揃えた状態でターン。エッジングでスピードをコントロールする段階。


ここで多くの解説が見落としているポイントがあります。それは「正しいハの字こそがパラレルの基礎になる」という事実です。ハの字の段階で後傾が直っていない場合、パラレルに移行しても同じ問題が繰り返されます。むしろ板が揃うぶん、後傾のまま滑ると直滑降のように加速してしまうリスクが増えます。厳しいところですね。


パラレルへの移行に苦労している方は、「足を揃えようとする意識」より「外足に正しく乗る感覚」を優先して練習する方が近道です。外足荷重が自然にできていれば、内足は自然についてきます。スキーインストラクターのTakehiro氏が提唱する「6ステップメソッド」では、「無理に足を揃えない・拇指球に頼らない・上体を捻らない」という従来とは逆のアプローチが注目されており、多くの実践者が「1日で感覚が変わった」と報告しています。


ハの字の段階での「正しいポジション」の積み上げが、パラレルへの移行を最短距離にする最大の近道です。結論はポジションです。


参考:ボーゲンからパラレルへの移行について6ステップで解説した専門インストラクターのページ。「従来とは逆アプローチ」として多くのスキーヤーに注目されています。


ボーゲンからパラレルへ6つのステップ(齋藤メソッド)




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