エアサスペンション トラックの仕組みとメリット・デメリット完全ガイド

エアサスペンション トラックの仕組みとメリット・デメリット完全ガイド

エアサスペンション トラックの基礎から実践まで徹底解説

エアサスペンションを搭載したトラックは「乗り心地が良くなるだけ」と思っていませんか?実は、過積載状態でエアサスを使い続けると、1か所の修理費だけで10万円超の出費になることがあります。


この記事でわかること
🔧
エアサスの仕組みと板バネとの違い

圧縮エアを使ったベローズの構造、リーフサスとの性能差を具体的に解説します。

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車高調整の正しい使い方と活用シーン

荷台の積み下ろしや斜面走行など、実際の現場で役立つ操作方法を紹介します。

💰
故障・修理費用と寿命を延ばすコツ

ベローズ交換で1か所10万円超になるリスクと、費用を抑えるメンテナンス方法を解説します。


エアサスペンションの仕組みとトラックに搭載される理由





エアサスペンション(エアサス)とは、圧縮した空気を特殊なゴム製パーツ「ベローズ」に封入し、そのクッション性で路面からの衝撃を吸収するサスペンションシステムです。コンプレッサーで空気を圧縮し、エアタンクに貯め、必要に応じてベローズへ供給するという流れで動作します。


乗用車ではコイルバネ(渦巻き型のスプリング)が一般的ですが、トラックはこれまで「板バネ(リーフスプリング)」が長く主流でした。板バネは複数の金属板を重ねた構造で、強度と耐久性に優れ、比較的シンプルで安価に製造できるという利点があります。しかし近年、エアサスの搭載率が急速に高まっています。


その最大の理由は、トラック特有の「重量の大きな変動」への対応力です。










条件 板バネ(リーフサス) エアサスペンション
衝撃吸収性能 標準的 高い(空気圧調整で可変)
積載量による変化 対応が難しい エア圧調整で柔軟に対応
車高調整機能 なし あり(リモコン操作)
導入コスト 比較的安価 高額
錆への耐性 金属なので注意が必要 ゴム製なので強い


乗用車の場合、フル乗車(4人)と一人乗りの重量差はせいぜい200〜300kg程度です。ところがトラックでは、空車時が10トン、満載時が20トンという差が10トンにもなるケースがあります。東京スカイツリーの展望台エレベーター1基の最大積載量が約1.6トンですから、その差が実に6基分以上にもなる計算です。


板バネの場合、満載を基準に設計すると空車時には非常に硬い乗り心地になってしまいます。エアサスはこの問題を、積載量に合わせてエア圧を調整することで解決できます。これが主流になった最大の理由です。


また、融雪剤が多く使われる雪国では、金属製の板バネが腐食しやすいという問題もあります。ゴム素材を主体とするエアサスにはこの問題がなく、雪国のトラックにとってもメリットが大きいといえます。


いすゞ自動車がトラックのサスペンションを詳しく解説しています。エアサスが主流になった背景が図解でわかります。


いすゞ トラック大図鑑「サスペンション」


エアサスペンション トラックの車高調整の使い方と活用シーン

エアサス最大の特徴は、運転席のリモコン一つで車高を上下に調整できることです。基本操作はシンプルで、サイドブレーキを引いた状態でスイッチを入れ、↑・↓ボタンで車高を動かし、作業後は元の高さに戻すだけです。


サイドブレーキを引かずに操作すると危険です。これは必ず守ってください。


実際の現場では、以下のような場面で活躍します。



  • 🏭 物流センターでの荷積み・荷下ろし:ホーム(プラットフォーム)の高さにぴったり合わせることで、フォークリフトや台車をそのまま乗り入れられる。段差ゼロで作業できるため、重い荷物でも安全・効率的に移動できます。

  • ⛰️ 急な坂道や段差の通過:トラックはバンパーやステーがタイヤからせり出しているため、急勾配に進入すると車体を地面に擦ることがあります。坂道の手前で車高を上げるだけでこのリスクを回避できます。

  • 🏢 天井の低い建物内でのウイング開閉:屋内で荷下ろしする際に天井とウイングが干渉するケースがあります。エアサスで車高を下げれば、天井とウイングのクリアランスが確保できます。


さらに便利なのが「記憶機能」です。M1ボタンとSTOPボタンを同時に長押しすると、その時の車高を記憶させることができます。いつも同じホームで作業する場合、毎回高さを合わせる手間が省けます。これは使えそうです。


また、運転席のリモコン以外に、荷台後方の「操作ボックス」からもエアサスを制御できます。後方で作業しながら車高を調整したい場面に便利な機能です。


前輪と後輪を個別に操作できるタイプもあり、荷物の積み方に合わせて前後のバランスを調整することも可能です。総輪エアサス(前後全輪にエアサスを装備したもの)では、後輪のみのエアサスと比べて荷台への振動を約20%軽減できるという調査データもあります。精密機器や高級食材を運ぶトラックで特に重宝されているのはこのためです。


グットラックshimaが解説するエアサスの基本操作から応用機能まで。記憶機能の詳細が確認できます。


シマ商会「トラックのエアサスの正しい使い方」


エアサスペンション トラックの故障サインと修理費用の現実

エアサスのベローズは何万〜何十万回もの耐久試験を経て製造されており、理論上は半永久的に近い耐久性を持ちます。ただし、それはあくまで適切な使い方と適正積載が前提の話です。


故障が実際に起きた場合の修理費用を把握しておくことは、コスト管理の観点から非常に重要です。









故障箇所 修理費用の目安
エアドライヤー交換 4〜5万円程度
コンプレッサー交換 5〜10万円程度
ベローズ交換(1か所) 10万円前後
全体交換・大規模修理 50万円以上になるケースも


主要パーツであるベローズが1か所10万円前後です。前後4か所を同時に交換すれば40万円超になる計算です。


故障の主な原因は2つあります。1つ目は、コンプレッサーやエアタンク・エア供給ラインのトラブルです。圧縮エアがベローズに届かなくなると、空気の抜けたタイヤのような状態になり、衝撃吸収機能が失われます。2つ目は、ベローズ自体への外部からの傷や、経年劣化による破損です。傷が付いたままで荷重をかけると、破裂するリスクがあります。


故障のサインには以下のようなものがあります。



  • 🔴 走行中に車体が片側に傾く、または車高が通常より低くなっている

  • 🔴 路面の凹凸でこれまでより大きな衝撃を感じる(乗り心地の急変)

  • 🔴 エアサス操作をしても車高が変化しない

  • 🔴 コンプレッサーの作動音が異常に大きい、または連続的に動き続ける


これらのサインが出たら、走行を続けず早めに点検に出すことが原則です。放置するとベローズ破裂のリスクが高まり、修理費用がさらに膨らみます。


なお、長期間使用した老朽トラックでエアサスが故障した場合は、修理よりも乗り換えを検討した方が費用対効果が高いケースも多いといわれています。ベローズ以外の主要パーツも経年劣化している可能性が高く、修理費用を回収する前に別の箇所が故障するリスクがあるためです。


トラックの買い替えを検討する場合は、中古トラック販売店を活用すると、新車に比べて大幅にコストを抑えながら良好なコンディションの車両を短納期で入手できます。即納対応の車両も多く、業務への影響を最小限に抑えられます。


エアサスペンション トラックの寿命を延ばすメンテナンス方法

エアサスの寿命の目安は走行距離10万〜15万kmです。ただし、適切なメンテナンスと運用を続ければ、この目安を大きく超えることも可能です。逆に、メンテナンスを怠ると想定より早く故障に至る場合があります。


寿命を延ばすための基本は4点です。



  • 過積載をしない:エアサスへの負荷は積載量に比例します。定められた最大積載量を超えた運行を続けると、ベローズの内部応力が設計値を上回り、劣化が急速に進みます。1回だけでも破裂リスクが生じることがあります。

  • 定期的な目視点検:ベローズにひび割れ・傷・変色がないかを定期的に確認します。1年に1度以上の専門点検が推奨されています。目視でわかる異変を見逃さないことが条件です。

  • コンプレッサーのメンテナンス:エアドライヤー(水分を除去する部品)は消耗品です。定期的に交換しないとコンプレッサー内部に水分が混入し、内部を腐食させます。交換費用は4〜5万円程度で済みますが、放置するとコンプレッサー本体が壊れ、10万円規模の修理になることがあります。

  • 走行後は車高を標準位置に戻す:エアサスを上げっぱなしの状態で走行を続けると、空気抵抗が増えて燃費が通常時より約5〜10%悪化するとされています。走行ごとに標準車高へ戻す習慣をつけることが大切です。


メンテナンスの頻度について補足すると、最低でも1年に1度の専門点検が推奨されています。これはゴム製のベローズが紫外線・熱・オゾンによって徐々に硬化していくためで、外見上は問題なく見えても内部で劣化が進んでいるケースがあります。


定期点検の費用は状態に応じて変わりますが、早期発見によって「4〜5万円のエアドライヤー交換」で済んでいたものが、放置によって「10万円超のベローズ交換」になるリスクがあります。これは注意すれば大丈夫です。


エアサスを長持ちさせる日常ケアについては、グットラックshimaが寿命と故障サインをわかりやすくまとめています。


シマ商会「トラックのエアサスは寿命が長い!故障のサインや寿命を延ばす方法」


エアサスペンション トラックを選ぶべき用途と板バネとの使い分け

「エアサスがあれば板バネは不要」と考える人もいますが、それは間違いです。板バネとエアサスにはそれぞれ得意な用途があり、運ぶ荷物や使用環境によって適切な選択が変わります。


エアサスが特に力を発揮するのは、以下のような用途です。



  • 📦 精密機器・電子部品の輸送:わずかな振動でも内部基板にダメージを与える可能性がある精密機器は、振動を最小限に抑えられるエアサスが最適です。

  • 🍱 高級食材・生鮮品の輸送:揺れによる品質劣化を防ぎたい場合。総輪エアサスなら後輪のみと比較して振動を約20%軽減できます。

  • 🚛 長距離ルートの定期輸送:ドライバーの疲労軽減は安全運転に直結します。1日何百kmも走るドライバーにとって、板バネとエアサスの乗り心地の差は積み重なると大きな体への負担になります。


一方、板バネが適しているのは以下のような場面です。



  • 🏗️ 建材・重機部品・鉄鋼材などの輸送:衝撃に強い荷物であれば、エアサスの高い衝撃吸収性能は過剰装備になります。導入コストと維持費の安い板バネで十分です。

  • 🔄 短距離・多頻度の配送:1回の走行距離が短く、積み替えが頻繁な場合は、エアサスの車高調整機能の恩恵が薄くなるケースがあります。


結論はシンプルです。精密・高価値な荷物を長距離で運ぶならエアサス、頑丈な荷物を短距離で運ぶなら板バネが費用対効果の高い選択肢です。


なお、エアサス搭載車は車両本体価格も板バネ車より高い傾向があります。購入時に「なぜエアサスが必要か」を明確にしないと、コストだけが増えて恩恵を十分に受けられない状況になります。そのため、年間の輸送内容と走行距離を具体的に洗い出してから車両選びをすることが重要です。


エアサスと板バネそれぞれのメリット・デメリットと、用途別の選び方を詳しく解説しているページです。


シマ商会「トラックの板バネとエアサスの違いとは?サスペンションの選び方も」




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