スペーサー5mmの事故リスクと安全な取り付け方法

スペーサー5mmの事故リスクと安全な取り付け方法

スペーサー5mmの事故リスクと安全な装着の知識

5mmスペーサーでも車種によっては脱輪事故の原因になり、任意保険が下りないケースがある。


この記事のポイント3選
⚠️
「5mmなら安全」は一概に言えない

車種によっては5mmスペーサー装着でナットのかかりが3〜4回転しか確保できず、走行中の脱輪リスクが高まります。ハブボルトの長さは必ず事前確認が必要です。

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事故時に保険が下りないリスクがある

違法改造と判断されると任意保険が不支払いになるケースも。2023年の札幌脱輪事故では無保険状態で被害者への賠償も困難になりました。

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安全装着には増し締めと定期点検が必須

装着後50〜100km走行後の増し締め、その後も定期的な点検が不可欠。トルクレンチを使った適正締め付けが脱輪事故を防ぐ最大の防衛策です。


スペーサー5mmの事故につながる「ナットのかかり不足」とは





ホイールスペーサーとは、ホイールとハブ(車輪の取り付け部分)の間に挟む金属製のスペーサーです。厚みの分だけホイールが外側に押し出され、いわゆる「ツライチ」や「ワイドトレッド」を実現できます。ドレスアップを目的として5mmスペーサーを選ぶ方が多いのですが、ここには多くの人が見落としている落とし穴があります。


最大の問題が「ナットのかかり(ネジ山のかかり深さ)不足」です。スペーサーを挟むと、その分だけハブボルトの突出量が5mm減ります。ナットが固定されるまでに最低でも4〜5回転が必要とされていますが、5mmスペーサーを入れることで、車種によっては3〜4回転しか確保できないケースも報告されています。


状態 ナットのかかり深さ(目安) 安全性
スペーサーなし(純正) 10mm〜12mm程度 ✅ 問題なし
5mmスペーサーあり(ロングボルトなし) 5mm〜7mm程度 ⚠️ 車種によって不十分
5mmスペーサー+ロングハブボルト 10mm〜12mm程度 ✅ 適切に確保できる


かかりが浅い状態でナットを締めると、走行中の振動でナットが徐々に緩み、最悪の場合はホイールごと脱落します。これが脱輪事故の典型的なメカニズムです。


「5mmなら安全」というのは、ハブボルトの長さが十分な車種に限った話です。ホンダ車などではハブボルト自体が短めに設計されている場合もあり、同じ5mmスペーサーでも安全マージンが大きく異なります。装着前に自分の車のハブボルト長さを必ず確認することが鉄則です。


参考:ホイールスペーサーの基礎知識と弊害・車検の許容範囲についてイエローハットが詳しく解説しています。


ホイールスペーサーの基礎知識と弊害が分かる!車検に通る許容範囲とは? | イエローハット


スペーサー5mmが起こした事故の実例と法的リスク

「たった5mm」の改造が、刑事事件にまで発展した事例があります。2023年11月、札幌市西区の住宅街で走行中の軽乗用車からタイヤが脱落し、歩道を歩いていた当時4歳の女児に直撃するという悲惨な事故が発生しました。女児は今も意識が戻らない重体状態が続いています。


この事故の直接的な原因は、違法に改造されたスペーサーによるホイール固定強度の不足でした。車の運転者には懲役3年・執行猶予5年、車の所有者兼改造実施者には罰金20万円の判決が下されています(2025年4月・札幌地裁)。


重要なのは、この車が「無保険車」だったという点です。違法改造が認定された場合、自動車保険の契約上の問題が生じます。保険会社への告知義務を果たさずに改造した場合、事故の際に保険金が支払われないリスクがあります。被害者家族はその後、運転者らに対して損害賠償請求訴訟を起こしましたが、十分な賠償を受けられるかは不透明な状況です(2026年2月・毎日新聞報道)。


これは極端なケースとはいえ、「ちょっとしたカスタム」が刑事責任・民事責任・保険不払いの三重苦になりかねないことを示しています。


参考:札幌の脱輪タイヤ直撃事故の判決と被害者家族の声については朝日新聞が詳しく報じています。


スペーサー5mmと車検・保安基準の正しい知識

「スペーサーをつけると車検に通らない」という話を耳にしたことがある方も多いはずです。これは厳密には正確ではありません。


車検の合否は「保安基準に適合しているかどうか」で決まります。スペーサーを装着していること自体は、車検不合格の直接的な理由にはなりません。つまり保安基準を満たせば問題ありません。


ただし、5mmスペーサーの装着によって以下のいずれかが発生した場合は、車検不合格になります。


  • タイヤがフェンダーから外側方向に10mm以上突出している場合
  • ホイールやナットがタイヤよりも外側にはみ出している場合(この場合は突出量ゼロでも不合格)
  • ボルト・ナットの締め付け状態に問題がある場合
  • ハブベアリングの異音・ガタが発生している場合


注意が必要なのは、ディーラーでの点検や整備を受ける際の扱いです。ディーラーによっては「スペーサー装着車の整備は受け付けない」または「スペーサーを外さないと点検できない」というスタンスをとるケースもあります。これは保安基準に基づく判断ではなく、各店舗の方針によるものです。スペーサー装着後に初めてディーラーへ持ち込む場合は、事前に確認しておくと良いでしょう。


参考:スペーサーと車検の関係についてWebCARTOPが詳しく解説しています。


安易な「ツライチ化」で大事故も発生!本当に正しいホイールスペーサーの使い方 | WebCARTOP


スペーサー5mmがハブベアリングとタイヤ寿命に与える影響

「5mm程度なら走行感覚も変わらないし問題ない」と感じている方も多いでしょう。しかし目に見えない箇所では、確実に影響が出ています。


スペーサーを挟むことでホイールの取り付け位置が外側にずれると、ハブベアリングにかかる横方向の荷重(モーメント荷重)が増加します。5mmの薄型スペーサーでも、この影響はゼロではありません。整備現場の経験則では、15mm以上のスペーサーでは顕著に現れますが、5mmでも増し締めを怠ったケースではベアリングの異音が早期に発生した事例が報告されています。


ハブベアリングは通常、走行距離10万km程度が交換目安とされています。これが8万km以下での交換になるケースも。ハブベアリングの交換費用は車種によって大きく異なりますが、ハブアッセンブリーごとの交換が必要な場合は1輪あたり3万〜10万円以上かかることもあります。4輪すべてとなれば総額で数十万円規模の出費になる可能性があります。


また、ホイールが外側に出ることでタイヤのアライメント(キャンバー角・トー角)が純正状態からわずかにずれます。これによってタイヤの片減り(偏摩耗)が起きやすくなります。通常3〜4年使えるタイヤが2年程度で交換が必要になるケースもあり、長期的なコスト増につながります。


スペーサーを装着した場合は、装着後に専門店でホイールアライメント調整(費用の目安:1万〜2万円程度)を行うことで、偏摩耗のリスクを大幅に抑えることができます。


参考:ワイドトレッドスペーサーのデメリットとハブベアリングへの影響について整備現場の視点から解説されています。


ワイドトレッドスペーサーのデメリットとは?現場のプロが解説 | familiar


スペーサー5mmを安全に使うための装着手順と注意点

リスクを理解したうえでスペーサーの装着を選択するなら、正しい手順を守ることが事故を防ぐ唯一の方法です。ここでは装着時に必ずやるべきことを整理します。


まず装着前の確認として、自分の車のハブボルトの長さと規格(サイズ・ピッチ)を確認します。ピッチとはネジ山の間隔のことで、M12×1.5(ピッチ1.5mm)の場合、5mmスペーサーで約3.3回転分のかかりが失われます。純正状態でナットが10回転かかる車なら6.7回転残るので問題ありませんが、純正で6〜7回転しかない車種では危険水域に入ります。


装着後の手順も重要です。


  • ✅ トルクレンチで規定トルクに締め付ける(インパクトレンチは不可)
  • ✅ 走行50〜100km後に必ず増し締めを行う
  • ✅ その後も1,000km走行ごと、または6か月ごとに点検する
  • ✅ 走行中に異音・振動・ハンドルのぶれを感じたらすぐに停車して確認する
  • ✅ スペーサーの重ね付け(2枚以上の重ね使い)は絶対に行わない


スペーサーの重ね付けは、ナットのかかりがさらに不足するうえ、接触面が増えることでわずかなガタが増幅される危険があります。これは絶対に避けるべき行為です。


不安がある場合は、カー用品店や専門のカスタムショップに依頼するのが最も安全な選択です。装着作業を含むプロの確認で、自分の車への適合性もあわせてチェックしてもらいましょう。適切なロングハブボルトへの打ち替えを提案してくれる店舗もあります。ナットのかかり確認は走行前の最後の砦ですね。


参考:スペーサー装着時のナットかかり数について詳しく解説している専門記事です。


安易な「ツライチ化」で大事故も発生!本当に正しいホイールスペーサーの使い方 | WebCARTOP




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