ピロアッパー異音の原因と対策を徹底解説

ピロアッパー異音の原因と対策を徹底解説

ピロアッパーの異音対策:原因から正しい直し方まで

ピロアッパーの異音を「とりあえずグリスを吹いておけば直る」と思って放置すると、数万円の修理費に発展することがあります。


🔊 この記事でわかること
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異音の種類と原因

「コトコト」「ゴンゴン」「ギシギシ」など音の種類ごとに、原因箇所が異なります。音のタイミングで原因を絞り込む方法を解説します。

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自分でできる応急対策

グリスアップ・ナット調整・スラストシートの追加など、DIYで試せる対策を具体的な手順とともに紹介します。

⚠️
放置リスクと交換の判断基準

ピロボールのガタを放置すると走行不能・車検落ちにも直結します。交換が必要なタイミングと費用の目安を解説します。


ピロアッパーの異音がどんな音か:コトコト・ゴンゴン・ギシギシの違い





ピロアッパーマウントから出る異音は、「コトコト」「ゴンゴン」「ギシギシ」の大きく3パターンに分けられます。この音の種類と発生タイミングを把握することが、原因特定の第一歩です。


まず「コトコト・カタカタ」という小さく連続する音は、走行中ほぼ常時発生するケースが多いです。多くの場合、ロックシートの緩み、またはピロボール自体のガタが原因となっています。車高調整をした直後に急に音が出だした場合は、調整時に緩めたロックシートが再び締め込まれていない可能性が高いです。


次に「ゴンゴン・ゴトゴト」という重い金属音は、ハンドルを切ったときや段差を乗り越えたタイミングに合わせて発生します。これはピロボールのジョイント部分が固着してバネがよじれ、スプリングシートとの間で摩擦が生じているケースや、ピロボールにガタが出て車高調のシャフトがズレているケースが代表的です。


「ギシギシ・キーキー」という金属が擦れるような音は、ハンドル操作の際に発生しやすく、ピロボールやスラストベアリングの摩耗が主な原因です。つまり音の種類で原因が違います。


音の発生タイミングも重要な判断材料になります。


| 音の種類 | 発生タイミング | 主な原因 |
|---|---|---|
| コトコト(常時) | 走行中ほぼ常時 | ロックシート緩み・バネの遊び |
| ゴンゴン(操舵時) | ハンドルを切ったとき | ピロボール固着・スプリングシートのズレ |
| ゴトゴト(段差) | 段差・バウンド時 | ピロボールのガタ・ショック抜け |
| ギシギシ(操舵時) | ハンドル操作全般 | スラストベアリング・ピロボールの摩耗 |


音を記録しておくことが大事です。スマートフォンの動画撮影機能を活用して、発生状況を映像と音声で残しておくと、ショップに持ち込んだ際の診断がスムーズになります。


ピロアッパーの異音を引き起こす4つの原因

ピロアッパーマウントの異音には、代表的な原因が4つあります。それぞれを理解しておくことで、対策の方向性が見えてきます。


① 砂・砂利の噛み込み


ピロアッパーマウントはエンジンルーム内に位置していますが、タイヤが巻き上げた砂や砂利は意外なほど高い位置まで飛来します。ピロボール部分に砂粒が入り込んだ状態でハンドルを切り続けると、金属面同士が傷つき、ガタの発生を早めます。ボンネットを開けてピロアッパー付近を見ると、細かな砂や砂利が付着していることはよくあります。これが積み重なるとジワジワと寿命を縮めていきます。


② 経年劣化によるガタ


ピロボールは「鉄と鉄が擦れ合う」構造のため、使用を続けると少しずつ削れてガタが生まれます。これは避けられない消耗で、一般的に走行距離や使用環境によって変わりますが、1年程度で交換が必要になることもあります。ガタが出た状態では走行中に車高調のシャフトがズレてしまい、「ガタガタ・ゴトゴト」という重ための金属音が発生します。


③ 雨水によるサビ


ピロボール部分にはゴムブーツが取り付けられない構造のため、路面の水分が直接かかりやすいです。水分がピロボールに浸入してサビが進むと、ボールの動きが悪くなり、引っかかりが生じて異音の原因になります。海沿いや塩化カルシウム(融雪剤)が散布される地域では、特に劣化が速まる傾向があります。


④ グリス切れ


ピロボールには製造時にグリスが塗布されていますが、ブーツがないため雨水で流れ落ちやすい構造です。グリスが切れた状態では金属同士の摩擦が大きくなり、ガタの進行が加速します。メーカーによっては「無給油タイプ」のピロボールも存在しますが、それでも定期的な洗浄は有効です。グリス切れは防げます。


ピロアッパーマウントにガタが出る4つの原因と対策方法(Freedom)
※砂・雨・グリス切れ・経年劣化という4原因を詳しく解説しています。


ピロアッパーの異音対策:自分でできる3つの応急処置

ショップに持ち込む前に、自分でできる対策がいくつかあります。それぞれの方法と効果の範囲を理解してから試すことが重要です。


対策① ピロのトップナットを少しだけ緩める


ハンドルを切ったときに「ゴンゴン」という音が出る場合、ピロボールのジョイント部が締め込まれすぎて動きが悪くなっているケースがあります。この場合、ピロのトップ部にあるナットをほんのわずかだけ(1/8回転程度)緩めると改善することがあります。ただし、緩めすぎると逆効果になります。キャンバー調整用の固定ネジや減衰力調整ダイヤルと間違えないよう、必ず作業前に車高調のマニュアルで該当箇所を確認してください。これはあくまで応急的な処置です。


対策② ピロボールへの潤滑剤注入


ピロボールが固着ぎみで動きが悪いと感じる場合は、潤滑剤(浸透性のスプレー式潤滑剤)をピロボール部に噴射する方法があります。ただし、メーカーによっては「ピロボールへのグリス・潤滑剤の使用は異物混入リスクがある」と明記しているケースもあります。特にファイナルコネクション社は「ピロボールにグリスなどは付着させないで下さい。内部にゴミが入りピロボールが破損する事があります」と公式FAQで警告しています。使用前にメーカーのFAQを必ず確認してください。


対策③ スラストシート(スプリングシートスペーサー)の追加とグリス塗布


ハンドルを切ったとき、バネとスプリングシートの摩擦で「ゴンゴン」音が出ているケースでは、スプリングシートをもう1枚追加して間にグリスを塗る方法が有効です。バネとシートが滑るようになり、摩擦音が消えます。これは「ピロボールが動かない→バネがよじれる→シートと擦れる」という流れを断ち切る対処療法です。スラストシートは各車高調メーカーの補修パーツとして単品購入できます。


これは使えそうです。ただし、対策① ② ③いずれも「根本原因の解消」ではなく、あくまで症状を抑える処置であることは覚えておく必要があります。ピロボール自体にガタが出ている場合は、これらの方法では解決しません。


車高調の異音「コトコト音」の原因と対策(DIYラボ)
※足回りのプロへの取材に基づき、スラストシート追加・潤滑剤注入などの具体的対策を解説しています。


ピロアッパーの異音を放置すると起きること:走行不能・車検落ちのリスク

「少し音がするだけで走れているから大丈夫」という判断は危険です。放置するリスクを具体的に確認しておきましょう。


ピロアッパーマウントはサスペンションのショックアブソーバーを車体に固定する重要な部品です。ここにガタが生じると、走行中に車高調のシャフトが本来あるべき位置からズレてしまいます。軽微なガタであれば異音で済みますが、ガタが進行するとアライメントが乱れてタイヤの偏摩耗が発生します。さらに悪化した場合、最悪は「車がまっすぐ走らない」「走行不能になる」といった深刻なトラブルに発展します。これは大きなリスクです。


車検との関係も見逃せません。ピロボールのガタが顕著な状態は「操縦安定性に支障をきたす」と判断される可能性があり、車検で不合格になるケースがあります。日常的に使う車で車検が通らないと、その日から公道走行ができなくなります。


費用面での損害も考えておく必要があります。ピロボール単体の交換費用は、TEINのような大手メーカーだとピロボール交換が1か所あたり8,800円(部品代込み)程度。ショップへの持ち込みを含めると1か所7,000〜10,000円が目安とされています。しかしガタが深刻化してショックアブソーバー本体まで損傷が及んでしまうと、車高調1本の交換で数万円以上の費用が必要になることもあります。早期に対処するほど修理コストが低く済みます。


異音の段階で発見し、ピロボール交換だけで済む状態のうちに対処することが最もコストパフォーマンスが良い選択です。


オーバーホール・仕様変更について(TEIN公式)
※ピロボール交換を含む修理・交換作業の工賃一覧を確認できます。


ピロアッパーの異音を防ぐ定期メンテナンス:洗浄とグリスアップの手順

ピロアッパーの異音を防ぐためには、定期的なメンテナンスが有効です。特にグリスアップと洗浄はセットで行うことが重要で、洗浄だけで終わると逆効果になる場合があります。


洗浄の方法と頻度


ボンネットを開けてピロアッパー部分を確認し、砂や砂利の付着が見られたら洗浄します。パーツクリーナーなどを使い、砂粒をブラシや歯ブラシで除去したあと、エアブローできれいにすると効果的です。洗浄後はすぐにグリスアップを行うことが大切です。洗浄だけするとグリスまで流れ落ちてしまい、ガタの進行を早めます。


グリスアップの手順


洗浄後のピロボール部分にスプレーグリスを吹き付けます。スプレータイプはノズルをすき間に差し込みやすく、DIYでの扱いがしやすいです。ワコーズのスプレーグリス(SPG)などが扱いやすいと評価されています。ただし、一部メーカーではピロボールへの潤滑剤使用を推奨していない場合もあるため、使用している車高調のメーカーFAQを事前に確認することが原則です。


メンテナンスの目安として、最低でも半年に1回程度、またはタイヤ交換時など足回りを外すタイミングに合わせて行うと習慣にしやすいです。雨が多い季節の前後、または融雪剤が多く使われる冬期の後には特に念入りに確認することをおすすめします。


また、ピロアッパーマウント部分をDIYで自作のダストカバーで保護するユーザーもいます。砂や雨水の侵入そのものを減らす工夫として有効ですが、完全な防水・防塵には限界があります。ガタの進行を遅らせる効果は期待できます。


ガタが出る前の予兆として「ピロボールが手の力でやや動きやすくなった感覚」があります。もし取り外した状態でピロボールを手で動かしてみてガタつく場合は、すでに交換のサインです。早めの対処が条件です。


サスペンション異音チェック(HKS公式)
※異音の種類別に原因と対策が整理されており、ピロアッパーマウントの摩耗対応についても明記されています。


ピロアッパーとゴムアッパーの違い:異音が気になるなら選択肢を見直す

ピロアッパーマウントの異音対策として、実は「そもそもピロアッパーを使わない」という選択肢もあります。この視点は見落とされがちです。


ピロアッパーマウントは「金属のジョイント(ピロボール)」を使った構造のため、金属同士の接触による微細な振動音が発生しやすい特性があります。新品状態でも「コトコト音」が出ることがあり、メーカーによっては説明書に「ピロ式は音が出やすい製品です」と注釈を記載しているほどです。つまり、ある程度の異音はピロアッパーの"仕様"とも言えます。


一方、「ゴムアッパーマウント(ゴムブッシュ式)」はジョイント部にゴムを使っているため、振動吸収性が高く、金属音が出にくい特徴があります。純正アッパーマウントを流用するタイプの車高調も同様です。異音のトラブルになりにくく、乗り心地も良い傾向があります。


ピロアッパーの最大のメリットは「キャンバー角の調整ができる」点です。特にフロントがストラット式のサスペンションの場合、ピロアッパーのオフセット量でキャンバー角をダイレクトに調整できます。これはスポーツ走行やローダウンスタイルを追求するユーザーには大きな魅力です。


ただし、ダブルウィッシュボーン式などのサスペンションでは、ピロアッパーだけではキャンバー角が付かない車種も多くあります。そのような車種では、アッパーアームナックルアームまで交換するセットアップが前提になります。キャンバー調整目的でピロアッパーを選んでいるなら、自分の車のサスペンション形式を先に確認することが必要です。


異音が気になって「なんとか直したい」と試行錯誤を繰り返している場合は、ゴムアッパーへの変更という選択肢も一度検討する価値があります。費用と手間を何度もかけるよりも、根本的に音が出にくい構造に変えるほうがトータルで安く済む場合もあります。


ゴムブッシュ式アッパーマウントの車高調の良さは、見直されるべき!?(DIYラボ)
※ゴムアッパーとピロアッパーの違いをプロの視点で詳しく比較しています。




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