アッパーアーム車検の通し方と注意すべき落とし穴

アッパーアーム車検の通し方と注意すべき落とし穴

アッパーアームと車検の関係を正しく理解する

社外アッパーアームに交換したまま記載変更せずに走ると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金になります。


🔍 この記事でわかること
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アッパーアームの役割と車検との関係

アッパーアームはサスペンションを支える重要保安部品。社外品への交換は「改造」扱いになり、手続き次第で合法にも違法にもなります。

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記載変更・構造変更の違いと費用相場

「記載変更」と「構造変更」は似て非なる手続き。どちらが必要かを間違えると車検が取り直しになり、余計な出費が発生します。

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純正アームの劣化と車検不合格リスク

ブッシュやボールジョイントのガタは車検で厳しくチェックされます。放置すると走行中に折損するリスクも。判定基準と事前確認ポイントを解説します。


アッパーアームとは何か?車検で見られる役割





アッパーアームは、タイヤとボディをつなぐサスペンション部品のひとつです。車軸より上側に位置し、タイヤの向きや傾き(キャンバー角キャスター角など)を一定に保つ役割を担っています。対になる「ロアアーム」と協力してタイヤを正確にコントロールすることで、直進安定性やコーナリング性能が成立します。


アームは走行中、路面からの衝撃を常に受け続ける部品です。素材は強度を必要とするため鋼板プレス製が主流ですが、近年は軽量化と剛性アップを目的として、鍛造アルミを採用する車種も増えています。


車検では、アッパーアームについて主に以下の点が確認されます。


チェック項目 内容 不合格の目安
ボールジョイントのガタ 手でアームを押してガタを確認 明らかな遊びがある場合
ブッシュの状態 ゴムの亀裂・抜け・著しい劣化 ゴムが脱落・機能を失っている場合
アーム本体の変形・亀裂 目視でのひび・曲がり確認 変形・亀裂が認められる場合
取付部の緩み ボルト・ナットの締結状態 緩みや脱落がある場合
社外品かどうか 純正と異なる形状・長さでないか 無申請の社外品が装着されている場合


「アームの見た目が変わっていなければ大丈夫」というのは誤解です。純正でも劣化が進めば不合格になりますし、社外品に交換した場合は見た目ではなく手続きの有無が問われます。つまり、状態と書類の両方が条件です。


アッパーアームが存在しない「ストラット式サスペンション」を採用する車種もあります(多くのコンパクトカー・軽自動車)。この場合はアッパーアームに関するチェック項目はそもそも存在しないため、自分の車のサスペンション形式を把握しておくことが第一歩です。



参考:アッパーアームの役割や種類について詳しく解説されています。


足回りに社外アームを装着しても車検に通る?社外アームを使う場合の注意点(グーネット)


アッパーアーム交換で必要な「記載変更」と「構造変更」の違い

社外アッパーアームへの交換を検討しているなら、最初に「記載変更」と「構造変更」の違いを正しく理解する必要があります。この2つは似て非なる手続きで、どちらが必要かを間違えると後から費用が大幅に膨らみます。


記載変更とは何か?


記載変更とは、車検証に記載されている内容の一部を書き換える手続きです。車検を「取り直す」必要がなく、現在の車検期間を維持したまま変更ができます。アッパーアームの交換自体は多くの場合、この記載変更で対応できます。


ただし、記載変更には条件があります。部品そのものの強度や寸法が一定水準を満たしていることを証明する書類(「改造概要等説明書」または「改造自動車等審査結果通知書」)をメーカーから入手し、管轄の陸運支局に提出する必要があります。車検対応書類が揃っているメーカー品(例:J-LINE、クスコ、シルクロードなど)であれば、この書類を取り寄せることができます。


構造変更が必要になるケース


アッパーアームの交換によって車の全高が4cm以上変わる場合は、記載変更では対応できず、「構造等変更検査(構造変更)」が必要になります。構造変更は車検の取り直しと同等の扱いで、残存していた車検期間はリセットされます。タイミングを誤ると、残り1年分の車検を「捨てる」ことになるため、注意が必要です。


記載変更 構造変更
車検の取り直し 不要 必要(期間リセット)
申請先 管轄の陸運支局 管轄の陸運支局
必要書類 改造概要等説明書など 強度証明書類+事前審査
手数料(小型車) 約350円〜 約2,000〜2,500円
申請にかかる日数 書類提出のみ 審査日+車検日の2日間


手数料の金額だけ見ると安く感じますが、実際は申請書類の作成や専門業者への依頼費用が別途かかります。申請書類の発行をメーカーに依頼すると車種1件あたり3,000〜8,800円程度(税込)が相場です。記載変更の全体費用は業者に依頼した場合、書類代・工賃・アライメント調整込みで5〜10万円前後になるケースが多いです。


長さ調整式のアッパーアームは「長さを変えられる」という時点で改造に該当します。たとえ実際に長さを変えていなくても、申請は必要です。これが意外と見落とされやすいポイントです。



参考:アーム交換と車検の専門家解説記事。記載変更が必要な理由が具体的に書かれています。


アーム交換は車検に通るのか?専門家に取材(DIYラボ)


アッパーアーム交換で車検に通る条件と「指定部品」の落とし穴

「社外アームは全部アウト」という思い込みは、半分正解・半分間違いです。結論から言うと、アッパーアームは「指定部品」に該当しないため、原則として無申請では車検に通りません。ここを誤解している人が一定数います。


指定部品とは何か?


国土交通省が定める「指定部品」とは、交換しても車検に影響しないとして認められたパーツのことです。車高調(スプリング・ショックアブソーバー)、マフラー、ホイールなどがこれに当たります。対して、アッパーアームやロアアームはこの指定部品には含まれていません。


スイングアームはコントロールアームの扱いとなり、指定部品扱いで交換OK。アッパーアームとロアアームは指定部品外です。


この違いが実際に問題になるのは、アルファード・ヴェルファイアなどのミニバン系でローダウンをするケースです。たとえばJ-LINEの30アルファード用アーム類の場合、ロアアームブラケット(純正ロアアームの位置を下げるスペーサー的部品)は記載変更不要ですが、アッパーアームだけは記載変更が必要になります。スイングアームは指定部品扱いで問題なしです。同じ「アーム交換」でも、種類によって手続きの要否が変わります。これは使えそうな情報ですね。


ピロボールへの打ち替えは申請不要


意外なのが、純正アームのゴムブッシュをピロボールに打ち替えるだけなら、申請不要な場合があります。これはアーム本体の形状や長さを変えていないためです。TRD(トヨタ系)やSTI(スバル系)からも純正形状ベースのピロボールアームが発売されており、これらは原則として記載変更なしで装着できます。走りのフィーリング向上を狙いつつ、手続きの手間を省きたい場合の選択肢になります。


キャンバーボルトとの違いにも注目


キャンバー角を調整したい場合、アッパーアームを短縮するのではなく「キャンバーボルト」を使う方法もあります。キャンバーボルトはショックアブソーバーとナックルアームを固定する純正ボルトの一部を専用品に交換するだけで、ボルト交換自体は改造に該当しないため、基本的に記載変更不要です。費用も1〜3万円程度と比較的安価です。


ただし、キャンバーボルトで付けられるキャンバー角は最大でも1〜2度程度が限界で、アッパーアーム短縮ほど大きな角度は出せません。目的に合った方法を選ぶのが大切です。



参考:サスペンションアームと指定部品・構造変更申請の詳しい解説。メーカー目線の情報が参考になります。


サスペンションアーム 合法?違法?構造変更?(シルクロード公式ブログ)


アッパーアームのブッシュ・ボールジョイント劣化と車検不合格の判定基準

「社外品ではなく純正のままだから大丈夫」と安心しきっている人は多いのですが、純正アームでも劣化が進んでいれば車検に通りません。特に走行距離が8〜10万kmを超えてくると、アッパーアームのブッシュやボールジョイントの状態が問題になってくるケースが増えてきます。


アッパーアームの劣化は主に2か所で起こります。


① ゴムブッシュの劣化・亀裂


アッパーアームの両端についているゴムブッシュは、振動を吸収するダンパーの役割を担っています。経年劣化でゴムが固くなり、最終的にひび割れ・脱落が起きます。軽度のひび割れなら車検に通ることもありますが、ゴムが完全に亀裂して金属が当たっているような状態や、ブッシュが抜けてしまっている状態では不合格になります。


② ボールジョイントのガタ


アッパーアームとナックルをつなぐ球状の継手(ボールジョイント)に遊びが出ると、直進安定性やハンドリングに影響します。車検では整備士が手でアームを押したり叩いたりして、物理的なガタを確認します。明らかな遊びがある場合は不合格です。


ゴムブッシュのひび割れ程度は通ることが多いですが、ブッシュ抜けやボールジョイントのガタは確実にアウトです。


走行中にアーム類が破損した場合、最悪のケースでは操舵不能になります。2011年式の日産リーフで走行中にフロントロアアームが2つに割れて操作不能になった事例も報告されています(価格.com掲示板)。車検直後でも劣化が進行することがあるため、定期的なセルフチェックが重要です。


以下の症状がある場合は早めに整備工場への持ち込みを検討してください。


  • 段差を乗り越えたときに「コンコン」「ゴトゴト」という異音がする
  • 直進しているのにハンドルが微妙に取られる感覚がある
  • タイヤの内側だけ、または外側だけが早く磨耗している
  • コーナリング中に接地感が不安定に感じる


純正アッパーアームの交換費用は、車種によって異なりますが部品代が片側8,000〜25,000円程度、工賃が20,000〜40,000円程度が目安です。両側交換だと部品代+工賃で合計6〜8万円ほどかかる場合もあります。工賃は地域や工場によって差があるため、複数社見積りを取ることをおすすめします。


交換後はホイールアライメントのずれが生じることが多く、アライメント調整(1〜2万円程度)も合わせて行うと安全です。アライメントが狂ったままでは、タイヤが偏磨耗し新品タイヤが短期間でダメになります。



参考:ボールジョイントのガタの確認方法と判定基準が詳しく解説されています。


ボールジョイントのガタってなんのこと?確認方法は?(DIYラボ)


アッパーアーム車検をスムーズに通すための事前準備と独自対策

社外アッパーアームを装着したまま車検を迎えるケースでも、事前の準備をしっかり整えれば問題なく通すことができます。ここでは一般的な情報にとどまらず、実際に車検を通すうえで見落とされがちな準備ポイントを整理します。


ステップ①:部品の「公認書類」が取れるかどうかを確認する


社外アッパーアームで車検を通す前提として、まずその部品が「改造概要等説明書(改造自動車等審査結果通知書)」の発行に対応しているかどうかを確認します。これが取れないメーカーの製品だと、記載変更・構造変更の申請が実質困難になります。


VIA(日本車輌検査協会)での耐圧試験に合格し、書類を発行できるメーカー品かどうかの確認が最初の条件です。


書類が取れるメーカーの製品は、「事前申請済み書類」と呼ばれる形式で発行されているものもあります。これがあれば、陸運局への事前審査の日程を別途確保する手間が省けます。書類代は3,000〜8,800円程度(税込)が多く、これを購入してショップに持ち込めば、あとは車検日に一度行くだけで完結します。


ステップ②:記載変更か構造変更かを事前に判断する


アッパーアームの交換によって全高が4cm以上変わる場合は構造変更が必要です。車高調との組み合わせで車高が大きく下がっている場合も、合算で4cmを超える可能性があるため注意が必要です。判断が難しい場合は、事前に最寄りの陸運支局か整備工場に確認することで、後からの二度手間を防げます。


ステップ③:アライメントを先に調整しておく


アッパーアームを社外品に交換した後はキャンバー角・トー角がずれている場合が多く、そのままの状態では「サイドスリップ検査(走行直進性の確認)」で引っかかる可能性があります。サイドスリップ検査は車検の検査ライン上で実施されますが、陸運局のテスター屋(審査前に事前チェックできる民間設備)を活用すれば、本番前に数値を確認・修正できます。テスター料は5,000〜10,000円程度です。


独自視点:車検を「最大限有効活用」するタイミング戦略


社外アッパーアームの装着を検討している場合、最も費用対効果が高いタイミングは「車検直後」ではなく「車検の1〜2か月前」です。なぜかというと、記載変更や構造変更に必要な書類取得と事前申請の段取りが、車検と同時に進められるからです。車検残存期間がある状態で先に書類申請だけ行い、次の車検時に正式に記載変更すれば、余計な費用が出ません。


逆に最悪なのは「交換後、次の車検まで無申請のまま乗り続ける」ケースです。これは整備命令(15日以内に改善・再検査)の対象になるだけでなく、悪質な場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が定められています。「バレなければいい」という考えは、保険の観点でも重大なリスクをはらんでいます。事故時に改造申請なしの違法改造が発覚した場合、任意保険の保険金が支払われないケースがあるためです。金額だけでなく、安全面でも合法化は絶対条件です。


  • 🔧 装着前に書類が出るかどうかをメーカーに確認する
  • 📄 書類費用3,000〜8,800円を確保してから交換する
  • 📐 交換後はアライメント調整を必ずセットで行う
  • 📅 車検タイミングから逆算して準備を開始する



参考:構造変更の費用・流れを早見表で確認できます。アッパーアームの全高4cm以上変化のケースについても明記されています。


【早見表あり】構造変更の費用がひと目でわかる(廃車ハル)




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