

大気開放式のブローオフバルブに交換したまま車検に出すと、道路運送車両法違反となり車検が通らないどころか公道走行自体も不適合扱いになります。
ターボ車に乗っていると、シフトチェンジやアクセルオフの瞬間に「プシューッ」という独特のサウンドが聞こえることがあります。あの音の正体こそ、ブローオフバルブが開いて余剰圧力を逃がすときに発生する「ブローオフサウンド」です。
ターボエンジンでは、タービンが回転することで吸入空気を圧縮し、エンジンに送り込んでいます。走行中にアクセルをオフにしてスロットルバルブが急閉すると、タービンとスロットル間に溜まった高圧の圧縮空気が行き場を失い、タービン側に逆流しようとします。この逆流現象を「サージング」と呼び、放置するとタービンブレードやシャフトにダメージを与えます。
ブローオフバルブは、このサージングを防ぐために設けられたリリーフバルブです。余剰圧力が一定値を超えると自動的に開弁し、圧縮空気を解放します。つまり「音の正体」は、余剰圧力が瞬間的に放出される際の空気流動音です。これが基本です。
サウンドの大きさや音色は、解放した空気をどこへ逃がすかによって大きく変わります。大気中に直接放出する「大気開放タイプ」は、外部に向かって空気が勢いよく吹き出すため「プシュ!」という迫力ある音が響き渡ります。一方、コンプレッサー手前の吸気管へ空気を戻す「リサーキュレーション(サクションリターン)タイプ」は、音がエンジンルーム内に吸収されるため、車外にはほとんど聞こえません。
面白いのは、社外品に交換しても純正と同じリサーキュレーション方式にすれば音はあまり変わらない、という点です。意外ですね。音を楽しみたいのであれば、バルブのタイプと取り付け方法の両方を理解した上で選ぶことが重要です。
ブローオフバルブの仕組みと種類の違い(WebCARTOP):リサーキュレーションバルブとブローオフバルブの構造上の違いを図解付きで解説。
ブローオフバルブの音は、まず「大気開放タイプ」か「リサーキュレーションタイプ」かで、大きく2つに分類できます。この違いは単なる音量の差ではなく、構造的な違いによるものです。
大気開放タイプは、解放した圧縮空気をそのまま大気中に放出します。空気が外向きに一気に吹き出すため、「プシュ!」「バシュッ!」「キシュン!」といった鋭く迫力のあるサウンドが発生します。音の大きさや鋭さは、バルブの口径、スプリングの強さ、エアクリーナーの形状(キノコ型の剥き出しタイプほど音が大きい)によっても変化します。ターボ車のカスタム派にとっては、この大気開放サウンドこそが「ターボ車に乗る醍醐味」と感じる部分でしょう。
リサーキュレーションタイプは、余剰空気をコンプレッサー手前の吸気管に戻す構造です。外部へ空気を放出しないため、車外でほとんど音は聞こえません。純正ターボ車の多くがこのタイプを採用しています。ただし、吸気管内での空気の流動音は発生するため、エンジンルーム内では「フシュ…」という小さな音がする場合もあります。
2つのタイプを比較すると、以下のような傾向があります。
| 項目 | 大気開放タイプ | リサーキュレーションタイプ |
|---|---|---|
| 音の大きさ | ★★★★★(大きい) | ★☆☆☆☆(ほぼ無音) |
| 音の鋭さ | シャープ・金属的 | マイルド |
| 車検対応 | ❌ 非対応 | ✅ 対応 |
| ターボへの影響 | 空燃比ズレが起きやすい | エンジンに優しい |
| 公道使用 | ❌ 不適 | ✅ 適 |
この表が基本です。ただし、近年の社外品の多くは「大気開放とリサーキュレーションの切り替え」に対応しています。サーキット走行時は大気開放で迫力サウンドを楽しみ、公道や車検時にはリターンキットに切り替えるという使い方ができる製品も存在します。これは使えそうです。
注意すべきは、エアフローメーターを装備している車種での大気開放は特に問題が起きやすい点です。エアフローメーターで計測された空気量をもとにECUが燃料噴射量を計算しますが、大気開放によって計測済みの空気がエンジン外に逃げると、燃料が濃くなりすぎてアフターファイアやエンストの原因になることがあります。
ブローオフバルブの音は、メーカーによっても個性があります。日本国内で特に人気の高い3ブランド、HKS・BLITZ・TRUSTの音の傾向を比較してみましょう。
🔷 HKS スーパーSQV IV(シーケンシャルブローオフバルブ)
HKSのブローオフバルブの最大の特徴は「2段階開弁構造(シーケンシャル)」です。プライマリバルブ(1段目)が「シュシュシュー」と控えめに開き、セカンダリバルブ(2段目)が「キィィィ---!!」と甲高い金属的サウンドを放ちます。この2段階の音が重なることで独特のキャラクターを持ちます。ただし音量が非常に大きく目立ちすぎるため、好みが分かれるという声も多くあります。スーパーSQV IVは価格が2万円前後(車種別キット含む)と社外品の中では中価格帯です。
🔷 BLITZ スーパーサウンドブローオフバルブ BR
ブリッツは「スーパーサウンド」という名前の通り、開放音にこだわった設計が特徴です。ベンチュリ形状のファンネルを採用し、流速を約17%アップさせることで、シャープで迫力のある開放音を実現しています。かつての旧型スーパーサウンドは「パッシャァァーン!!!」という爆発的なサウンドで知名度が高く、音量・迫力ともに他社を圧倒していました。現行のBRシリーズは、開放音のレスポンス(音が鳴り始めるタイミング)の改善も図られています。BLITZとTRUSTの音は「よくあるプシュー音」とも言われますが、TRUSTのほうが音が大きい傾向があります。
🔷 TRUST(GReddy)ブローオフバルブ
TRUSTのGReddyブローオフバルブは「シャァァ---!」という、比較的スムーズでマイルドな音質が特徴です。音の大きさはHKSのセカンダリほど際立ちませんが、低回転域から安定した開放音が出やすいとされています。TRUSTは2008年に経営的な困難を経た過去があり、ユーザーの間では早めの購入を勧める声もありました。現在はブランドとして継続しています。
3社を一言でまとめると、「甲高い金属音ならHKS、迫力重視ならBLITZ旧型、マイルドな音ならTRUST」という傾向です。同じ車種でも取り付け方法(大気開放かリターンか)やエアクリーナーの種類によって音は変わります。これが条件です。特に「キノコ型の剥き出しエアクリーナー」を装着している場合、バックタービン音(空気が逆流して鳴るルルル音)も合わさり、全体のサウンドがさらに変化します。
HKS・BLITZ・TRUSTの音の違いに関するリアルな口コミ(Yahoo!知恵袋):実際に複数のブローオフバルブを使用したユーザーが各社の音質を詳細に比較・レポートしたQ&A。
あの「プシューン!」という音を公道で思い切り鳴らしたい、と思っているターボ車オーナーは少なくないでしょう。しかし、大気開放式のブローオフバルブを取り付けたまま公道を走ることには、明確な法的リスクがあります。
大気開放式ブローオフバルブが車検に通らない根拠となるのは、道路運送車両法 第41条12項の「ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置」に関する規定です。ターボから流れてくる圧縮空気にはブローバイガス(燃焼室から漏れた排気ガスが含まれた気体)が混じっており、これを大気中にそのまま放出することが同規定に抵触するとされています。つまり車検非対応です。
車検を大気開放式のまま受けると、排気ガス検査で基準値をオーバーしてしまうケースが多いです。エアフローメーターを通過した計測済みの空気が大気へ逃げることで、ECUの空燃比計算がズレ、燃料が濃くなりすぎるからです。その結果、CO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)の排出濃度が保安基準の規制値を超えます。厳しいところですね。
さらに、仮に車検を通過できたとしても(陸運局や検査官によって対応が異なるという声もユーザーの間にはあります)、大気開放式のまま公道を走行し続けることは道路運送車両法に抵触する状態が続くことになります。大気開放式ブローオフバルブを取り付けたまま公道走行を続けることは、法的観点から避けるべき行為です。
解決策は明確です。公道走行用には「サクションリターン(リサーキュレーション)タイプ」か、「リターンキット付きで切り替え可能なモデル」を選ぶことです。HKS、BLITZ、TRUSTのいずれも、吸気管に空気を戻すリターンキットをオプションで用意しています。リターンキットを使えば、車検も公道走行も問題なく、エンジン内部のバックタービン音も楽しめます。
大気開放式ブローオフバルブと車検の関係(コスモ石油販売):道路運送車両法の観点からブローオフバルブの車検適合条件をわかりやすく解説した信頼性の高い情報。
ここで少し意外な話をします。「社外のブローオフバルブに交換すれば、ノーマル車でも迫力の音が出る」と考えている方は多いですが、実はそうとも限りません。
社外品への交換で「プシューン!」という音が大きくなるかどうかは、主に「大気開放にするかどうか」によって決まります。リサーキュレーション方式で取り付ける限り、空気はエンジンルーム内の吸気管へ戻るため、車外から聞こえる音は純正とほとんど変わりません。これが基本です。
また、ノーマルエンジン・ノーマルタービンの状態では、純正ブローオフバルブの性能で十分に余剰圧力をコントロールできています。そのため社外の強化品に交換しても、「パワーアップした」「レスポンスが明らかに良くなった」という体感は非常に少ないとされています。強化ブローオフバルブが本来の効果を発揮するのは、タービン交換や大幅なブーストアップ(過給圧を純正の1.2〜1.5倍以上に上げるような改造)を施した車両です。過給圧が高まることで純正バルブでは対処しきれなくなり、強化品が必要になるという流れです。
音の変化を楽しみたい場合に効果的な方法は、リターンキットを使いつつも吸気系を剥き出し型(キノコ型)エアクリーナーに変更することです。こうすることで、社外ブローオフバルブを作動させたときの「バックタービン音(ルルルル…という音)」が際立ちやすくなります。バックタービン音はブローオフバルブが完全に閉じる前の圧力変動で鳴るもので、剥き出しエアクリーナーによってその音がエンジンルームから外に伝わりやすくなるためです。
つまり「音を変えたい」→「まず大気開放の有無と吸気系の形状を見直す」というのが、最も効率的なアプローチです。これだけ覚えておけばOKです。社外ブローオフバルブ本体の価格は製品によりますが、国産メーカーの車種別キットで1万〜3万円前後が相場です。取り付け工賃を含めると2万〜5万円程度を想定しておくとよいでしょう。

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