

ブーストアップをすると燃費が改善するケースがある。
ブーストアップとは、ターボチャージャー搭載車(ターボ車)のブースト圧(過給圧)をノーマル設定より高めることで、エンジン出力を引き上げるチューニング手法です。まず前提として、ターボエンジンがどう動いているか把握しておきましょう。
ターボチャージャーは、エンジンから出た排気ガスの勢いでタービン(羽根車)を回し、その回転力でコンプレッサーを動かして空気を圧縮し、エンジンに強制的に送り込む装置です。この「圧縮した空気をエンジンに押し込む圧力」がブースト圧であり、ブースト圧が高いほど多くの酸素が燃焼室に入るため、より多くの燃料を燃やして大きなパワーを生み出せます。
純正の状態でブースト圧が低めに設定されているのには理由があります。自動車メーカーは、さまざまな使用環境・走行条件・排気ガス規制を考慮したうえで、エンジンへの負担を抑えながら長期間使用できるよう、安全マージンを取って設定しているのです。つまり純正ブースト圧は「エンジンが本来出せる力の上限」ではなく、「安全を見込んで抑えられた出力」といえます。
ブーストアップが「手軽なのにコスパ最高」と言われる理由はここにあります。すでにポテンシャルを秘めているエンジンを、控えめな設定から解放するだけなので、大がかりなパーツ交換なしに馬力・トルクを高めることができるわけです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 対象車 | ターボチャージャー搭載車(ターボ車)のみ |
| 効果の目安 | ノーマル比 +10〜20% のパワー&トルク向上 |
| 費用の目安 | ECU書き換え:10〜15万円、ブーストコントローラー:3〜10万円 |
| 向いている人 | ターボ車に乗っていてパワーアップを手軽に楽しみたい人 |
なお、ブーストアップはターボ車専用チューニングです。NAエンジン(自然吸気)には過給器がないため、ブーストアップは適用できません。NAエンジンで同等のパワーアップをしようとすると、吸排気系をフルチューンしても50〜100万円以上かかることもあります。ターボ車が「コスパチューンの特権」を持っているということですね。
参考:ターボチューニングの仕組みや過給器の基礎について、権威あるチューニングパーツメーカーHKSによるわかりやすい解説ページです。
HKS エンジンチューニングの5大要素(過給器・ブーストアップ)
ブーストコントローラーを使う方法が、ブーストアップの「定番のやり方」です。これはターボのブースト圧をコントロールする電子部品で、ウエストゲートバルブ(排気バイパスバルブ)の動きを調整し、タービンに送り込む排気量をコントロールすることでブースト圧を上げます。
ブーストコントローラー取り付けの流れ
一般的な取り付け手順は以下のとおりです。
ブーストコントローラーの最大のメリットは「ブースト圧を手元でリアルタイムに切り替えられる点」です。たとえばHKSの「EVC7」シリーズでは、ハイブーストとローブーストの2段階設定が可能で、街乗りは燃費重視のローブースト、ワインディングや高速道路ではハイブーストといった使い分けができます。これはECU書き換え単独ではできない芸当です。
費用の目安は下記の通りです。
| 種別 | 費用の目安 |
|---|---|
| ブーストコントローラー本体 | 3万〜6万円程度 |
| 工賃(取り付け・セッティング) | 3万〜5万円程度 |
| 合計目安 | 6万〜10万円前後 |
自分でDIY取り付けをすれば本体費用のみで済みますが、セッティングがずれるとエンジンブローのリスクがあります。確実なセッティングはチューニングショップへ依頼するのが原則です。
現代のターボ車の多くは、ECU(エンジンコントロールユニット)がソレノイドバルブと連動してブースト圧を制御しています。つまりECUのプログラムを書き換えることで、ブースト圧・燃調・点火時期をまとめてチューナーが最適化できるのです。ECU書き換えが「最もトータルバランスの高いブーストアップ方法」とされる理由がここにあります。
ECU書き換えの一般的な流れ
費用はECU書き換えのみで10〜15万円が相場となります。現車セッティングを含めると15〜20万円前後が一般的です。
ブーストコントローラーとECU書き換えの違いをシンプルにまとめるとこうなります。
| 比較項目 | ブーストコントローラー | ECU書き換え |
|---|---|---|
| コスト | 低め(6〜10万円) | やや高め(10〜20万円) |
| ブースト切り替え | リアルタイムで可能 | 基本的に固定 |
| 燃調・点火の最適化 | 単体では難しい | まとめて最適化できる |
| 安定性・精度 | セッティング精度に依存 | 高い |
| 向いているケース | 街乗りとサーキットを使い分けたい人 | トータルで高品質な仕上がりを求める人 |
つまりどちらが優れているというわけではなく、目的や予算・走り方によって選ぶのが正解です。両方を組み合わせるのが最もコントロール性の高い仕上がりになります。
参考:ブーストコントローラーとECU書き換えそれぞれのメリット・デメリットを、実際にチューニングを手がけるショップの視点で解説している記事です。
BOZZ SPEED(ボズスピード):ブーストアップの基礎知識 part1
「ブーストアップだけすれば終わり」と思っていると危険です。ブースト圧を上げるとエンジンへの負荷が高まるため、同時にいくつかの追加対応が必要になるケースがあります。必要な追加パーツが増えると費用も変わるので、事前に把握しておきましょう。
① スパークプラグの熱価変更
ブーストアップによって燃焼室温度が上昇すると、ノッキング(異常燃焼)が発生しやすくなります。これが最悪の場合、エンジン破損につながる可能性があります。プラグの「熱価」を番号の高いもの(高熱価タイプ)に変更することで、燃焼室の温度上昇を抑えノッキングリスクを軽減できます。プラグ交換は比較的安価で、部品代1,000〜3,000円程度が目安です。
② インタークーラーの強化・追加
タービンで圧縮された空気は、そのままでは170〜180℃程度の高温になります(ラジエーターで冷やすエンジン冷却水の温度が90〜100℃なので、それより遥かに高い)。インタークーラーはこの空気を冷やして密度を上げ、より多くの酸素をエンジンに送り込む装置です。ブーストアップをするとインタークーラーの仕事量も増えるため、効率が不足している場合は大容量タイプへの交換が推奨されます。費用は3〜15万円程度と車種によって幅があります。
③ 燃料系の対応(燃調)
ブースト圧を上げると吸気量が増えるため、それに見合った量の燃料も供給しなければなりません。ECU書き換えであれば燃調もセットで最適化されますが、ブーストコントローラー単体での施工の場合は燃料補正装置(サブコンなど)を追加するか、別途ECU書き換えも行う必要があります。燃調が不適切なままではエンジンダメージのリスクが高まります。
④ ブースト計の取り付け
ブーストアップ後は、ブースト圧が設定通りに維持されているかを常時モニタリングできる「ブースト計」の取り付けが推奨されます。異常な圧力上昇(オーバーシュート)や圧力の垂れを早期発見できるため、トラブル防止に有効です。アナログ・デジタルともに1万〜3万円程度で入手できます。
これらを合算すると、ECU書き換えを中心としたブーストアップのトータル費用は20〜30万円台になることもあります。予算計画はセット費用で考えるのが賢明です。
参考:インタークーラーの役割と、ブーストアップ時に強化が必要な理由について詳しく解説されています。
ブーストアップはコスパ最強のチューニングである一方、知っておかないと数十万円規模の損失につながりうるリスクも存在します。特に「保証」と「保険」に関する落とし穴は、多くのオーナーが見落としがちな盲点です。
① ディーラーの保証が消滅する
ブーストアップが発覚した場合、ディーラーでのエンジン関連保証が受けられなくなります。実際に、ブーストアップや車高調などのチューニングを行っているとディーラーでのオイル交換を断られるケースも報告されています。新車保証やメーカー延長保証でカバーされるはずだったエンジン・ミッション修理費用が、突然全額自己負担になるリスクがあります。エンジン修理は30万〜100万円を超えることも珍しくなく、痛いですね。
② 任意保険の支払いに影響する可能性がある
ブーストアップは「エンジン出力の変更」にあたります。自動車保険の約款では、改造内容によって保険金が支払われない場合があります。事故時に「改造内容が保険会社へ告知されていなかった」「違法な改造が含まれていた」とみなされると、修理費・賠償費用が補償されない可能性があります。ブーストアップ前に加入している保険会社へ改造内容を報告・確認しておくことが条件です。
③ 車検の通過に注意が必要なケースがある
ブーストコントローラーの取り付け自体は、一般的に保安基準に直接抵触する改造ではありませんが、ECU書き換えによるパワーアップでは排気ガス基準や騒音基準を超える場合があり、車検不合格になるリスクもゼロではありません。施工前にショップへ「車検対応範囲か」を確認しておきましょう。
④ エンジンブローのリスクがある
ブースト圧を上げすぎたり、燃調を適切に対応しないまま施工した場合、ノッキングによるエンジン破損(エンジンブロー)が起こる可能性があります。エンジン交換には50〜150万円規模の費用がかかることも珍しくありません。「安くDIYで試してみよう」と、自己流でアクチュエーターのホースに細工する乱暴な方法(バキュームホースに亀裂を入れるなど)は、エンジン破損に直結するため絶対に避けるべきです。これはチューニングではなく破壊行為です。
これらのリスクを回避するためには、実績のあるチューニングショップへ依頼し、施工後は保険会社への報告・オイル管理の徹底・定期的なブースト圧確認を行うことが大切です。ブーストアップに合わせてオイル交換サイクルを通常より短め(2,000〜3,000km毎)に変更することも、エンジン保護には有効な対策になります。
参考:改造車と自動車保険の関係について、加入可否・告知義務・保険金支払いのリスクをわかりやすくまとめた記事です。

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