ブローバイガス大気開放と年式の関係を正しく知る

ブローバイガス大気開放と年式の関係を正しく知る

ブローバイガスの大気開放と年式の関係・車検への影響

大気開放しているだけで、車検なしに公道を走れなくなることがあります。


この記事でわかること
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ブローバイガスとは?

エンジン内部で発生する有害な未燃焼ガス。CO(一酸化炭素)やHC(炭化水素)を多量に含み、大気開放は法律で禁止されています。

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年式と規制の関係

1970年(昭和45年)9月以降の新型車からブローバイガス還元装置が義務化。ただし昭和45年12月31日以前製作の旧車は別扱いとなる場合があります。

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車検・違反リスク

規制対象車で大気開放状態のまま車検を受けると不合格。PCVバルブ不良放置によるエンジン損傷は修理費用が数十万円になるケースも。


ブローバイガスとは何か・発生する仕組みと有害成分





ブローバイガスとは、エンジン内部のピストンとシリンダーの隙間からクランクケースへ漏れ出た未燃焼ガスや燃焼後のガスのことです。エンジンはピストンを上下させて動力を生み出しますが、ピストンリングとシリンダー壁との間には物理的にわずかな隙間が存在します。この隙間から圧縮・燃焼ガスが漏れ出したものがブローバイガスです。


ブローバイガスには、一酸化炭素(CO)・炭化水素(HC)・窒素酸化物(NOx)といった有害成分が多量に含まれています。一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと結合して酸素運搬を妨げる物質で、密閉空間では致死リスクもあります。炭化水素は光化学スモッグの原因にもなる物質です。つまり、ブローバイガスは「排気ガス」とほぼ同等の危険性を持つガスだということですね。


さらに、ブローバイガスにはエンジンオイルのミスト(霧状の油分)も含まれています。このオイルミストが吸気系統のパーツに付着すると、スロットルボディインテークマニホールドの内部が油で汚れ、燃焼効率の低下やエンジンチェックランプ点灯の原因になります。エンジンの摩耗が進むほど発生量は増えます。


成分 主な危険性 基準値(昭和53年規制)
一酸化炭素(CO) 酸素欠乏・健康被害 2.1g/km以下
炭化水素(HC) 光化学スモッグ・呼吸器障害 0.25g/km以下
窒素酸化物(NOx) 大気汚染・酸性雨 0.25g/km以下


エンジンが新しいほどブローバイガスの発生量は少なくなります。これが原則です。現代のエンジンはピストンリングの精度が高く、発生量を最小限に抑える設計になっています。


参考:ブローバイガスを含む排出ガス規制の詳細な経緯と数値基準について
環境省「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について(第十五次報告)」


ブローバイガスの大気開放が禁止された年式の境界線

「古い車なら大気開放してもOK」と思っている方は多いですが、これには正確な年式の知識が必要です。日本では1970年(昭和45年)9月から、新型車に対してブローバイガス還元装置の取り付けが義務化されました。翌1971年(昭和46年)1月からは新造車全般に適用が拡大されています。


重要なのが「昭和45年12月31日以前に製作された車両」という境界線です。審査事務規程の条文では、この日付以前に製作された車両については従前規定(基準)が適用されるという整理がなされています。つまり1971年以前の製造年を持つ旧車は、規制の適用外となるケースがある、ということです。


ただし、これはあくまで「製作された車両」が対象です。その後の改造や部品交換の状況によっては、車検時に個別に判断されることもあります。また、バイクについては平成10年度(1998年度)排気ガス規制以前の車両は別扱いとされているケースがあります(ホリデー車検などの案内でも記載あり)。年式が古いからといって何でも許可されるわけではありません。


現実的な話として、1970年代以降に製造された乗用車であれば、ほぼ全てがブローバイガス還元装置の装着が義務付けられた規制の対象です。「昭和50年代の旧車だから大気開放できる」と判断するのは誤りになる可能性が高く、注意が必要です。


  • 🗓️ 昭和45年(1970年)9月:新型車にブローバイガス還元装置の義務化開始
  • 🗓️ 昭和46年(1971年)1月:新造車全般への適用拡大
  • 🗓️ 昭和45年12月31日以前製作車:従前規定が適用される(旧車の例外)
  • 🗓️ 平成10年度規制以前のバイク:別扱いとされるケースあり


つまり、1971年以降に作られた乗用車であれば、大気開放は基本的に違法です。この年式が条件です。


参考:ブローバイガス還元装置の適用関係と年式の整理
独立行政法人自動車技術総合機構「審査事務規程第29次改正」(4-52ブローバイ・ガス還元装置 適用関係)


ブローバイガスを大気開放すると車検はどうなるか

規制対象の年式の車でブローバイガスを大気開放した状態のまま車検に持ち込むと、確実に不合格になります。根拠となる法律は道路運送車両法第41条で、「ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置」の装備が義務付けられています。ブローバイガス還元装置はこの「発散防止装置」に該当します。


車検の検査項目にはブローバイガス関連の点検項目が実際に含まれており、ブローバイホースが外れていたり、大気開放構造になっていると不合格判定を受けます。いいことですね、ではなく、これは整備不良として扱われるため、再検査や修理費用が追加でかかることになります。


ここで意外に思われるのが「オイルキャッチタンクを付けているから大丈夫」という誤解です。オイルキャッチタンクはブローバイガスからオイルミストを分離するための装置ですが、分離後のガスをエアクリーナーボックスに戻す配管が繋がっていなければ、やはり車検は通りません。大気開放していれば、タンクがあっても不合格になります。


また、大気開放式のブローオフバルブ(ターボ車用)を装着している場合も同様です。社外品の「シャー音が出るリリースタイプ」を取り付けると、排出ガスの観点から車検非対応になります。これは道路運送車両法の保安基準に抵触するためです。痛いですね。


  • ❌ ブローバイホースを外して大気開放 → 車検不合格
  • ❌ オイルキャッチタンクを付けたがエア側配管を戻していない → 車検不合格
  • ❌ 大気開放式ブローオフバルブ(社外リリースタイプ)装着 → 車検不合格
  • ✅ オイルキャッチタンクを付けてエアクリーナーボックスへ還元している → 車検合格の可能性あり


参考:ブローオフバルブと車検の関係を詳しく解説
コスモ石油販売「ブローオフバルブ装着車は車検に通らない?」


PCVバルブの役割と故障した場合のリスク

ブローバイガスを正しく処理する仕組みの中心にあるのがPCVバルブです。PCVとは「Positive Crankcase Ventilation(ポジティブ・クランクケース・ベンチレーション)」の略称で、一方向にしかガスが流れないバルブ構造になっています。アイドリング時などスロットルが全閉の状態ではエンジン負圧を利用してブローバイガスを吸い込み、エンジン内で再燃焼させる役割を担っています。


PCVバルブが詰まって故障した場合、クランクケース内の圧力が異常に上昇します。そのままにしておくと、エンジンオイルがガスケットやシールから滲み出すオイル漏れが発生します。さらにブローバイガスがオイルに溶け込んでオイルが泥状に劣化し、エンジン内部の摩耗が急速に進みます。これは使えそうな情報です。


PCVバルブ自体の交換費用は部品代込みで1万円前後が目安ですが、PCVバルブ故障を放置してエンジンシールやガスケットが傷んだ場合は、修理費が一気に数十万円規模に膨らむことがあります。外車では修理費が80万〜100万円になったケースも報告されています。小さなバルブ1つを定期的に確認するかどうかで、出費の規模が100倍以上変わる可能性があります。


PCVバルブの交換目安は走行距離3万〜5万km程度とされています。オイル交換のタイミングで点検をセットにするのが手間も少なくおすすめです。エンジンオイルの交換時にPCVバルブの状態(詰まり・ひび割れ)も合わせて確認する習慣をつけると、大きなトラブルを未然に防げます。


参考:PCVバルブの仕組みと交換目安の詳細解説


ブローバイガス対策としてのオイルキャッチタンク活用法【独自視点】

オイルキャッチタンクは「車検対策」として語られることが多いですが、実はエンジン保護の観点からも非常に実用的な装置です。ブローバイガスに含まれるオイルミストは、そのまま吸気側に戻されるとスロットルボディやインテークマニホールドの内壁に油膜として蓄積します。この油膜が積み重なるとカーボンデポジット(煤汚れ)になり、吸気効率が落ちて燃費や出力が下がります。


オイルキャッチタンクはこのオイルミストを事前に捕集し、クリーンなガスだけを吸気側に戻す仕組みです。定期的にタンクに溜まったオイル分を抜いてやるだけでよく、メンテナンスは非常に簡単です。結論は「ガスは還元しつつオイルだけをキャッチする」です。


取り付け位置については、PCVバルブ側の配管(Bルート)に繋ぐのが常時ブローバイガスが流れているため効果的という実例もあります。一方で社外の専用キットの多くはサクションパイプ側(Aルート)への装着を想定しています。取り付け前にどちらの配管かを確認してから選ぶと、効果の差が実感しやすくなります。


価格帯は汎用品で3,000円〜1万円程度、車種専用設計のキット品で1万5,000円〜3万円程度が目安です。特にターボ車や高走行距離の車には費用対効果が高い装備といえます。スロットルボディのクリーニング工賃(1回5,000円〜1万円程度)を毎回払い続けるよりも、一度キャッチタンクを付けた方が長期的には安上がりになるケースも多いです。


タイプ 価格帯の目安 特徴
汎用品 3,000円〜10,000円 ホース径が合えば取り付け可能。配管加工が必要な場合あり
車種専用キット 15,000円〜30,000円 ポン付け可能。ブラケット付きで固定も容易
高機能タイプ 30,000円〜 セパレーター機能付き。オイルとガスの分離精度が高い


ただし注意点として、オイルキャッチタンクをどう配管しても、最終的にガスをエアクリーナーボックスかエンジン吸気側に戻す配管が必要です。タンクで止めたまま大気に逃がす接続はNGです。大気開放しないことが条件です。


参考:オイルキャッチタンクの仕組みと取り付け時のポイント
Rankup-Life「ブローバイガス還元装置(クローズド式)の仕組みとPCVバルブの動き」




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