

コンプレッサーをかけっぱなしで練習すると、外したとき自分の演奏の下手さに気づいて愕然とします。
コンプレッサーは、一言でいうと「音の強弱の差を自動で小さくするエフェクター」です。ギターを弾くとき、強く弾いた音と弱く弾いた音では当然ながら音量に大きな差が生まれます。その差をコンプレッサーが自動で整えてくれることで、バンドアンサンブルの中でも音が埋もれず、全体的に揃って聴こえるようになるわけです。
仕組みを身近なもので例えると、カーオーディオで音楽を聴いているときに「静かな曲が急に爆音になって慌ててボリュームを下げ、また小さくなると上げる」というあの手動操作を、コンプレッサーが自動でやってくれているイメージです。車内で音楽を楽しんでいるとき、曲によって音量差があって不快に感じることがありますよね。コンプレッサーはまさにその不快感を消してくれる仕組みと同じ原理なのです。
主な役割は大きく3つあります。
- 音の粒を揃える:クリーントーンのカッティングやアルペジオで、ピッキングの強弱によって生まれる音量のばらつきを抑え、均一で聴きやすい音にする。
- サスティンを伸ばす:大きな音を圧縮しながら全体の音量を持ち上げることで、音が長く伸びるように聴こえる効果が得られる。
- ブースターとして使う:音の質感を大きく変えずに音量を上げるクリーンブースター的な使い方も可能で、ギターソロの際に音圧を上げる目的でも活用される。
つまり音色そのものを派手に変えるエフェクターではありません。「コンプをかけても何も変わってない」と感じる人が多いのはそのためで、実際には音の存在感やアンサンブルの中での聴こえ方に大きな影響を与えています。
地味だけど重要なエフェクターです。
コンプレッサーをただ音量調整に使うだけでなく、音色作りやサウンドの個性として活用する方法をBOSS公式が解説。特に倍音強調・チキンピッキングへの応用は参考になります。
コンプレッサーペダルには複数のツマミがついていますが、初めて見るとどれが何を意味するのか迷います。基本は5つのパラメーターで成り立っています。それぞれ何をコントロールするのかを理解しておくと、設定の自由度が格段に上がります。
| ツマミ名 | 役割 |
|---|---|
| Threshold(スレッショルド) | コンプが動作し始める音量のしきい値。低くするほど小さな音にも反応する |
| Attack(アタック) | スレッショルドを超えてからコンプが動作するまでの時間。速くすると立ち上がりが丸くなる |
| Release(リリース) | コンプが解除されるまでの時間。長くするとサスティンが伸びる |
| Ratio(レシオ) | 圧縮の強さ。「4:1」なら超えた分の音量が4分の1に。値が大きいほど強く圧縮 |
| Gain / Level | 圧縮で下がった音量を補う出力調整ツマミ |
この中で特に重要なのはThresholdとAttackです。Thresholdを下げすぎると、どんな音にもコンプがかかり続けてしまい、音のダイナミクスが完全に失われます。まるでラジオのように平坦な音になってしまうので、最初は浅め(高め)に設定しておくのが安全です。
Attackについては、速く(小さく)設定するとピッキングの立ち上がりをコンプが潰すため、音が丸くなってパチンとした輪郭が消えます。逆に遅く(大きく)設定すると音の立ち上がりをそのまま残しつつ、その後の音量だけを圧縮するため、アタッキーな印象をキープしながら粒が揃います。この設定次第で音の印象が大きく変わります。
注意が必要なのはGain(Level)です。
圧縮した後に音量を取り戻すために使うツマミですが、上げすぎるとノイズも一緒に持ち上がります。コンプレッサーの最大のデメリットの一つが「ノイズを増幅してしまう」点であり、Gainを上げるほどその影響が顕著になります。
Gainは上げすぎに気をつけましょう。
なお、ギター用のコンプレッサーペダルにはシンプルなものも多く、BOSS CS-3のように「Sustain」と「Level」の2ツマミだけで構成されているモデルや、MXR M102 Dyna Compのように「Sensitivity」と「Output」だけのものもあります。複雑な設定が難しい場合は、こうしたシンプルなモデルから入るのがおすすめです。
よくわかるギター用コンプレッサーエフェクターの使い方|RAG Music
各ツマミの意味をギター演奏者向けにわかりやすく説明しており、設定のイメージが具体的につかめます。初心者の方はまずここを参照すると理解が深まります。
コンプレッサーはエフェクターチェインのどこに置くかで、得られる効果がまったく変わってきます。これを間違えると、せっかくのコンプが本来の働きをしなくなります。結論は原則として「ギターのすぐ後ろ、歪み系の前」に接続することです。
典型的な接続順は以下の通りです。
- ① ギター
- ② チューナー
- ③ コンプレッサー(←ここ)
- ④ 歪み系(オーバードライブ / ディストーション)
- ⑤ モジュレーション系(コーラス / フランジャーなど)
- ⑥ 空間系(ディレイ / リバーブ)
- ⑦ アンプ
コンプレッサーを歪みの後ろに置くと、すでに歪みで変形した信号をコンプが圧縮することになるため、倍音の特性が潰れて音が濁り、本来の音作りが崩れてしまいます。さらに、歪みペダルが生み出すノイズもコンプが拾って増幅してしまうため、ノイズ問題が深刻になります。BOSS公式の記事でも「他のエフェクターの後ろに置くと自然な音色が圧縮されてしまう」と明記されています。
これは大事なポイントです。
また、ディレイやリバーブの後ろにコンプを置いた場合も問題が起きます。ディレイのリピート音やリバーブの余韻をコンプが拾ってブーストしてしまい、ダイナミックに聴こえるはずの空間系エフェクトが不自然に引き上げられて音が濁ります。チューナーについては最前段(ギターの直後)に置くのが正解で、歪んだ信号が通る前に正確なピッチを検出できるようにする必要があります。
コンプは「信号の入口付近」が基本です。
ただし例外もあります。歪みの後ろにコンプを置いて「コンプ感」を意図的に強調するセッティングをするプロもいます。接続順を変えることで得られる効果の違いを実験的に試してみることも、音作りの楽しさの一つです。まずは基本の順番を守りながら、慣れてきたら試行錯誤してみましょう。
コンプレッサー・ペダルの接続順まとめ|エレキギター博士
接続順の考え方と具体的な順番を図を使って丁寧に解説しています。このページを参照することでペダルボードの組み方の基本が理解できます。
コンプレッサーの使い方は演奏スタイルや目的によって設定が変わります。「とりあえずつないでみたけどよくわからない」という状態から脱するために、代表的な3つのシーン別設定を見ていきましょう。
🎵 ① カッティング・クリーントーン向け設定
コンプが最も効果を発揮するシーンです。ファンクやポップスのリズムギターで16ビートのカッティングをするとき、ピッキングの強弱が音量のばらつきになって演奏が聴きにくくなることがあります。ここでコンプを使うことで粒が揃い、シャキっとした抜けのよいカッティングサウンドが作れます。設定の目安はThresholdを下げめに(多めにかかるよう)、Attackを速め〜中程度に、Releaseを短めにすることで、切れ味のあるリズムプレイに適した設定になります。
🎵 ② ギターソロ・サスティン重視の設定
クリーントーンのリードプレイやメロディーラインを弾くとき、コンプで音を圧縮してからGainで持ち上げることで、音が長く伸びるサスティン感が得られます。Attackを少し遅めにして音の立ち上がりを残し、ReleaseとSustainを長めに設定するのがポイントです。BOSS CS-3のSustainツマミは右に回すほど音が伸びる設定になっており、このシーンで非常に使いやすい設計になっています。
🎵 ③ リミッター的な使い方
突発的に大きな音が出るのを防いで機材を保護したいとき、または音量ピークを一定に抑えてアンプへ安定した信号を送りたいとき、コンプをリミッターとして使う方法があります。Thresholdを下げ、Attackを最速に設定し、Ratioを高くするとリミッター的な動作になります。ベースプレイヤーがよく使う設定でもあり、指弾きとピック弾きで生まれる音量差を均一にするためにも効果的です。
これは使えそうです。
なお、コンプレッサーはオーバードライブや歪み系と組み合わせても使えますが、歪みの後ろにコンプを置くと前述のようなデメリットがあります。歪みをかけた音にコンプ感を足したいなら、あくまで歪みの前でコンプをかけ、すっきりとした信号を歪みに送る順番を守るようにしましょう。
コンプレッサーは非常に便利なエフェクターですが、使い方を誤ると逆効果になります。主な失敗パターンと、それぞれの対処法を知っておくことが大切です。
⚠️ デメリット① ノイズが増幅される
コンプレッサーは小さな音を持ち上げる性質上、信号と一緒にノイズも増幅します。ギターのシングルコイルピックアップ特有のハム・ノイズや、エフェクターボードから入り込む電源ノイズが、コンプをかけることで目立つようになる場合があります。対策としては、コンプの前段に質の良いバッファーを使う、電源のノイズフィルターを使う、あるいはノイズゲートをコンプの後ろに配置するという方法が有効です。特にGainツマミを上げすぎると顕著になるので、最小限に留めることが重要です。
⚠️ デメリット② ダイナミクスが失われる
Thresholdを低くしすぎると常にコンプがかかった状態になり、音の強弱によるニュアンスがすべて消えてしまいます。演奏者の表現力がそのまま音に反映されなくなるため、特に練習時にかけっぱなしにして弾き続けると「ピッキングの強弱を意識しなくてもそれなりに聴こえる」という状態になってしまいます。ギタリストの間で「コンプをかけっぱなしで練習すると下手になる」と言われるのはこれが理由です。
厳しいところですね。
⚠️ デメリット③ 接続順の失敗による音の濁り
前の章でも触れましたが、歪みの後ろやリバーブの後ろにコンプを置くと、コンプが拾う信号が正しくなくなり、本来の効果が出ないどころか音が濁ります。特にハイゲインのディストーションと組み合わせる場合は、接続順の影響が顕著です。
対処のポイントをまとめると、次の3点に集約されます。
- Gainは圧縮前と圧縮後の音量が揃う程度に留める(上げすぎない)
- Thresholdは浅め(高め)から設定を始め、徐々に深くしていく
- 練習時はコンプをオフにした状態でも弾けるよう、生音での練習も必ずセットで行う
コンプは補助ツールです。
コンプレッサーをうまく使いこなすためのもう一つのポイントは「比較する習慣」を持つことです。コンプのオン・オフを切り替えながら演奏し、どのように音が変化しているかを耳で確認する作業を繰り返すと、設定の感覚が自然と身についていきます。効果が地味なエフェクターだからこそ、こうした地道な確認作業が上達への近道です。
コンプレッサー&リミッターの基礎を理解しよう|OTOxNOMA
DTM視点から見たコンプレッサーの各パラメーターと種類(VCA・OPT・FET・TUBEなど)を詳細に解説。ギター用だけでなく音楽制作全般でのコンプの使い方を理解するのに役立ちます。
コンプレッサーペダルは数多くのメーカーから出ていますが、ここでは特に入手しやすく、多くのギタリストが実際に使っている定番モデルを中心に紹介します。自分の目的や予算に合わせて選ぶ際の参考にしてください。
🏆 BOSS CS-3 Compression Sustainer(実売価格:約1万5千円前後)
1986年発売以来、現在も変わらないデザインで売り続けられているBOSSの定番コンプレッサーです。Sustain・Attack・Level・Toneの4ツマミ構成で、直感的に操作できます。超ローノイズ設計が特徴で、コンプによるノイズ問題が最小限に抑えられているため、コンプ初心者にとって最初の1台として非常に使いやすいモデルです。ギタリストだけでなくベーシストにも愛用者が多く、幅広いジャンルで使える汎用性が魅力です。
🏆 MXR M102 Dyna Comp(実売価格:約2万円前後)
1973〜74年に登場したクラシックなコンプレッサーペダルの代名詞的存在です。SensitivityとOutputという2つのツマミしかないシンプルな構成ですが、その独特の艶やかなコンプ感は他のペダルにはない魅力があります。クリーントーンとの相性が抜群で、カッティングやアルペジオに使ったときの気持ちよさは格別です。シンプルさゆえに設定に迷わないという利点もあります。
🏆 TC Electronic HyperGravity Compressor(実売価格:約1万5千円前後)
TC Electronicのスタジオグレードのコンプレッサー「SYSTEM 6000」をベースに開発されたペダルです。通常のコンプレッサーと異なり、高域・中域・低域ごとに個別にコンプレッションをかけられる「マルチバンドモード」を搭載しており、より細かい音作りが可能です。さらにTonePrint技術を使って、外部からプリセット設定を転送できる点も大きな特徴です。コンプに慣れてきて、もっと細かいコントロールを求めるようになったときに試す価値があります。
以上3モデルはそれぞれ特色が異なります。「まず試したい」ならCS-3、「クリーントーンで艶感が欲しい」ならDyna Comp、「高機能なモデルを使いたい」ならHyperGravityという選び方が現実的です。いずれも大手の楽器店やサウンドハウスなどの通販サイトで試奏・購入ができるため、可能であれば実際に音を聴いてから選ぶことをおすすめします。
BOSS CS-3 製品ページ|サウンドハウス
実際の購入価格や詳細スペック、ユーザーレビューが確認できます。コンプレッサー選びの比較検討に活用してください。

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