
フェンダーは車の外観を形作る重要なパーツであると同時に、タイヤから飛び散る泥や小石から車体を保護する役割も果たしています。しかし、駐車場での接触や狭い道での擦り傷など、フェンダーは損傷しやすい部位でもあります。
フェンダーが損傷した場合、その程度によって修理方法や費用が大きく変わってきます。軽微な傷であれば自分で修理することも可能ですが、大きなへこみや深い傷の場合は専門業者に依頼する必要があるでしょう。
この記事では、フェンダーの修理方法や費用の相場、自分でできる修理方法から事故車扱いにならないための注意点まで、フェンダー修理に関する情報を詳しく解説していきます。
フェンダーの損傷は主に「擦り傷」と「へこみ」の2種類に分けられます。
擦り傷は、狭い場所で車を動かした際に壁や障害物に接触することで発生することが多いです。特に駐車場の出入りや狭い道での走行中に起こりやすく、深い傷になる場合もあります。
へこみは、隣の車のドアが当たったり、飛散物がぶつかったりした際に生じます。特に狭い駐車スペースでは、隣の車のドアが開いた際にフェンダーにぶつかりへこみが生じることがあります。また、走行中に小石などが飛んできてへこむケースもあります。
これらの損傷は、車の外観を損なうだけでなく、放置すると錆の原因になることもあるため、早めの修理が推奨されます。
フェンダーの修理費用は、損傷の程度や修理方法、車種によって大きく異なります。一般的な相場は以下の通りです。
擦り傷の修理:2万円~4万円程度
へこみの修理:4万円~5万円程度
交換:3万円~5万円程度(塗装費用別)
ただし、これはあくまで目安であり、高級車やスポーツカーの場合はさらに高額になることがあります。また、特殊な塗装が施されている場合も費用が上がる傾向にあります。
修理にかかる期間については、軽微な損傷であれば1~2日程度で完了することが多いですが、交換や大規模な修理の場合は1週間程度かかることもあります。
業者によっても費用は異なり、一般的にはディーラー>カー用品店>板金業者の順で費用が高くなる傾向があります。以下は擦り傷修理の業者別相場です。
修理業者 | 10cm以内の擦り傷 | 10cm~20cm以内の擦り傷 | 20cm以上の擦り傷 |
---|---|---|---|
ディーラー | 4万円~5万円 | 5万円~6万円 | 6万円以上 |
カー用品店 | 3万円前後 | 4万円前後 | 5万円以上 |
板金業者 | 2万円前後 | 2.5万円前後 | 3万円前後 |
修理を依頼する際は、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
フェンダーの軽微な損傷であれば、自分で修理することも可能です。ここでは、代表的な自己修理方法を紹介します。
1. コンパウンドを使った擦り傷の修理
コンパウンドは細かい粒子が配合された研磨剤で、浅い擦り傷を目立たなくさせるのに効果的です。
手順。
コンパウンドは2,000円~3,000円程度で購入でき、コストパフォーマンスに優れています。ただし、強くこすりすぎると塗装を傷める可能性があるので注意が必要です。
2. タッチアップペンを使った深い傷の修理
タッチアップペンは車の塗料が入ったペンで、深い傷や塗装がはがれた部分の修復に適しています。
手順。
タッチアップペンは500円程度から購入でき、手軽に修理できるメリットがあります。ただし、色の完全な一致は難しく、大きな傷には不向きです。
3. ドライヤーや熱湯を使ったへこみの修理
小さなへこみであれば、熱を加えることで元に戻せる場合があります。
手順。
この方法は費用をほとんどかけずに修理できますが、効果はへこみの状態によって異なります。また、熱による塗装の劣化に注意が必要です。
自己修理は費用を抑えられるメリットがありますが、失敗すると逆に修理費用が高くなる可能性もあります。自信がない場合は専門業者に依頼することをおすすめします。
フェンダーの修理や交換を行う際、「事故車扱い」になるかどうかは多くの車オーナーにとって重要な問題です。事故車扱いになると車の査定価格が大幅に下がるため、修理方法には注意が必要です。
まず、「事故車」または「修復歴車」とは、車の骨格部分を修理または交換した車を指します。フロントフェンダーはボルトで固定されているネジ止め部位であり、交換しても基本的に事故車扱いにはなりません。交換しても事故車にならないパーツには以下があります。
ただし、リアフェンダーはボディと一体化している場合が多く、交換(切り替え)するとボディパネルを切り取って新しいパネルを溶接する必要があります。この場合、事故車扱いになる可能性が高いです。
事故車扱いにならないための注意点。
修理を依頼する際は、「この修理で事故車扱いになるか」を必ず確認しましょう。また、複数の業者から見積もりを取り、修理方法や事故車扱いになるかどうかを比較検討することが重要です。
フェンダー修理において、塗装技術は最終的な仕上がりを左右する重要な要素です。特に目立つ部分であるフェンダーは、塗装の質が車全体の印象に大きく影響します。
プロの塗装技術の特徴。
例えば、RX-7のリアクオーターには波打ったような特殊な塗装が施されており、これを再現できる工場は限られています。このような特殊な塗装技術を持つ業者を選ぶことが、高品質な修理につながります。
自己修理の場合、色の完全な一致は難しく、塗装の境目が目立つことがあります。特に広範囲の修理や特殊塗装の場合は、プロの技術者に依頼することをおすすめします。
また、塗装の質は車の資産価値にも影響します。将来的に車を売却する予定がある場合は、特に塗装の質にこだわるべきでしょう。
塗装技術者の資格として「厚生労働省1級塗装技能士」などの資格を持つ工場を選ぶことで、高品質な修理が期待できます。修理を依頼する際は、過去の修理実績や使用する塗料の品質なども確認するとよいでしょう。
フェンダーの修理方法を選ぶ際、DIY(自分で修理)とプロに依頼する方法のどちらが適しているか悩むことがあります。ここでは両者のメリット・デメリットを比較し、状況に応じた選択肢を提案します。
DIY修理のメリット:
DIY修理のデメリット:
プロ修理のメリット:
プロ修理のデメリット:
状況別おすすめの選択:
コンパウンドやタッチアップペンを使ったDIY修理が適しています。費用も数千円程度で済み、比較的簡単に修理できます。
ドライヤーや熱湯を使った方法を試してみる価値があります。効果がなければプロに依頼することも検討しましょう。
プロに依頼するのが無難です。特に塗装まで必要な場合は、プロの技術が必要になります。
事故車扱いになる可能性があるため、専門知識を持つプロに相談することをおすすめします。
パールやメタリックなどの特殊塗装は再現が難しいため、プロに依頼するのが適切です。
DIYとプロ修理の選択は、損傷の程度、自分の技術レベル、予算、時間的余裕などを総合的に判断して決めるとよいでしょう。また、DIYで修理を試みて難しいと感じた場合は、早めにプロに相談することが重要です。
フェンダー修理後の適切なメンテナンスは、修理箇所の耐久性を高め、再発を防ぐために重要です。また、フェンダーの損傷を予防する対策も知っておくと、愛車を長く美しく保つことができます。
修理後のメンテナンス:
修理直後(特に塗装後)は、最低でも2週間は自動洗車機の使用を避け、手洗いにしましょう。また、強い洗剤や硬いブラシの使用も控えてください。
修理から1ヶ月程度経過したら、修理箇所を含めてワックスをかけることで塗装を保護します。特
※中古車の場合は、修理・交換よりも車を買い直したほうが安いケースもあります。