フロアジャッキの使い方と下げ方を正しく知る手順

フロアジャッキの使い方と下げ方を正しく知る手順

フロアジャッキの使い方・下げ方の正しい手順と安全対策

フロアジャッキで下げる直前に、あなたはウマ(リジッドラック)を使わず作業していて、毎年死亡事故が起きています。


この記事でわかること
🔧
フロアジャッキの基本構造と下げ方の仕組み

リリースバルブの役割や反時計回りに回す理由など、ジャッキダウンの原理をわかりやすく解説します。

⚠️
下げる前に確認すべき安全チェックポイント

ジャッキスタンド(ウマ)の取り外し順序や輪止め、ジャッキアップポイントのNG例など、事故を防ぐ必須知識を紹介します。

🛠️
フロアジャッキが下がらないときの対処法

リリースバルブが固い・ピストンが戻らない・エア噛みなど、よくあるトラブルの原因と自分でできる解決策を詳しく解説します。


フロアジャッキの使い方の基本:構造とリリースバルブの仕組み





フロアジャッキ(ガレージジャッキとも呼ばれる)は、油圧の力でアームを持ち上げる工具です。ハンドルを上下にポンピングすることで内部のオイルが圧縮され、その圧力でアームが上昇します。車載のパンタグラフジャッキと比べて安定性が高く、一度のジャッキアップで前輪または後輪の2輪を同時に持ち上げられるため、タイヤ交換やオイル交換など幅広い作業に使われます。


下げる操作の中心となるのが「リリースバルブ」です。このバルブを締め込むことで内部のオイル圧が保持されてアームが上がった状態を維持し、反対に緩めることでオイル圧が解放されてアームが下降します。つまり下げ方の基本は、リリースバルブを反時計回り(左回り)にゆっくりと回すことです。


バルブの位置はメーカーや機種によって若干異なりますが、多くの場合、ジャッキ本体の側面かハンドルの付け根付近にあります。多くのフロアジャッキでは、ジャッキアップに使用した長いハンドルをリリースバルブのソケットに差し込んで操作する設計になっています。手順を覚えれば難しくはありません。


ただし、一点だけ絶対に守ってほしいことがあります。バルブを「一気に大きく回す」のは厳禁です。急に緩めると車体がドスンと急降下し、ジャッキが外れて転倒する危険があります。必ず「少しずつ、ゆっくり」が原則です。



















操作方向 バルブの状態 アームの動き
時計回り(右回り)に締める 閉じた状態(油圧保持) 上昇・キープ
反時計回り(左回り)にゆっくり緩める 開いた状態(油圧解放) 下降


フロアジャッキアップ時のリリースバルブの開閉が基本です。


なお、BAL大橋産業やアストロプロダクツなど国内主要メーカーの取扱説明書はすべて「リリースバルブをゆっくり回す」と明記しています。急操作で車両が急落下すると重傷・死亡事故につながるため、メーカー各社が繰り返し警告しています。


参考:ジャッキアップの正しい操作と注意点(アストロプロダクツ公式ブログ)
https://www.astro-p.co.jp/blog/93/


フロアジャッキの使い方・下げる前に確認すべき安全チェックリスト

下げる操作そのものはシンプルですが、「下げる前の準備」を正しく行わないと大事故につながります。ここが最も重要なポイントです。


まず確認したいのが、作業場所の地面の状態です。砂利や傾斜のある場所、柔らかい土の上でのジャッキアップは厳禁です。フロアジャッキはジャッキアップ時に本体が前方へスライドしながらアームを持ち上げる仕組みになっています。地面の抵抗が大きすぎてジャッキが前に進めなければ、ジャッキポイントが外れて車体が落下するリスクがあります。必ずアスファルトやコンクリートなど、平坦で硬い場所を選んでください。


次に、ギアとサイドブレーキの確認です。AT車ならPレンジ、MT車なら1速かRに入れ、サイドブレーキをしっかり引きます。さらに輪止め(タイヤストッパー)を、作業しているタイヤの対角線上にあるタイヤにセットします。サイドブレーキだけでは万全ではありません。「サイドブレーキ+輪止め」がセットで安全が担保されると覚えましょう。


そして、最も見落とされがちなのがジャッキスタンド(リジッドラック、通称「ウマ」)の使用です。


フロアジャッキだけで車体を持ち上げた状態での作業は非常に危険で、毎年死亡事故が報告されています。2023年11月には北海道札幌市で、2023年4月には北海道小樽市でも、ジャッキが外れて車の下敷きになる死亡事故が発生しています。フロアジャッキは「車を持ち上げるための工具」であり、「車体を長時間支える工具」ではありません。車体をジャッキアップしたら、必ずジャッキスタンドをジャッキアップポイントの近くにセットしてから作業に入るのが鉄則です。



  • ✅ 地面:平坦なアスファルトまたはコンクリート

  • ✅ ギア:AT→Pレンジ、MT→1速またはR

  • ✅ サイドブレーキ:確実に引いた状態

  • ✅ 輪止め:対角線上のタイヤにセット済み

  • ✅ ジャッキスタンド:ジャッキアップ後に必ずセット

  • ✅ ジャッキアップポイント:取扱説明書で事前確認済み


ジャッキスタンドなしで車体の下に入ることだけは絶対にしてはいけません。


参考:クルマの下敷きになる事故とリジッドラックの必要性について(くるまのニュース)
https://kuruma-news.jp/post/716844


フロアジャッキの使い方:下げ方の正しい手順をステップごとに解説

では実際の下げ方を手順で確認しましょう。タイヤ交換を例に、ジャッキスタンドを使った正しい下げ方を説明します。


作業が終わったら、最初にジャッキスタンドを取り外します。この順番が大切です。ジャッキスタンドを外してから少しフロアジャッキを上げて、ジャッキスタンドが干渉しない状態を作ってから下降操作に移ります。安全確認が条件です。


次に、車体の下や周囲に工具・タイヤなどの障害物がないか、人がいないかを必ず確認します。確認が終わったら、ハンドルをリリースバルブのソケットに差し込んでください。ハンドルを両手でしっかり握るのが安全のためのポイントです。片手操作はハンドルが外れて思わぬケガにつながることがあります。


ハンドルを握ったら、反時計回りにほんの少しだけ回します。これくらいを目安にするとよいでしょう。「角度にして15〜30度くらい」という感覚で、まずはわずかに緩めて車体がゆっくりと下がり始めることを確認します。急に大きく回すのは厳禁です。


車体がゆっくりと下がり始めたら、そのスピードを維持するようにバルブの開き加減を調整します。もし速く下がりすぎると感じたら、少し時計回りに締め込んで速度を落としましょう。タイヤが完全に地面に接地するまで、この操作を焦らず続けます。完全着地したら、バルブを完全に緩めてジャッキを引き出してください。



  1. 🔧 ジャッキスタンドを取り外す

  2. 👀 車体下・周囲の安全確認

  3. ✋ ハンドルを両手でしっかり握る

  4. ↩️ リリースバルブを反時計回りに少しずつ緩める

  5. 🚗 タイヤが完全に接地するまでゆっくり下降

  6. 📏 完全着地後、バルブを緩めてジャッキを抜く

  7. 🔩 地面設置状態でホイールナットを対角線順に増し締め


地面着地後の増し締めが最後の重要工程です。ジャッキアップ中に締めたナットは不完全な状態なので、タイヤが接地した状態で改めて対角線順に締め直します。


参考:BAL大橋産業によるフロアジャッキを使ったタイヤ交換ガイド(PDF)
https://www.bal-ohashi.com/balwp02/wp-content/themes/bal/common/pdf/CAR_M_GUIDE.pdf


フロアジャッキの使い方:ジャッキアップポイントの間違いが招く数十万円の損害

「どこにかけても同じだろう」と思っていたとしたら、それは大きな誤解です。


ジャッキアップポイントとは、メーカーが車種ごとに指定した「ジャッキをかけてよい箇所」のことです。この指定箇所はフレームや強固なメンバー部分に設定されており、車体の重さに耐えられるよう補強されています。一般的にサイドシルの前後にある切り欠き部分、またはサスペンションメンバーなどが多いですが、車種によってまったく異なります。


指定外の場所にジャッキをかけると何が起きるのか。答えは車体が凹む・歪む・変形するです。特にフロアパネルやサイドシルの薄い部分にかけてしまうと、1トン以上の荷重がかかるため簡単に変形します。みんカラなどのユーザーコミュニティでも「ジャッキポイントを潰してしまい板金費用が数十万円かかった」という報告が多数あります。最悪、フロアまでぐにゃっといってしまうような損傷の場合は修理費用が数十万円になることもあります。


これはお金だけの問題ではありません。ジャッキポイント以外にかけると接触面が不安定になり、ジャッキが滑って外れる危険性が高まります。ジャッキが外れた瞬間、車体は一気に落下します。その下に体の一部が入っていたらと考えると、ゾッとする話です。


対策はシンプルで、作業前に必ず車の取扱説明書(または自動車メーカーの公式サイト)でジャッキアップポイントを確認することです。確認する、ただそれだけです。また、ジャッキとジャッキポイントの間にはメーカー純正または専用の強化ゴムパッドを使うことで、傷つきや滑りを防止できます。ホームセンターで売っている一般的なゴム板は変形・破断する事例もあるため、代用品としての使用は避けましょう。


参考:ジャッキポイントを間違えた際の損傷とリスクについて(DIYラボ)
https://www.diylabo.jp/column/column-591.html


フロアジャッキが下がらない・下げられないときの原因と対処法

いざ下げようとしたらジャッキが動かない、というトラブルは珍しくありません。原因と対処法を整理します。


まず多いのが、リリースバルブが固くて回らないケースです。力を入れすぎてバルブを締め込みすぎたときに起きます。焦って無理やりハンドルを回そうとすると、バルブ本体や内部のOリングを破損させる恐れがあります。この場合の対処法は、一度「締める方向(時計回り)」にほんの少し力を加えてから、再び緩める方向(反時計回り)に回すことです。固着が取れて動き出すことがほとんどです。それでも動かない場合は、潤滑スプレーを少量吹き付けて数分置いてから再試行してみましょう。


次に、リリースバルブを緩めてもピストンが下がらないケースがあります。これはシリンダーロッド表面の汚れ・錆・グリス切れが原因であることが多いです。パーツクリーナーで汚れを拭き取り、シリコングリスやリチウムグリスを薄く塗布してから何度か上下させると改善することがあります。意外ですね。


エア噛みが原因の場合は少し厄介です。フロアジャッキを横倒しにして保管したり、輸送中に倒れたりすると、内部のオイルに空気が混入します。これがエア噛みで、ハンドルの手応えがスカスカになったり、途中までしか上がらなかったりします。エア抜きの手順はメーカーによって若干異なりますが、基本的には「リリースバルブを全開にしてエアベントバルブ(オイル注入口のゴム栓)を開け、ハンドルを10〜20回ストロークいっぱいに上下させる」という流れです。エア抜き後はオイル量も確認しましょう。


このときに注意したいのがオイルの種類です。不足していても、エンジンオイルや他の種類のオイルを補充するのは絶対にNGです。内部のパッキンが劣化・溶解して取り返しのつかない故障につながります。必ず「油圧ジャッキ専用オイル」を使用してください。





























症状 主な原因 対処法
リリースバルブが固くて回らない 締め込みすぎによる固着 一度締め方向に軽く力を入れ、再度緩める
バルブを緩めてもピストンが動かない ロッドの汚れ・錆・グリス切れ 清掃+シリコングリス塗布
ドスンと急に落ちる エア噛み・オイル不足 エア抜き作業・専用オイル補充
自然にゆっくり下がってくる Oリング劣化・バルブ固着 Oリング交換・専門業者に点検依頼


「自然にゆっくり下がってくる」症状は特に危険です。作業中に気づかないまま車体が沈んでくるため、使用を直ちに中止しましょう。


参考:ジャッキが下がらない・上がらない場合のトラブル対処法(DIYプロ工具ナビ)
https://diyprotool.com/jack-sagaranai/


フロアジャッキのメンテナンスと正しい保管方法:知らないと寿命が半分以下になる

フロアジャッキは「使わないときも劣化する」という事実を知っている人は少ないです。


BAL大橋産業の公式マニュアルには、「ジャッキを使用しなくても長期の保管や保管環境により、オイルシールなどのゴム部品が劣化します」と明記されています。つまり、年に2〜3回しか使わないDIY用途でも、保管状態が悪ければゴムパーツはどんどん劣化します。劣化したOリングはオイル漏れや自然降下の原因となり、最悪の事態を招きます。


保管で特に注意すべきは「横置き」です。フロアジャッキを横倒しにして保管すると、内部のオイルにエアが混入しやすくなります。縦方向(正立状態)での保管が基本で、やむを得ず横にする場合はエア抜きを行ってから使うことが必須です。これが原因で使用中にジャッキが急降下するケースがあります。


理想的なメンテナンスサイクルは次のとおりです。



  • 🔍 使用前ごと:オイル量の確認・エア抜きの確認・可動部の動作確認

  • 🛢️ 2〜3年に1回:ジャッキオイルの交換(専用オイルを使用)

  • 🔩 異常を感じたとき:Oリング交換または専門業者への点検依頼


「何年くらい持つか」については、適切なメンテナンスをしていれば高品質な製品なら10年以上使えるケースもあります。逆に保管環境が悪く、ノーメンテのままだと数年で使用不能になることもあります。


また、フロアジャッキに使うオイルには「粘度規格」があります。一般的な用途には「ISO VG15〜ISO VG46」程度の専用ジャッキオイルが適しています。代表的な製品としてはAZ(エーゼット)のジャッキオイルやモノタロウのジャッキオイルなどがあり、いずれもホームセンターやネット通販で1,000円前後から入手できます。コストパフォーマンスが高い選択肢です。


フロアジャッキを長く安全に使い続けるために、「使う前のひと手間」が最も重要です。使用前に必ずアームを最高位まで上げ下げして動作確認をし、オイル漏れや変な音がないかをチェックする習慣をつけましょう。少しの確認が事故を防ぎます。


参考:油圧ジャッキのメンテナンス・エア抜き方法(農業機械メンテナンスナビ)
https://kikaim.com/jackair.html


参考:フロアジャッキの安全な使い方と注意点(DIYユーザーによる詳細解説)
https://chibawanganwalk.sakura.ne.jp/05Diary/20170131_FloorJack_usingNote.htm




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