

ナットをしっかり締めるほど安全なわけではなく、103N·mを超えて締めると走行中にタイヤが外れやすくなります。
ホイールナットの「トルク」とは、ナットを締め付けるときにかかる回転力のことです。単位はN·m(ニュートンメートル)で表され、数値が大きいほど強い力で締めていることを意味します。
参考)ホイールナットの締め付けトルクを守らないと危険?!トルク管理…
イメージとしては、1N·mは「1メートルのレンチに1kgの力をかけたときの力」に相当します。トヨタ普通車の規定値103N·mは、体重50kgの人が約2mのレンチに全体重をかけるのとほぼ同じ力です。つまり非常に大きな力で締める必要がある、ということですね。
参考)ホイールナットの締め付けトルクは?100〜120N・mが一般…
この数値を「なんとなく力いっぱい」で管理しようとすると、感覚のズレが事故の原因になります。正確な管理が原則です。
参考)「タイヤの脱輪」は大型車だけではない!? スタッドレスタイヤ…
トヨタ車のホイールナットの規定トルク値は、多くの普通車で103N·mに統一されています。 下記がトヨタ主要車種の一覧です。
参考)ホイール締め付けトルク一覧表トヨタの主要車種で異なるナット規…
| 車種 | 規定トルク | ボルトサイズ |
|---|---|---|
| ヤリス | 103N·m | M12×1.5 |
| アクア | 103N·m | M12×1.5 |
| プリウス | 103N·m | M12×1.5 |
| クラウン | 103N·m | M12×1.5 |
| 30系アルファード | 103N·m | M12×1.5 |
| 40系アルファード | 140N·m | M14×1.5 |
| 40系ヴェルファイア | 140N·m | M14×1.5 |
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ここで注意が必要なのが、40系アルファード・ヴェルファイアです。2023年以降に発売された40系モデルは、ボルトサイズがM12からM14に変更され、規定トルクが103N·mから140N·mへと大幅に変更されました。 30系のホイール・ナット類は一切流用不可です。この例外だけは覚えておけばOKです。
参考)「アルファード40系のホイールナットの締め付けトルクは?」
さらに、M14×1.5のボルトを採用するモデルはナットサイズも変わります。30系の時代の社外ホイールやスタッドレスをそのまま40系に使い回そうとすると、重大な不適合が発生するので注意しましょう。
「緩むのが怖いからしっかり締めよう」と思って力いっぱい締め込んでいませんか。これが大きな落とし穴です。
オーバートルクで締め付けると、ハブボルトが微妙に伸びてネジ山が変形し、逆に緩みやすくなってしまいます。 最悪の場合、走行中の振動でボルトが折損し、タイヤが脱落する事故に直結します。実際に国道脇でナットごとねじ切れたハブボルトが拾われた事例も報告されています。webcartop+1
締めすぎはダメ、という認識が必要です。具体的なリスクをまとめると。
参考)DIYで「タイヤ交換」ナットの締めすぎ注意! 最悪ちぎれる!…
対策は、規定トルクを設定できるトルクレンチを使うことの一点に尽きます。感覚的な手締めで103N·mを正確に再現するのはプロでも難しいため、DIYでタイヤ交換をする方にとってトルクレンチは必須の工具です。
参考)タイヤ交換ではホイールナットの締め方が重要!増し締めの重要性…
参考:ホイールナット締めすぎの具体的な危険性について整備士が解説しているページ
DIYで「タイヤ交換」ナットの締めすぎ注意!最悪ちぎれる?(くるまのニュース)
タイヤ交換後すぐは規定トルクで締めていても、走行中に馴染みが出てナットが少し緩むことがあります。これは正常な現象ですが、放置すると脱落につながります。
参考)脱輪事故はなぜ冬に急増するのか|タイヤ脱落の原因と企業が取る…
国土交通省の調査では、冬用タイヤ交換後1カ月以内に車輪脱落事故が集中していることが判明しています。 つまり、タイヤ交換直後の1カ月が最も危険な時期です。
参考)ホイールナットのトルク管理は超重要! 春に急増する脱輪事故を…
対策として実施すべき「増し締め」の手順を確認しましょう。
痛いですね。しかしこの一手間が、脱輪事故を防ぐ最も確実な方法です。
トルクレンチを持っていない場合、Amazonや工具専門店で2,000〜5,000円程度の入門モデルが購入できます。測定範囲が28〜210N·mのもの(例:KTCやANEXのプリセット型)を選べば、トヨタの規定値103N·mをカバーできます。
参考)トルクレンチの測定範囲、選び方について質問です。使用は基本的…
参考:タイヤ交換後の増し締め手順と国土交通省の事故データ
ホイールナットのトルク管理は超重要!春に急増する脱輪事故(webCARTOP)
「同じM12×1.5のサイズだから他メーカーのナットでも使える」と考えている方は要注意です。ナットの座面形状が異なると、同じサイズでも正しく機能しません。
日本車のナットの座面形状は主に2種類あります。
| 形状 | 採用メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| テーパー型(60°) | トヨタ・日産・マツダ等 | 円錐状の接触面 |
| 球面型 | ホンダのみ | 丸みを帯びた接触面 |
トヨタ車にはテーパー型ナットを使用します。もしホンダ車用の球面ナットを誤ってトヨタ車に使った場合、規定トルクで締めても接触面積が足りず、走行中にナットが緩んでタイヤが脱落した事故の実例もあります。
社外ホイールに交換する際も注意が必要です。アルミ社外ホイールは純正の103N·mよりやや低いトルクを推奨するメーカーもあります。 取り付け前にホイールメーカーの指定値を必ず確認するのが条件です。
また、ナット形状だけでなくナットホール径(座面の穴のサイズ)もホイールごとに異なります。40系アルファード・ヴェルファイア対応の社外ホイールでは、ナットホールが狭くロックナットの一部サイズが入らないケースも確認されています。 ホイールと同時にナットも専用品に替える、という行動で対応できます。
参考:ホンダ球面ナット・テーパーナットの違いと危険性の詳細解説
国産普通車タイヤ・ホイールナット締め付けトルク一覧表(くるまライフハック)
実はプロに任せれば安心、とは必ずしも言えません。意外ですね。
参考)『タイヤのナットの締めすぎで異音?タイヤ交換は自...』 レ…
カー用品店やガソリンスタンドでのタイヤ交換では、作業効率のため「インパクトレンチ」で一気に締め付けることがあります。インパクトレンチは回転とたたく力を同時に加えるため、トルク管理が難しく、オーバートルクになりやすい工具です。
締め付けが「バキバキ」という音とともに終わる場合は、オーバートルクのリスクがあります。この問題への対処法は2つです。
「プロだから大丈夫」と思っていた方には厳しいですね。しかし、一言添えるだけで対応してくれる店舗がほとんどです。
なお、整備士がトルクレンチを必ず使う現場では事故率が大幅に下がるというデータもあります。 自分で整備する場合も、プロに依頼する場合も、「規定トルクで締めたか確認する習慣」が最大の安全対策です。これが基本です。
参考:インパクトレンチとトルクレンチの違いについての解説
タイヤ交換では適切なトルク管理が大切!トルクレンチの必要性(イエローハット)

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