

キャリパー塗装の「塗装代だけ見ていると、見積もりを見て後悔する」と専門家が警告しています。
ブレーキキャリパー塗装の費用は、依頼する方法によって驚くほど幅があります。「塗装代」だけに目を向けていると、実際の請求額に驚くことになりかねないので、まず全体像を把握しておくことが重要です。
単純に塗装代だけで計算すると、1個あたり8,000〜12,000円程度が目安です。しかし、自分の車に付いているキャリパーを塗装するためには、まずブレーキを分解し、オイルを抜き、完全に乾燥させてから塗装工程に入る必要があります。さらに塗装後は組み直して、ブレーキフルードを入れてエア抜きも必要です。この分解・整備・取り付けの工賃がそのまま上乗せされるため、1台分(4ヶ所)では10万円前後が現実的な目安になります。
つまり、費用は「塗装代+分解整備工賃」の合計で判断するのが原則です。
下の表に、3つの施工方法ごとの費用目安をまとめました。
| 施工方法 | 費用目安(普通車・4輪) | 仕上がり |
|---|---|---|
| 🔩 キャリパー脱着あり・本格塗装(プロ) | 10万円〜15万円超 | ◎ 最高品質 |
| 🖌️ 脱着なし・マスキング塗装(プロ) | 約5万円前後 | ○ 表面はキレイ |
| ✋ ハケ塗りDIY(市販耐熱塗料) | 4,000円〜1万円 | △ 仕上がりにムラあり |
軽自動車の場合、リアはドラムブレーキのためキャリパーはフロントのみです。そのため費用は普通車の約半分が目安となり、本格塗装でも5〜6万円程度に収まることが多いです。前後をカラーで統一したい場合は、リアのドラムカバーも塗装するプランを組み合わせると、トータルで6万円前後が目安になります。
オートバックスやイエローハットなどの量販店では、キャリパー脱着を伴う本格的な施工には対応していないことがほとんどです。対応する場合もハケ塗りが中心で、工賃は2万円前後になるケースが多く、割高に感じることもあります。本格塗装を希望する場合は、鈑金・塗装専門店やカスタムショップへの依頼が確実です。
これが費用の基本です。
参考:塗装代の内訳について詳しく解説した専門情報はこちら。
ブレーキキャリパー塗装料金はいくら? 分解整備にかかる費用も…|DIYラボ
キャリパー塗装を検討する前に、メリットとデメリットを正確に理解しておくことで、施工後の後悔を防ぐことができます。
まず、代表的なメリットを確認しましょう。
- 🎨 見た目の向上:ホイールの隙間から赤・ゴールド・青などのキャリパーがチラリと見える足元の演出は、足回りドレスアップの定番です。
- 🛡️ 防錆・汚れ防止効果:塗装でキャリパー表面がコーティングされ、雨や汚れへの耐性が高まります。ブレーキダストも落としやすくなります。
- 🔄 防錆で部品が長持ち:錆の進行を抑えることで、キャリパー自体の寿命を延ばす効果が期待できます。
一方で、見落とされやすいデメリットも複数あります。
- ⚠️ 塗装箇所を誤るとブレーキ制動力が低下する:ディスクローターやブレーキパッドに塗料が付着すると、摩擦が妨げられて制動力が落ちます。これは安全上の重大なリスクです。
- 🔩 ボルト・スライドピンへの塗料付着リスク:スライドピンやブリーダープラグに塗料が回り込むと固着し、次のメンテナンス時に外れなくなるケースがあります。
- 🪣 DIYの場合はホイール着脱時に剥がれやすい:ハケ塗り仕上げは塗膜が薄いため、ホイールを外す際に少しぶつけただけで塗装が剥がれることがあります。
デメリットに注意すれば問題ありません。
特に初めてDIYに挑戦する場合は、「塗ってはいけない箇所」の養生(マスキング)を丁寧に行うことが最大のポイントになります。塗装NGな箇所はディスクローター、ブレーキパッド、ブリーダープラグ、スライドピンの4つです。これだけ覚えておけばOKです。
DIYでキャリパー塗装を行う最大のメリットは、材料費だけで済むことです。市販の耐熱塗料を使えば、1台分の材料費は4,000〜8,000円程度に収まります。これはプロ依頼の10万円超と比べると、10分の1以下のコストで挑戦できるということです。
ただし、ブレーキキャリパーは走行中に高温にさらされる部品であるため、塗料の選択を間違えると塗装がすぐに剥がれたり、最悪の場合ブレーキ機能に影響が出る可能性があります。必ず「キャリパー専用の耐熱塗料」を選ぶことが前提条件です。街乗りでのキャリパー表面温度は最大150℃程度とされているため、耐熱温度が250℃以上の塗料を選ぶことが推奨されます。これが条件です。
DIYの基本的な手順は以下の通りです。
仕上がりにこだわりたい場合は、一度薄く塗装して1週間ほど普通に走行した後、再度ホイールを外して重ね塗りする方法がおすすめです。ブレーキ熱による自然硬化が進み、塗膜が厚くなって光沢も増します。少々手間はかかりますが、これは使えそうです。
脱脂の際にはスプレー式のブレーキクリーナー(パーツクリーナー)が最も効果的です。ブラシでこすりながらスプレーすると細かい汚れも取り除けます。ただし、ボディの塗装面に付着しないよう注意が必要です。
参考:車検に通るための正しいキャリパー塗装方法の解説はこちら。
ブレーキキャリパー塗装は車検に通る?正しい塗装方法を解説|塗装屋ブログ
「キャリパーを塗装すると車検に通らないのでは?」と心配している方は多いですが、結論から言えば、適切な塗装であれば色に関係なく車検は通ります。何色に塗っても問題ありません。
車検でブレーキキャリパーについて確認される項目は主に3つです。「キャリパーに損傷がないか」「キャリパーの機能が良好か」「制動力が基準値を満たしているか」という点です。塗装の色については一切規定がありません。
ただし、注意が必要な例外があります。塗装の際にブレーキパッドやディスクローターの接触面に塗料が付着してしまうと、摩擦が妨げられて制動力が低下します。この場合、制動力の基準値を満たせず車検NGになることがあります。
車検当日に再検査が必要になった場合、当日の再検査は2回まで無料ですが、それでも基準値に達しない場合は後日改めて手数料を払って再検査を受けることになります。時間も費用も余計にかかるということですね。
もし塗装済みで車検前に不安な場合は、ホイールを外してパッドとローターの接触面に塗料が付いていないか確認してください。付着している場合は耐水ペーパー(400〜600番程度)やワイヤーブラシで削り落とし、パーツクリーナーで洗浄すれば制動力は回復します。
車検対応については、これが原則です。
参考:ブレーキキャリパー塗装と車検の関係についての詳細はこちら。
ブレーキキャリパーの塗装やカバーの取付で車検に通すことはできるのか|Goo-net
塗装の色選びはビジュアルの完成度を左右する大事なポイントです。人気色は赤・黒・青・シルバー・ゴールド・オレンジ・イエローの7色が代表的で、この中から選べば全体的なバランスを取りやすいです。
ただし、実際に塗装した経験から見ると、おすすめの色と避けた方が無難な色があります。
| カラー | おすすめ度 | 理由 |
|---|---|---|
| 🥇 ゴールド | ◎ | 汚れが目立ちにくく、どんな車色にも合う。ブレンボ純正でも採用。 |
| 🥈 オレンジ | ◎ | レクサスが純正採用するほど人気。スポーティな印象を与える。 |
| 🥉 ガンメタ | ○ | シルバーより深みがあり落ち着いた高級感。汚れも目立ちにくい。 |
| 🔴 赤 | ○ | 定番人気色。スポーツカーとの相性が特に良い。 |
| ⬜ 白 | △ | ブレーキダストで茶色く汚れやすく、落ちにくい。こまめな洗車が必須。 |
| ⬛ 黒 | △ | 汚れが目立ちにくそうに見えるが、雨後のくすみが気になりやすい。 |
白色は見た目がクリーンで人気ですが、ブレーキダストがこびり付くと茶色く変色し、完全に取り除けなくなることがあります。これはキャリパー塗料の硬化前に汚れが付着することが主な原因です。耐熱塗料の硬化時間は約24時間とされており、走行によるブレーキ熱での完全硬化も必要なため、塗装後すぐに汚れた環境で走るのは避けたほうが安全です。厳しいところですね。
色の組み合わせでは「黒ボディ×ゴールドキャリパー」や「白ボディ×赤キャリパー」がSNSでも人気の定番です。愛車の色に合わせてコントラストを意識した選択が、全体のまとまりを生みます。
また、独自の視点として紹介しておきたいのが「ボディ同色塗装」という選択肢です。キャリパーをボディと同じ色に塗ることで、足元まで統一感のある仕上がりになります。ただし調色が必要なため、DIYでの再現はほぼ不可能に近く、専門店への依頼が前提になります。費用は脱着なしでのガン吹き塗装で1箇所あたり約12,000円、4輪で約48,000円程度が目安です。
プロ品質の仕上がりを諦めずに費用を抑えたいなら、「パーツ持ち込み塗装」という方法が有効です。これは意外と知られていないコスト削減の手段ですが、費用の差は大きく、賢く使うことで品質と予算のバランスが取れます。
たとえば、中古で入手したキャリパーやスポーツキャリパーを取り付ける際、先にキャリパー単体を塗装専門店に郵送・持ち込みして塗装だけしてもらい、取り付けは別の整備工場に依頼する方法です。純粋な塗装代は1個8,000〜12,000円程度で済み、分解整備を別途計上できるため、予算に応じた使い分けが可能になります。
また、オーバーホール(OH)のついでに塗装する方法も費用対効果が高いです。ブレーキキャリパーのOH推奨頻度は走行10万kmに1回、または4〜5年に1回が目安とされています。どうせバラバラに分解するならそのタイミングで塗装してしまえば、脱着工賃の二重払いを防げます。結論はタイミングの一致が鍵です。
専門店への依頼でさらに費用を抑えたい場合は、「分解なし・マスキング仕上げ」のプランを相談してみる方法もあります。純正車に付いたまま車体側を全てマスキングしてガンで吹く方法で、普通車4輪で約5万円前後まで費用を抑えられます。仕上がりはフル脱着に比べると下がりますが、「表面だけキレイにしたい」という目的なら十分な仕上がりが得られます。
費用を抑えるためのポイントをまとめると、次の通りです。
- 💡 複数の専門店に見積もりを取り相見積もりをする
- 💡 オーバーホールや車検のタイミングと合わせて依頼する
- 💡 パーツ単体での持ち込み塗装を活用する
- 💡 フロント2輪のみから試してみる(普通車なら2.5〜3万円前後)
- 💡 DIYのハケ塗りを試してから本格依頼を検討する
参考:費用を安くするための具体的な交渉術と持ち込み塗装の方法はこちら。
ブレーキキャリパー塗装の費用を、もっと安くする方法はないの?|DIYラボ