

食器用洗剤でホイールを洗うと、タイヤがひび割れて走行中にバーストする危険があります。
ブレーキダストとは、ブレーキを踏んだときにブレーキパッドとディスクローターが摩擦することで発生する、細かな金属粉の汚れです。車を停止させるたびに少しずつ発生し、ホイール内側の高温部に触れて焼き付くように固着します。これが「ただの汚れ」と異なる点です。
通常のカーシャンプーでは、この鉄粉汚れはほとんど落ちません。カーシャンプーは主に砂ぼこりや花粉などの「外部由来の汚れ」を浮かせて洗い流すために設計されており、ホイール内側に突き刺さるように固着した鉄粉には化学的に対応できないからです。つまり、ブレーキダストを落とすには、専用の洗剤が必要ということです。
ブレーキダストが特に多いのは、BMWやメルセデス・ベンツ、アウディといったドイツ車をはじめとする欧州車です。欧州の高速道路では制限速度が120〜130km/hに設定されているため、強い制動力を発揮できるブレーキパッドが採用されています。その分、パッドの摩耗が激しく、大量のブレーキダストが発生します。
一方、国産車は日本の道路環境(最高速度100km/h前後)に合わせた設計のため、ブレーキパッドの硬度が高めに設定されており、ダストの発生量が抑えられています。国産車にもダストは出ますが、欧州車と比べると圧倒的に少ないのが現実です。
大切な点はここです。ブレーキダストは放置すればするほど落としにくくなります。鉄粉が酸化してホイールの塗装面に「錆」として侵食し始め、最終的には専門業者でも除去できないレベルまで固着します。ホイール1本あたりの再塗装費用は8,000円〜20,000円が相場であり、4本で最大8万円の出費になることもあります。早めに専用洗剤で落とすのが原則です。
| 汚れの種類 | 主な成分 | 通常の洗剤で落ちるか |
|---|---|---|
| ブレーキダスト(鉄粉) | 鉄・カーボン・樹脂 | ❌ ほぼ落ちない |
| 砂ぼこり・花粉 | 無機物・有機物 | ✅ カーシャンプーでOK |
| 油汚れ・排気ガス | 油分・カーボン | △ 中性洗剤で一部対応可 |
参考:ブレーキダストの発生原因と国産車・輸入車の違いについて詳しく解説されています。
ブレーキダストはなぜ発生する?原因を知って愛車をきれいにしよう! | クランツ株式会社
ブレーキダスト専用の洗剤には、大きく分けて「液性」と「成分」の2つで判断する必要があります。ホイールの素材と汚れの程度に合わせて選ぶことが、失敗しないポイントです。
まず押さえておくべきは「チオグリコール酸アンモニウム」という成分です。これが配合された鉄粉除去剤は、鉄粉の酸化を化学的に還元し、塗装面から浮き上がらせて除去します。スプレーすると汚れが紫色に変化するのが特徴で、目で見て効果を確認できます。これが基本です。チオグリコール酸アンモニウム配合の製品としては、ソフト99の「アイアンターミネーター」やカーメイトの「パープルマジック」などが代表的で、ドラッグストアやカー用品店でも手に入ります。
次に液性の話をします。ホイール洗剤の液性は「酸性」「中性」「アルカリ性」の3種類があり、それぞれに特徴があります。
アルミホイールを使っている方は、中性〜弱アルカリ性の専用クリーナーが条件です。スチール製のホイールであれば比較的幅広い洗剤に対応できますが、それでも専用品を選ぶのが安心です。
よく「マジックリンで代用できる」という情報を見かけますが、これは注意が必要です。マジックリンはアルカリ性であり、アルミホイールに繰り返し使用すると変色や塗装の剥がれが起きるケースが報告されています。あくまで緊急時の一時対応にとどめ、普段使いは避けるべきです。
参考:ホイール素材ごとの洗剤選びと、食器用洗剤・マジックリンのリスクについて詳しく解説されています。
ホイールの洗い方を完全ガイド!適切な手順と注意点を徹底解説 | モビフル
正しい手順で使うことで、専用洗剤の効果を最大限に引き出せます。手順を間違えると、洗剤が乾いてシミになったり、ホイールを傷つけたりする原因になるため注意しましょう。
まず最初に確認することがあります。走行直後のホイールは非常に高温になっているため、すぐに洗うのは厳禁です。熱いホイールに洗剤をスプレーすると、液剤が瞬時に蒸発してムラやシミの原因になります。少なくとも30分〜1時間程度、ホイールが完全に冷めてから作業を始めるのが鉄則です。
特に重要なのが「すすぎ」です。酸性のクリーナーを使った場合、液剤が残ると塗装を痛め続けます。「もういいかな」と思ってからもう1回すすぐくらいの気持ちで行うのが安全です。
固着が非常に強い場合は、99工房の「ホイール鉄粉溶解クリーナー」のような酸性タイプを使うことも選択肢の一つです。ただし、この場合の使用回数は3回までを限度にし、使用後は水で十分に洗い流すことが必須になります。酸性クリーナーの繰り返し使用はホイールの白化や変色につながる恐れがあるため、頑固な汚れ専用の切り札として使ってください。
参考:ソフト99のブレーキダスト専用クリーナーを使った実際の施工レポートと注意点が詳しく紹介されています。
あきらめていた頑固なブレーキダストの完全攻略はコレ! | ソフト99コーポレーション
洗剤でブレーキダストを落とした後、何もしなければ翌週にはまた同じ状態に戻ります。それを防ぐのがホイールコーティングです。意外ですね。
ホイールコーティングは、ホイール表面にガラス系またはポリマー系の被膜を形成し、ブレーキダストや鉄粉が直接塗装面に触れるのを防ぎます。コーティングされたホイールは表面が滑らかになるため、汚れが固着しにくくなり、水洗いだけでブレーキダストをある程度流し落とせるようになります。これは使えそうです。
DIY施工の場合、市販のホイールコーティング剤は1,500〜2,500円程度で購入できます。1回の施工で1年前後は効果が持続するため、コストパフォーマンスは高いと言えます。プロのショップに依頼する場合、4本で1万〜3万円が相場です。1〜2年の耐久性が期待できるため、長い目で見れば洗車の手間と専用洗剤のコストを削減できます。
DIYでのコーティング手順のポイントは以下のとおりです。
輸入車(特にBMWやベンツ、アウディ)に乗っている方は、ホイールコーティングの恩恵が特に大きいです。ダスト量が国産車と比べて圧倒的に多いため、コーティングなしでは2週間に1回の頻度でブレーキダスト除去が必要になることもあります。コーティング後は1ヶ月に1回の水洗いでほぼ問題ないレベルに維持できる場合が多く、手間が大幅に減ります。
参考:ホイールコーティングの料金相場とDIY施工の方法について詳しく紹介されています。
ここでは、他のサイトではほとんど触れられていない視点を紹介します。ブレーキダスト対策として「定期的に専用洗剤で落とす」と「低ダストパッドに交換してそもそもダストを減らす」という2つのアプローチがあります。どちらが合理的かは、乗っている車と使用状況によって異なります。
低ダストブレーキパッドとは、金属成分の配合を抑えてカーボンや樹脂系素材を多く使用したパッドのことです。ディクセル(DIXCEL)の低ダストパッドが有名で、欧州車オーナーから高い支持を得ています。ダスト量を純正比60〜80%削減できる製品もあり、洗車の頻度が格段に減るという声が多く聞かれます。
ただし、低ダストパッドには注意点があります。それが条件です。制動力が純正パッドよりわずかに落ちる場合があること、パッドの交換費用が1〜2万円程度かかること(車種によって異なる)、そして街乗りメインの国産車では費用対効果が低い場合があることです。
整理すると以下のようになります。
洗剤だけで戦い続けるか、根本から発生量を減らすかという選択です。どちらの方向性もあり得ますが、それぞれの費用と手間を比較した上で判断するのが賢明です。
参考:低ダストブレーキパッド(ディクセル)の効果と欧州車での使用実例が詳しく解説されています。
ブレーキダストの悩みを解消する「ディクセル低ダストパッド」の魅力 | 小林自動車
ここでは、実際によく聞かれる疑問をまとめて解説します。これだけ覚えておけばOKです。
Q. カーシャンプーで代用できますか?
基本的にはできません。カーシャンプーはボディの砂汚れや有機系の汚れを落とすために作られており、金属鉄粉の固着には化学的に対応していません。「洗ったけど黒さが落ちない」という状況はまさにこれが原因です。ブレーキダストには専用の洗剤が必要です。
Q. サンポール(トイレ用洗剤)は使えますか?
希釈すれば使えるという情報もありますが、リスクが高いため推奨はできません。サンポールの主成分は希塩酸(塩化水素酸)です。ホイールの塗装やコーティングを溶かしてしまう可能性があり、誤った濃度で使うと数万円の修理費用が発生します。厳しいところですね。緊急時に試す場合は必ず10倍以上に希釈し、短時間(1〜2分以内)で水洗いすることが最低限の条件です。
Q. 洗う頻度はどのくらいが適切ですか?
国産車は1ヶ月に1回程度が目安です。欧州車は2週間に1回を目安に洗うと、固着する前に除去できます。汚れが気になってから洗うより、固着する前にこまめに洗う方が専用洗剤の消費量も少なく済みます。
Q. ホイールが熱い状態でもいいですか?
これはダメです。走行直後のホイールは100℃前後になることもあり、液剤が瞬時に乾いてムラやシミが残ります。必ず冷ましてから作業しましょう。夏場は特に要注意で、日光に当たっているだけで熱くなることがあります。
Q. スプレーした後に紫色に変わらないのですが...
ブレーキダストが少ないか、汚れの種類が油汚れや砂汚れの場合は紫色の反応が出ないことがあります。紫色への変化はチオグリコール酸アンモニウムが「酸化した鉄」と反応した証拠であり、変色しないならブレーキダスト以外の汚れが主体と考えられます。その場合は中性カーシャンプーや脱脂クリーナーが適しています。
| 洗剤の種類 | ブレーキダストへの効果 | ホイールへのリスク | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 鉄粉除去剤(チオグリコール酸アンモニウム配合) | ⭐⭐⭐⭐⭐ 非常に高い | 低(正しく使えば) | 🥇 最推奨 |
| ホイール専用クリーナー(中性〜弱アルカリ性) | ⭐⭐⭐⭐ 高い | 低 | 🥈 推奨 |
| カーシャンプー(中性) | ⭐ ほぼ効果なし | 低 | ❌ 不向き |
| 食器用洗剤(中性) | ⭐⭐ 油分のみ | 中(希釈必須) | △ 緊急時のみ |
| マジックリン(アルカリ性) | ⭐⭐ 油分のみ | 高(アルミNG) | ❌ 推奨しない |
| サンポール(酸性) | ⭐⭐⭐ 中程度 | 非常に高い | ❌ 非推奨 |
ブレーキダストに正しく対処することは、ホイールの美観を保つだけでなく、数万円単位の修理費用を避けることにもつながります。月に数百円の専用洗剤を使い続けることが、長期的に見て最も合理的な選択です。

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