

ドアを開けたとき、左側のスライドドアが約50kg重くて、タイヤが偏摩耗しやすいです。
センターピラーとは、車体の側面のほぼ中央に位置する柱(Bピラー)のことです。これはただのデザイン上の構造ではなく、屋根を支え、走行中のボディのねじれを防ぐ、車体剛性のかなめとなる部材です。センターピラーレスとは、この柱を省いてスライドドアの内側に内蔵する構造で、ダイハツ・タントが「ミラクルオープンドア」として採用し、開口幅1,490mmという圧倒的な広さを実現しています。
便利な反面、物理的に柱が1本ない状態であることは変わりません。これが重大なデメリットの出発点です。
ボディ剛性が低下するとはどういうことでしょうか? 走行中は路面の凹凸や段差を乗り越えるたびに、車体には「ねじれ」や「曲げ」の力が常にかかっています。剛性が高い車ほどこのねじれに耐えてしっかりした走りができますが、センターピラーがない側の車体は、通常の車と比べてどうしても剛性面で不利になります。つまり剛性が基本です。
メーカーも当然対策を施しています。タントの場合、通常の鋼板の約5倍の強度を持つハイテン材(超高張力鋼板)をスライドドア内部に組み込み、さらにルーフやフロアにも補強を追加することで、ピラーのある運転席側と同等レベルの衝突安全性を確保しています。現行型(LA650S)では新プラットフォーム「DNGA」の採用により、旧型に比べて剛性は大幅に改善されました。
それでも、長年乗り続けた場合には話が変わってきます。スライドドア周辺の開口部が大きい分、経年劣化とともにドア周りの建付けが甘くなり、走行中に「ミチミチ」「ピシピシ」というキシミ音が発生しやすいと、旧型(LA600S型・2013〜2019年)のオーナーから多く報告されています。
WebCar Top:センターピラー内蔵型スライドドアが少ない背景と剛性対策について(詳しく解説)
特に旧型のLA600S型では、荒れた路面や冬の低温時にキシミ音が顕著になるケースが多く報告されました。剛性が低い(=歪みやすい)ボディは、走行中のわずかなねじれで内装の樹脂パーツ同士が擦れ合う原因になるからです。つまり、不快な異音はピラーレス構造の構造的な代償として表れた症状とも言えます。これは意外ですね。
現行型では改善されているものの、センターピラーレスの宿命として「ボディ剛性の確保が難しい」という基本的なデメリットは完全には払拭されていません。乗り心地の観点でも、旧型は横揺れ(ロール)が非常に大きく不安定で、自動車評論家から「ハンドルを切ると日本一の早さで車体が傾く」とまで酷評されていました。つまり剛性と乗り心地は密接な関係にあります。
センターピラーレスのデメリットとして見落とされがちなのが、左右の重量アンバランスです。これが条件です。
センターピラーを省いた代わりに、助手席側のスライドドア内部には鉄骨製の強力な補強材が内蔵されています。カーオーナーの間では「200kgに相当する強度の鉄骨が入っている」と言われるほどです。つまり、助手席側のドアだけが運転席側よりも大幅に重くなるということです。
この左右の重量差が、走行性能にどう影響するかを考えてみましょう。通常、サスペンションは左右対称の重量を前提に設計されます。ところがセンターピラーレス車は左右で重さが異なるため、まっすぐ走らせながら快適に曲がらせるためのサスペンションセッティングが非常に難しくなります。
ダイハツはこの問題に対して、左右で異なるダンパーを採用するなどの工夫を施しており、高速道路での直進安定性に関しては「ほとんど問題ない」とのことです。対策は十分に施されています。
しかし、懸念されるのはタイヤの偏摩耗です。左右の荷重差が継続的にかかることで、タイヤの摩耗パターンが均等にならない可能性があります。偏摩耗が進めば操縦安定性が落ち、タイヤの寿命も短くなります。タイヤの早期交換という余計な出費につながるリスクです。タイヤ4本の交換費用は軽自動車でも2〜4万円ほどかかるため、これは痛いですね。
また、旧型タントのカスタムターボなどに採用されていた165/55R15の15インチタイヤは、この左右アンバランスなボディとの相性が特に悪いとされています。インチアップによりタイヤの側面(クッション部分)が薄くなるため、路面からのゴツゴツ感が強まる一方、高速走行時にはハイドロプレーニング現象(タイヤと路面の間に水膜が入り込んでハンドルとブレーキが効かなくなる現象)が起きやすくなります。これは非常に危険な状態です。
走行性能が気になるなら、定期的なホイールアライメントの点検を実施することが大切です。左右の荷重差がある車ほど、アライメントのズレが起きやすいため、年1回を目安に専門店でチェックしてもらうと安心です。アライメント調整の費用は1万〜2万円程度が相場です。
センターピラーレスの大開口部は最大のセールスポイントですが、実は使い方を誤ると、あなたが思わぬトラブルを招く可能性があります。
タントの助手席側を全開にした場合、開口幅は1,490mmに達します。これは一般的な軽自動車のスライドドアの開口幅(600〜650mm)の約2倍以上の広さです。縦に並べてみると、A4用紙の横幅(210mm)の約7枚分に相当します。この広さは確かに魅力ですが、同時に注意が必要なのが駐車場での扱いです。
AutoLifeNavi:タントのミラクルオープンドアの特有の弱点と注意点
センターピラーレスのタントでは、助手席側のシートベルトがピラーではなく、シート自体に内蔵されています。そのため、普通の車のようにシートベルトのバックルが肩口の高い位置になく、装着感や安全性の面で一部異なる体感があります。これは知らないと得する情報です。乗車前にシートベルトの位置を必ず確認する習慣をつけておきましょう。
さらに、MX-30(マツダ)が採用する観音開き式のセンターピラーレス「フリースタイルドア」には、もっと深刻な制約があります。後席のドアは前席のドアを開いた状態でないと開閉できないため、事故などで衝突したときに後席の乗員が脱出しにくくなるリスクがあると指摘されています。これはダメです。脱出性という観点では大きなデメリットです。
スライドドア式のセンターピラーレス(タント・N-VAN)では前後のドアが独立して開閉できるため、この問題はありません。ただしN-VANは商用軽バンであり、乗用ワゴンとして使うには荷室の居住性が限られます。センターピラーレスの乗用車選びの選択肢は現状非常に狭く、実質的にはタントほぼ1択に近い状況です。これが現実です。
センターピラーレス構造のデメリットは、万が一の事故やドアのトラブルが起きたときに、修理費用で大きな差が出ることにもあります。
センターピラーレス車のスライドドアは、内部に強力な補強材を内蔵しているため、通常のドアよりも部品点数が多く、構造が複雑です。板金修理では済まないケースも出てきます。実際、タントのドア交換を含む板金塗装の修理費用は、実績として33万円超の事例が報告されています。一方、通常の軽自動車のドアの修理費用は2〜8万円程度であることを考えると、その差は明白です。
ネクステージ:車のフレーム修理と買い替えの費用相場と判断基準
さらに、センターピラーレス車のボディは左右非対称の構造です。ダイハツの開発者によれば、「2台のクルマを開発するのと同等の作業が必要」とのことで、メーカーにとっての開発コストが高い分、専門知識が必要な修理は費用が高くなる傾向があります。修理費用は有料です。
中古車として購入する際にも注意が必要です。センターピラーレス車のスライドドア周辺は、ドアの建付けのズレ(チリ)が生じやすいため、経年劣化による建付け不良がある個体では雨水の浸入やキシミ音の原因になります。中古車選びの際は、助手席側のスライドドアの開閉スムーズさと建付けのチリ(隙間)を重点的に確認することが重要です。
一方で、タントのリセールバリューは軽自動車の中では比較的安定しています。ユーカーパックのデータによれば、タントの残価率は62.76%で、軽自動車の中でも高水準を維持しています。タントカスタムRSは2026年最新のリセールバリューランキングでも上位に入るほど人気の車種です。唯一無二の使い勝手が価値を支えているのです。いいことですね。
ただし、修理歴がある個体は査定額が大幅に下がるリスクがあります。センターピラーレス部分の損傷は修理コストが高いため、修理費用が買い替え費用を上回るケースも珍しくありません。センターピラーレス車で事故を起こした場合は、修理か買い替えかを慎重に判断することが重要です。
センターピラーレスのデメリットとして、あまり語られないが重要な視点がひとつあります。それは「現在ほとんど選択肢がない」という現実です。
かつてセンターピラーレス構造は、1960〜80年代のハードトップブームに乗って多くの車種に採用されていました。トヨタ・コロナ(1965年の3代目)が日本初のピラーレスハードトップを採用し、その後、日産セドリック&グロリア、トヨタ・ソアラなど多くの人気車に広がりました。ミニバンではトヨタ・アイシス、日産・プレーリーなども採用していたことがあります。
しかし現在、新車で購入できるセンターピラーレス乗用車はほぼ「ダイハツ・タント」1車種のみ(商用軽バンのホンダ・N-VANを除く)という状況です。マツダMX-30の「フリースタイルドア」も広義のセンターピラーレスに含まれますが、前述のとおり使い勝手に制約があります。
WebCar Top:センターピラーレスのクルマが激減した理由(歴史と現状)
なぜ採用車種が激減したのでしょうか? 理由は明確です。開発・製造コストが非常に高いこと、ボディ剛性の確保が難しいこと、そして側面衝突安全基準の強化により、ピラーレス構造の設計難易度が年々高まっていることです。ダイハツはタントで長年培ったノウハウがあるからこそ成立していますが、他メーカーが追随するのは容易ではないのです。
これがあなたにとってどんなデメリットを生むかというと、もしセンターピラーレスに魅力を感じてタントを購入した場合、将来的に「乗り換え」を検討したとき、同じ使い勝手を持つ代替車種がほぼ存在しないという問題が生じます。つまり、タントを一度手放すと、同等の利便性に戻れなくなるリスクがあります。
また、採用車種が少ないことは、整備・修理の専門知識を持つ工場も限られることを意味します。ドアの建付け調整や補強材の修理には、センターピラーレス構造を熟知した技術者が必要です。一般の板金工場では対応できないケースもあり、ディーラー修理一択になると費用が割高になりがちです。これが条件です。
センターピラーレス車を長く安心して乗り続けるには、ダイハツディーラーとの付き合いを継続し、定期点検でドア周りの建付けや補強材の状態を専門家にチェックしてもらうことが何より重要です。年1〜2回の点検で異常を早期発見することが、長期的な維持コストを抑える最善の手段です。これだけ覚えておけばOKです。

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