

クーリングファンが壊れても、高速道路では気づかずに走れてしまいます。
クーリングファンとは、ラジエーターに強制的に風を送り込み、エンジンの熱を逃がすための部品です。ラジエーターは、エンジン内部を循環して熱くなった冷却水を外気で冷やす装置ですが、車が動いているだけでは常に十分な風が当たるとは限りません。
特に重要なのが「停車中」と「渋滞時」です。車が走行していれば、フロントグリルから自然に走行風が入ってきてラジエーターを冷やせます。しかし、信号待ちや渋滞でほぼ停止している状態では、その走行風が期待できません。そこで自動的に作動するのがクーリングファンです。
つまり、動いているときより止まっているときに仕事をするパーツです。
少し意外に思えますが、高速道路を快適に走行している最中はクーリングファンはほとんど動いていません。走行風だけで十分にラジエーターが冷えるからです。この事実が、後述するように「故障に気づきにくい」状況を生み出す原因にもなっています。
エンジンを冷やす仕組みを整理すると、以下の流れになります。
現在の多くの乗用車では「電動式クーリングファン」が採用されています。水温センサーの情報をコンピューターが読み取り、必要なタイミングで自動的に回転します。かつての「機械式」はエンジン回転と連動して常に回っていましたが、電動式は必要な時だけ動くため燃費効率も高くなりました。
電動式は制御が精密な分、故障リスクもあります。ただし一般的には丈夫なパーツで、適切なメンテナンスをすれば10年以上問題なく使えるケースもあります。
エンジン冷却系の情報については、以下の日本自動車連盟(JAF)による解説が参考になります。
冷却用電動ファンの故障が原因でオーバーヒートが起きるケースについて、JAFが詳しく解説しています。
クーリングファンが故障したとき、真っ先に現れやすい症状のひとつが「エアコンの冷えが悪くなる」ことです。エンジン冷却とは直接関係ないように思えますが、実はクーリングファンはエアコンシステムとも密接につながっています。
エアコンはコンプレッサーで圧縮したエアコンガス(冷媒)をコンデンサーで冷やし、液化することで車内に冷気を作り出します。このコンデンサーもラジエーターのすぐ近くに設置されており、クーリングファンの風で冷却されています。
これが条件です。
つまり、クーリングファンが回らなくなると、ラジエーターだけでなくエアコンのコンデンサーも冷やせなくなります。結果として「渋滞に入るとエアコンがぬるくなる」「停車中だけエアコンの効きが落ちる」という症状が出るわけです。
夏の渋滞でエアコンが急に効かなくなったら、エアコンガスの補充より先にクーリングファンの確認が必要かもしれません。これは整備工場でも見逃されやすいポイントです。
もうひとつ重要なのが「水温計の動き」です。
このパターンが繰り返される場合は、クーリングファンの不具合を強く疑ってください。高速道路から一般道に降りて渋滞に巻き込まれた途端に水温が上昇するのは、電動クーリングファンが機能していない典型的な症状です(JAFも同様のケースを注意喚起しています)。
水温計の動きが意外ですね。ぜひ毎回チェックする習慣をつけましょう。
整備士向けの技術情報として、以下のページでラジエータファンが回らない場合の原因と対処が詳しくまとめられています。
ラジエータファンが回らない原因・対処法・交換費用について専門家が解説しています。
山武自動車工業|ラジエータファンが回らない!原因・対処法・交換費用
クーリングファンの故障はある程度進行するまで気づきにくく、それが大きな落とし穴です。故障しても高速走行中は走行風で補えてしまうため、「問題ないかも」と誤解しやすいのです。
故障の初期段階で現れる主なサインを押さえておきましょう。
ここで注意点があります。エンジンを切った後に数分間クーリングファンが回り続けるのは、多くの電動式ファンでは「正常な動作」です。日産GT-Rなどスポーツカーでは約2分間の動作が正常とアナウンスされています。問題は「30分以上止まらない」「エンジンが完全に冷えているのに回り続ける」などの異常な長時間稼働です。
判断が難しいところですね。
オーバーヒートの症状段階も覚えておくと役立ちます。初期段階ではスピードが出にくくなる、エンジンの回転が不安定になるなどの軽い症状が出ます。中期になるとエンジンルームから水蒸気が出始め、水温計がH(高温)を振り切ります。末期になるとエンジンそのものが焼き付き、エンジン交換が必要になる場合も出てきます。
末期まで放置すると、修理費が100万円を超えることもあります。早期発見が原則です。
クーリングファン(ファンモーター)が故障した場合、修理・交換を避けることはできません。費用の目安を把握しておくことで、整備工場での見積もり時に「高すぎないか」を判断できます。
修理費用の目安をまとめると、以下の通りです。
| 車種区分 | ファンモーター代 | 工賃・その他 | 合計目安 |
|---|---|---|---|
| 軽自動車 | 約20,000〜30,000円 | 約10,000円〜 | 約40,000円前後 |
| 普通車 | 約30,000円〜 | 約15,000円〜 | 約50,000〜55,000円 |
| 輸入車・大型車 | 約40,000円〜 | 約20,000円〜 | 約60,000円〜 |
費用を少し抑えたい場合は、リビルド品(再生部品)や中古ファンモーターを活用する方法もあります。状態が良い中古品なら10,000円前後から見つかることもあり、同じ工賃で済むため合計費用を数万円節約できるケースがあります。ただし保証の有無は事前に確認することが大切です。
これは使えそうです。
業者選びも費用に大きく影響します。ディーラーは部品が純正品・保証が充実している反面、工賃が高めです。一方、民間の整備工場では工賃が抑えられる場合が多く、部品持ち込み対応をしてくれる工場もあります。
費用だけで判断せず、「信頼できる整備士に診てもらう」が基本です。
もしクーリングファンの故障が原因でオーバーヒートが起きてしまった場合、冷却用電動ファンの交換だけでなく、ラジエーター本体や冷却水ホースにもダメージが及んでいる可能性があります。その場合の総修理費はさらに大きくなります。
オーバーヒートさせてしまうと、クーリングファン単体の修理では済まないことが多いため、早期対処が結果的に最も費用を抑えます。
クーリングファンは消耗品ですが、日常のちょっとした確認習慣で寿命を延ばし、突然の故障を防ぐことができます。
最も手軽な確認方法は「水温計を見る習慣をつける」ことです。メーターパネル中央付近にある水温計(「C」と「H」の間に針がある)を走行中にときどき確認するだけで、異変に早く気づけます。普段から針の位置を把握しておくと、わずかな変化も見逃しにくくなります。
水温計チェックだけ覚えておけばOKです。
また、エアコンを使う夏場は特にクーリングファンへの負荷が高まります。夏の渋滞はラジエーターとコンデンサーの両方を一度に冷やさなければならないため、ファンモーターが連続して高速回転する場面が増えます。これがモーターの摩耗・劣化を早める主な原因のひとつです。
独自の視点からひとつ提案します。夏の長時間渋滞に入ったとき、エアコンを一時的に「送風モード(A/Cオフ)」に切り替えることで、コンデンサー冷却の負荷を減らし、クーリングファンへの連続負荷を軽減できます。完全にエアコンを止めると車内が一気に暑くなるので、数分おきに切り替えるだけでも効果があります。これはエアコンガスへの負担軽減にもなり、一石二鳥です。
さらに、定期的な冷却水(クーラント)の交換もクーリングファンの寿命に間接的に関わります。劣化した冷却水は熱交換効率が低下し、水温が上がりやすくなります。その結果、クーリングファンが必要以上に長時間・高速で回転し続けることになり、モーターの消耗が早まります。冷却水はLLCタイプで2〜3年ごとの交換が推奨されています。
日々のセルフチェックポイントをまとめると以下の通りです。
もし「渋滞でエアコンが効きにくくなってきた気がする」「水温計の針が少し高い気がする」と感じたなら、早めにディーラーまたは整備工場でクーリングファンの動作確認をしてもらうことをおすすめします。確認作業だけなら数千円程度で済む場合がほとんどです。

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