
クーラントには大きく分けて2種類あり、それぞれ交換時期が異なります。従来の LLC(ロングライフクーラント) は、2~3年ごとの交換が推奨されており、車検のタイミングで交換するのが一般的です。一方、高性能な添加剤を採用した スーパーLLC やウルトラeクーラントは、新車時で7~10年または走行距離16万kmまで交換不要とされています。
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メーカーごとの推奨交換時期を以下の表にまとめました。
メーカー | 初回交換時期 | 2回目以降 |
---|---|---|
トヨタ | 7年または16万km | 8万kmごと |
日産 | 7年または16万km | 4年または8万km |
ホンダ | 11年または20万km | - |
マツダ | 9年または18万km | - |
ただし、元々LLCが入っていた車にスーパーLLCを入れても、交換サイクルは変わらず2~3年となる場合があります。
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クーラントの劣化は、主に色と状態で判断できます。新品のクーラントは透明感のある緑・赤・青・ピンクなどの鮮やかな色をしていますが、劣化が進むと茶色く濁ったり白く変色したりします。特に赤褐色や緑褐色に変色している場合は、劣化が進んでいる可能性が高く、防錆や消泡性能も低下している可能性があります。
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濁りや色の変化は、リザーバータンクを目視確認するだけで簡単にチェックできます。また、クーラントが劣化すると甘酸っぱいような独特の臭いを発することもあります。これはクーラントに含まれるエチレングリコールという主成分が分解されることで発生するものです。
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冬場に車を使用する方は、気温が氷点下になる前にクーラントの濃度や状態をチェックすることが推奨されます。長期間使用すると防錆剤や不凍液の濃度が薄まり、凍結を抑制する性質が弱まってしまうためです。
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クーラントの点検は、エンジンが完全に冷えた状態で行うのが基本です。エンジンルーム内にある半透明の リザーバータンク を確認し、側面の「FULL/LOW」または「MAX/MIN」の目盛りの間に液面があるかチェックします。熱い状態での確認は正確性に欠け、火傷の危険もあります。
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点検のチェックポイントは以下の通りです。
液面が低い場合は適切なクーラントを補充する必要がありますが、頻繁に減る場合は漏れや冷却系統の異常が疑われるため、整備工場での診断が必要です。タンクキャップを開ける際は、高温の蒸気や液体が噴き出す危険があるため、エンジン停止後に数十分待つ必要があります。
クーラント交換をカー用品店やディーラーに依頼した場合、車種によって異なりますが、一般的に3,000~6,000円程度の費用がかかります。ディーラーよりもカー用品店などに依頼する方が作業工賃が安くなる傾向があります。ホームセンターやインターネットで購入したクーラントを持参すれば、さらに安くなることもあります。
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自分で交換する場合は、クーラント液の代金のみで1,000~3,000円程度で済みます。専門業者に依頼した場合でも比較的安価なため、定期的なメンテナンスを行いやすい点が特徴です。
ただし、冷却水漏れが発生している場合は修理費用が高額になります。
修理箇所 | 修理費用(工賃込み) |
---|---|
ラジエーター本体 | 5~10万円 |
ラジエーターホース | 1~3万円 |
ヒーターホース | 1~3万円 |
ウォーターポンプ | 1~3万円 |
全体的な修理や本体の交換が必要になる場合、さらに高額になり、故障箇所が複数見つかった場合は数十万円の費用が必要になることもあります。
クーラントの交換を怠ると、エンジンの冷却性能が低下し、最悪の場合 オーバーヒート を引き起こします。オーバーヒートは冷却水の不足や漏れ、冷却系統の異常でエンジンが過熱して起こるトラブルです。
クーラントが劣化すると、以下のようなリスクが高まります。
オーバーヒートの主な原因は、冷却水の不足、ラジエーターやホースの劣化、ウォーターポンプの故障などです。ウォーターポンプが故障すると、冷却水がにじんだり漏れたりし、エンジン付近から「キーキー」や「ガラガラ」といった異音が発生することもあります。
参考)ウォーターポンプの故障とエンジンオーバーヒートの関係性とは?…
水温計の針が「H(高温)」側に寄っていたり、水温警告灯が赤く点灯した場合は、すぐにエンジンを停止する必要があります。定期的なメンテナンスと点検により、これらのリスクを未然に防ぐことができます。
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