

キュルキュル音を放置したまま走り続けると、1万円の交換が50万円超えのエンジン修理に化けます。
ファンベルトの交換費用は「部品代(ベルト代)」と「工賃」の合計で決まります。車種や整備箇所の複雑さによって幅はありますが、目安として以下の表を参考にしてください。
| 車種 | 部品代の目安 | 工賃の目安 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 軽自動車 | 約3,000円 | 約5,000円 | 約8,000〜10,000円 |
| 普通自動車 | 約4,000〜5,000円 | 約5,000〜8,000円 | 約1万〜2万円 |
| 大型自動車 | 約6,000〜8,000円 | 約6,000円〜 | 約1.2万〜2万円 |
部品代そのものはそれほど高くなく、軽自動車なら3,000円前後、普通車でも5,000円前後が部品代の相場です。コストの大部分を占めるのは「工賃」で、エンジンルームの構造が複雑な車種ほど高くなる傾向があります。
注意したいのは、ベルトテンショナーの同時交換が必要になるケースです。テンショナーとはベルトの張りを自動的に調整するパーツで、ファンベルトと同じく消耗品です。整備士から「一緒に換えた方がいい」と勧められた場合、テンショナーの部品代が追加されて合計で3万〜4万円になることもあります。いっぽうで、今後またすぐ交換が必要になることを考えると、同時交換は長期的にみてコストパフォーマンスが高いとも言えます。
つまり「1万円で終わる」と思っていたら倍以上になった、というのは珍しくない話です。
参考として、特定の車種ごとの実費目安を確認したい方はこちら。
【依頼先・車種別】ファンベルトの交換費用を詳しく紹介(trck.jp)
ファンベルトはゴム製の消耗品で、一定のサイクルで必ず劣化します。一般的に言われている交換の目安は走行距離5万km前後、または使用年数5〜7年です。ただし、この数値はあくまで目安であり、真夏の高温環境や短距離走行を繰り返す使い方では、もっと早く劣化が進むケースもあります。
走行距離5万kmというのは、毎年1万km走るドライバーであれば新車から5年目に相当します。5年というのは、車検のサイクルで言えばちょうど3回目の車検あたりです。
以下のサインが出たら、走行距離・年数に関係なく早めに点検を。
キュルキュル音はベルトの劣化・硬化によって、プーリー(滑車)の上をベルトが滑るときに出る音です。特に冬の寒い朝一番に鳴りやすく、暖まると収まることもあるため「問題ないだろう」と思ってしまいがちです。しかし、その判断は危険です。
パタパタ・バタバタという音は、ベルトが部分的に裂けて遠心力で周囲の部品に当たっているサインで、切れる直前の状態です。この段階になったら走行を中止して、ロードサービス(JAF等)を呼ぶのが正解です。
放置してはいけない状態ということですね。
参考情報として、整備士監修の詳細解説はこちらです。
車のファンベルトとは?故障の原因や交換費用について整備士が解説(221616.com)
ファンベルトの交換を後回しにした場合、費用がどこまで膨らむのかを正確に理解しておくことが重要です。
ファンベルトは単体で壊れるのではなく、切れた瞬間に複数の補機系統が同時に機能停止します。具体的には、ウォーターポンプ(冷却水の循環)・オルタネーター(発電・充電)・エアコンコンプレッサー・油圧パワステポンプが一斉に動かなくなります。
一番恐ろしいのはエンジンのオーバーヒートです。ベルトが切れるとウォーターポンプが止まり、冷却水がエンジン内を循環しなくなります。エンジンの熱が逃げ場を失った状態で走行を続けると、エンジン内部のシリンダーやシリンダーヘッドが高熱で変形・焼き付きを起こします。
この「エンジン焼き付き」の修理費用は非常に高額です。
つまり、1万円程度で交換できたはずのファンベルトを放置したことで、最悪50万〜100万円規模の出費になるわけです。痛いですね。
しかも、出先でエンジンが止まってしまえば、レッカー代も別途かかります。JAFの非会員の場合、一般道でのレッカー搬送は15kmまでで約11,000円、それ以降1kmごとに約700円が追加されます。
予防整備としてのファンベルト交換は、「今すぐかかるコスト」ではなく「将来の巨大な出費を防ぐための保険」と考えるのが正解です。
参考として、オーバーヒートの修理費用と対処法の詳細はこちら。
ファンベルトの交換は、主に以下の4か所に依頼できます。それぞれの特徴を把握して、自分の状況に合った選び方をしましょう。
| 依頼先 | 費用の傾向 | 安心度 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| ディーラー | やや高め | ⭐⭐⭐⭐⭐ | 純正部品を使用。メーカー知識が豊富。部品代が高い傾向。 |
| 整備工場 | 標準〜抑えめ | ⭐⭐⭐⭐ | 整備士が対応。純正品より安いOEM部品を使える場合も。土日休みのところが多い。 |
| カー用品店(オートバックス等) | 抑えめ | ⭐⭐⭐ | OEM部品で費用を節約できる。休日も対応可。車種によっては断られることも。 |
| ガソリンスタンド | 標準 | ⭐⭐ | 給油ついでに依頼できる手軽さあり。整備士不在の場合は品質に注意。 |
コストを抑えたいなら、オートバックスやイエローハットなどのカー用品店が候補になります。OEM部品(純正品と同等の性能を持つ安価な部品)を使うため、部品代を2〜3割ほど抑えられるケースもあります。これは使えそうです。
一方、確実性や信頼性を重視するならディーラーか整備工場がおすすめです。特に輸入車や特殊な車種は、ディーラーや専門の整備工場でないと対応できないこともあります。
また、整備工場に依頼する際は複数社に見積もりを依頼するのが賢明です。同じ車種・同じ作業でも、工場によって工賃は数千円単位で異なることがあります。見積もり比較は無料でできる節約術です。
費用を節約したいときに有効なのが「車検のタイミングに合わせてファンベルト交換も依頼する」方法です。車検と同時に依頼すると、すでに車を預けているため工賃の一部が省けることがあります。整備士への確認を忘れずに、がポイントです。
一般的な記事では「整備工場に依頼しましょう」で終わることが多いのですが、実際には交換するタイミングによって費用の差が出てきます。これは意外と知られていない事実です。
走行距離5万km・使用年数5〜7年というファンベルトの交換目安は、実はちょうど車検と重なるタイミングです。車は2年ごとに車検があり、新車から5年は最初の3回の車検のうちのどこかに当たります。
車検時に整備士がエンジンルームを点検した際に「ベルトが傷んでいます」と言われるケースは珍しくありません。このとき一緒に交換してもらえば、すでに車を預けている分の「再入庫の手間・工賃の二重払い」が発生しないため、実質的なコストを下げられます。
ただし、ひとつ注意点があります。ディーラーに車検を依頼している場合は純正部品を使用するため、部品代は割高になりがちです。費用を抑えたいなら、車検はカーショップ(オートバックスなど)に依頼し、ファンベルトも一緒に交換してもらう方法があります。
また、一部の整備工場やカーショップでは「法定点検パック」にファンベルト交換が含まれている場合もあります。事前にパック内容を確認しておくと、追加費用なしで交換できるケースもあるので確認する価値があります。
さらに、見落とされがちな節約術として「ネット通販でファンベルトを購入し、工賃のみ整備工場に支払う」という持ち込み交換も選択肢のひとつです。ただし、整備工場によっては持ち込み部品のお断りや割増工賃になることもあるため、事前確認が条件です。
車検のタイミングで合わせて確認する、が原則です。
参考として、車検とベルト交換のタイミングについての詳しい解説はこちらです。
車検とベルト交換のタイミングや工賃相場を徹底解説(famca.co.jp)