

ブロンコ fordは、1966年に登場した初代がJEEPのライバルとして企画された本格オフローダーで、短いホイールベースとシンプルなラダーフレーム構造が特徴でした。
その後、2代目以降はFシリーズ系ピックアップのシャシーを共有しつつ大型化・高級化が進み、5代目(1992〜1996年)は安全性向上やエアバッグ追加など、アメリカ本国のニーズに合わせた進化を遂げています。
1996年で一度生産が終了したものの、2020年に6代目として復活し、往年の角張ったシルエットを現代風にアレンジしたデザインと、ジープ・ラングラーを正面から意識したオフロード性能で話題になりました。
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日本ではフォードが正規撤退しているため、現行ブロンコ fordは並行輸入に頼る形となり、ヘッドライト光軸・ウインカー・排ガス試験などをクリアしてナンバーを取得する必要があり、この点は整備士がユーザーに説明しておきたいポイントです。
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旧型ブロンコについては、1980〜90年代の個体がまだ日本に少数残っており、特に1988年式エディバウアー仕様などが整備工場の作業事例として紹介されています。
参考)https://www.goo-net.com/pit/blog/list?selectBrand=5515amp;selectCar=amp;p=28amp;sort=blogamp;site=LG_parts
ただし、これらは既に高年式・長期保有車の領域に入りつつあり、足回りブッシュや燃料系、配線の劣化など「アメ車+年式相応」のトラブルが重なりやすいことを前提に入庫時のヒアリングを行う必要があります。
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現行ブロンコ fordは、高強度スチールを使ったフルボックス構造のラダーフレームを採用し、従来型SUVと比べて前後サスペンションの可動域を約17%拡大しているとされています。
フロントには独立懸架のダブルウィッシュボーン、リアにはリジッドアクスル+コイルスプリングを採用し、オンロードの操縦安定性とオフロードでのストローク量を両立させる構成です。
ブロンコ専用装備として「セミアクティブ油圧スタビライザーディスコネクト」が用意されており、ロッククローリングなどで大きくアーティキュレーションさせる場面ではスタビライザーを切り離し、路面追従性を高めることができます。
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このシステムは、サスペンションのストローク中に切断しても再接続可能な設計で、高速走行に戻る際には安定性とステアリングフィールを確保できるようになっているため、整備士としては油圧系統・センサー系の自己診断機能と連動している点を押さえておきたいところです。
上級グレードやラプター系では、FOXやビルシュタインのリザーバータンク付きショック、35インチクラスのマッドテレーンタイヤ、ビードロック対応ホイールなどが組み合わされ、サスペンションリフトと大径タイヤを前提としたセッティングになっています。
参考)新車カタログ/価格/在庫 - フォード ブロンコ 2024
このため、アライメント作業や足回りの分解整備では、純正のリフト量・ホイールオフセット・トレッド拡大が前提になっていることを踏まえ、社外ハイリフトキットとの二重掛けになっていないかを確認しないと、ブーツ破れやジョイント角度の過大による早期摩耗を見落としやすくなります。
参考)https://pedalcommander.jp/blogs/garage/which-ford-bronco-model-is-right-for-you
現行ブロンコ fordには、GOATモードと呼ばれるドライブモード切替(走行条件に合わせてトランスファーやトラクション制御・ABS・スロットル特性などを自動制御する仕組み)が備わっており、電制4WDとの連携が非常に密になっています。
また、ヒルディセントコントロール、トレイルターンアシスト、オフロードクルーズコントロールなど複数の電子制御が重なって動作するため、故障診断時にはメカニカルな4WD機構と同時に、各種センサー・スイッチ・ハーネスの状態も並行して確認する必要が出てきます。
フォードは2021年以降の車両診断にVCMⅢと呼ばれる新しい診断デバイスを必要としており、ブロンコ fordも例外ではありません。
参考)“BUBU×アメ車ワールド” 2022 フォード ブロンコ …
並行輸入車の場合、日本国内でVCMⅢ+正規ライセンスを持っている工場は限られるため、整備士としては「自工場でどこまで対応できるのか」「ディーラー/専門ショップとの連携が必要なのか」を事前にユーザーへ説明しておくとトラブルを減らせます。
アメ車ワールド系の取材記事では、新型ブロンコ 2.3L EcoBoost搭載車の走行インプレッションとともに、電子制御の複雑さや診断器の重要性が指摘されています。
その一方で、エンジン・ミッションといったメカニカル部分そのものの完成度は高いものの、その周囲を取り巻く制御系の故障では汎用的なエラーコード(例:P0300番台のミスファイア)から多岐の原因を切り分ける必要があり、点火系・インジェクタ・コンピュータ・アース・バルブタイミングなど、系統ごとの仮説を立てて診断を進める重要性が解説されています。
旧型ブロンコ fordでは、年式・使用状況によってトラブルの傾向が異なりますが、日本のユーザー投稿では「納車から半年で5回目の入院」「スタンドに入った瞬間エンストし、その後バッテリー・アースやり直しになった」といった事例が報告されています。
このようなケースでは、単純なバッテリー寿命だけでなく、ボディ側アースポイントの腐食や、増設電装品(社外オーディオ・補助ライトなど)による電流負荷・配線処理の粗さが重なっていることも多いため、整備士としては「アース線の追加・引き直し+電流リーク点検」をセットで提案すると再発を抑えやすくなります。
グーネットの作業実績では、1988年式ブロンコ・エディバウアーのエンジンルーム異音修理が紹介されており、古いV8・V6系エンジンでは補機ベルト回り・テンショナー・ウォーターポンプ・パワステポンプなどのプーリー系統からの異音が出やすいとされています。
加えて、長期放置・低頻度使用のブロンコでは燃料ポンプ・フィルター・タンク内の錆や、ブレーキラインの腐食、ATクーラーホースからのにじみなども複合的に出やすく、入庫時には「車検取得のための最低限」と「長く乗るための予防整備」を分けて見積もりを作ることがユーザーとの関係維持に有効です。
現行ブロンコに関しては、日本への導入が比較的新しいこともあり、致命的なエンジンやミッションの持病はまだ大きく顕在化していないものの、35インチ級タイヤとハイリフトサスの組み合わせにより、ステアリング・タイロッド・ボールジョイント・ドライブシャフトブーツなど足回りの消耗が早まる傾向が指摘されています。
また、オフロード走行が多い車両では、下回りのアンダーガード・マフラーハンガー・デフブリーザや電装コネクタへの泥水・砂利の噛み込みが、のちの電装トラブルの原因になることもあるため、定期的な高圧洗浄+防錆処理をパッケージメニューとして提案すると、再入庫時のトラブルシュートが楽になります。
自動車整備士目線で意外と重要なのが、「ブロンコ fordをどの世代として扱うか」を入庫受付時点で決めておくことです。国内検索では“ブロンコ”が旧型・新型混在で語られることが多く、場合によってはクーガ(KUGA)や他SUVと混同されているケースも見受けられます。
そのため、受付時に「年式・グレード・エンジン排気量・2ドア/4ドア」「ラプターか否か」「並行元のディーラー名」まで確認し、車検証コピー+VINコード写真をセットで預かっておくと、部品検索や配線図・整備書の取得がスムーズになり、作業時間のブレを大きく減らせます。
もう一つ、ブロンコ fordのような“趣味性が高い輸入オフローダー”では、ユーザーの改造歴・今後の方向性を聞き出すことが、整備方針を決めるうえで非常に重要です。サスペンションリフトキットや社外バンパー、スナッチブロックやウインチ、スナッチストラップを常備するようなヘビーユーザーか、街乗り中心で見た目だけを楽しみたいライトユーザーかによって、提案すべき整備内容が大きく変わります。
例えば、ヘビーユーザーには、純正以上のオイル交換頻度やデフ・トランスファーオイルの短期ローテーション、ボルト緩みチェックの定期化などを推奨し、ライトユーザーには、大径タイヤによる制動距離の伸びや、ハブ・ホイールナットの締結管理などを中心に説明することで、それぞれの実態に合ったメンテナンスプランが組めます。
現場で差がつく独自の工夫として、納車点検や車検時に「ブロンコ専用チェックシート」を作っておく方法があります。具体的には、GOATモードの動作確認、スタビディスコネクトの作動テスト、屋根・ドア脱着部のシール状態確認、下回り防錆の有無、大径タイヤの干渉跡、アースポイント腐食の有無などを一覧化し、写真付きでオーナーと共有するやり方です。
この“写真台帳+チェックシート”を作っておくと、次回入庫時の状態変化が一目で分かり、「前回と比べてここが悪化している」「この部位は維持できている」と具体的に説明できるため、輸入車ユーザー特有の不安感を和らげつつ、予防整備の提案もしやすくなります。
ブロンコ fordを中古で検討しているユーザーからの相談に対しては、まず「本国履歴」と「日本での登録・整備履歴」を分けて確認することが重要です。並行輸入車の中には、アメリカでの損傷歴や水没歴が十分に開示されないまま輸入されているケースもあるため、可能であればCarfaxやAutocheckなど本国の履歴確認サービスを使った書類を確認するよう促すと安心度が高まります。
日本での部分では、「ナンバー取得時にどのような保安基準対応が行われたか(灯火類、排ガス、速度計表示など)」「その作業を行ったのがどのショップか」といった情報を押さえておくと、後々発生しやすいトラブルの予測にもつながります。
足回り・ボディのチェックとしては、35インチ級タイヤ装着車で、フェンダーインナーやステアリングロッド周辺、リアショックのボトム側などに干渉跡がないか、オフロード走行でヒットしやすいデフ・アンダーガード・トランスファー下部の傷や曲がりがないかを丁寧に確認します。
電装系では、追加メーター・ライトバー・ウインチ・オーディオなどの後付け配線がヒューズボックスやバッテリー周辺でどのように結線されているか、エンジンルームのアースポイントが増設・やり直しされているかをチェックし、「きれいにまとめられた車」と「とりあえず繋いだだけ」の車で評価を分けると、後のトラブルリスクを読みやすくなります。
最後に、ユーザーには「趣味性の高い車なので、通常の国産SUVと同じ感覚で維持費を見積もらないこと」と、「信頼できるショップとペアで所有する感覚を持つこと」を伝えておくと、購入後のギャップを減らせます。
整備士側としては、事前に自工場の対応範囲(診断機・配線図・部品供給ルート)を明示し、必要に応じてアメ車専門店や並行輸入業者と連携することで、ブロンコ fordユーザーとの長期的な関係構築がしやすくなるはずです。
ブロンコ fordの新型スペックや日本での購入方法・価格感を全体的に把握するのに役立つ解説記事です。
フォード ブロンコのスペックと日本での購入方法の解説
新型ブロンコの公式発表内容(シャシー構造・サスペンション・オフロード機能)を確認するのに有用なニュース記事です。
フォード 新型ブロンコ発表記事(Car Watch)
日本に並行導入されたブロンコの実車インプレッションと、診断機VCMⅢなど整備面の注意点に触れているアメ車専門メディアの記事です。
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