

車高調を装着すれば乗り心地は必ず悪くなる、と思っていませんか?実は減衰力を正しく調整すれば、純正より快適になるケースが約3割あります。
ベストi(ビーアップ製)の車高調は、国産ミドルクラスの中でコストパフォーマンスに優れた全長調整式サスペンションとして知られています。純正ショックアブソーバーがバネとダンパーを一体で交換できない構造なのに対し、車高調はスプリング・ショック・ブラケットをすべて独立して調整できます。これにより、車高を5〜60mm程度の範囲で自由に下げることが可能です。
ベストi 車高調の主なラインナップは「16段減衰力調整式」が標準仕様で、街乗りからスポーツ走行まで幅広い用途をカバーします。スプリングレートはフロント6〜8kgf/mm、リア4〜6kgf/mm前後が多く、純正比で約1.5〜2倍の硬さです。つまり、調整なしで装着すると路面の凹凸がダイレクトに伝わる乗り味になります。
スプリングレートの「kgf/mm」という単位は、バネを1mm縮めるのに何kgの力が必要かを示します。純正が4kgf/mmだとすると、8kgf/mmのバネは同じ1mmの縮みに2倍の力が必要です。これはちょうど、柔らかいスポンジと硬い消しゴムの差くらいのイメージです。
純正との互換性については、車種専用設計が基本なので取り付けボルト径やアッパーマウントの形状は純正流用が可能なモデルも多いです。ただし、全車種に対応しているわけではありません。購入前に対応車種リストを必ず確認することが原則です。
16段調整式の減衰力は、1段が最もソフト、16段が最もハードです。街乗り中心なら4〜8段、ワインディングや峠道を走るなら10〜14段が一般的な目安とされています。ただし、これはあくまで出発点です。
重要なのは、車高を下げるほどバネの縮みしろ(ストローク量)が減るという点です。純正車高から20mm下げると、バンプ(路面の段差を乗り越えるときの縮み)で使える余裕が約20mm分失われます。余裕がないぶん、突き上げ感が増すわけです。これは使えそうな知識ですね。
乗り心地を改善するための実践的な手順は以下のとおりです。
段差の突き上げとコーナーのふらつきは、基本的にトレードオフの関係です。どちらを優先するかで減衰力の最適値は変わります。自分の走り方に合わせるのが基本です。
なお、アライメント調整は車高調装着後には必須です。車高を変えるとキャンバー角やトー角がずれ、タイヤの偏摩耗や直進安定性の低下につながります。工賃は四輪アライメントで1万5,000〜2万5,000円程度が相場です。車高調の工賃と合わせて予算に含めておきましょう。
車検で車高調がNGになるケースは、思っている以上に多いです。最低地上高(車両の最も低い部分から地面まで)が9cm未満になると車検に通りません。ローダウンに夢中になって下げすぎると、車検のたびに車高を戻す手間と費用が発生します。
車検ごとに車高を戻す作業工賃は、1回あたり1万〜2万円程度かかることがあります。年に1回(もしくは2年に1回)の出費として計算すると、5年間で最大10万円の追加コストになります。痛い出費ですね。
ベストi 車高調は構造変更申請不要の範囲(純正車高からの変更が規定内)で使えるモデルが多いですが、車種や仕様によって異なります。購入時に「保安基準適合品」の表記があるか確認することが条件です。
また、スプリングの自由長(バネの自然な長さ)を短くしすぎると、段差でタイヤハウスにタイヤが干渉するリスクがあります。タイヤとフェンダーの隙間が指2本分(約30〜40mm)を切ってくると要注意です。フェンダー干渉は走行中に突然発生するため、事前にフルバンプ(最大限の縮み)時のクリアランスを確認しておく必要があります。
保安基準の詳細や最低地上高の規定については、国土交通省の公式ガイドラインを参照するのが確実です。
国土交通省|道路運送車両の保安基準(車高・最低地上高に関する規定)
ベストi 車高調の購入価格は、車種にもよりますが4万〜8万円前後が中心帯です。純正交換の工賃は前後4本交換で2万〜4万円程度が相場です。つまり、総額で6万〜12万円の予算感が現実的です。
費用の内訳を整理するとこうなります。
DIYで取り付けに挑戦する人も多いですが、トルク管理とアライメント調整だけはプロに任せることを強くおすすめします。ナットの締め付けトルクが不足していると、走行中にロックシートが緩んで車高が突然変わる危険性があります。それだけは例外として慎重にしてください。
工賃を抑えたい場合は、持ち込み工賃に対応しているカーショップやネット通販と提携した取り付けサービスを活用するのが現実的です。「オートバックス」「イエローハット」などでも車高調の持ち込み取り付けに対応している店舗があります。予約前に電話で確認する、この一手間が大切です。
「高い車高調ほど乗り心地が良い」という認識は、半分正解で半分間違いです。これは意外ですね。価格が上がると減衰力の調整幅が広がり、よりきめ細かいセッティングが可能になりますが、最終的な乗り心地は「セッティングの腕」に大きく左右されます。
実際、20万円クラスの高級車高調を適当な減衰力で装着した場合と、8万円クラスのベストi 車高調を丁寧にセッティングした場合では、後者のほうが街乗り快適性で勝るケースは珍しくありません。結論は「セッティング次第」です。
また、「ローダウンすると燃費が悪くなる」という話も根強くありますが、これも条件付きです。適切な車高(最低地上高を確保しつつ空力を改善できる範囲)に収めれば、空気抵抗の低減によって高速道路での燃費がわずかに改善するケースもあります。下げすぎると逆効果です。この点だけ覚えておけばOKです。
ベストi 車高調は、入門〜中級者向けのコスパに優れた選択肢として、国内の多くのドレスアップ車ユーザーに選ばれています。適切なセッティングと定期的なオーバーホール(目安は走行5万km、または使用3〜4年)を組み合わせることで、長期間にわたって快適な走りを維持できます。オーバーホール工賃は前後で2万〜4万円程度です。購入から使い続けるための維持費も含めて、トータルコストで判断することが大切です。