

低扁平タイヤに替えた後に空気圧を管理しないと、バーストで10万円超の修理費が発生します。
タイヤのサイドウォールには、「195/65R15」のような数字が刻印されています。この「65」という部分が扁平率です。しかし、この数値が何を示しているのかを正確に説明できるドライバーは、意外と少ないのが現実です。
扁平率とは、タイヤの「断面幅(横幅)」に対して「サイドウォールの高さ」がどのくらいの割合かを示す数値で、パーセンテージで表します。計算式は次の通りです。
| 計算の種類 | 計算式 |
|---|---|
| 扁平率を求める | サイドウォール高さ(mm)÷ タイヤ断面幅(mm)× 100 |
| サイドウォール高さを求める | タイヤ断面幅(mm)× 扁平率 ÷ 100 |
| タイヤ外径を求める | (タイヤ断面幅 × 扁平率 ÷ 100 × 2)+(リム径 × 25.4) |
具体的な例で確認してみましょう。「195/65R15」というタイヤサイズの場合、断面幅は195mm、扁平率は65、リム径は15インチです。サイドウォールの高さは 195 × 65 ÷ 100 = 126.75mm となります。タイヤの外径は(126.75 × 2)+(15 × 25.4)= 253.5 + 381 = 634.5mm です。これは直径約63cmで、ちょうど一般的なフォルクスワーゲン・ゴルフの標準タイヤサイズに相当します。
つまりタイヤ外径が基本です。
扁平率の数値が小さいほどサイドウォールは薄くなり、大きいほど厚くなります。一般的な乗用車では55〜65の範囲が多く採用されています。扁平率30〜45のものは「低扁平タイヤ」と呼ばれ、スポーツカーや高級車で見られます。
参考リンク(タイヤ外径の計算方法・ブリヂストン公式)。
タイヤの外径計算や偏平率とは?交換時にチェックすべきポイント|ブリヂストン
扁平率を変えたいとき、タイヤだけ交換しても目的は達成できません。ホイール(リム)のサイズを一緒に変更することが必要になります。これがいわゆる「インチアップ」「インチダウン」です。
インチアップとは、ホイールのリム径を1〜2インチ大きくすることで、タイヤの外径を変えずに扁平率を下げる方法です。見た目がスポーティになるため、カスタムを楽しむドライバーに人気があります。逆に、リム径を小さくして扁平率を上げるのがインチダウンです。
| 変更方法 | ホイール | 扁平率 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| インチアップ | 大きく | 下がる(薄くなる) | スタイリッシュ・運動性能向上 |
| インチダウン | 小さく | 上がる(厚くなる) | 乗り心地改善・コスト削減 |
ここで重要なのが、外径を変えないことです。これが原則です。
タイヤの外径が変わると、スピードメーターが正確な速度を表示できなくなります。車検ではスピードメーターの誤差検査があり、40km/h表示時に実際の速度が30.9〜42.5km/hの範囲を超えると不合格になります。外径が純正より3%以上ずれると、この基準を超えてしまう可能性があります。
外径を揃えるには、インチを1上げた場合にその分サイドウォールを低くする(扁平率を下げる)、という組み合わせが必要です。例えば、195/65R15(外径約634mm)から16インチにインチアップする場合、195/55R16(外径約632mm)のように扁平率を下げて外径を合わせます。これは使えそうです。
参考リンク(スピードメーター誤差と車検の基準・オートバックス)。
扁平率の違いは、乗り心地や燃費、運転の安全性に直結します。数値が高い「高扁平タイヤ」と数値が低い「低扁平タイヤ」では、特性がまったく異なります。
高扁平タイヤ(扁平率60〜80程度)の特徴を整理すると、サイドウォールに厚みがある分、路面の凹凸を吸収するクッションとしての役割が強くなります。市街地走行では5〜10%程度の燃費向上効果が期待でき、特にスタッドレスタイヤのシーズンには接地圧の分散から雪道安定性が上がるという利点があります。厳しいところですね。コーナリング時のハンドリング応答性は落ちます。
低扁平タイヤ(扁平率55以下)の特徴としては、サイドウォールが薄く剛性が高いため、コーナリング中の横変形が少なく、ハンドル操作への反応がシャープになります。ブレーキング時の接地面積が確保されやすく、安全マージンが増す面もあります。ただし路面の振動が直接車体に伝わりやすく、悪路での乗り心地は硬く感じます。
重要な注意点として、低扁平タイヤはタイヤ内の空気容量が通常タイヤより大幅に少ないという事実があります。空気圧管理を怠ると、見た目にはほとんどわからなくても内部でセパレーション(内部剥離)が進行し、いつバーストしてもおかしくない状態になります。ノーマルタイヤでも空気圧不足は危ないのに、扁平率の低いタイヤでのそれは、命取りとも言われています。
参考リンク(低扁平タイヤのセパレーションリスク・DIYラボ)。
扁平率の低い(薄い)タイヤを履くデメリットも知っておくべき|DIYラボ
扁平率を変える際に、多くのドライバーが見落としやすいポイントが3つあります。知らないと損するリスクが具体的な形になります。
① 外径のズレと車検不合格リスク
外径の許容範囲は一般に純正比で−3%〜+2%以内が推奨されており、この範囲を超えると車検の保安基準不適合になります。例えば外径600mmのタイヤを基準にすると、許容範囲は582mm〜612mm程度です。これをわずかに超えただけで車検当日に不合格と判断される場合があります。意外ですね。
② ロードインデックスの確認忘れ
低扁平タイヤは薄い分、製造コストが高く剛性を維持するために設計上の重量上限が低くなりやすいです。純正タイヤのロードインデックスを下回るサイズを装着すると、保安基準上の問題だけでなく、大型ミニバンや荷物を多く積む車ではタイヤが負荷に耐えられずセパレーションのリスクが高まります。
③ 自動車保険が適用されないケース
これが特に知られていない落とし穴です。極端なサイズ変更や不適切なカスタムを施した状態で事故が発生した場合、保険会社によっては「改造車両」と判断し、保険が適用されないケースがあります。保険会社に事前確認しておくと安心です。
これらのリスクを確認する最も手軽な方法として、タイヤメーカーが公開している「タイヤ外径計算ツール」や「扁平率早見表」を利用することが挙げられます。純正タイヤのサイズを入力するだけで許容範囲が確認できるものが多く、インターネットで「タイヤ外径計算」で検索するとすぐに見つかります。
参考リンク(車検に通るタイヤサイズ変更の許容範囲・マルゼン)。
【車検対応】タイヤサイズ変更の許容範囲は?外径誤差・ロードインデックスの確認方法|マルゼン
ここからは、他の記事ではあまり触れられていない視点です。「外径を変えない」と言われても、実際にどうすれば正しい組み合わせになるのかをピンポイントで把握できていないドライバーが多くいます。計算式を使って、具体的な数値で確認してみましょう。
外径の計算式は「(タイヤ断面幅 × 扁平率 ÷ 100 × 2)+(リム径 × 25.4)」です。この式を使うと、インチを上げながら外径をほぼ同じに保つための扁平率の変化パターンが整理できます。
| タイヤサイズ | リム径 | 計算外径(mm) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 195/65R15 | 15インチ | 約634mm | 純正サイズの代表例 |
| 195/55R16 | 16インチ | 約632mm | 1インチアップ・外径ほぼ同等 |
| 215/45R17 | 17インチ | 約625mm | 2インチアップ・外径やや小さめ |
| 225/35R18 | 18インチ | 約594mm | 3インチアップ・外径が大幅に変化 |
この表を見ると、インチを上げるほど扁平率を下げるだけでは外径を合わせることが難しくなることがわかります。これが条件です。3インチアップの225/35R18は、純正195/65R15と比べて外径が約40mm(6%以上)も小さくなり、車検の許容範囲を大幅に超えてしまいます。
一般的に「インチアップは1〜2インチが現実的な範囲」と言われる背景には、こうした計算上の限界があります。さらにインチを上げる場合は、タイヤ断面幅を大きく変える(幅を太くする)ことで外径を合わせる必要があります。
ただし、タイヤ幅を太くすると今度はホイールハウス内の干渉やタイヤのはみ出し(フェンダーから1mmでも出ると保安基準違反)の問題も発生します。カスタムを重ねるほど確認すべき変数が増える、というのが実態です。購入前に専門ショップで適合確認をしてもらうことが最も確実な方法で、1回の相談で全体のリスクをゼロにできます。
参考リンク(タイヤ外径と偏平率の知識・グーネット)。
タイヤの扁平率とは?見方や計算方法|グーネット