

メーター表示どおりに走っていても、タイヤ外径が変わると実際は速度違反になることがあります。
タイヤのサイドウォールには「215/45R18 93W」といった数字と記号が刻印されています。これがタイヤサイズ表記であり、外径を計算するために必要な情報はすべてここに詰まっています。各数値の意味を正確に理解しておくと、自分で外径を計算できるようになります。
まず左端の「215」は断面幅(mm)です。タイヤを地面に立てたとき、左右に広がる幅のことを指します。次の「45」は扁平率(%)で、断面幅に対する断面高さ(サイドウォールの高さ)の比率です。「R」はラジアル構造を意味し、一般的な乗用車タイヤはほぼすべてこの構造です。最後の「18」がリム径(インチ)で、タイヤを取り付けるホイールの直径を示します。
外径を求める計算式は以下のとおりです。
タイヤ外径(mm)= タイヤ幅(mm)× 扁平率 × 2 + リム径(インチ)× 25.4
リム径はインチ表記なので、1インチ=25.4mmで換算するのがポイントです。つまり、1インチはおよそ人差し指と親指を広げた横幅(約2.5cm)に相当します。
「215/45R18」を例に実際に計算してみましょう。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 断面高さ(片側) | 215 × 0.45 | 96.75mm |
| 断面高さ(上下合計) | 96.75 × 2 | 193.5mm |
| リム径(mm換算) | 18 × 25.4 | 457.2mm |
| タイヤ外径 | 193.5 + 457.2 | 650.7mm |
外径650.7mmは、ちょうどA4用紙の長辺(297mm)を2枚以上縦に並べた長さに近いイメージです。この数値が変わると、後述するスピードメーターの誤差に直結します。つまり外径の把握が基本です。
参考:タイヤサイズ表記の詳細な解説(ブリヂストン タイヤオンラインストア)
https://tire-onlinestore.bridgestone.co.jp/lp/column-008.html
スピードメーターは、タイヤが1回転するたびに進む距離(外周)をもとに速度を算出しています。つまり外径が変われば1回転あたりの進む距離も変わり、表示速度と実際の速度の間にズレが生じます。これがスピードメーター誤差です。
外径が大きくなると、1回転でより遠くまで進むため「実際の速度がメーターより速い」状態になります。反対に外径が小さくなると「実際の速度がメーターより遅い」状態になります。前者のほうが交通違反リスクとして深刻です。
車検では、スピードメーターが40km/hを示したときの実速度を計測します。平成19年以降に製造された車の場合、計測結果が30.9km/h〜42.55km/hの範囲に収まっていれば合格です。この許容範囲を外れると保安基準不適合として車検に通りません。
外径差が生じやすいのはインチアップやサイズ違いのタイヤを間違えて購入したケースです。たとえば純正が外径650mmのタイヤの場合、+2%ならば663mm、−3%ならば630.5mmが目安の境界線になります。差にして約13〜20mm程度、ハガキの横幅(148mm)の約1/10程度が許容範囲の目安だと覚えておくと便利です。
オドメーター(走行距離計)にも誤差が出る点は見落とされがちです。外径が大きくなると実際の走行距離よりも少なく積算され、売却査定時に「実走行より距離が少ない車」として記録される場合があります。これは良いことのように見えますが、不正確な記録が残るリスクもあるため注意が必要です。外径が変わると影響は速度だけではありません。
参考:JAF「タイヤのサイズを変えると違反になりますか?」
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-accident/subcategory-rule/faq217
インチアップとは、ホイールのリム径(インチ数)を大きくしながらタイヤの外径を純正と同等に保つカスタムの手法です。見た目のスポーティさや走行性能の向上を目的に行われますが、正しく外径を計算しないとスピードメーターの誤差や車検不合格につながります。
外径を保ちながらインチアップするには、リム径を大きくした分だけ扁平率を下げる必要があります。リム径を1インチ上げると、ホイール径が25.4mm増加します。この増加分を打ち消すためにサイドウォールを薄くするわけです。
具体的な例で確認してみましょう。
| サイズ | 計算 | 外径 |
|---|---|---|
| 純正:205/55R16 | (205×0.55)×2 + 16×25.4 | 631mm |
| 変更後:215/45R17 | (215×0.45)×2 + 17×25.4 | 625mm |
| 変更後:205/50R17 | (205×0.50)×2 + 17×25.4 | 636mm |
この例で「215/45R17」は純正(631mm)比で−6mm(約−1%)なので許容範囲内です。「205/50R17」は636mmで+5mm(約+0.8%)なのでこちらも問題なし。これは使えそうです。
インチアップで失敗するケースとして多いのは、「1インチ上げたのに扁平率を変えなかった」というパターンです。16インチから17インチに変えた場合、扁平率を据え置きにすると外径が25mm前後大きくなり、純正比で+4%程度の誤差が生じる計算になります。これは許容範囲の+2%をオーバーしてしまいます。
計算が面倒に感じるときは、AUTOWAYの外径計算機・メーター誤差計算機(無料)を使うと、サイズを入力するだけで外径と誤差率が一覧で確認できます。自分で計算した結果の答え合わせにも便利です。
参考:AUTOWAY 外径計算機&メーター誤差計算機
https://www.autoway.jp/how-to-choose/inch-calculator
扁平率(偏平率)はタイヤの外径計算において中心的な役割を担います。扁平率が変わるだけで外径は大きく変動するため、サイズ変更を検討するときは必ずここを確認する必要があります。
扁平率の定義は「断面高さ÷断面幅×100」で求めた割合(%)です。たとえば扁平率「55」は、タイヤ幅の55%がサイドウォールの高さに相当するということです。扁平率60%なら6割が高さ、45%なら4.5割が高さになります。
扁平率が外径に与える影響をイメージしやすいよう整理すると次のとおりです。
扁平率の変化が外径に与える数値的な影響を見てみましょう。タイヤ幅215mmで計算すると、扁平率が「55」から「45」に変わると断面高さは118.25mmから96.75mmへと約21.5mm低下し、上下合算で約43mm外径が小さくなります。これは500円硬貨(直径26.5mm)を縦に2枚並べた長さに近い変化です。厳しいところですね。
サイズ変更の候補を絞り込むときは「外径誤差が±2〜3%以内に収まる扁平率はどれか」を計算して確認するのが基本です。ホイールをインチアップしたい場合は、メーカーのサイズ適合表(各タイヤブランドの公式サイトで確認可能)を参照するのが確実です。
参考:ダンロップタイヤ「タイヤの基礎知識(タイヤサイズ、表示の見方)」
https://tyre.dunlop.co.jp/knowledge/base/size
スピードメーター誤差や車検不合格はよく知られたリスクですが、実はもう一つ見落とされやすい問題があります。それが「オドメーター(走行距離計)の積算誤差」です。
スピードメーターもオドメーターも、タイヤの外径から算出されるタイヤ1回転あたりの進む距離(外周)を基準に動いています。外径が変わるとこの基準値がずれるため、メーターに表示される走行距離と実際の走行距離に差が生じます。
外径を大きくしていると走行距離が少なく記録されるのでお得に見えますが、実際には正確な記録ではありません。中古車として売却査定を受ける際、整備記録簿と実際の消耗具合が一致しないと不審に思われる可能性があります。また、外径を小さくしていると実走行より多く積算されてしまい、年間1万km基準の「過走行扱い」になりやすく、意図せず査定額が下がるリスクもあります。
純正外径を維持することの意味は「法的適合」だけでなく「車の価値の正確な記録」にもあります。外径は走行距離にも影響するということですね。タイヤサイズを変えた記録は整備手帳にメモしておくことも、トラブル防止の観点から重要です。
参考:オートバックス「タイヤサイズ変更の許容範囲とは?安全なカスタムのポイント」

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