

旧車の再始動で一番“やりがち”なのが、キャブや点火から先に触ってしまい、後で燃料系の汚れに全てを台無しにされる流れです。サニークーペb110のように長期保管歴がある個体は、燃料タンク内部の錆やスラッジが出やすく、再始動時に一気に吸い上げて燃料ライン・フィルタ・キャブの順で詰まらせます。実例として、長期保管車でタンクの錆除去とコーティング作業に言及している整備記録もあり、初動でタンク側に手を入れる判断は合理的です。
現場向けの進め方は、エンジン側へ汚れを“行かせない”分解順にすると失敗が減ります。例えば、(1)タンクドレンやホース取り回しの確認、(2)燃料ラインを切り離して吐出量と異物混入を確認、(3)燃料ポンプの吐出・逆止を確認、(4)最後にキャブのフロート室やジェットに入る、という順です。古い車は「一度回ったからOK」ではなく、数十分のアイドリングや軽い走行で再びスラッジが剥離して二次トラブルが出るので、初回の始動後もフィルタは早めに再点検・交換が必要になります。
燃料タンクが怪しい時の“整備士向け”チェックポイントを、作業メモとして残しておくと後工程が楽です。
・ガソリンの色:茶色い、透明感がない、刺激臭が強い場合は要注意。
・ストレーナ/フィルタ:短時間で目詰まりするならタンク側が主因。
・キャブのフロートバルブ:噛み込みでオーバーフローしやすい。
・再始動後の症状:高負荷で息継ぎ→供給不足、黒煙→オーバーフロー/濃すぎ、など切り分けを早める。
必要に応じて、燃料系の“現状復帰”と“将来の安定”を分けて考えます。現状復帰は洗浄・交換中心、将来の安定はタンク内処理・配管更新・適正なフィルタリング(濾過の細かさと流量の両立)まで踏み込む設計です。ここが曖昧だと、直ったり再発したりを繰り返して工数が膨らみます。
点火は「火が飛んでいるか」だけでなく、「狙ったタイミングに安定して飛んでいるか」が性能とトラブル率を決めます。ポイント式点火は接点摩耗、カムフォロワ摩耗、デスビ軸のガタなどで点火時期が散りやすく、回転域が上がるほど再現性が落ちます。B110サニーの点火系をリフレッシュ&チューニングする文脈で、アイドリング10~15度前後、6000rpm付近から最大進角35~40度程度を狙う、という具体的な数値感の言及があり、旧車の点火は“数値目標を持って合わせる”のが有効です。
整備士目線では、点火時期を合わせる前に「機械的進角が本当に動いているか」「戻りが渋くないか」を確認するのが近道です。進角が固着していると、いくら初期を合わせても走行域で全く別物になり、失火・ノッキング・オーバーヒートの温床になります。逆に、バネが弱って過進角になると、高負荷で危険側に振れやすいので、点検は“動作の有無”だけでなく“進角カーブの妥当性”が論点です。
・アイドル回転数:規定に合わせ、回転の揺れを先に潰す。
・バキューム進角:一旦殺して機械進角だけを確認(仕様による)。
・タイミングライト:マークが読めるように清掃・白入れ。
・プラグ/コード:リークや失火があると、点火時期の議論が無意味になる。
「意外と見落としやすい」ポイントとして、点火時期を進めて調子が良く見える個体ほど、冷間始動性や始動直後の戻り(キックバック的な挙動)など別の不具合が潜んでいることがあります。点火は体感で追うとハマりやすいので、数値→症状→再測定の順で詰めると再現性のある整備記録になります。
キャブは“中が綺麗ならOK”ではなく、燃料供給の安定と、吸気漏れ・二次エアの有無が同じくらい重要です。燃料タンク由来の錆粉は、フロート室に溜まるだけでなく、ジェットやニードルに噛んで症状を周期的に再発させます。長期保管個体で燃料タンクの錆が問題になりやすいことは整備例でも触れられており、キャブ単体を直しても再汚染される、という“旧車あるある”を前提に段取りを組む必要があります。
整備士向けには、キャブ周りは「原因の層」を分けると早いです。
・燃料の層:供給不足、オーバーフロー、油面不良、フィルタ詰まり。
・空気の層:インマニガスケット、ホース劣化、負圧取り出し部のクラック。
・点火の層:失火で燃調不良に見える、という逆転現象。
・機械の層:圧縮、バルブクリアランス、タイミングずれ。
また、アイドリングが安定しない個体は、スロットル軸のガタや戻り不良が隠れている場合があります。調整ネジで“その場”は整っても、走行振動と熱で再びズレるので、調整より先にガタ・固着・戻りを直す方が結局は早いです。ここまで徹底すると、点火時期のセッティングも安定して追い込めるようになります。
旧車の整備で、走る・曲がるより先に“止まる”を作るのは鉄則です。長期放置車でブレーキ固着が起きていた例もあり、固着はキャリパ/ホイールシリンダだけでなく、ホースの内面崩れやマスターのカップ劣化など、系統全体で同時多発します。
整備の現場では、ブレーキは「一か所直すと別が破綻する」代表です。例えば固着の解除だけで走らせると、今度はシールが持たずフルード漏れ、次にエア噛み、最後に片効き、と連鎖します。だからこそ、当たりを付けたら部分修理ではなく、要交換部品を先に見積もって計画整備に切り替えると、結果的に工数もリスクも減ります。
点検・交換の優先度を付けるなら、実務的には次の順が安全側です。
・フルード:色と水分、漏れ跡の有無。
・ホース:膨れ、亀裂、内面詰まり疑い(戻り不良)。
・マスター/シリンダ:ダストブーツ内の滲み。
・調整:ドラムならクリアランス、当たり取り。
「意外な落とし穴」は、ブレーキが直った後にタイヤ・ハブ周りの異音が表面化することです。固着で引きずっていた期間が長いと、ハブベアリングやドラム/ロータが熱履歴を持ち、後から症状が出るので、試走後の再点検をルーチン化しておくと事故を避けられます。
参考)旧車 レストア オートショップ&…
検索上位は「具体的な部品交換・作業例」に寄りがちですが、整備士として結果を安定させる独自視点は“整備要領書(サービスマニュアル)を工程設計に使う”ことです。B110・KB110・VB110向けの整備要領書が、日産の正規品(1969年発行)として451ページ構成で流通している、という情報があり、体系立てて仕様確認できる土台があるのは大きいです。
単発のブログ情報は有益でも、車両の仕様差(年式・型式・改造歴)を跨ぐと破綻するので、最終的には整備要領書で“正”を引く運用にすると、上司チェックでも説明が通りやすくなります。
整備要領書を現場で活かすコツは、単にトルクや調整値を見るだけではありません。
・作業前診断:症状→点検順→判定、の流れをそのまま社内手順に落とす。
・再発防止:締結・調整・潤滑の指定を拾い、作業漏れを減らす。
・仕様差管理:型式(B110/KB110/VB110)で違う箇所をメモ化する。
・引き継ぎ:次の整備士が読んでも同じ結論になるよう“判断基準”を残す。
さらに、点火のように数値が絡む領域は、ブログの体感談よりも「目標値レンジ」と「前提条件」をセットで扱うのが安全です。実際に、点火時期の具体レンジ(アイドリング10~15度前後、最大進角35~40度)という“数字の会話”が成立している情報もあるため、現場記録も同じ粒度で残すと議論が速くなります。
整備要領書は“読む”より“使う”道具です。例えば、入庫時に「燃料・点火・制動・冷却」のチェックシートを作り、該当ページ番号を紐付けるだけで、属人化が一気に減ります。結果として、サニークーペb110の整備は「懐かしい旧車だから慎重に」ではなく、「工程と基準が見えるから確実に」へ変わります。
整備要領書(B110/KB110/VB110の範囲、451ページ構成・日産正規品の説明)
https://datsun1200.jp/index.php?dispatch=product_features.add_product&product_id=50
点火時期の考え方(B110の点火系チューンで、アイドリング10~15度・最大進角35~40度の数値目標に触れている箇所)
https://moriyamaen.exblog.jp/20608174/

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