

暖機運転を5分するだけで、あなたの交換コストは年間1万円以上変わります。
電動オイルポンプとは、モーターの力でエンジンオイルを吸い上げ、別の容器へ移送する機器のことです。自動車のオイル交換において、この電動ポンプが普及したことで、プロの整備士だけでなく、一般のカーオーナーでも安全・短時間でDIY交換ができるようになりました。
電源の種類によって大きく2つに分かれます。ひとつは自動車の12Vバッテリーに接続するDC12Vタイプ、もうひとつが家庭用コンセント(AC100V)を使うACタイプです。この記事で取り上げる「電動オイルポンプ 100V」は、家庭のコンセントに差し込むだけで動作するタイプになります。
| 項目 | AC100Vタイプ | DC12Vタイプ |
|---|---|---|
| 電源 | 家庭用コンセント | 車のバッテリー |
| 吸引力 | 強い(高粘度オイルにも対応) | やや弱め |
| 使用場所 | ガレージ・屋内向け | 屋外・車内対応 |
| 本体価格目安 | 1万円〜30万円超 | 3,000円〜2万円 |
| 流量目安 | 10〜20L/分 | 3〜6L/分 |
100Vタイプの最大のメリットは吸引力の強さです。乗用車の一般的なエンジンオイルだけでなく、2,500cP(センチポイズ)以下の高粘度オイルにも対応できる機種が多く、複数台の車を管理しているオーナーや、20Lのペール缶・200Lのドラム缶から補充する用途にも向いています。
動作の流れはシンプルです。コンセントを差し込み、吸引ホースをエンジンのオイルレベルゲージ穴(もしくはドレン口)に差し込んでスイッチを入れると、内蔵モーターが負圧を生み出してオイルを吸い上げます。つまり吸引・移送・排出の3ステップが自動で進みます。
これは使えそうですね。
ただし、100Vタイプはコンセントが必要なため、屋外やコンセントのない駐車場での使用には向いていません。ガレージや屋根付き駐車場で使うのが基本です。
アクアシステム株式会社「EVH-100 電動式ハンディポンプ(100V)」製品仕様ページ|吐出量・粘度対応・電源スペックの確認に
エンジンオイルの交換方法には「上抜き」と「下抜き」の2種類があります。電動ポンプ、特に100Vタイプは主に上抜き作業に対応した設計となっています。
上抜きとは、オイルレベルゲージ(レベルゲージ穴)からホースを差し込み、オイルパンに溜まったエンジンオイルを上方向に吸い上げる方法です。最大のメリットは「ジャッキアップ不要」という点。車を持ち上げる必要がないため、作業が格段に安全で、時間も大幅に短縮できます。電動100Vポンプで約4Lのオイルを抜き取るのにかかる時間は、機種にもよりますが5〜10分程度です。
一方、下抜きはエンジン底部のオイルパンに設置されたドレンボルトを外し、重力でオイルを落とす方法です。どの車種でも対応できる普遍性がありますが、ジャッキアップが必要で、ドレンボルトの締め忘れによるオイル漏れリスクも伴います。
上抜きが基本です。
ただし、すべての車で上抜きができるわけではありません。以下のような車種・状況では上抜きができないケースがあります。
- オイルレベルゲージ挿入口の口径が小さく、ホースが入らない車種
- レベルゲージが極端に曲がった経路にある車種
- SUVや一部のディーゼル車で、構造上ホースが底部まで届かない場合
自分の車がどちらに対応しているかは、事前に取扱説明書か整備書で確認しておくのが一番確実です。不安なら最初の1回だけでも整備工場で確認してもらうと安心できます。
なお、電動100Vポンプを上抜きで使う場合、エンジンを5分ほど暖機運転してからオイルを抜くと、粘度が下がってスムーズに吸引できます。冬場や寒冷地では20分程度の暖機が推奨されています。暖機なしで始めると、オイルが固く吸引力が追いつかず、途中で吸えなくなるトラブルが起きやすくなります。
イエローハット公式コラム「エンジンオイル交換は上抜きがおすすめ!」|上抜きできない車種の条件・手順の詳細を確認できます
電動オイルポンプを選ぶとき、多くの人が「安ければいい」「とりあえず100Vなら同じ」と考えがちです。しかし実際には粘度・流量・対応容器の3つを確認しないと、購入後に「オイルが吸えない」という事態になることがあります。
① オイルの粘度に合ったポンプを選ぶ
エンジンオイルには粘度グレードがあります。一般的な乗用車に使われる5W-30や0W-20は比較的サラサラな低粘度オイルです。一方、トラックや旧車、高回転スポーツ車に使われる10W-40・15W-50などは粘度が高く、対応できるポンプが限られます。
製品スペックには「対応粘度(cP)」が記載されています。例えばアクアシステムのEVD-100は2,500cP以下の高粘度オイルに対応しており、乗用車から業務用車両まで幅広く使えます。一方、安価な製品は1,000cP程度が上限であることも多く、冬場に粘度が上がったオイルでは吸引できないケースもあります。
② 流量(L/分)を確認する
流量とは1分間に何リットルのオイルを移送できるかを示す数値です。乗用車のオイル量は概ね3〜6Lですから、流量が3〜5L/分あれば1〜2分で抜き取り完了になります。アクアシステム EVH-100(100V)の吐出量は15L/分と大きく、業務用途や複数台の連続交換にも適しています。
つまり流量が大きいほど時短になるということです。
ただし、吸引ホースの内径が細いと流量が落ちてしまうことがあります。ホースの内径(mm)もあわせて確認しておくと安心です。
③ 対応容器を確認する(ペール缶・ドラム缶・ハンディ)
電動オイルポンプには3つのタイプがあります。
- 🪣 ハンディタイプ:タンクや容器に直接差し込んで使う小型タイプ。乗用車のオイル交換に最適。
- 🛢️ ペール缶タイプ:20Lペール缶に取り付けて使うタイプ。ペール缶でオイルを購入してDIY交換している方向け。
- 🏭 ドラム缶タイプ:200Lドラム缶用で業務用。整備工場・多数台管理向け。
自家用車1〜2台のDIYオイル交換なら、ハンディまたはペール缶タイプで十分です。
アクアシステム株式会社「ポンプ選定相談ページ」|粘度・用途・電源から最適なポンプを選べる公式ガイド
実際の使い方を、乗用車の上抜きオイル交換を例にしてステップごとに説明します。
事前に準備するもの:
- 電動オイルポンプ 100V(ハンディまたはペール缶タイプ)
- 新しいエンジンオイル(車種に合った銘柄・粘度)
- 廃油を受ける容器(ポリ袋+ダンボールなど)
- 使い捨てニトリル手袋・ウエス
手順:
1. ✅ エンジンを5〜10分暖機運転してオイルを温める(冬場は20分)
2. ✅ エンジン停止後、ボンネットを開けてオイルレベルゲージを抜く
3. ✅ ポンプのホースをゲージ穴からオイルパンの底まで差し込む
4. ✅ コンセントに繋いでスイッチON。オイルが吸い上げられていくのを確認
5. ✅ 吸引が完了したら(音が変わる・流量が落ちる)スイッチを切る
6. ✅ 新しいオイルを適量注入してキャップを締める
7. ✅ エンジンを再始動し、オイルレベルゲージで量を確認する
慣れれば全工程30分以内に完了します。
⚠️ よくある失敗と対策:
| 失敗パターン | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| オイルが途中から吸えなくなる | 低温でオイルが固い | 暖機を十分に行う |
| ホースが入らない | ゲージ穴が小さい | 口径の細いホースか、下抜きに変更 |
| ポンプから異音がする | フィルター詰まり | 使用後に内部を洗浄する |
| オイルが漏れる | ホース接続部の緩み | 接続部を毎回確認する |
作業後は廃油の処分も大切です。廃油はガソリンスタンドや自動車販売店に持ち込むと無料で引き取ってくれるところが多く、ポリ袋に入れてダンボールに詰める「廃油処理箱」(500円程度)も市販されています。
意外ですね。
オイル交換の費用相場は、ディーラーで3,000〜10,000円、カー用品店で2,000〜6,500円ほどです。電動ポンプを1万円前後で購入してペール缶オイル(20L・5,000〜8,000円)を使えば、1回あたりのコストを500〜1,000円以下に抑えられます。年2〜3回交換するとすれば、1年で5,000〜2万円の節約になる計算です。
Goo-net「オイル交換の上抜きと下抜きとは?DIYする際のメリットとデメリット」|上抜き・下抜きの手順と費用比較を確認できます
電動オイルポンプは「買ったら終わり」の道具ではありません。使いっぱなしにしていると、内部にオイルが残留して固着し、次回の吸引力が著しく落ちてしまいます。適切なメンテナンスを続ければ、3〜5年は安定して使えます。
使用後のホース洗浄が最重要です。
使用後にホース内に残ったオイルが固化すると、次回から吸引力が落ちます。使用後は少量の廃油かパーツクリーナーをホースに通し、内部を拭き出してから乾燥させましょう。特に高粘度オイルを使った後は念入りな洗浄が必要です。
定期的に確認すべき3か所:
- 🔍 ホース:亀裂・ひび割れがないかを毎回確認。劣化しているなら早めに交換。
- 🔍 フィルター(内蔵している機種):詰まると吸引力が急低下。3〜6か月に1回清掃。
- 🔍 電源ケーブル・コネクタ部:断線・焦げがあると火災の原因になります。
100Vタイプの場合、電源ケーブルの接触不良も意外な故障原因になります。コンセントの挿し込みが甘かったり、延長コードの容量が小さかったりすると、モーターの出力が落ちて「吸えない」症状が出ることがあります。定格電流(A)が適合した延長コードを使うことが条件です。
また、電動ポンプは連続使用時間に制限がある機種もあります。たとえば15〜20分の連続使用後は一定時間の休止を挟む「インターミッテント定格」の製品が多く、無視して使い続けるとモーターが焼け付くリスクがあります。乗用車1台分の交換(4L前後)なら問題ないですが、複数台を連続でこなす場合は休憩を挟みましょう。
厳しいところですね。
長く使うための保管方法:
電動ポンプは使用後に内部を洗浄した上で、直射日光・高温・湿気を避けた場所で保管します。ホースは折り曲げずに束ねてください。折り目がついたホースは亀裂が入りやすくなります。ビニール袋に入れて密閉保管すると、ほこりの侵入も防げます。
独自視点として、もう一つ意識してほしいのが「オイルの残