

普通のシートカバーをつけたまま走ると、サイドエアバッグが作動せず死亡事故につながります。
サイドエアバッグは、シートの背もたれのドア側に内蔵されているエアバッグです。側面衝突の衝撃をセンサーが感知すると、約0.03秒という瞬きよりも短い時間でシートと乗員の間に膨らみ、ドアからの直撃を受け止めます。主に守ってくれる部位は「胸部・腹部・骨盤」の3つで、特に肋骨や内臓への直接的なダメージを軽減する役割を担っています。
側面衝突は正面衝突に比べて車体側のクッションゾーンがほぼありません。正面衝突であればエンジンルームやフロントバンパーがある程度の衝撃を吸収しますが、ドアは鉄板1枚の厚さしかなく、横からの衝撃は体に直接伝わりやすい構造です。つまり胸部への影響が特に大きくなります。
サイドエアバッグが守るのは胸部が基本です。
ただし、重要な制限があります。サイドエアバッグはあくまで「側面衝突時のみ」に作動するよう設計されており、正面衝突・後面衝突・横転・多重衝突などでは基本的に展開しません。また、膨らんだ後はすぐにしぼんでしまうため、横転してから追加衝突が起きた場合などには十分に機能しないケースがあります。この点はカーテンエアバッグと大きく異なる特徴です。
さらに、サイドエアバッグはシートベルト併用式(SRS)という仕組みで動作します。シートベルトを正しく着用していない状態では、サイドエアバッグが作動しても乗員が適切な位置にいないため、エアバッグが十分に機能しないどころか、逆に大きなダメージを与える可能性もあります。シートベルトなしでは死亡率がおよそ15倍になるというデータもあるほどです。シートベルトが条件です。
国土交通省 自動車総合安全情報:エアバッグの作動条件と種類の解説
カーテンエアバッグは、フロントピラーからルーフサイド部分(天井の縁)に格納されているエアバッグです。普段は内装の裏側に完全に隠れており、存在に気づかないドライバーも少なくありません。側面からの衝撃を感知すると、まるでブラインドが降りてくるようにサイドウインドウ全体を覆い、頭部とガラス面の間に大きなクッションを作ります。
意外ですね。
保護する部位は主に「頭部・頸部」で、サイドエアバッグとは守る場所がまったく異なります。センターピラー(Bピラー)やガラスに頭が直接ぶつかるのを防ぐのが最大の役割です。米国のIIHS(道路安全保険協会)の調査では、頭部専用のカーテンエアバッグを搭載した車は、側面衝突時の死亡者数が非搭載車より最大37%少ないというデータが報告されています。
カーテンエアバッグの特徴として、展開後もしばらく膨らんだ状態を維持するという点があります。これが横転事故の際に重要な役割を果たします。横転時はドアや窓が大きく変形し、乗員が車外に放り出されたり、路面やガードレールと接触したりするリスクが高まります。カーテンエアバッグが長時間展開した状態であれば、こうした二次被害の軽減に効果を発揮します。横転時にも守られるのがカーテンエアバッグの強みです。
また、カーテンエアバッグは前席だけでなく後席まで対応している車種が増えています。ルーフラインに沿って前から後ろまで広がって展開するタイプが主流で、後部座席に乗る子どもや家族も側面衝突から保護できるのは大きなメリットです。一方、サイドエアバッグはあくまでシートに内蔵されているため、後席に設置するにはコスト・設計の観点からいまだ普及が遅れている現状があります。
トヨタ公式プレスリリース:サイドおよびカーテンシールドエアバッグの全車標準装備発表(IIHSデータ参照)
サイドエアバッグとカーテンエアバッグは、それぞれ守る部位が異なるため、どちらか一方だけでは側面衝突への対策として不完全です。サイドエアバッグだけでは頭部がガラスやピラーにぶつかるリスクが残り、カーテンエアバッグだけでは胸部・腹部への衝撃が大きなままになります。両方そろって初めて上半身全体を守ることができます。
トヨタが2007年に発表したプレスリリースでは、「SRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグを両方搭載した車では、側面衝突時の死者数が37%低減する」という米国の調査データを引用しています。これはどちらか一方だけの数値ではなく、セットで搭載した場合の数値です。両方がそろって初めて発揮できる効果ということです。
💡 車選びのポイントとして、カタログや仕様表で「サイドエアバッグ」と「カーテンエアバッグ(またはカーテンシールドエアバッグ)」がそれぞれ記載されているかを確認する習慣をつけましょう。「サイドエアバッグ」という表記だけでは、カーテンエアバッグが含まれていない可能性があります。
また、2018年6月15日以降に発売された新型車には「ポール側面衝突時の乗員保護に係る協定規則」が適用されており、電柱などの細い障害物への側面衝突に対する安全性が厳格化されました。この基準をクリアするためにはカーテンエアバッグの搭載が実質的に必要となるため、2018年以降のモデルは標準装備率が上がっています。ただし義務化された装置はあくまで基準への適合であり、装着形式や装備グレードはメーカーによって異なる点に注意が必要です。
| 項目 | サイドエアバッグ | カーテンエアバッグ |
|---|---|---|
| 格納場所 | シートの背もたれ側面 | ルーフサイド(天井縁) |
| 主な保護部位 | 胸部・腹部・骨盤 | 頭部・頸部 |
| 作動タイミング | 側面衝突時のみ | 側面衝突時・横転時 |
| 展開後の状態 | すぐにしぼむ | しばらく膨らんだまま |
| 後席への対応 | △(一部車種のみ) | 〇(多くの車種で前後対応) |
カーライフをより快適にするためにシートカバーを使っている方は多いでしょう。しかし、エアバッグ非対応のシートカバーは、サイドエアバッグの正常な展開を物理的に妨げる危険があります。シートカバーがエアバッグの展開口をふさいでしまうと、衝突時に適切な力と方向でエアバッグが広がらず、最悪の場合は乗員がまったく保護されないという状況が起こります。複数のシートカバーメーカーも「装着ミスや非対応品は重大な障害または死亡につながる恐れがある」と明記しています。
これは使えない情報ですね。
実際にTesla公式のオーナーズマニュアルでは「Model Yにシートカバーを使用しないでください。衝突発生時にシート搭載サイドエアバッグの膨張が制限される可能性があります」と記載があります。こうした注意書きは多くのメーカーのマニュアルに見られますが、実際に目を通しているドライバーは多くありません。
正しい対処法としては次の3点を確認することです。
また、ドアにもたれかかるクセがある方も要注意です。ドアへの体重のかけ方によってはカーテンエアバッグの作動を妨げる可能性があり、さらにエアバッグが展開した際に体がドア側にある状態だとケガの原因にもなります。シートに正しく座り、シートベルトを着用することがすべての前提です。
アルティナ(シートカバーメーカー):サイドエアバッグ対応シートカバーの安全基準と注意事項
新車ではカタログで確認できるサイドエアバッグ・カーテンエアバッグの有無も、中古車では意外に見落とされがちです。中古車を購入する際には、装備一覧表だけでなく以下の点を直接チェックすることが大切です。
まず、シートの側面(背もたれのドア側)に「SRS AIRBAG」または「SIDE AIRBAG」の刻印や縫い目がないかを確認しましょう。サイドエアバッグが内蔵されているシートには、展開のための専用の切れ目(ミシン目状の縫い目)があります。この縫い目が見えるかどうかが一つの判断基準です。
次に、天井の縁(ルーフサイドの内張り部分)を確認します。カーテンエアバッグ搭載車では、ルーフとAピラー・Cピラー付近に収納されたエアバッグが内張りをわずかに押し上げているため、内張りがわずかに膨らんでいる場合があります。これは慣れれば見分けられるポイントです。
エアバッグ警告灯の状態も必ず確認することが条件です。
事故歴がある中古車では、エアバッグが展開済みのまま交換されていないケースや、センサーの配線が断線しているケースも存在します。エアバッグ警告灯が点滅・点灯している車両は、万が一の際にエアバッグが正常に作動しない可能性があり非常に危険です。中古車購入前に必ずエンジン始動後の警告灯消灯を確認する、または第三者機関による整備点検済み車両を選ぶのが安心です。
さらに、修復歴(事故歴)のある車両ではサイドシル(車体の側面下部)やBピラーなどの補強部材が変形・交換されていることがあり、こうした箇所はサイドエアバッグのセンサーが設置されている場所と重なるため、センサーへの影響が残るケースも考えられます。中古車でサイドエアバッグの正常動作を確認したい場合は、信頼できるディーラーや国土交通省認定の整備工場での点検を検討しましょう。
🔍 中古車検索サービス(カーセンサー・グーネットなど)では「エアバッグ数」で絞り込める機能があります。「6エアバッグ以上」などの条件で検索すると、サイドとカーテンの両方が揃った車両を効率よく探すことができます。これは使えそうです。
JAF:エアバッグはどんな時に開く?種類と作動条件の解説(中古車選びの参考にも)

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