

パークトロニックの設定を「うるさい」と感じてOFFにしたまま乗り続けると、センサーの異常に気づかず修理費が3万円以上かかることがあります。
パークトロニック(Parktronic)は、メルセデス・ベンツが搭載する超音波センサーを使った電子式駐車支援システムのことです。フロントとリアのバンパーに複数の超音波センサーが埋め込まれており、車両と周囲の障害物との距離を音と表示で知らせてくれます。
このシステムが作動するのは、おおむね車速が15km/h以下になったタイミングです。駐車場や狭い路地でゆっくり走行するシーンで自動的に動き始めます。シフトをリバースに入れると後方センサーが、前進時は低速で前方センサーが動作します。つまり普通に走っている最中には基本的に鳴りません。
障害物との距離が縮まるにつれて、断続的な「ピッ、ピッ」という警告音がだんだん速く鳴り、最終的に連続音に変わる仕組みです。これは単なる騒音ではなく、距離の変化を音で伝える設計になっています。
| 警告段階 | 距離の目安 | 音の変化 |
|---|---|---|
| 遠い段階 | 約1.5m〜1m | 遅い断続音 |
| 中間段階 | 約1m〜0.4m | 速い断続音 |
| 危険段階 | 約0.4m以下 | 連続音(ピー) |
注意しておきたい点が1つあります。パークトロニックはあくまで「警告」システムであり、警告音が鳴っても自動ブレーキはかかりません。最終的に障害物を止まらずにゆっくり衝突してしまう可能性があるため、音を頼りにしつつも最後はドライバーがブレーキを踏む必要があります。この点を勘違いしている方が多く、「鳴ったから大丈夫」と思っていると接触事故につながるリスクがあります。警告は補助であることが原則です。
メルセデス・ベンツの公式オーナーズマニュアルでは、パークトロニックの機能や制限について詳しく説明されています。
メルセデス・ベンツ公式 パーキングアシストパークトロニックの機能ページ(警告距離の仕様など詳細を確認できます)
2018年以降のモデルに搭載されているMBUX(Mercedes-Benz User Experience)を使った設定手順は、画面操作で完結します。「設定が難しそう」と感じて放置している方も多いですが、実際には4ステップで完了します。
まず、ホーム画面から「設定」を選びます。画面右端にあるアイコンです。次に、上部タブから「アシスト」を選択し、「カメラ&パーキング」をタップします。この画面に入ると、以下の項目が個別に調整できます。
OFFにしたい場合は、上記メニューからは解除できません。センターコンソールにある専用の「P」ボタンを押すことでON/OFFが切り替えられます。これが別操作になっている点はやや分かりにくい設計ですが、覚えておけば問題ありません。
また、リバースギアに入れたときにオーディオ音量を自動で下げる設定も「警告音の設定」メニューから変更できます。これをONにしておくと、バック中に音楽が邪魔にならず、警告音もしっかり聞き取れるので非常に便利です。これは使えそうです。
設定変更後は必ずエンジンをかけ直した状態でテストすることをおすすめします。変更が反映されているかを駐車前に確認しておくと安心です。
ケーエムオートワークス福岡店 ベンツのパークトロニック設定手順の解説記事(MBUXのメニュー操作を画像付きで確認できます)
メルセデス・ベンツ公式マニュアルによると、警告タイミングは2つから選べます。「早め」に設定すると障害物まで1mの距離で警告が始まり、「標準」では0.4mまで近づいてから警告が鳴ります。この差は意外と大きく、駐車に慣れていない方や立体駐車場・機械式駐車場をよく使う方にとっては非常に重要な設定です。
1mと0.4mの違いを具体的にイメージしてみましょう。0.4mは大人の肩幅よりやや狭い距離です。標準設定のままだと、警告音が鳴った時点でもうほぼギリギリの位置に車がいることになります。一方「早め」に設定すれば、1mの余裕がある段階で知らせてくれるので、落ち着いて停車できます。
どちらを選ぶかの基準は、普段の駐車環境で決めるのがわかりやすいです。
ただし「標準」のまま使い続けると、ゆっくりとした接近でも音が鳴るタイミングが遅くなるため、雨天・夜間など視界が悪い状況では対応が遅れるリスクがあります。迷ったら「早め」に設定しておくほうが、万一の際のバッファになります。「早め」が基本です。
なお、最新のGLCクラス(C254)のような車種では、この警告タイミングとは別に「パッシブサイドインパクトプロテクション」という側面の障害物警告機能もマルチメディアシステムで個別に設定できます。幅寄せが多い都市部の駐車場では、この機能もONにしておくことで側面の壁や隣の車への接触リスクを減らせます。
メルセデス・ベンツ公式 警告距離の仕様(「早め」1m・「標準」0.4mの詳細が記載)
パークトロニックは精密な超音波センサーを使っているため、一定の条件下で誤作動が起きることがあります。「何もないのにピーと鳴る」「エンジン始動直後に突然鳴り出す」といった症状は、実際に多くのオーナーが経験しています。原因の多くはセンサー自体の故障ではなく、環境要因や一時的な電子系の不具合です。
誤作動の主な原因を整理すると次のようになります。
一時的な電子系の不具合が原因の場合は、エンジンを切って再起動するだけで直ることも多いです。それでも繰り返す場合、まずはMBUXの設定画面から感度を1段階下げてみると鳴る頻度が減る場合があります。センサーの汚れを疑うなら、洗車のついでにバンパーをしっかり水洗いしてみることが最初の対処としておすすめです。
注意が必要なのは、「よくあることだろう」と放置するケースです。特定のセンサーだけ反応しなくなったり、常に警告音が鳴りっぱなしになる場合は、センサー本体や接続コネクターの不具合が疑われます。こうした症状はディーラーまたは輸入車専門の整備工場での診断が必要です。
みんカラ パークトロニック誤作動の実体験レポート(保証修理に至った経緯と症状が詳しく記載されています)
パークトロニックのセンサーが本当に故障した場合、修理費用の目安を知っておくことは予算管理の上で重要です。放置すると後になって余計な出費につながることもあるため、早期に対応するほうが結果的に節約になります。
実際の修理事例を見ると、パーキングセンサーの点検・修理費用は3万〜5万円程度が多いです。グーネットピットに掲載されたメルセデス・ベンツCクラス(C250)の修理事例では、費用総額が34,560円(税込)でした。作業時間は約4時間で、診断機を使ったアクティブテストを実施してセンサーの異常箇所を特定する手順でした。
ただし、バンパーを取り外しての修理が必要な場合や、センサー制御ユニット(パークトロニックのコントロールユニット)本体の交換が必要になると、費用が10万円を超えるケースもあります。修理費が高額になる可能性があることは知っておいて損はありません。
故障リスクを少しでも下げるために意識したいのが、日常のセンサーケアです。バンパー脱着を伴う板金修理のあとは特に注意が必要で、修理後にパークトロニックが誤作動するケースが報告されています。板金修理に出す際は、事前に「パークトロニックのコネクターや配線に触れないよう注意してほしい」と一言伝えておくことで、後のトラブルを防げる可能性があります。
費用を抑えたいときは、ディーラー以外の輸入車専門の整備工場に相談する選択肢もあります。工賃単価がディーラーより安い場合がほとんどで、診断機を持っているかどうかを事前に確認してから持ち込むのがポイントです。
グーネットピット ベンツC250パークトロニック修理事例(費用明細34,560円・作業時間4時間の詳細が掲載)
カープレミア コーナーセンサー誤作動の修理費用相場(4万〜5万円が多いとのデータあり)
設定を正しく整えたパークトロニックは、日常の駐車シーンで頼れるアシスタントになります。単に音が鳴るだけの機能として捉えず、運転スタイルに合わせてカスタマイズすることが、このシステムを最大限に活かす近道です。
まず「音量を大きめ」にしておくことを基本として考えてください。音楽をよくかけながら運転する方は、バック時のオーディオ音量自動低下設定をONにしておくと、警告音が音楽に埋もれず聞き取りやすくなります。これはMBUXの「警告音の設定」から変更できる項目で、知らずにOFFのままにしているオーナーが少なくありません。
駐車場の種類によってもおすすめの設定が変わります。
パークトロニックは「設定さえすれば完璧」というシステムではありません。超音波センサーの特性上、草むらの長い草、強風、一部の吸音素材(コンクリートに塗られた消音材など)に対しては検知精度が下がることがあります。こうした場面では過信しないことも重要です。
また、最新のベンツ(MBUXシステム搭載車)ではパークトロニックとリアビューカメラが連動して動作します。バックカメラの映像でリアルタイムの状況を目で確認しながら、パークトロニックの音で距離感を把握するという二重確認ができます。カメラとセンサーは互いの弱点を補い合う関係です。カメラだけに頼るのも、音だけに頼るのも、どちらも半分しか活用していないことになります。両方を組み合わせることが、最も安全で確実な駐車の方法です。
パークトロニックの設定は、一度合わせてしまえば毎回変える必要はありません。自分の駐車環境と運転スタイルに合った設定を1回丁寧に行い、あとは定期的にセンサーの汚れをチェックする。このサイクルが、長く安心してシステムを使い続けるための最もシンプルなルーティンです。設定して終わりではなくメンテナンスも大切です。
メルセデス・ベンツ天王寺 駐車支援技術の最前線(パークトロニックとカメラ連動など、各機能の解説がまとまっています)

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