

コアキシャルスピーカーを選べば、音がまとまってドライブ中の音楽が最高になる——そう思っている人は少なくありません。でも実際は、「取り付けたけどなんか音が上から聴こえない」「足元でしか鳴っている感じがしない」という不満を抱えたまま乗り続けているドライバーが多いのが現実です。
コアキシャルスピーカーで3万円以上かけても、設置位置を変えない限り音場は改善されません。
コアキシャルスピーカーの最大のデメリットは、「音が鳴っている位置が足元になりやすい」という点です。これはコアキシャルという構造そのものに起因しています。
コアキシャル(Coaxial)とは「同軸」を意味します。高音を担当するツイーターと、中低音を担当するミッドウーファーが同じ軸上に一体化した構造のスピーカーです。つまり、ツイーターの取り付け位置はミッドウーファーが収まる場所と完全に一致します。ほとんどの車では、ミッドウーファーはドアの下部(足元側)にしか取り付けられません。そのため、すべての音域が足元から発生することになります。
音には「指向性」という特性があります。高い音域になるほど音の出どころが分かりやすくなり、低い音域ほど分かりにくくなります。この性質上、高音を担当するツイーターが足元にあると、すべての音が足元から聴こえているように感じてしまいます。つまり定位が下がるということですね。
たとえばカーナビでニュースや音楽を流したとき、アナウンサーの声やボーカルが「画面の下方向から聴こえる」という違和感を感じたことがあれば、それがまさにこのデメリットの影響です。特にノア・ヴォクシー、セレナなどの車高が高いミニバンクラスは、着座位置が高い分だけ足元との距離が開き、定位の低さをより強く感じやすくなります。
定位の低さを少しでも改善したい場合、カーナビやオーディオに「タイムアライメント」機能があるかどうかを確認することが有効です。タイムアライメントとは、左右のスピーカーまでの距離の差を補正し、音の到達タイミングを揃える機能のことで、音場の広がりと定位感を改善する効果があります。この機能が搭載されているのに設定していないというのは非常にもったいないです。ナビのオーディオ設定画面から確認してみてください。
カーオーディオ専門メディアの情報として、セパレートスピーカーとコアキシャルスピーカーの違いについて詳しくまとまっています。
実はあまり知られていませんが、カーオーディオのハイエンドスピーカーはほぼすべてセパレートタイプです。コアキシャルスピーカーはラインアップとして存在していても、上位グレードになるほど製品数が減っていきます。
これは構造的な理由があります。コアキシャルは一体型ゆえに、高音と低音の再生エリアが物理的に重なるため、音のチューニングに限界が生じます。対して、セパレートはツイーターとウーファーを分離できるため、それぞれ最適な素材・角度・位置で音を追い込むことができます。音質の追求に有利なのはセパレートということですね。
カロッツェリア(パイオニア)のラインアップを見ると、スタンダードクラスのコアキシャル「TS-F1740」の価格は約9,800円前後であるのに対し、同ブランドのハイエンドセパレートモデルでは10万円を超える製品も存在します。価格帯でいえばおよそ10倍以上の差があります。コアキシャルとセパレートでは、音に投資できる幅が根本的に異なります。これは意外ですね。
コアキシャルスピーカーで音質にこだわりたいと考えている場合、ある程度の予算をかけてもセパレートモデルほどの音質を求めることは難しいという現実があります。カーオーディオに本気で取り組むのであれば、セパレートへのステップアップも視野に入れておきましょう。ただし、セパレートに移行すると工賃も増えます。オートバックスの場合、コアキシャルの取り付け工賃が8,800円〜であるのに対し、セパレートは17,600円〜と約2倍になることを覚えておいてください。
カロッツェリアの公式サイトでは、コアキシャルとセパレートそれぞれの特徴とラインアップが確認できます。
カスタムフィットスピーカーの選び方|carrozzeria(カロッツェリア)
これは見落とされがちな盲点です。純正スピーカーがすでに「セパレートタイプ」として装備されている場合、そこにコアキシャルスピーカーを取り付けると、音質が純正より下がる可能性があります。
近年の上位グレード車種や外車では、最初からセパレートタイプの純正スピーカーが装着されているケースがあります。そのような車にコアキシャルスピーカーを取り付けると、ツイーターの位置が高い位置(ダッシュボードやピラー)からドア下部に移動することになり、音の定位が大幅に低下します。結論は「交換前に純正スピーカーの種類を確認する」です。
確認方法は簡単です。ドアの内張りを外すか、ドアの内側を覗いてみたときに、ダッシュボードやAピラー付近に小さな別体のツイーターが見えれば純正セパレートです。その場合は、交換先も同じくセパレートタイプを選ぶことが基本です。
e燃費の記事でも、純正がセパレートの場合にコアキシャルへ交換することのリスクが言及されています。
コアキシャルスピーカーへの交換を検討する前に、まず購入した車のスペックシートや取扱説明書でスピーカー仕様を確認する習慣をつけましょう。カーオーディオ専門店やディーラーに相談してみるのも一つの手段です。
コアキシャルスピーカーに交換したのに「思ったより音が変わらない」「低音がこもる」という声があります。その原因のひとつがデッドニング不足です。
車のドアは鉄板でできており、スピーカーを取り付けたとき、そのスピーカーの背面から出た音がドア内部で反響し、正面から出た音と干渉します。この干渉が「低音のこもり」や「音のぼやけ」につながります。スピーカーは空気の振動を音に変えるものですが、取り付け環境が悪いと本来の振動が正しく伝わりません。デッドニングが条件です。
デッドニングとは、ドアの鉄板に制振材(ブチルゴム系のシート)や防音材を貼ることで、不要な振動と反響音を抑える作業のことです。スピーカーにとっての「専用エンクロージャー(スピーカーボックス)」を車のドア内に作り出すようなイメージです。たとえるなら、音楽室の吸音パネルを思い浮かべてもらうとわかりやすいですね。
オートバックスでのデッドニング工賃は、ドア1枚あたり33,000円〜となっています。左右両ドアで実施すると工賃だけで66,000円〜かかります。これは決して安くない出費です。DIYで実施する場合は、ホームセンターや Amazon で1,500〜3,000円程度の制振シートと防音シートを購入して作業することで、コストを大幅に抑えられます。ただし、作業には内張りはがしなどの工具が必要になります。
デッドニングの詳しい方法や効果については、カーオーディオ専門メディアに詳しい解説があります。
一般的にコアキシャルスピーカーは「フロントにもリアにも使える万能タイプ」として紹介されることが多いです。しかし、フロントスピーカーとして使うときこそ、定位感のデメリットが際立つという点を見落としているドライバーが多くいます。
リアスピーカーに使う場合はどうなるのかというと、後席からのサウンドはあくまで「全体の音の広がりを補う役割」であり、定位の精度はあまり求められません。足元から音が出ていても、後席乗客にとっては大きな違和感にはなりにくいのです。つまりリアなら問題ありません。
一方でフロントスピーカーは、ドライバーや助手席の乗員が音楽を「正面で聴く」メインスピーカーです。ボーカルや楽器の位置感・臨場感はすべてフロントスピーカーの性能にかかっています。そのフロントに、定位が下がりやすいコアキシャルを使うことは、音楽体験の質を下げるリスクを内包しています。
カーオーディオの専門家やプロショップが口をそろえて言うのが、「フロントはセパレート、リアはコアキシャルが理想的な組み合わせ」という考え方です。フロントにセパレートスピーカーを置いてしっかりと音の定位を確保し、リアにコアキシャルを使って自然なサラウンド感を出す——この使い分けが、コスパと音質のバランスが最も取れた選択になります。
具体的な商品選びのヒントとして、フロントにはカロッツェリアの「TS-C1740S」(セパレート・17cm・実勢価格20,000円前後)、リアにはコアキシャルの「TS-F1740」(コアキシャル・17cm・実勢価格9,000〜10,000円前後)という組み合わせが人気です。これはコストを抑えながら音場を整えたい人にとって有力な選択肢になります。これは使えそうです。
フロントとリアのスピーカー使い分けの考え方について、実績あるDIYサイトに詳しい解説があります。
リアスピーカーは交換する必要なし?コアキシャルの活用法|sirout-diy.com