

現行のカマロは第6世代で、メーカーが「2024年モデルで生産終了」と公表しており、最後の車両は2024年1月にミシガン州のランシング・グランドリバー工場で製造・出荷予定と報じられました。整備側としては、この「現行=継続生産中」という前提が崩れると、部品供給のリードタイムや代替品選定、見積もりの有効期限管理が一気に重要になります。特に輸入車として扱われる個体では、車検の残り期間より「次の故障時に部品がいつ来るか」が顧客満足に直結するため、点検入庫のたびに“先に交換しておくと安全な消耗・劣化部位”を棚卸しして提案するのが現実的です。
また、生産終了のニュースでは「すぐに後継車を発表するわけではないが、これが物語の終わりではない」とメーカー側コメントも紹介されています。つまり、将来の名称復活や電動化などの可能性は残る一方で、少なくとも現行6代目の現物に対しては「今ある個体を長く維持する整備」がメインテーマになります。現場で効くのは、故障が起きてからの対応力より、起きる前に“時間がかかる部品”を読み切る力です。
参考:生産終了の公式発表内容(生産終了時期、工場、コレクターズ・エディションの扱い)
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1487877.html
カマロ現行(6代目)で、整備士が最優先で把握しておきたい代表例が「軽いスロットルでのシェイク/ジャダー」です。GMの技術情報(TSB 18-NA-355)は、25〜80mph(約40〜128km/h)の定常走行域で、変速中ではないのに“ランブルストリップ(舗装の溝)を踏んだような”振動として訴えられる、と症状表現まで具体的に示しています。原因はトルクコンバータクラッチ(TCC)由来のジャダーの可能性がある、と明記されており、診断の入口として非常に強い根拠になります。
重要なのは「やみくもに分解しない」ことです。TSBでは、対象条件に合う車両は“適切なフルード交換手順を実施する”ことが是正策とされ、顧客訴え以外の過剰診断が不要なケースもある、と読み取れます。さらに、フルード交換後に効果がすぐ出ることもあるが、ジャダー解消には最大320km(200mi)程度かかる場合があり、最低2回のコールド→通常温度の走行サイクルが必要、と説明されています。ここを知らないと「交換したのに治らない、やり直しだ」と不毛な再入庫が増えるので、納車時の説明テンプレに入れておくと事故が減ります。
実務でのコツは、試運転の“再現条件”を台本化することです。TSBが示す速度域と「定常」「軽いスロットル」「変速中ではない」を満たすように、Dレンジ固定・回転数・ロックアップの入り方を意識して再現させ、路面由来(タイヤ、ハブ、プロペラシャフト)との違いを切り分けます。似た症状でも、エンジン側の失火や点火系の不調は“負荷変動で症状の出方が荒れる”ことが多い一方、TCCジャダーは“条件が揃うと規則的に出る”ため、同乗確認の短時間化に効きます。
参考:8速ATのTCCジャダー条件と是正(TSB 18-NA-355、対象車種にCamaroを明記)
https://static.nhtsa.gov/odi/tsbs/2019/MC-10163890-9999.pdf
カマロ現行のような高出力・高負荷前提のパワートレーンでは、冷却系の“小さな滲み”が後で大きなトラブルになりやすいのが定番です。国内の整備系解説でも、冷却水漏れや水温トラブルとして、サーモスタットの固着(開かない/閉じない)でオーバーヒート気味やオーバークール寄りになる例、さらにウォーターポンプからの微量漏れが経年で出やすい、といった指摘があります。輸入車である以上、ここで痛いのは「すぐ直る」ではなく「部品待ちで車が動かない」ことなので、車検や定期点検のタイミングで、リーク痕・クーラント臭・リザーブタンク量の変化・アンダーカバー内の付着など、地味な観察をルーチン化するのが効果的です。
点検の現場では、見た目だけでなく“温度の上がり方”も記録しておくと後で役立ちます。例えば、暖機の水温の立ち上がりが遅い、ヒーターが効きにくいなどはオーバークール側の兆候になりえますし、逆に高速巡航後の停車で一気に上がるなら流量不足やエア噛みなどの疑いが濃くなります。電子制御サーモが絡む車種では、機械的故障と制御異常が混ざることもあるため、DTCが無い段階で「異常なし」と切り捨てず、顧客の体感を数値(温度・減り量・再現条件)に落とす姿勢が重要です。
現行カマロの“痛い出費になりやすい系統”として、エアコンと電装を同列に扱うと説明が通りやすくなります。部品流通の視点からの解説では、エアコンコンプレッサー故障の問い合わせが多いとされ、焼付きやロックで内部の削れカスがシステム内に回ると、コンデンサー交換や配管の清掃など修理範囲が拡大し、結果的に高額化しやすいと述べられています。整備士としては、単に「冷えない→ガス不足」だけで終えず、異音・クラッチ作動(電動可変の有無)・高低圧の推移・コンデンサーの目詰まりや損傷など、初見で“重症化ルート”を潰すのがポイントです。
電装側では、オルタネーター故障が高額化しやすい旨が指摘され、発電不良からバッテリー上がり→レッカー→バッテリー交換…と雪だるま式に費用が増えるシナリオが現場では起きがちです。ここで効くのが、入庫時の電圧・充電電流・リップルの簡易チェックを標準作業にすることです。顧客は「ある日突然動かない」を最も嫌うので、症状が軽い段階で“予防交換の是非”を説明できる材料(測定値、再現性、同型事例)があると強いです。
検索上位の情報は「故障箇所の列挙」になりがちですが、整備士向けに価値が出るのは“受付〜見積もり〜納車説明”まで含めた運用設計です。カマロ現行は、8速ATジャダーのようにメーカー文書で条件・原因・是正・注意点(効果が出るまで最大320kmなど)が具体化されている領域があり、ここを「口頭の経験談」ではなく「手順と説明」に落とせるのが強みになります。つまり、作業の腕前だけでなく、クレームを未然に防ぐ文章力・説明力が、そのまま工場の利益に直結します。
以下は、カマロ現行の初回来店や車検入庫で使いやすい、現場向けの簡易チェックリスト例です(入れ子にしない運用前提)。
✅ 受付・問診(再現条件の固定)
⚙️ 試運転(時間短縮の段取り)
🧊 冷却系(滲みの見逃し防止)
❄️ エアコン(重症化の芽を摘む)
🔋 電装(突然死を防ぐ)
ここまでやっておくと、カマロ現行の整備は「壊れたら直す」から「壊れ方を予測して止める」に移行できます。生産終了後に個体価値が上がる/下がるは市場次第ですが、少なくとも顧客が評価するのは“困った時に、原因と手順を短時間で示してくれる工場”です。現行カマロでそれをやる近道が、TSBで語られている領域(8速ATのジャダー)を核にして、冷却系・エアコン・電装を「止まりやすい順」に並べて整備提案することだと考えてください。

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