チッピング塗装のやり方・車の手順と失敗しないコツ

チッピング塗装のやり方・車の手順と失敗しないコツ

チッピング塗装のやり方を車で実践する全手順と失敗しないコツ

洗車機を1回使うだけで、せっかくのチッピング塗装のマット感が台無しになります。


この記事でわかること
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チッピング塗装とは何か?

クリア塗装なしで仕上げるマット塗装の基本と、通常塗装との違いをわかりやすく解説します。

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DIYの正しいやり方・手順

下地処理→プライマー→缶スプレーの施工まで、失敗しないための具体的な手順を紹介します。

⚠️
施工後のメンテナンスと注意点

洗車機NGの理由や、塗装を長持ちさせるお手入れ方法・コーティングの選び方を解説します。


チッピング塗装とは何か?車の通常塗装との違い





チッピング塗装とは、クリア塗装や研磨の工程をあえて省略し、表面にザラザラとしたボコボコの質感を残したまま仕上げる塗装方法です。「チッピング」という言葉はもともと、走行中に跳ねた飛び石が車体に当たって塗膜が欠け落ちる現象(塗装の欠損・傷)を指す言葉でした。近年は、その独特な凸凹の質感にデザイン的な価値が見出され、バンパーやグリル、ホイールなどのパーツに意図的に施す「マット系カスタム塗装」として広く普及しています。


通常の車の塗装は、ベースとなるカラー塗料を吹き付けた後に、艶を出し塗装面を保護するためのクリア塗装を重ねます。さらにコンパウンド(研磨剤)で表面を磨いて平滑にするため、街でよく見かける車のボディはどれも光沢感が均一です。チッピング塗装はこれとは逆の発想で、クリア塗装も磨きも行わないため、表面がザラついたまま、ツヤのないマットな仕上がりになります。これが重厚感や無骨な存在感を生み出す正体です。


つまり通常塗装との根本的な差は「クリア層があるかどうか」です。


この違いが、施工後のメンテナンス方法にも大きな影響を及ぼすため、後述するケア方法をしっかり把握しておくことが大切です。特にSUVやオフロード車、アメ車など車体の大きい車に施すと、重厚感がより際立ちます。また、ラプターライナーと呼ばれる高耐久ウレタン素材のチッピング塗料も人気で、通常のチッピング塗装よりも耐久性・防錆性に優れる点が特徴です。


参考:チッピング塗装の基本・メリット・デメリット解説(カーコンビニ倶楽部)


チッピング塗装のDIY施工に必要な道具と缶スプレーの選び方

チッピング塗装をDIYで行う場合、まず必要な材料と道具を揃えることが出発点になります。材料費の合計は、脱脂剤・プライマー・チッピングスプレー缶6〜8本程度で8,000〜20,000円ほどが目安です。バンパーとフロントグリルだけならスプレー缶6本程度で足りることが多く、実際にこの量で材料費8,000円前後に収めたDIY事例も報告されています。これはコンビニのランチ代1回分程度の単価で塗装できる計算です。


必要な道具・材料リストは以下の通りです。


| アイテム | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 🧴 シリコンオフスプレー(脱脂剤) | 1本 | ソフト99など定番品 |
| 🎨 プライマー(ミッチャクロンなど) | 1〜2本 | 密着性を高める必須品 |
| 🖌️ チッピング塗料スプレー缶 | 6〜10本 | イチネンケミカルズ NX83・NX483など |
| 🎭 マスキングテープ | 適量 | 幅広タイプも用意 |
| 📰 養生シート・マスカー | 適量 | 塗料が広範囲に飛ぶため必須 |
| 400番 サンドペーパー | 数枚 | 足付け工程に使用 |


チッピング塗料には大きく2種類あります。1つは「通常チッピング塗料」、もう1つは「ラバーチッピング塗料」です。通常タイプは硬質な仕上がりになりますが、ゴム質の柔軟性を持つラバーチッピングは衝撃吸収性が高く、樹脂バンパーへの使用に向いています。商品の代表例は「イチネンケミカルズ NX483 ラバーチッピング ブラック」などで、Amazonや近くのカー用品店で購入可能です。


塗料は選び方だけで仕上がりに差が出ます。


スプレーガンとコンプレッサーを使えばよりプロに近い仕上がりが期待できますが、一般の方には設備のハードルが高めです。缶スプレーでも、正しい手順を守れば十分なクオリティが出せます。塗装パーツを地面から浮かせた状態(脚立の上に置くなど)にすると、塗り残しが減り、より均一に仕上がります。


参考:ラバーチッピングDIY実践レポート(mnkk-base.com)
https://mnkk-base.com/2022/01/12/astro-rubber-chipping/


チッピング塗装のやり方・車への施工手順を徹底解説

ここからが本題の施工手順です。順序を間違えると塗装がすぐ剥がれるため、各ステップを正しく踏むことが重要です。特に下地処理は地味に見えますが、仕上がりの8割を左右すると言っても過言ではありません。


STEP1:パーツの取り外しと洗車


バンパーやグリルなど塗装するパーツを可能であれば車体から取り外します。取り外し作業で万が一傷つけることが心配な場合は、車体に装着したままマスキングで対応することも可能ですが、外して作業する方が圧倒的に塗りやすくなります。取り外したパーツは水洗いで表面の泥・汚れ・油分を落とし、水気を拭き取って完全に乾燥させましょう。


STEP2:足付け(サンドペーパーで研磨)


乾燥したパーツの表面を400番程度のサンドペーパーで軽く研磨します。これが「足付け」と呼ばれる工程で、塗料の密着力を高めるための細かな傷を意図的に作る作業です。ちょうど名刺1枚分の面積ずつ、一定方向に優しく磨くイメージで行います。削りカスはウエスで丁寧に拭き取り、表面が滑らかになっていることを確認してください。足付けが条件です。


STEP3:脱脂処理


シリコンオフスプレーを表面に吹きかけ、ウエスで拭き取る作業を2〜3回繰り返します。手の皮脂や洗剤の残りが少しでも残っていると、塗料が弾いてしまいます。この工程を省略すると塗装が数週間で浮いてくる原因になるため、絶対に省かないようにしましょう。


STEP4:プライマー(ミッチャクロン等)の塗布


脱脂後はすぐにプライマーを吹き付けます。スプレー缶をパーツから15〜20cm(A4用紙の縦の長さほど)離して、薄く均一に2〜3回重ね塗りします。1回ごとに10〜15分ほど乾燥させてから重ね塗りするのが基本です。プライマーが乾燥したら、いよいよチッピング塗装に移ります。なお、足付けをした場合は密着剤(ミッチャクロン)のみで十分で、プライマーを重複して塗る必要はありません。


STEP5:マスキング


塗装しない部分(窓ガラス、ライト、ボディの境界線など)をマスキングテープと養生シートでしっかりと覆います。チッピング塗料は微粒子状の霧が広範囲に飛散するため、養生は想定より広めに取ることがポイントです。隣のパーツに塗料が付いてしまうと除去が非常に困難になります。


STEP6:チッピング塗装の施工


マスキングが完了したら、チッピング塗料スプレーをパーツから15〜20cm離して吹き付けます。1度に厚塗りせず、薄く重ね塗りを3〜4回繰り返すことが鉄則です。1回吹き付けたら5〜10分乾燥させてから次の層を重ねます。スプレー缶は吹き始めと吹き終わりをパーツの端で終わらせず、パーツの外側で始動・停止させると塗り溜まりを防げます。また、缶はこまめに振ること。残量が少なくなると噴射が不安定になりやすいため、ケチらず新しい缶に切り替えるのが賢明です。


STEP7:乾燥・養生外し


表面が硬化するまでの目安は30分〜1時間程度ですが、完全乾燥には数日から1週間以上かかります。乾燥不足のまま触ると指跡が残ることがあるため、焦らず待つことが大切です。マスキングテープは完全乾燥後にゆっくり剥がします。テープを急いで引っ張ると塗装が一緒に剥がれる原因になります。


チッピング塗装の施工後のメンテナンスと洗車方法

施工が終わったあとの管理を怠ると、塗装の寿命が大幅に短くなります。特にチッピング塗装はクリア層がないため、紫外線と物理的な摩擦の影響を直接受けやすいという弱点があります。


まず洗車に関しては、手洗いが絶対の原則です。洗車機を使ってしまうと、ブラシの摩擦が表面を削ってしまい、チッピング塗装特有のマット感・ザラザラ質感が失われます。仕上がりに艶が出てしまい、せっかくのカスタムが台無しになるのです。これは痛い出費です。


洗車方法の基本は以下を守りましょう。


- 💧 カーシャンプーは使わず、基本は大量の水で優しく水洗い
- 🚫 コンパウンド・ワックス配合のシャンプーは絶対使用禁止(マット感を破壊する)
- 🧽 スポンジやクロスは柔らかい素材を選び、表面を擦りすぎない
- 🌡️ 頑固な汚れにはクロスを被せて70℃前後のお湯をかけると効果的
- 🪣 どうしてもシャンプーが必要な汚れには中性または弱酸性のカーシャンプーを使用
- 💨 洗車後は水シミ防止のため、柔らかいタオルで水気をすぐに拭き取る
- 🏠 可能なら屋内か屋根付き駐車場で保管(紫外線・雨水・花粉の影響を減らす)


塗装を長持ちさせるために、艶消しタイプのクリアやコーティング剤を上から施工するという選択肢もあります。ただし、チッピング塗装に通常のコーティングを施すと、凹凸のある表面にムラが生じやすく、失敗すると研磨で修正できない場合があります。施工する場合はチッピング塗装専用の艶消しタイプの製品を選ぶこと、そして不安であれば専門店に依頼することをおすすめします。


参考:チッピング塗装のお手入れ方法・洗車の注意点(ゼブインオンラインストア)
https://www.zwebonlinestore.com/blog/coating/14038/


チッピング塗装をDIYすると20万円以上の節約になる?費用と業者依頼の比較

費用面から見ると、DIYと業者依頼には大きな差があります。業者にチッピング塗装を全体施工で依頼した場合、軽自動車・コンパクトカークラスでも20万円前後、大型のミニバンやSUVなら35万円前後が相場です。部分塗装(バンパーなど)に限定すれば10万円前後で依頼できる業者もあります。


一方、DIYで缶スプレーを使って行う場合は脱脂剤・プライマー・チッピング缶スプレーを合わせて10,000〜20,000円程度で施工できます。業者依頼との差額は、バンパー1箇所で比較しても数万円から数十万円に及ぶこともあります。これはコスト差として非常に大きな額です。


ただし、DIYには以下のリスクも存在します。


- 失敗した場合、補修のための再塗装が必要になり余計なコストが発生する
- 下地処理が不十分だと数週間〜数ヶ月で塗装が浮いて剥がれる
- 塗り残し・ムラ・養生ミスによる「余計な箇所への塗料付着」が起こりやすい


塗装経験がない場合は、バンパー1本だけを試しにDIYしてみるなど、部分的なチャレンジから始めるのが堅実な方法です。初めてで全塗装に挑戦すると、仕上がりの差が目立ちやすくなります。また、業者に依頼する際は「安さだけ」を基準に選ぶのは禁物です。工程の省略による仕上がり不良が後々のトラブルにつながる可能性があるため、技術力と実績を重視して選ぶことが長期的なコストパフォーマンスを高めます。


参考:チッピング塗装の費用相場・DIYの手順(カーコンビニ倶楽部)


【独自視点】チッピング塗装は「再塗装しやすい」という隠れメリットがある

通常の光沢塗装(クリアあり)で失敗すると、コンパウンドで磨いて修正する作業が必要で、これが素人には非常にハードルが高い工程です。ところがチッピング塗装の場合、表面に凸凹のザラザラ質感があるため、多少の塗りムラや部分的な仕上がりの差が目立ちにくいという特性があります。


これは使えそうです。


通常の光沢塗装では0.1mmの凹凸も光の反射で目立ってしまうのに対して、チッピング塗装は元からランダムな凸凹が全体にあるため、視覚的なノイズとして吸収されるのです。DIY初心者にとって「鏡面仕上げではないから、少しくらい下手でも何とかなる」という心理的なハードルの低さが、チッピング塗装がDIYで人気を集める本当の理由でもあります。


また、仮に数年後に塗装が劣化した場合でも、上から重ね塗りすることで比較的簡単にリフレッシュできます。光沢塗装なら全体を磨いてから塗り直すという大掛かりな作業が必要になりますが、チッピング塗装の重ね塗りは「脱脂して吹くだけ」に近い工程で補修できるため、長期的なメンテナンスコストが低くなるという隠れたメリットがあります。


さらに、もし将来チッピング塗装をやめて元の色に戻したいと考えた場合には、ラッピングフィルムの活用が効果的です。チッピング調のマットフィルムをボディに貼り付けるラッピング塗装は、剥がすだけで元の状態に戻せる可逆性の高さが特徴で、DIYでも40,000〜60,000円程度で施工できます。塗装のやり直しが怖い方や、将来的に売却を考えている方にとっては現実的な代替手段です。


元の塗装を傷めずに楽しめる方法の一つとして、ラッピングフィルムも候補に入れておくと選択肢が広がります。マット系フィルムの質感はチッピング塗装に近い雰囲気があり、Amazonや専門店で購入して自分で貼ることも可能です。




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