アンダーステア・オーバーステアの違いと安全な対処法

アンダーステア・オーバーステアの違いと安全な対処法

アンダーステア・オーバーステアの違いと原因・対処法

曲がりすぎず膨らまないコーナリングができるのに、アンダーステアを放置するとタイヤ交換が早まり出費が倍以上になります。


この記事のポイント3選
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アンダーステアとオーバーステアとは?

アンダーステアは「ハンドルを切っても曲がらない(外に膨らむ)」、オーバーステアは「ハンドル以上に曲がりすぎる(内に切れ込む)」現象。いずれもタイヤのグリップ限界が原因です。

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発生しやすい車と原因

FF車はアンダーステア、FR車はオーバーステアが起きやすい構造。速度超過・急ハンドル・タイヤの空気圧不足が三大原因です。

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正しい対処法と予防のコツ

アンダーステアはアクセルを戻す、オーバーステアはカウンターステアが基本。ESC(横滑り防止装置)が2018年以降の全新車に義務化され、単独事故を約44%低減します。


アンダーステアとオーバーステアの違いをわかりやすく解説





コーナリング中に「あれ、思ったより曲がらない…」と感じたことはないでしょうか。その感覚こそが、アンダーステアの典型的なサインです。まずは、この2つの用語の意味から整理していきましょう。


アンダーステア(understeer)とは、ハンドルを切った角度に対して、実際の車の向きが「不足(アンダー)している」状態を指します。つまり、ドライバーが意図した旋回半径よりも大きく膨らんでしまい、カーブの外側に向かってどんどんはみ出していく現象です。ハンドルを目一杯切っているのに、車が前に突き進んでいくイメージです。


対してオーバーステア(oversteer)は、その逆。ハンドルを切った角度に対して、車の向きが「過剰(オーバー)している」状態です。実際の旋回半径が小さくなりすぎ、車がカーブの内側にどんどん切れ込んでいきます。そのまま放置すると、車体が回転してスピンに至るケースも珍しくありません。ドリフト走行は、このオーバーステアの特性を意図的に活用した走行技術ですが、公道では道路交通法違反・事故の原因となるため絶対に行ってはいけません。


つまり基本は「曲がらないのがアンダー、曲がりすぎるのがオーバー」です。


2つをひと言でまとめるなら、どちらも「タイヤのグリップ力が、クルマに働く遠心力や慣性力に負けた状態」と言えます。グリップが前輪で先に限界を超えるとアンダーステア、後輪が先に限界を超えるとオーバーステアになります。ただし、これは原則論であり、実際の走行ではさまざまな条件が複合的に絡むため、状況はより複雑になります。


ちなみに、レーシングドライバーや自動車メーカーの現場では「アンダー」「オーバー」と略して使われることが多く、スバルはかつてアンダーステアを「発散」、オーバーステアを「収束」と日本語に置き換えていたという逸話もあります。


参考:レーシングドライバー・中谷明彦氏によるアンダー/オーバーステアの本来の定義と誤解されやすいポイントについての解説です。


レーシングドライバーが「本当の」意味を解説!誤解だらけの「アンダーステア」と「オーバーステア」 – WEB CARTOP


アンダーステアが起きやすいFF車・オーバーステアが起きやすいFR車の特徴

アンダーステアとオーバーステアは、どんな車でも同じ確率で起きるわけではありません。車の「駆動方式」が、どちらの特性が出やすいかを大きく左右します。


FF車(前輪駆動)でアンダーステアが起きやすい理由は、フロントタイヤの「一人二役」にあります。FF車のフロントタイヤは、エンジンの動力を地面に伝える「駆動」と、ハンドル操作で進路を変える「操舵」の両方を担っています。これは、片方だけを担う場合と比べてフロントタイヤへの負担が2倍になる状態です。コーナリング中にアクセルを踏んでいると、前輪は「前に進む力」と「曲がる力」を同時に受け持つことになり、グリップが不足してアンダーステアが発生しやすくなります。


現在、日本の乗用車の約7割はFF車と言われています。街中を走るコンパクトカーやファミリーカーの多くがFFですから、アンダーステアは一般ドライバーにとってより身近なリスクと言えるでしょう。


FR車(後輪駆動)でオーバーステアが起きやすい理由は、後輪に動力を集中させる構造にあります。コーナリング中、後輪は車を曲げる力と前に進む力の両方を受け持ちます。アクセルを強く踏み込んだり、急なハンドル切り返しがあったりすると、後輪のグリップが抜けてリアが外に流れ、オーバーステアが発生するリスクが高まります。


これが条件です。


4WD車の場合は、4輪すべてに駆動力が分散されるため、理論上はFF・FRよりも安定していると思われがちです。しかし実際には、4輪に動力が加わる分、コーナリング中の「曲げる力」が相対的に弱くなるため、基本的にはアンダーステア傾向となります。特にハイパワー4WD車では、「プッシングアンダー」と呼ばれる強めのアンダーステアが出やすい点に注意が必要です。


| 駆動方式 | 主な特性 | 代表的な車種例 |
|---|---|---|
| FF(前輪駆動) | アンダーステア傾向 | トヨタ・ヤリス、ホンダ・フィットなど |
| FR(後輪駆動) | オーバーステア傾向 | マツダ・ロードスター、スポーツカー全般 |
| 4WD | アンダーステア傾向 | SUV、スバル車、各社AWDモデルなど |
| MR(ミッドシップ) | バランス型だがリバースステアに注意 | スーパーカー、一部スポーツカー |


多くの市販車は、メーカーが意図的にアンダーステア寄りにセッティングしています。理由は「ハンドルを切っても曲がらない感覚」の方が一般ドライバーでも察知しやすく、スピンのリスクが低いからです。これは安全設計上の判断です。


参考:FF車・FR車・4WD車の各駆動方式ごとのアンダー/オーバーステア特性と、コーナリング時の対策について詳しく解説されています。


アンダーステア・オーバーステアが起きたときの正しい対処法

実際に走行中、コーナーで車が言うことを聞かなくなったとき、どうすればいいのでしょうか。まずは間違った反応をしないことが重要で、「パニックにならない」ことが最初の一歩です。


【アンダーステアが起きた場合】


車がカーブの外に膨らんでいく感覚を感じたとき、多くのドライバーが本能的に取る行動は「ハンドルをさらに切り込む」ことです。しかし、これは逆効果です。タイヤはすでにグリップの限界を超えて滑っているため、さらにステアリングを切っても、タイヤを路面に引っかからせる力は増えません。状況が悪化するだけです。


正しい手順は以下の通りです。


  1. 🔑 アクセルをゆっくり戻す:スピードを落として車の荷重をフロントに移動させ、フロントタイヤのグリップを回復させる
  2. 🔑 ハンドルをわずかに戻す:タイヤの向きと車の進行方向のズレを小さくし、グリップの回復を助ける
  3. 🔑 急ブレーキは絶対NG:タイヤがロックし、さらにコントロールを失う可能性が高まる


アクセルを戻すのが基本です。


【オーバーステアが起きた場合】


車のお尻が外に流れる感覚が出たとき、必要になるのが「カウンターステア」という操作です。リアが右に流れたら右にハンドルを切る、つまり「流れた方向と同じ向き」にハンドルを切ることでスピンを防ぎます。


これが難しいのは、人間の本能に反するからです。車が左カーブで右に振られると、反射的にさらに左にハンドルを切ろうとしますが、正しくはその逆。このカウンターステア操作は、繰り返しの練習なしに公道で咄嗟にできる技術ではありません。一般のドライバーにとっては「急ブレーキを踏まない」「アクセルを一定に保つ」という2点を守るだけで、被害をある程度抑えることができます。


厳しいところですね。


また、アンダーステア発生中にアクセルを急に戻すと、今度は前輪に荷重が急移動してオーバーステアに転換する「リバースステア(タックイン)」が起きることがあります。特にFF車で起きやすく、アクセルを「急に」ではなく「ゆっくり」戻すことが重要です。この点は覚えておけばOKです。


参考:アンダーステアとオーバーステアそれぞれの発生原因と、具体的なステップバイステップの対処手順を詳しく解説しています。


アンダーステア/オーバーステア発生!パニックにならないための正しい対処法 – notice myself


横滑り防止装置(ESC)が2018年以降の全新車に義務化された理由

ここまで読んで「カウンターステアが難しい…」と感じたドライバーに朗報があります。現代の車には、アンダーステアとオーバーステアを電子制御で自動的に抑制する安全装置が標準装備されています。それが「横滑り防止装置」、英語ではESC(Electronic Stability Control)です。


メーカーによって名称はさまざまで、トヨタは「VSC」、日産は「VDC」、ホンダは「VSA」、スバルは「VDC」などと呼びますが、基本的な仕組みは同じです。


ESCの仕組みは、車に取り付けられたセンサーが常時、各タイヤの回転数、ハンドルの切れ角、車体の横方向の動きを監視しています。アンダーステアやオーバーステアに陥りそうな挙動を検知すると、ドライバーが気づく前に自動で個別のタイヤにブレーキをかけたり、エンジン出力を絞ったりして、車の姿勢を安定させます。これは使えそうです。


その効果は数字でも実証されています。独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)の発表によれば、ESC搭載車は非搭載車と比較して、単独事故を約44%、正面衝突事故を約24%低減することが確認されています。


こうした高い安全効果が認められたことから、国土交通省は2012年から義務化を段階的に導入。
2018年2月以降は、軽自動車を含む全ての新車へのESC搭載が義務化されました。現在販売されている新車であれば、必ずESCが搭載されています。


ただし、ESCも万能ではありません。注意が必要なのは次の点です。


  • ❌ タイヤのグリップが完全に失われるほどの速度域では効果が出ない
  • ❌ 摩耗が進んだタイヤや空気圧不足のタイヤでは、ESCが作動しても回避できないケースがある
  • ❌ 雪道でスタックした際にESCをオンにしたままだとエンジン出力が絞られ、逆に脱出しにくくなる(この場合だけ一時的にOFFが有効)


ESCに頼るだけでは不十分ということですね。ESCはあくまでも「転ばぬ先の杖」であり、最終的にはドライバー自身の予防運転が最強の安全対策です。


参考:ESCの義務化経緯と事故低減効果の統計データについて詳しく解説されています。


横滑り防止装置(ESC)とは?機能と役割、オフスイッチがある理由 – カーセンサー


アンダーステアを引き起こすタイヤ管理の落とし穴【独自視点】

「自分はいつも安全運転しているから大丈夫」と思っているドライバーほど、見落としやすいリスクがあります。それが、日常のタイヤ管理の不備によるアンダーステアです。


タイヤのグリップ力は、ドライバーの走り方だけでなく、タイヤの状態そのものに大きく左右されます。具体的に、アンダーステアを悪化させるタイヤの状態には次のものがあります。


① タイヤの空気圧不足
乗用車の適正空気圧は通常200〜280kPaですが、タイヤは自然に月間5〜10kPa程度の割合で空気が抜けます。半年間チェックしていなければ、30〜60kPa近く低下している可能性があります。空気圧が低いとタイヤが変形し、コーナリング時の接地面が崩れてグリップが不安定になります。ハンドル操作が重くなったり、ブレーキの制動距離が伸びるなどの症状も出ます。痛いですね。


適正空気圧の確認方法は簡単です。運転席ドアを開けたドア枠(Bピラー)または給油口付近に貼られたシールに、前輪・後輪それぞれの指定空気圧が記載されています。月に1回、給油のタイミングで確認する習慣をつけるだけで大きく変わります。


② タイヤの摩耗
タイヤの溝の深さが1.6mm以下になると、道路運送車両の保安基準上も「使用禁止」となる違反水準です。しかし問題は、「まだ溝が少し残っているから大丈夫」という感覚で使い続けるケースです。新品タイヤの溝は一般的に7〜8mm程度あり、溝が4mm以下になった段階でウェット路面(雨の日)でのグリップが著しく低下し始めるというデータがあります。


溝の減り方も重要です。FF車のフロントタイヤは、駆動と操舵の一人二役のため、リアタイヤより早く摩耗します。フロントだけが極端に減った状態はアンダーステアを悪化させる原因となります。定期的にタイヤを前後ローテーション(交換)することで、摩耗を均一にすることができます。目安は走行5,000〜10,000kmごとです。


③ 前後タイヤの空気圧のアンバランス
あまり知られていませんが、前後のタイヤの空気圧を意図的に変えることで、アンダーステアとオーバーステアのバランスを調整できます。フロントの空気圧を高めるとアンダーステアが強くなり、リアを高めるとオーバーステアが強くなる傾向があります。これが条件です。


公道走行では当然ながら指定空気圧を守ることが大前提ですが、自分の車がアンダーステア傾向なのかオーバーステア傾向なのかを知るための参考知識として持っておくと、トラブル時の原因切り分けにも役立ちます。


タイヤの空気圧は多くのガソリンスタンドやカー用品店(イエローハットやオートバックスなど)で無料または低コストで点検・調整できます。月1回のチェックを習慣にするのがおすすめです。


参考:タイヤの空気圧の適正値や確認方法、過不足によるリスクについて詳しく解説されています。


タイヤの空気圧の適正値とは?見方や目安・入れ方 – ブリヂストン タイヤ館


アンダーステア・オーバーステアを起こさない予防運転のコツ

知識を得たうえで最も重要なのは、そもそもアンダーステアやオーバーステアを「起こさない」ための予防運転です。難しいリカバリー技術を身につけるよりも、正しい予防習慣を守る方が、一般ドライバーにとって何倍も効果的です。


① スローイン・ファストアウトを徹底する


コーナリングの大原則がこれです。カーブに入る「前」の直線部分で減速を完了させ(スローイン)、カーブの出口が見えてから滑らかに加速していく(ファストアウト)、という走り方です。


特に重要なのは、「カーブを曲がりながらブレーキを踏まない」こと。コーナリング中にブレーキを踏むと、急激に車の荷重が前に移動してリアのグリップが抜け、オーバーステアのリスクが急上昇します。FF車でも同様に、曲がりながらのブレーキはタックインやリバースステアを誘発しやすくなります。


カーブ手前の減速が基本です。これは教習所でも教わる基本中の基本ですが、日常走行ではつい後回しにされがちです。


② 「急」のつく操作を避ける


急ハンドル・急ブレーキ・急アクセルは、どれも車の荷重バランスを一気に崩す操作です。4輪のタイヤは、滑らかな操作をされているときに最も安定したグリップ力を発揮できます。スムーズな操作を意識するだけで、グリップの限界に近づく場面が大幅に減ります。


③ 視線は遠くに向ける


意外に感じるかもしれませんが、ドライバーの視線がどこを向いているかは、コーナリングの安全性に直結します。視線が近すぎると、カーブの曲率変化に遅れてハンドルを切ることになり、結果的に急ハンドルが増えてアンダーステアを招きやすくなります。コーナーでは常にカーブの「出口」を見るよう意識しましょう。


④ 自分の車の特性を把握する


運転している車がFF・FR・4WDのどれかを把握し、その特性に合わせた運転をすることも重要です。FF車に乗っているならコーナー手前での減速をより意識し、FR車に乗っているならコーナー中のアクセルワークに細心の注意を払う。これだけで事故リスクは大きく変わります。


また、雨天や降雪時は路面摩擦係数が著しく低下します。乾燥路と比べてグリップが半分以下になることも珍しくないため、同じ速度でも晴天時より早くタイヤの限界を超えてしまいます。雨の日のコーナリング速度は、晴天時より確実に落とすことを原則にしてください。


⑤ 定期的な車両点検とタイヤ管理


アンダーステア・オーバーステアの危険性を根本から下げる最も確実な方法は、タイヤを含めた車両コンディションを常に最良に保つことです。具体的には月1回のタイヤ空気圧チェック、3〜6ヶ月に1度の溝の深さ確認、走行5,000〜10,000kmごとのタイヤローテーションが推奨されます。


これらの予防策を日常的に実践することで、アンダーステアやオーバーステアが発生する「条件」そのものを遠ざけることができます。結論は「予防運転が最強の安全策」です。


参考:アンダーステアとオーバーステア双方の原因から対処法、横滑り防止装置の活用までを網羅した解説ページです。


アンダーステアとオーバーステアについて解説!原因と対処法とは – TOYOTIRES on the road




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