オーバーステア・アンダーステアの違いと駆動方式別の原因

オーバーステア・アンダーステアの違いと駆動方式別の原因

オーバーステアとアンダーステアの違いと原因・対処法

アンダーステアが出たとき、アクセルをさらに踏み込むと車が曲がり始める場合があります。


🚗 この記事の3ポイントまとめ
📌
アンダーステア=外に膨らむ・オーバーステア=内に巻き込む

ハンドルを切ったとき、思ったより曲がらずに外側に逃げるのがアンダーステア。逆に切りすぎたように内側に巻き込むのがオーバーステアです。

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駆動方式によって発生しやすい現象が変わる

FF車はアンダーステアが起きやすく、FR車はオーバーステアが起きやすい傾向があります。自分の車の駆動方式を知っておくことが安全運転の第一歩です。

🛡️
予防の基本は「スローイン・ファーストアウト」

コーナー進入前に十分に減速し、立ち上がりで加速する走り方がどちらのステア特性にも効果的な予防策です。現代車のESCにも過信は禁物です。


オーバーステアとアンダーステアの違いをわかりやすく解説





「ハンドルを切ったのに曲がらない」「思ったより内側に入り込んでしまった」――コーナリングで感じるこの違和感には、それぞれ名前があります。


アンダーステアとは、一定のハンドル角で旋回しているときに、速度が上がるにつれて車が外側に膨らんでいく現象です。ドライバーが意図したラインより大回りになるイメージで、「ハンドルを切っているのに曲がってくれない」という感覚がこれにあたります。原因は主に前輪のグリップが限界を超え、横滑りが起きることです。


一方、オーバーステアは、速度の上昇とともに後輪が横滑りし、車が内側に過剰に切れ込んでいく現象です。切りすぎたように感じるほど車体がイン側に向き、そのままスピンへと発展することがあります。つまり「外に膨らむのがアンダー、内に巻き込むのがオーバー」という理解が基本です。


JAFの解説によれば、走行安全性を考慮してほとんどの市販車はアンダーステアになるよう設計されています。オーバーステアに比べてスピンに発展しにくく、パニック時にも安定を保ちやすいからです。この設計思想が原則です。


ただし「アンダーステアが安全」という理解は完全に正しくはありません。制限速度の1.5倍を超えるような速度でコーナーへ進入した場合、アンダーステアが強まりすぎてガードレールへの衝突につながるケースもあります。どちらの現象も、速度管理が命綱です。


































項目 アンダーステア オーバーステア
車の動き 外側に膨らむ 内側に巻き込む
滑る場所 前輪が横滑り 後輪が横滑り
スピンへの発展 しにくい しやすい
発生しやすい車 FF車・4WD車 FR車・MR車
市販車の設計傾向 アンダー寄りが多数 スポーツ系・FR系


また、速度を変えなくても「アンダーでも、オーバーでもない」状態が存在します。ニュートラルステアと呼ばれ、旋回半径が速度の変化に関係なく一定に保たれる理想的な状態です。これは実際のクルマではほぼ実現しない理論上の状態に近く、現実の設計ではあえてアンダー寄りに振るのが主流となっています。


参考:JAF「オーバーステア・アンダーステアとはどういうことですか?」
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-drive/subcategory-technique/faq091


オーバーステアとアンダーステアを駆動方式(FF・FR・4WD)ごとに解説

自分の車がアンダーとオーバーのどちらが出やすいかは、「駆動方式」で大まかに決まります。これを知っておくと、いざというときの体感と対応策がつながります。


まずFF車(前輪駆動)は、エンジンの重量がフロントに集中し、前輪が「駆動」と「操舵」を同時に担うため、前輪への負担が極めて大きくなります。コーナリング中にアクセルを踏み続けると、前輪がグリップを失って外側に流れるアンダーステアが発生しやすくなります。国産普通乗用車の約6割以上がFF車とされており、多くのドライバーはアンダーステアと向き合っていることになります。


FR車(後輪駆動)は、前輪は操舵、後輪は駆動と役割分担が明確です。そのため操縦感覚は比較的素直ですが、コーナリング中に後輪へ過剰な駆動力がかかったり、アクセルを急に抜いたりすると、後輪のグリップが一気に失われてオーバーステアに発展しやすくなります。FRのスポーツカーに乗る機会がある場合は注意が必要です。


4WD車は全輪に駆動力を配分するため一見安定していますが、基本的にはアンダーステア傾向が強くなります。4輪すべてに前へ向かう力が働くため、旋回方向への力が相対的に弱まるからです。凍結路でいわゆる「フルタイム4WD」が全く曲がらない感覚になるのはこのためです。


興味深いのはMR車(ミッドシップ)です。エンジンが車体中央に搭載されるため、慣性モーメントが小さく、コーナリング限界は高い設計です。しかし一度その限界を超えると、後輪が急激にグリップを失い、コマのように素早くスピンするという特性があります。スーパーカーの操縦が難しいといわれるのは、この「いきなりスピン」の危険性があるためです。


つまり「4WDは絶対安全」は誤解です。駆動方式ごとの特性を頭に入れて運転することが条件です。



  • 🚘 FF車:アンダーステアが出やすい。コーナー前の減速が最重要

  • 🏎️ FR車:オーバーステアが出やすい。コーナー中の急アクセル・急ブレーキに注意

  • 🚙 4WD車:アンダーステア傾向。雪道・凍結路では過信禁物

  • 🏁 MR車:高限界だが限界超過時にスピンが急速に進む


参考:TOYOTA GAZOO Racing「アンダーステアとオーバーステアの基礎と応用」
https://www.gran-turismo.com/jp/gt7/apex/driving_technique/05


オーバーステアとアンダーステアの原因とタイヤ・荷重の関係

どちらの現象も「タイヤのグリップ限界を超えた」ことがトリガーになりますが、どのタイヤが先に限界を迎えるかで挙動が正反対になります。これを理解すると、普段の運転でのリスク管理が一段上がります。


タイヤのグリップ力はタイヤへの垂直荷重(上から押さえる力)と路面との摩擦係数によって決まります。コーナリング中は遠心力によって車体が外側に傾き、外側のタイヤへ荷重が移動します。このとき、前後どちらのタイヤが先にグリップの限界に達するかが鍵です。


前輪が先にグリップ限界を超えるとアンダーステアが発生します。前輪は操舵力を失い、ハンドルを切っても車が曲がらなくなります。後輪はまだグリップを保っているため、車体全体としては外に向かって押し出される形になりますが、スピンにはなりにくいです。安定と言えば安定です。


後輪が先に限界を超えるとオーバーステアになります。後輪が横に逃げ始めると、車は内側に向かって回転しようとします。この回転方向のモーメントはどんどん増幅されるため、ドライバーがカウンターステアで修正しないと最終的にスピンします。不安定な状態です。


荷重移動という観点でも確認しておく価値があります。たとえばコーナリング中にアクセルを急に抜くと、前輪への荷重が急増し、後輪の荷重が抜けます。これが意図せずオーバーステアを引き起こすことがあり、「タックイン」と呼ばれる現象につながります。FF車でコーナー中に無意識にアクセルを離したとき、突然内側に向く感覚がある人は、このタックインを経験している可能性があります。


さらに、タイヤの空気圧も無視できません。前後の空気圧バランスが崩れると、グリップ限界の前後差が意図せず変化し、設計外のステア特性が現れます。前輪の空気圧が不足すると過剰アンダー傾向になり、後輪が不足するとオーバー傾向が増します。月に1回程度の空気圧点検を習慣にするだけで、こうしたリスクをかなり下げることができます。


参考:ムーンクラフト株式会社「納得できるオーバーステアとアンダーステア」(物理的な解説あり)
https://www.mooncraft.jp/blogstaff/racing/oversteer-understeer/


オーバーステアとアンダーステアが出たときの対処法と予防の基本

実際に起きてしまったとき、パニックにならないための知識として押さえておきたい対処法をまとめます。


アンダーステアが発生した場合の基本的な対処は「アクセルを戻して減速する」ことです。速度が落ちれば前輪のグリップが回復し、車は自然に曲がり始めます。重要なのは、このとき「さらにハンドルを深く切り込まない」ことです。


すでにグリップを失った前輪に対してハンドルをさらに切り込んでも効果はなく、むしろタイヤに無理な負荷をかけてしまいます。「アンダーが出たら、ハンドルをさらに切る」は危険な誤りです。


オーバーステアが発生した場合は、「カウンターステア(逆ハンドル)」が有効です。後輪が右に流れたら、ハンドルを右方向(逆方向)に切って前輪の向きを車体の動きに合わせることで、スピンを防ぎます。ただし、これは非常にシビアな技術であり、瞬時の対応が求められます。


同時に減速も必要ですが、オーバーステアのときに急ブレーキをかけると荷重がさらに前に移動して後輪グリップがさらに低下し、スピンを悪化させる可能性があります。オーバーステアへの対処は難しいです。


どちらの状況でも、最も効果的な「対処」は発生させないことです。コーナリングの鉄則である「スローイン・ファーストアウト」、つまりコーナーへ進入する前の直線区間で十分に減速を完了させ、コーナー脱出時に加速していくという走り方が根本的な予防策です。教習所でも教わるこの原則が、実は最強の対処法です。



  • ⚠️ アンダー発生時:アクセルを戻す → 速度が落ちてグリップ回復 → ハンドルの切り増しはNG

  • ⚠️ オーバー発生時:カウンターステアで車体の向きを合わせる → 急ブレーキはスピンを悪化させることがある

  • 予防の原則:コーナー前に十分減速=スローイン・ファーストアウト


参考:TOYOTA ON THE ROAD「アンダーステアとオーバーステアについて解説!原因と対処法とは」
https://ontheroad.toyotires.jp/howto/12163/


オーバーステアとアンダーステアとESC(横滑り防止装置)の関係——「安全装置への過信」が新たなリスクを生む

2012年10月以降に販売される新型車には、ESC(電子安定性制御・横滑り防止装置)の装着が義務化されています。多くのドライバーがこの事実を知らないまま、「最近の車は安全だから大丈夫」と感じているかもしれません。しかし、ESCへの過信は想像以上に危険です。


ESCは、車に搭載された各種センサーがオーバーステアやアンダーステアの兆候を検知すると、個別の車輪に自動でブレーキをかけたり、エンジン出力を絞ったりして車体を安定させます。たとえばアンダーステアが発生しそうなとき、ESCは内側後輪にブレーキをかけることで車を内向きに修正しようとします。これは本当に効果的な仕組みです。


ただし、ESCが対応できるのは「ある程度の速度域まで」という前提があります。物理的なグリップ限界を大幅に超えた状態では、どれだけ電子制御が介入しても車の挙動を止めることはできません。ESCは魔法の装置ではありません。


また、ESCが作動する状況とは「すでに車体が不安定になっている」タイミングです。制御が入ること自体、限界に近い状態であることを示しています。ESCが頻繁に作動する場合は、速度や操作が車の限界に近づいているサインと受け取るべきです。


さらに、ESCをOFFにする機能がある車も存在しますが、これは雪道でスタックしたときなどの特定の場面向けの機能です。通常の公道走行でOFFにすることは避けてください。ESCオフの状態では、アンダーもオーバーも電子制御なしで対処することになります。


ESCが義務化された現代でも、安全運転の基本は変わりません。装置を信頼しつつ、自分の運転技術と速度管理を意識することが、最終的な事故防止につながります。ESCはあくまで補助であるという認識が条件です。
























ESCの機能 できること できないこと
アンダーステア抑制 内側後輪ブレーキで方向修正 物理限界超過時は無効
オーバーステア抑制 外側前輪ブレーキで安定化 急激なスピンには追いつかない
適用範囲 通常〜やや限界付近 グリップ限界を大幅に超えた状態


参考:ズーリッヒ「横滑り防止装置(ESC)とABSの違い」
https://www.zurich.co.jp/carlife/cc-whatis-abs-difference/




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