横滑り防止装置雪道効果とスタック脱出方法

横滑り防止装置雪道効果とスタック脱出方法

横滑り防止装置雪道効果

この記事で分かること
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事故低減効果

単独事故44%減、正面衝突24%減という驚異的な効果

❄️
雪道での制御

アンダーステア・オーバーステアを自動制御して姿勢を安定化

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スタック対処法

OFFスイッチの正しい使い方と脱出テクニック

横滑り防止装置の雪道での事故低減データ


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横滑り防止装置(ESC:Electronic Stability Control)は、雪道での安全性を劇的に向上させる装置です。独立行政法人自動車事故対策機構の調査によると、横滑り防止装置を搭載した車両では単独事故が約44%減少し、正面衝突事故も約24%減少するという顕著な効果が確認されています。
参考)横滑り防止装置(ESC)とは?機能と役割、オフスイッチがある…

雪道や凍結路面などの滑りやすい路面では、急なハンドル操作やアクセル・ブレーキ操作により車両の姿勢が乱れやすくなります。横滑り防止装置は各種センサーから得られた情報を元に、四輪それぞれにブレーキ制御を加えると同時にエンジン出力を自動制御することで、車両を理想の走行状態に近づけます。
参考)横滑り防止装置 - Wikipedia

特に背の高い車両では横転のリスクが高まるため、横滑り防止装置の重要性がさらに増します。ミニバンやスーパーハイトワゴンなどの車高が高い車両は重心も高く、横滑りが発生すると横転の危険性が増大するためです。軽自動車での横転事故を約80%も減少させるという研究結果も報告されています。
参考)軽自動車で命を守る!事故時の生存率を高める最新テクノロジー …

横滑り防止装置の作動原理と制御メカニズム

横滑り防止装置は、ステアリングセンサー、加速・減速を検知するGセンサー、各輪の回転センサー、ABSユニットなどで構成されています。回転センサーとGセンサーによって車両の進行方向を判断し、その方向とステアリングセンサーのデータが適合しない場合、システムは横滑り発生中と判定します。
参考)ESCとは?自動車の横すべり防止装置の基礎知識 - 【 メカ…

アンダーステアが発生した場合は、後輪内側にブレーキを作動させて車両が外側にふくらむのを防止します。一方、オーバーステアが発生した場合は前輪の外側タイヤにブレーキを作動させることで、車両が内側に巻き込むのを防ぎます。このように四輪個別にブレーキ制御を行うことで、車両の挙動を瞬時に安定させることができます。
参考)横滑り防止装置標準搭載車の驚異的な事故軽減効果

横滑り防止装置が作動すると、ブザー音とともにメーターに作動マークが点滅し、ドライバーに制御が介入したことを知らせます。制御は人間の反応速度よりもはるかに速く、正確に車両姿勢を立て直すことができます。
参考)雪道や濡れた路面の運転を補助する「ABS」と「横滑り防止装置…

横滑り防止装置とABS・TRCの機能差

車両の基本性能である「走る」「曲がる」「止まる」において、それぞれを制御するシステムが異なります。「止まる」を制御するのがABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、「走る」を制御するのがTRC(トラクション・コントロール・システム)、そして「曲がる」を制御するのが横滑り防止装置です。
参考)横滑り防止装置とトラクションコントロールの仕組みと違い - …

ABSはブレーキ動作中のタイヤロックを防止し、制動距離の短縮とハンドル操作性の確保を目的としています。TRCは発進時や加速時の駆動タイヤのホイールスピンを抑制し、タイヤの空転を防ぐシステムです。
参考)https://www.zurich.co.jp/carlife/cc-whatis-abs-difference/

最近の車両では、ABSとTRCを組み合わせて横滑り防止装置の一部として統合制御されています。横滑り防止装置はこれらの機能を進化させ、旋回時のアンダーステアやオーバーステアなどの横滑り状態を検出して車両を安定化する高度な制御システムとなっています。
参考)車の車両制御とは? ABS、TRC、ESC、EPSなどを解説…

国土交通省の公式サイトでは、横滑り防止装置の詳細な機能説明が掲載されています。

 

国土交通省:横すべり防止装置の解説

横滑り防止装置スタック時のOFFスイッチ活用法

横滑り防止装置には、安全装置であるにもかかわらずOFFスイッチが装備されています。これは雪道やぬかるみでスタックした際に、あえて機能を停止させてタイヤを空転させる必要があるためです。
参考)【そうだったのか】横滑り防止機能「ESC」をオフにするのはど…

横滑り防止装置がONの状態では、システムがタイヤの空転を抑制しようと働きます。スタック時にアクセルを踏み込んでもエンジンの回転数が上がらず、出力が制限されてしまうため脱出が困難になります。このような状況では、横滑り防止装置をOFFにすることで、ある程度タイヤを空転させながら前後に動けるようになります。
参考)安全装置なのにオフにできる? 横滑り防止装置になぜオフスイッ…

スタックからの脱出手順は以下の通りです:
参考)車を安定させる「横滑り防止装置」なぜオフにできる? 通常は切…

  • 横滑り防止装置をOFFにする
  • 前後に小刻みに動かして雪を踏み固める
  • タイヤの下に脱出用マットやフロアマットを敷く
  • ゆっくりとアクセルを踏んで脱出を試みる

多くの車両では、エンジンを再始動すると自動的に横滑り防止装置がONに戻る仕様が採用されているため、一般道での長時間走行時に誤ってOFFのままになる心配はありません。​

横滑り防止装置の限界を知る運転術

横滑り防止装置は優れた安全装備ですが、万能ではありません。アイスバーンのような極端に滑りやすい路面では、ABSが作動することで制動距離がかえって伸びてしまうケースがあります。また、装着しているタイヤ以上の性能は発揮できないため、スタッドレスタイヤや4WDの代わりにはなりません。​
横滑り防止装置は車を滑らないようにする装置ではなく、滑ったことを検知してから復帰させる装置です。システムが介入するのは車両姿勢が乱れた後であり、予防的に作動するわけではありません。そのため、過信は禁物であり、速度を控えめにして安全運転を心がけることが最も重要です。
参考)Vol.33「安全を確保する技術」

オーバースピードでコーナーに進入した場合、横滑り防止装置でも効果を発揮できないことがあります。特に滑りやすい路面では、アクセルの踏み過ぎや下り坂でのブレーキの踏み過ぎに注意が必要です。横滑り防止装置はあくまで事故防止のための緊急安全装置であり、補助装置として正しく理解することが大切です。
参考)【いまのクルマは装着が義務だが中身を理解していない人多数!】…

雪道走行前の準備として、スタッドレスタイヤの装着は必須です。4輪すべてをスタッドレスタイヤに交換し、タイヤの溝の深さも十分あることを確認しましょう。タイヤチェーンを用意する場合は、事前に試し巻きをして装着方法に慣れておくことが推奨されます。
参考)雪道運転で用意しておきたいアイテム

JAFの公式サイトでは、雪道走行前の準備について詳しい情報が掲載されています。

 

JAF:雪道を走る前に準備しておきたいもの

 

 


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