ウェットカーボンとドライカーボンの違いと選び方完全ガイド

ウェットカーボンとドライカーボンの違いと選び方完全ガイド

ウェットカーボンとドライカーボンの違いを徹底解説

カーボンパーツを買ったのに、実は鉄製より重いことがあります。


📋 この記事のポイント3つ
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製法がまったく別物

ウェットは自然乾燥、ドライはオートクレーブで高温高圧焼成。同じ「カーボン」でも製造工程が根本的に異なります。

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市販パーツの9割以上はウェットカーボン

「カーボンボンネット 10〜20万円」はほぼウェットカーボン製。見た目はほぼ同じでも性能差は大きく、用途に応じた選択が必要です。

⚠️
どちらも紫外線には弱い

ドライでもウェットでも、UV対策なしで屋外に置き続けると数年でクリア層が白濁・剥離。正しいケアを知ることが長持ちの秘訣です。


ウェットカーボンとドライカーボンの製法の違い





カーボン製品と一口に言っても、その中身の作り方はまったく異なる2種類が存在します。まずはそれぞれの製法から理解することが、正しい選択への近道です。


ウェットカーボン(ハンドレイアップ方式)は、カーボン繊維のクロスをポリエステル樹脂に浸しながら型に貼り付け、常温で自然乾燥させる製法です。FRP(ガラス繊維強化プラスチック)とほぼ同じプロセスで、カーボン繊維を使っている点だけが異なります。専門的な設備が不要で、コストを低く抑えられるのが最大の特徴です。製造工程が比較的シンプルなため、職人の手作業でも品質の安定した製品を作りやすいというメリットがあります。


一方、ドライカーボン(オートクレーブ成形法)は工程がまったく異なります。あらかじめ熱硬化性エポキシ樹脂を炭素繊維に染み込ませた「プリプレグ」と呼ばれるシートを型に何層にも貼り込み、真空バッグで空気を完全に抜いた後、「オートクレーブ」という巨大な圧力釜に入れて高温・高圧で焼き上げます。高温は一般的に120〜180℃、圧力は大気圧の5〜7倍にも達し、この工程によってカーボン繊維の密度が最大限まで高まります。つまり、最強です。


































項目 ウェットカーボン ドライカーボン
製法 ハンドレイアップ(自然乾燥) オートクレーブ(高温高圧焼成)
使用樹脂 ポリエステル樹脂 エポキシ樹脂(プリプレグ)
設備 不要(専門設備なし) オートクレーブ必須
コスト 低い 非常に高い
主な用途 一般カーパーツ・ドレスアップ レーシングカー・航空宇宙


参考:ドライカーボンとウェットカーボンの製法・比較表(ドライカーボン製品の専門メーカーによる解説)
カーボンとは|ドライカーボン製品のbenetec


ウェットカーボンとドライカーボンの強度・重量の違い

製法の違いは、そのまま性能差として現れます。数字で見ると、その差は想像以上です。


強度について言えば、ドライカーボンの機械的強度はFRPやウェットカーボンより数十倍高いとされています。これはオートクレーブによる高圧焼成で、内部の気泡がほぼゼロになり、繊維と樹脂が限界まで密着した状態になるためです。ボルトの締め付け面が圧縮で潰れず、ボンネットを手で押してもへこまない、というのがドライカーボンの象徴的な特性です。


重量については、FRP製品を基準にすると以下のようなイメージになります。



  • 🏋️ FRP製ボンネット(鉄製比):純正鉄製ボンネットが17kg前後に対して、FRP製は約12kgと約5kg軽い。

  • ⚖️ ウェットカーボン製ボンネット:FRPの約80%の重量に収まる程度で、同条件だと約10kg前後。

  • 🚀 ドライカーボン製ボンネット:FRPの約1/2〜1/3の重量まで落とせる。約4.7〜6kg台が多く、純正比で10kg以上の軽量化も可能。


数字で整理するとわかりやすいですね。例えば、A4用紙1枚の重さは約5gですが、ドライカーボンのトランクリッドは純正品7.3kgに対して約4.7kgと、2.6kgもの軽量化に成功した製品も存在します。2.6kgというのは2リットルペットボトル1本強の重さ。これが車の高い位置(ルーフや幌など)から取り除かれると、コーナリング時の体感が変わるほどの効果があります。


重要なのはここです。ウェットカーボンとFRPでは強度・重量ともに大差ない場合があります。カーボン柄が透けて見えるクリア塗装の製品でも、内部がガラス繊維混合の「なんちゃってカーボン」である可能性があるため、購入時は素材の確認が必要です。


耐熱性についても差があります。ウェットカーボンで使われるポリエステル樹脂の耐熱温度はおおむね70〜80℃程度で、エンジンルーム付近では注意が必要です。一方、ドライカーボンで使われるエポキシ樹脂は高品質なものだと120〜200℃以上に耐えられるものもあります。エキゾーストパーツやエンジンフードなど、熱源に近い部位ではドライカーボンの耐熱優位性が光ります。


参考:ウェットカーボンとFRPの重量差・強度差の具体的数値について
【意外と知らない】カーボンファイバーと一口にいっても2種類ある!|WEB CARTOP


ウェットカーボンとドライカーボンの価格と市場の実態

価格差を知ることが、カーボンパーツ選びの第一歩です。


市場の実態として、車市場に出回っているカーボンパーツの9割以上はウェットカーボン(またはインフュージョン成形)と言われています。カーボン製ボンネットで価格が10〜20万円の場合、まずウェットカーボン製と見て間違いありません。これは知っておくべき事実です。


一方、ドライカーボン製のボンネットは同じ車種でも数十万円〜100万円超えが珍しくなく、F1マシン用のモノコックに至っては数千万円規模のコストがかかります。ある人工衛星製造業者が自動車のアフターパーツとしてボンネットを制作した際、1枚200万円でも赤字になるほどの製造コストがかかったという話もあります。オートクレーブ自体が数千万円規模の設備で、維持管理にも莫大なコストが必要だからです。



  • 💴 ウェットカーボン製ボンネット:10〜20万円台が主流(FRPより数万円高い程度)

  • 💴💴 インフュージョン成形製ボンネット:20〜40万円台(ウェットより強度が高い中間グレード)

  • 💴💴💴 ドライカーボン製ボンネット:50万円〜それ以上(スポーツ走行・レース向け)


つまり、ドレスアップが目的ならウェットカーボンで十分です。カーボン柄の見た目はどちらもほぼ同じで、仕上がりの精度次第では見分けがつかないケースも多くあります。逆に、サーキット走行や本格的な軽量化・剛性アップを狙うならドライカーボン一択となります。


コストとパフォーマンスを自分の用途に照らし合わせて判断するのが基本です。まず「何のために付けるか」を整理してから購入を検討してみてください。


参考:市販カーボンパーツの種類と価格帯の解説
カーボンはカスタム好きの必需品!レースでも当たり前となったカーボンの世界|AUTO MESSE WEB


ウェットカーボンとドライカーボンの見分け方と劣化・メンテナンス

外見はほぼ同じ。では、どうやって見分けるのでしょうか?


外見での判断は非常に難しく、特に近年ではウェットカーボンやインフュージョン製品の表面仕上げ精度が向上しており、プロでも一見では区別がつかないレベルに達しています。ただ、いくつかのポイントから推測は可能です。



  • 🔍 価格帯:10〜20万円以下のカーボンパーツはほぼウェットカーボン製。

  • 🔍 重さ:同サイズのFRP製品と大差ない重量感であれば、ウェットカーボンの可能性が高い。

  • 🔍 硬さ:ドライカーボン製品は指で押しても一切たわまない。ウェットカーボンは場所によって「ペコペコ」とへこむ感触がある。

  • 🔍 商品説明:「プリプレグ」「オートクレーブ」の記載があればドライカーボン製の証明になる。


次に劣化についてです。意外なポイントですが、ドライカーボンとウェットカーボンはどちらも紫外線に弱いという共通の弱点があります。「高価なドライカーボンだから丈夫なはず」と思って屋外駐車をそのままにしていると、表面のクリア層が白濁・剥離し、数年で見た目が大きく劣化します。これは痛いですね。


クリア層が一度剥離すると、再塗装には専門業者への依頼が必要で、費用は部位・面積にもよりますが数万円〜十数万円かかることも珍しくありません。UV対策コーティング剤を定期的に施工するだけで劣化を大幅に遅らせられるため、パーツ購入後のケアも一緒に計画しておくことが重要です。


なお、ドライカーボンはウェットカーボンよりさらに紫外線による日焼けが早いとする情報もあり、高価なパーツほど丁寧なメンテナンスが求められます。UV保護クリアを選ぶ際は、カーボン専用またはUV遮断率が明記されたものを選ぶと安心です。


参考:カーボンパーツのUV劣化とクリア塗装による対策について
黄ばみやクリア剥げを解決|カーボンを蘇らせるクリア塗装とは?


ウェットカーボンとドライカーボンの選び方:用途別おすすめ判断基準

最終的には「何に使うか」で選択が決まります。結論はシンプルです。


ドレスアップ・見た目重視ならウェットカーボン一択です。カーボン柄の美しい外観は、ウェットカーボンでも十分に再現できます。コストも大幅に抑えられるため、フロントリップ・リアウイング・ミラーカバーといったドレスアップパーツはウェットカーボンで賢く選ぶのが正解です。


一方で、軽量化・剛性アップを本気で狙うならドライカーボンを選んでください。サーキット走行、タイムアタック、本格的なチューニングを視野に入れている場合は、同じ強度ならドライカーボンの方が圧倒的に軽く、熱にも強いため投資対効果が高くなります。ドライカーボン製のドアパネルへの交換で片側20kgの軽量化を実現できたというケースもあり、走行性能に直結する改善が期待できます。



  • 🏎️ サーキット走行・タイムアタック:→ ドライカーボン(軽量・高強度・耐熱性)

  • ドレスアップ・日常使い:→ ウェットカーボン(コスパ重視・見た目十分)

  • 🔄 バランスを求めるなら:→ インフュージョン成形(ウェットとドライの中間・コスト抑えめで強度アップ)


また、カーボン製ボンネットへの交換と車検についても触れておきます。カーボン製ボンネット自体は保安基準で禁止されていないため、基本的に車検は通過できます。ただし、ボンネットピンの形状や、エアスクープの突出度によっては「車両外部突起物」と判断される場合があり、事前に業者やディーラーへの確認が必要です。カーボンルーフへの交換は記載変更手続きが必要なケースもあります。パーツ購入前に確認するのが原則です。


車検対応の可否を事前に確認するなら、購入予定のショップや、NAPACのカスタマイズガイドなど信頼性の高い情報源を参照してみましょう。


参考:カーボンボンネットと車検の関係・保安基準について
カーボンのボンネットやドアは車検に通すことはできるのか|グーネット


参考:カーボン製品の種類・強度・インフュージョン成形についての詳細解説
カーボン製品の種類と強度を比較|f-carbon.jp




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