

「車検対応」と書いてあるサイドカメラでも、取り付け方を間違えると車検で即アウトになります。
後付けのサイドカメラが車検でどう扱われるかを理解するためには、まず「道路運送車両の保安基準」という法的な枠組みを知っておく必要があります。この保安基準は、車が公道を安全に走れるかどうかを国が定めた基準であり、車検ではこの基準に適合しているかを検査官が確認します。
サイドカメラは主に「直前直左確認装置」または「後方等確認装置」として位置づけられ、どちらの目的で取り付けるかによって適用される基準が異なります。つまり前方・左側方の死角を補う目的か、後方・側方の監視目的かで審査の観点が変わるということです。
注意が必要なのは、保安基準の審査は「カメラ単体」ではなく「そのカメラが取り付けられた車両全体」に対して行われる点です。そのため、どれだけ高性能なカメラであっても、取り付け方や設置場所に問題があれば不適合と判断されます。
また、2007年(平成19年)1月1日以降に製造された乗用車には「直前側方視界基準」が適用されており、運転席に座ったときに車の前面および左側面に接する高さ1m・直径0.3mの円柱(ちょうど幼児の身長くらいのサイズ)が確認できることが義務づけられています。リフトアップカスタムをしたSUVやミニバンで、このポールが見えなくなるケースが増えており、そこでサイドカメラが有効な対策として注目されているのです。
整理しておきましょう。後付けサイドカメラは「カメラ+モニター+配線+固定方法」のセットで審査されます。この全体を正しく整えることが合格の条件です。
参考:直前側方視界基準や保安基準の詳細についての国土交通省告示資料
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 別添81(国土交通省)
市場には「車検対応」と表記されたサイドカメラが多数販売されています。しかし、自動車技術総合機構(NALTEC)は公式に「『車検対応』の表示があっても、装着方法や車種によっては保安基準に適合しないことがある」と明確に注意喚起しています。この事実は意外と知られていません。
メーカーが「車検対応」と記載するのは、あくまで「自社製品が保安基準に適合していると自ら判断した」にすぎず、車検時に検査官がその表示を確認するわけではありません。つまり「車検対応」はメーカー側の自己申告であり、車検の合格を国が保証したわけではないのです。
では、実際にNGとなるケースはどのようなものでしょうか。代表的なものを以下に整理します。
これらは自動車技術総合機構が公開しているPDF資料「保安基準に適合しません」に記載されている内容です。
参考:取り付け方の具体的なNG事例(NALTEC公開資料)
保安基準に適合しない取り付け方の例(自動車技術総合機構)
DIYで取り付けた場合に特にやりがちなのが「手軽さ優先の固定方法」です。手持ちのテープや吸盤で一時的に固定して、「あとでちゃんとやろう」と放置したまま車検を迎えるケースは珍しくありません。これが原因で再検査になると、追加の費用と時間がかかります。固定方法が条件です。
サイドカメラ本体だけでなく、映像を表示するモニター(ディスプレイ)の設置場所も車検の審査対象です。この点を見落としているドライバーは非常に多いです。
保安基準の「前方視界基準」(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第183条)では、「車両前方2mの位置にある高さ1m・直径30cmの円柱(縦長のバケツほどのサイズ)を、鏡などを使わずに運転者が直接確認できる視界を確保すること」が義務づけられています。モニターをダッシュボード上に置いたり、Aピラー付近に設置したりすることでこの視界が妨げられると、それだけで車検不合格になります。
では、安全な設置場所はどこでしょうか。ポイントは以下の通りです。
特に市販の小型モニターをダッシュボード手前に置いているケースは要注意です。前方の視界を妨げているかどうかは、実際に運転席に座って確認する必要があります。意外ですね。
また、モニターそのものの映像品質も審査に関わります。映像が著しく不鮮明だったり、夜間にほぼ何も映らなかったり、遅延が大きくてリアルタイム性に問題がある場合は「安全確認に使えない装置」と判断される可能性があります。モニターの性能も条件です。
既存のカーナビやディスプレイオーディオ(Apple CarPlay対応機器など)にサイドカメラの映像を入力する方法であれば、モニターの設置位置をゼロから考える手間が省けて実用的です。カーオーディオ専門店やカー用品店で相談すると、車種別の対応方法を提案してもらえます。
サイドカメラを取り付ける際に「カメラが車体からどれだけはみ出るか」も見落とされやすい問題です。これは「突出量」と呼ばれ、保安基準で明確な数値が定められています。
道路運送車両の保安基準 第2条では、後方等確認装置(カメラ等)は車両最外側から250mm未満の範囲で突出可能と定められています。一方、250mmを超えて突出した場合は車両の全幅が変わるため「構造等変更」の手続きが必要になります。全幅が変わるということは車検証の記載事項も変わるということで、手続きを踏まずに走行すると違反となります。
日常的なサイドカメラの後付けでは250mmもはみ出すケースは少ないですが、注意が必要なのは「ドアミラーの外縁を超えるかどうか」という判断です。カメラをドアミラーの端からはみ出ない位置に取り付けることを推奨しているメーカー(パナソニックなど)も多く、これが保安基準への適合を示す一つの目安になっています。
配線の処理については、前述のNALTEC資料にある「外部露出禁止」のルールが最大の注意点です。具体的には以下の点を押さえてください。
これが基本です。DIYで作業する際は、配線の仕上がりも「審査対象になる」という意識を持って丁寧に行うことが重要です。配線が雑だと、車検時だけでなく日常の走行中にもトラブルの原因になります。
参考:データシステムによるサイドカメラ取り付け注意事項
ブラインドサイドカメラ(ドルフィン・アイ)取り付け注意事項(データシステム)
通販サイトでは数千円から購入できるサイドカメラが多数売られており、「コスパ重視で選んだ」というドライバーも少なくありません。しかし、安価な製品には車検面だけでなく、長期的な使用コストの面でも大きなリスクが潜んでいます。
まず車検面での注意点を挙げると、安価な製品には固定用テープとして「自動車用部品の取り付けを目的として設計されたもの」ではない粘着テープが付属しているケースが多いです。前述のNALTEC基準では、このようなテープによる固定は保安基準に適合しないと明記されています。つまり購入した時点で、車検対応の方法で固定することが難しい製品が存在するということです。
次に、安価な製品で多いのが「防水性能の不足」です。サイドカメラは車外に設置するため、雨・泥・洗車の水が直撃します。防水規格がIP67以上(水深1mに30分沈めても問題ない程度)であることを確認するのが理想です。防水性が低い製品は1年以内に映像が乱れたり完全に映らなくなったりするケースが報告されています。車検は2年ごとに来るものですが、カメラが1年で壊れると毎年費用が発生します。
一方で、国内メーカーや実績のあるブランドの製品を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
「安く済ませたいなら最初から専門店に相談する」というのも逆説的ですが有効な選択肢です。取り付け工賃を含めた総額で考えると、安い製品を購入してDIYで施工し、車検でNGとなって再施工するよりも、はじめからオートバックスやカーナビ専門店で工賃込みで依頼した方が最終的に安く上がることが多いです。
また、サイドカメラの映像を純正ナビに映し込む方法については、車種別の接続ユニットを使う方法が存在します。たとえばトヨタ純正ナビ対応のデータシステム製カメラ接続キットなど、ナビメーカー・カーナビ型番に対応した製品を使うことで、モニターを新たに設置する手間が省けて視界基準の問題もクリアしやすくなります。車種・ナビ型番が決まったらカー用品店に問い合わせてみることをおすすめします。
参考:後付けサイドカメラの車検適合の考え方と設計思想の実例
蝦眼(エビアイ)車検対応についての詳細説明(eBi-eye公式)

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