

ランボルギーニ・カウンタックlp400の基礎情報として、LP400は3929ccのV12を搭載し、最高出力375PS/8000rpm、5速MT、後輪駆動という構成が広く知られています。
最高速度については「300km/h級」というイメージが強い一方、媒体や資料で数字の幅があり、メーカー公称として309km/hが語られるケースや、実車テストでは288km/hに留まったという記述も見られます。
整備現場では、最高速度の数字そのものより「その速度域に至るまでの熱・燃料・点火・足回りが成立しているか」が価値で、現車の状態確認(改造、キャブ仕様、冷却の健全性)を優先した方が事故を減らせます。
次に押さえたいのが“数字が独り歩きしやすい背景”で、LP400はプロトタイプLP500から量産化の過程で、排気量が4971ccから3929ccへ変更され、熱対策も含めて成立性を高めたという経緯があります。
参考)最高速度300km/hと302km/hのカウンタックとBBは…
この「熱対策を前提に仕様を作り直した」流れは、いま旧車として整備する際にも示唆が大きく、ラジエーター配置や冷却経路、エア導入(ダクト類)の欠落・改変があると、スペック通りの走り以前に壊れます。
スーパーカーとしての象徴的スペックを守るには、測定値より先に“設計が求めた冷却条件”を現車で再現するのが整備士の仕事になります。
LP400のV12はウェーバー製キャブレターで燃料供給する仕様として紹介されることが多く、高回転で375PSを発生させる設計思想が読み取れます。
キャブ車の整備は「燃調だけ触って終わり」になりがちですが、経験則として調子が出ない個体は点火・燃料・吸排気のどれかが劣化していて、調整で帳尻を合わせても別の領域で破綻します。
とくに長期保管や高温環境が絡むと、残留燃料の劣化でガム質が発生し、不調の引き金になるという指摘があり、旧車の基本として“燃料を新しく保つ・固着を作らない”運用面まで含めて提案すると再発が減ります。
整備手順の考え方としては、まずベースラインを作ります。
参考)キャブレタートラブル その①
意外に効く現場ノウハウは「原因を一つに決め打ちしない」ことです。キャブの不調事例でも、スパークプラグや点火系の劣化が絡むと、マニュアル通りの調整では回らないと明記されています。
LP400のように高回転型・多気筒・キャブという組み合わせは、少しの不均衡が振動や失火として現れやすいので、燃調を追う前に点火系を“新品同等に戻す”つもりで整える方が結果的に近道です。
カウンタックの開発史で特に重要なのが、LP500の走行テストで「熱対策が大問題になった」という点で、量産LP400ではエンジン変更や左右ラジエーターの取り付け位置変更などを見直して解消した、と説明されています。
この事実は、現代の整備では“冷却は付帯設備ではなく、成立条件そのもの”という判断につながります。
つまり、ラジエーターやファンが回っているだけでは不十分で、エアが入り、抜け、熱が逃げる経路が設計通りになっているか(ダクト、吸気経路、遮熱板、隙間の処理)を点検項目に入れるべきです。
また、ボディ側も冷却効率や空力特性を向上させるためにNACAダクト等の改良が施されたとされ、外装の欠落・改変が冷却バランスを壊す可能性があります。
旧車としてレストアされた個体ほど、見た目優先の加工や後付けパーツで風の流れが変わっていることがあり、アイドリングは平気でも渋滞や低速連続で熱が溜まる、といった症状につながりやすいです。
整備士としては、テスター数値だけでなく「どういう条件で水温が上がるか」をオーナーから聞き取り、設計上の熱の弱点(低速・停車)を再現して診断すると説得力が出ます。
LP400は量産化で鋼管を組み合わせたスペースフレームを新設計し、高剛性と軽量化を狙った構造になったと説明されています。
この構造は“単に硬い”だけでなく、フレームに荷重経路がはっきり出るため、マウント類やブッシュの劣化、締結部の緩みが振動・異音として顕在化しやすい前提になります。
実際に、機関とフレームの間には振動が直接伝わってダメージを与えないためのマウントが設けられている、という整備現場寄りの解説もあり、旧車ではここが弱ると“車全体の寿命”に直結します。
足回りについては、前後サスペンションがダブルウイッシュボーン+コイルスプリングで、量産化の過程や改良でセッティングが見直されたとされています。
またブレーキはフロントにガーリング製4ピストン、タイヤはミシュランXWXに変更された、という記述もあり、年式・仕様差で部品選定が変わる領域です。
整備士向けには、以下のように“車体構造×安全”で優先順位を決めるとミスが減ります。
LP400は資料上、車両重量が1065kgとされる一方、別資料では1300.5kgの記載もあり、数字のブレが見えます。
このズレは“どちらが正しいか”より、測定条件・仕様・資料の出所で数字が変わる現実を示していて、旧車整備では公称値に寄せるより現車の実測値をカルテ化する方が再現性の高い整備につながります。
たとえば同じ「回らない」でも、圧縮が落ちているのか、点火が弱いのか、燃料が薄いのか、熱でパーコレーション気味なのかで処方箋が全く変わり、キャブ車では“症状の出る温度帯・時間・負荷”の記録が特効薬になります。
現場で使える「個体差カルテ」の項目例です(意味のない記録ではなく、再診断に効くものだけ)。
「最高速度300km/h」級の伝説は魅力ですが、整備士が価値提供できるのは、そこへ至るまでの全域で“安全に回り、冷え、止まり、曲がる”状態を継続させることです。
参考)走る伝説! ランボルギーニ「カウンタック」は本当に時速300…
この考え方でオーナーと合意形成できると、無理な要求(数字だけ追う改造)を抑えつつ、結果的に車両価値と信頼を守りやすくなります。
冷却・スペースフレーム設計の背景(LP500→LP400の変更点、NACAダクト等)を理解する参考。
https://motor-fan.jp/article/39801/
LP400のサイズや諸元比較(LP400と現代のカウンタックの違いを把握し、整備時の取り回し・輸送計画にも活かす)参考。
https://motor-fan.jp/article/15808/