

ルーメン数が高いバルブほど運転席から見た路面は暗くなることがあります。
H4 LEDバルブを探すとき、「12,000ルーメン」「20,000ルーメン」といった数値が商品ページに並んでいます。数字が大きいほど明るいと思うのは自然な発想ですが、これが大きな落とし穴です。
ルーメンとは、バルブが放出する光の総量を示す単位です。重要なのは「全方向への光の量」を示す値であるという点で、路面を照らす前方への有効な光量とは必ずしも一致しません。バルブはリフレクターやレンズを通して光を前方へ集める仕組みになっているため、360度に散らばった光のうち車の進行方向に届く分だけが運転の視界に貢献します。
つまり、ルーメン数が高くても配光性能が悪ければ、光がリフレクターで適切に反射されず路面に届かないのです。専門家の検証でも、6,000ルーメン台のバルブが10,000ルーメン超のバルブより実際の路面を明るく照らした事例が確認されています。意外ですね。
実際の明るさを判断するには「カンデラ(cd)」という単位が重要です。カンデラは特定方向への光の強さを示し、車検でもこちらの単位(1灯6,400カンデラ以上)が使われます。しかしカンデラは車両に取り付けて計測しないと出ない数値のため、製品スペックには記載されていないことがほとんどです。
では何を見て選べばよいか。配光性能・放熱性能・発光点の位置、この3点を必ずチェックするのが基本です。
配光性能が良いバルブは、カットライン(上方への光をカットする境界線)がくっきり出て、カットラインのすぐ下が最も明るくなります。これにより遠くの道路まで効果的に照らせます。一方でカットラインが崩れると、手前だけ明るく遠くが暗い状態になり、対向車への眩惑も発生します。
放熱性能についても見落とせません。LEDは発光部分の熱は少ないですが、基板や回路は高温になります。熱が逃げない設計のバルブは、点灯してしばらくすると光量が落ちる「光束維持率の低下」が起きやすくなります。アルミ製ヒートシンクを持つ製品や、冷却ファン搭載モデルはこの点で有利です。
発光点とは、LEDチップが実際に光を放つ位置のことです。H4バルブの場合、純正ハロゲンバルブの発光点と同じ位置にLEDチップがあると、車両のリフレクターとの相性が格段に良くなります。この設計のしっかりしているバルブは、配光の乱れが最小限に抑えられます。ルーメン数だけに注目は禁物です。
【HID屋】明るいLEDヘッドライトの選び方 ルーメンとカンデラの違いを解説
「一番明るい」という感覚には、実は色温度(ケルビン)が大きく影響しています。これを知らないまま選ぶと、数値上は明るいのに運転していて暗く感じるという事態になります。
色温度はケルビン(K)で表され、数値によって光の色が変わります。3,000K前後は黄色系の光、5,000〜6,000Kは白色光、8,000K以上になると青みがかった光です。一般的なLEDバルブは6,000〜6,500K前後を採用しているものが多いです。
注意が必要なのは、ケルビン値が高すぎると「見た目は明るいが視認性が落ちる」ケースがあること。8,000Kを超える青白い光は、雨の日や霧の中では光が散乱しやすく、かえって路面の見づらさを生むことがあります。また車検基準では「白色」が条件で、極端に青みが強い光は不合格となる場合もあります。
視認性と車検適合の両立を考えると、5,500〜6,500Kの範囲が最もバランスが取れています。この範囲であれば白色光として認定されやすく、見やすさも確保できます。これが原則です。
次に重要なのがカットラインの品質です。ロービーム点灯時、上方に向かう光をシャープにカットできるかどうかが、車検合格と対向車への眩惑防止の両方に直結します。カットラインがボヤけていると、光が対向車のフロントガラスを直撃し、グレア(不快な眩しさ)を引き起こします。国土交通省のデータによると、ヘッドランプの眩しさが原因で事故につながった国内の事例は2021年までの10年間で300件以上報告されています。
カットラインがしっかり出るバルブかどうかを確認する方法として、購入前にメーカーの配光画像や実車テスト動画を見ることが効果的です。カー用品専門店やHID屋のような専門通販サイトでは、配光のビーム画像を掲載していることが多いので参考にしましょう。これは使えそうです。
H4バルブはリフレクター式の車両(多くの旧来型乗用車に採用)に使われることが多く、プロジェクター式と比べて配光が出にくい構造です。だからこそバルブのLEDチップ配置や発光点の設計が、実際の明るさを大きく左右します。配光性能が高いモデルを選ぶのが条件です。
【DIYラボ】H4ヘッドライトのLED化は配光性能が問われる リフレクター式の特性と選び方
実際に人気の高いH4 LEDバルブをいくつか挙げながら、選び方のポイントを整理します。
まず代表的な国産・準国産ブランドとして「日本ライティング」があります。H4標準モデルはLo:4,500lm・Hi:5,000lmと表記されており、カットラインの精度が非常に高いと評価されています。2年保証付きで、6,000Kの白色光は車検適合しやすい設計です。価格帯はAmazonや専門店で1万円前後と、コストパフォーマンスも優秀です。
次に「IPF」は国内メーカーとして長年の実績を持ちます。H4対応のLEDバルブは配光技術に定評があり、特にキレのあるカットオフラインと光束維持率の高さが特徴です。24V対応モデルもあるため、トラックなど大型車にも対応できます。
「SUPAREE」は中国製ながら車検基準値の約6倍という高光度を謳う製品で、コストパフォーマンス重視のユーザーに支持されています。ただし配光品質は車種との相性が出やすいため、購入前に適合車種リストを確認することをおすすめします。
「HID屋」のMシリーズ・Qシリーズはルーメン数と配光性能のバランスが良いと評価されており、純正ハロゲンの約10倍以上の光量を持つ最上位モデルもラインアップされています。独自の二重放熱システムを採用しており、長期間安定した明るさを維持できるのが強みです。
以下の表に主要モデルを整理します。
| ブランド | 明るさ(Lo) | 色温度 | 冷却方式 | 車検対応 | 保証 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本ライティング H4標準 | 4,500lm | 6,000K | ファンレス | ✅ | 2年 |
| IPF LEDヘッドライト | 3,200〜4,000lm | 6,000〜6,500K | ファン式 | ✅ | 1〜2年 |
| HID屋 Mシリーズ | 4,000lm前後 | 6,500K | ファンレス | ✅ | 1年 |
| SUPAREE H4 | 4,600lm前後 | 6,000K | ファンレス | ✅ | 1〜2年 |
選ぶ際の優先順位は「カットライン品質 → 放熱性能 → ルーメン数」の順です。これだけ覚えておけばOKです。
また、ドライバーユニット(安定器)の形状も重要な選定ポイントです。バルブと一体型のモデルはコンパクトで取り付けしやすい反面、スペースが限られる車種では収まらないことがあります。別体型は取り回しの自由度が高く、多くの車種に適合しやすいのが利点です。軽自動車や旧型バンなどヘッドライトユニット裏のスペースが狭い車は、ファンレスの一体型コンパクトモデルを選ぶと失敗が少なくなります。
【HID屋】明るさに定評のある車のヘッドライト5選 ECサイトのランキングとの比較
2024年8月以降、車検でのヘッドライト検査は「ロービームのみ」での測定が正式に本格化しました。これはそれ以前は基準をクリアできない場合にハイビームで計測できる「救済措置」が使えたのですが、その猶予が終了したことを意味します。さらに2026年8月以降はこの基準がさらに厳格化される予定です。厳しいところですね。
現在の車検でヘッドライトが合格するための具体的な条件は次のとおりです。
「車検対応」と明記された製品を選んでも、必ず合格するとは限りません。これは重要なポイントです。なぜなら、バルブの配光はリフレクターやレンズの形状によっても変わるため、同じバルブでも車種によって結果が違うからです。特に旧型車でヘッドライトレンズが黄ばんでいたり曇っていたりすると、バルブが優秀でも光量不足となることがあります。
LEDバルブ交換後は「光軸調整」も必ず行う必要があります。バルブを差し替えると発光点のわずかなズレから光軸が狂うことがあり、そのまま車検に持ち込むと落ちます。光軸調整の費用は整備工場やカー用品店に依頼すると1,000〜3,000円程度が相場です。自分で調整する方法もありますが、壁当て作業(平らな壁に照射して光軸を確認する)が必要で、細かい精度は専門業者に任せる方が確実です。
色温度についても注意が必要です。8,000Kを超えるような青白いバルブは「白色」ではなく「青色」と判断される場合があり、不合格となるリスクがあります。見た目がかっこいいからと高ケルビンを選ぶと、車検で余計なコストがかかることになります。6,500K以下が安全圏です。
H4 LEDバルブに交換した後、意外と見落とされがちなのが「対向車への影響」です。自分の車の前が明るくなった満足感だけで終わらず、周囲への配光がどうなっているかも確認することが安全運転において非常に大切です。
LEDバルブはハロゲンバルブに比べて光量が大きく、対向車や歩行者に強い眩しさ(グレア)を与える場合があります。国土交通省の統計によれば、ヘッドランプの眩しさが原因となった事故は2021年までの10年間で国内300件以上。これは純正LEDを含む数字ですが、配光不良の社外LEDバルブはさらにリスクが高いといえます。
グレアが起きやすい状況として、次の3つが代表的です。
自分では「明るくなった!」と喜んでいても、対向車のドライバーは強い眩しさで瞳孔が閉じて前が見えにくくなっている可能性があります。これが事故を誘発するリスクにつながります。
対策として最も効果的なのは、交換後に壁などに照射して配光パターンを確認することです。カットラインの高さが適切か、上方に余計な光が出ていないかをチェックしましょう。もしカットラインが出ていない、または上方に明るい部分がある場合は、バルブの向きや取付角度を調整するか、別のバルブを選びなおす必要があります。
また、LEDバルブ交換後に「ラジオやカーナビに雑音が入るようになった」という声があります。LEDの駆動回路から発生する電磁ノイズが原因で、特に安価な製品で起きやすい現象です。この問題を防ぐには、購入時に「ノイズ対策回路搭載」と明記されているモデルを選ぶか、後付けのノイズフィルターを使う方法があります。
H4バルブ交換でグレアや車検落ちを防ぐためにチェックすべきポイントをまとめると、「バルブ交換→配光確認→光軸調整→車検前に再確認」の流れが基本です。このステップさえ踏めば問題はありません。
【ABA自動車保険業務協議会】対向車のヘッドランプによるグレア現象 事故300件以上の実態と対策
ほとんどの比較記事では「H4 LEDバルブはどれが明るいか」というランキング比較にとどまります。しかしあまり語られない視点として「ハロゲンランプ用に設計されたヘッドライトユニットにLEDバルブを入れると、設計思想のミスマッチが生じる」という問題があります。
ハロゲンバルブは360度全方向に光を放ち、その光をリフレクター(反射板)が受けて前方へ集中させる設計になっています。一方でLEDバルブは発光チップが特定方向(通常は前後)にしか光を出さないため、リフレクターへ届く光の量や角度がハロゲンと異なります。
この設計差が「明るいはずなのに前が暗い」「カットラインがボヤける」「リフレクターの一部が異常に明るく見える(ホットスポット)」などの現象を引き起こします。これは安価な汎用品で特に起きやすく、発光点がハロゲンと完全に一致するよう設計された高品質バルブでないと解消が難しいのです。
具体的に言うと、純正ハロゲンH4バルブの発光点はフィラメントの中心ですが、LEDバルブはLEDチップが搭載された基板の位置が発光点になります。1mm程度のズレであっても、リフレクターによる反射光の焦点がズレ、配光が崩れます。
この問題を回避する選択肢として、以下の対策が有効です。
また、LEDバルブ換装後は定期的な点検も重要です。LEDの光束は使用時間とともに緩やかに落ちていきます。一般的なLEDバルブの公称寿命は30,000〜50,000時間とされていますが、これは適切な放熱環境での話です。ヘッドライトユニット内の温度が高い車種や、冷却性能の低いバルブでは実際の寿命が大幅に短くなるケースがあります。
もし夜間走行中に「以前より暗くなった気がする」と感じたら、バルブの光束低下か光軸ズレのどちらかを疑うのが正解です。目安として、2〜3年ごとに光軸調整と配光確認を行うことをおすすめします。これだけで夜間視認性は格段に維持されます。
検討価値のある選択肢として、新品バルブへの交換とあわせて「光軸調整セット費用」を事前に予算に入れておくことをおすすめします。バルブ代3,000〜8,000円+光軸調整1,000〜3,000円で合計1万円前後を目安にすると、選択肢の幅が広がります。
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