

ラッカー系クリアを選んだだけで、塗装が3年以内に白く剥がれ始め修理代が3万円超えになることがあります。
車のDIY補修でクリアコートスプレーを選ぶとき、多くの人がまず手にするのは価格の安いラッカー系のスプレーです。ホームセンターで1本500〜800円程度から購入でき、使い方もシンプルなため初心者にも人気があります。しかし、ラッカー系とウレタン系ではその性能に大きな差があることを知っておく必要があります。
ラッカー系クリアスプレーは、アクリル樹脂をシンナーで溶かした塗料です。乾燥はシンナーが揮発することで進みますが、塗膜の強度は比較的低く、硬化後もコンパウンドで研磨仕上げが必要になるケースがほとんどです。完全乾燥まで1週間程度かかることもあります。
一方、2液性ウレタンクリアスプレーは、主剤と硬化剤が化学反応して硬化する塗料です。たとえばソフト99の「ボデーペン ウレタンクリアー」やホルツの「タフウレタン クリア」が代表的な製品です。これらは硬化後の塗膜がガソリンやラッカーシンナーにも溶けないほど強固で、コンパウンド研磨なしでも高い光沢感が得られます。
塗膜の強さに注目すれば、2液ウレタンが条件です。
ただし、2液ウレタン系には注意点があります。ソフト99の公式情報によれば、缶底のピンを押して主剤と硬化剤を混合した時点から化学反応が始まり、約12時間(20℃)で完全硬化してしまいます。つまり、一度開封したら使い切り前提の製品です。メーカーも「残った塗料を再使用することはできません」と明記しています。
| 種類 | 価格目安 | 塗膜強度 | コンパウンド研磨 | 開封後の制限 |
|---|---|---|---|---|
| ラッカー系 | 500〜800円 | 普通 | 必要 | なし(使い回し可) |
| 2液ウレタン系 | 1,500〜2,500円 | 非常に高い | 不要 | 混合後12時間以内に使い切り |
価格だけで選ぶと、数年後に塗膜が剥がれて再施工コストがかさむリスクがあります。用途と頻度を考えて選ぶことが大切です。
参考:ソフト99がウレタンクリアーとラッカー系クリアーの性能を実験で比較しているページです。塗膜の光沢・耐溶剤性の違いが写真付きで確認できます。
2液混合型のウレタン塗料『ボデーペンウレタンクリアー』の性能について|ソフト99
クリアコートスプレーで失敗する原因のうち、最も多いのが下地処理の不足です。これは見落としがちなポイントですが、下地が不十分だと塗装後に剥がれや浮き上がりが発生し、それまでの作業がすべて無駄になります。下地処理が原則です。
まず行うべきは「足付け」と呼ばれる研磨作業です。塗装面を耐水サンドペーパーで軽く削り、表面に細かい傷をつけることで塗料が密着しやすくなります。目安は600〜1000番程度のサンドペーパーを使い、縦横にやさしくこすること。力を入れすぎると下地ごと削れてしまうため注意が必要です。
次に欠かせないのが「脱脂」です。シリコンオフやパーツクリーナーを使って、油分・ワックス成分・手の脂を完全に除去します。どんなに丁寧に足付けしても、脱脂が不完全なままではクリア塗料がはじかれてしまいます。脱脂は研磨後に必ず行うこと、そして研磨後に素手で塗装面を触らないことが基本です。
下地処理の手順をまとめると以下の通りです。
ソリッドカラーなどの傷補修では、さらに下塗りのプラサフ(プライマーサーフェーサー)を使うと密着性がさらに高まります。プラサフは3〜5回の薄塗りを重ね、乾燥後に1000番のペーパーで表面を均してからカラー塗装・クリアコートへ進むのが正しい手順です。
一工程でも省略すると、仕上がりに差が出ます。
参考:武蔵ホルト株式会社による車の補修塗装の作業手順ページです。プラサフからカラー・クリアまでの工程が詳しく説明されています。
クリアコートスプレーを施工するとき、「一度でたっぷり塗れば早く仕上がる」と思う方は多いです。これは間違いですね。厚塗りは液垂れ・ゆず肌・気泡などの原因になり、失敗したときのリカバリーが非常に困難になります。
正しい重ね塗りの目安は、缶スプレーの場合で3〜5回です。1回目は「バラ吹き」と呼ばれる薄いコートで、色が薄くつく程度の量を均等に吹き付けます。2回目以降からやや厚みを乗せていき、最終的にクリア層が均一に仕上がるよう意識します。
重ね塗りの間隔も重要です。夏(気温が高い日)は5分程度、冬(気温が低い日)は10分以上待ってから次のコートを吹くのが基本的な目安とされています。間隔が短すぎると、下層の溶剤が完全に揮発しないまま塗膜が重なり、液垂れや白濁が起きやすくなります。
スプレー缶と塗装面の距離は15〜25cmが推奨されています。これはハガキの横幅(約14.8cm)を少し超えるくらいの距離感です。近すぎると一箇所に塗料が集中して垂れ、遠すぎると霧状の粒子が表面に付きにくくなり「ゆず肌」の仕上がりになります。
ラッカー系クリアスプレーの場合、塗装後の完全乾燥には1週間前後かかります。その後、コンパウンドシート→コンパウンド極細→液体コンパウンドの順で磨き上げることで、ウレタン系に近い光沢を出すことができます。一方、2液ウレタン系は塗りっぱなしでも高い光沢が得られるため、磨き工程を大幅に短縮できます。これは使えそうです。
参考:DIYラボによるクリア塗装の重ね塗りで艶を出すコツの詳細解説ページです。缶スプレーとガンスプレーの違いも紹介されています。
クリアコートスプレーを施工したのに、仕上がりが白く濁ってしまった経験がある方もいるでしょう。この「白化現象(白濁・白ボケ)」は、塗装DIYで最も多いトラブルの一つです。
白化の主な原因は「湿気」です。塗料を吹き付けた直後、空気中の水分が塗膜の表面に取り込まれることで白く濁ります。梅雨時や、夜間に気温が急低下して湿度が上がりやすいタイミングは特に危険です。Reddit上で共有されたケースでも、施工時の湿度が75%まで上昇したことで白濁が発生したという報告があります。
白化リスクが高まる条件は以下の通りです。
推奨される施工環境は気温15〜25℃、湿度65%以下とされており、晴れた午前中から昼過ぎにかけて作業するのが理想的です。
白濁が発生した場合、軽度であればコンパウンドで研磨することで改善できるケースもありますが、深部まで白濁している場合はいったん塗膜を削り落として再施工が必要になります。これが一番の痛手ですね。白濁を防ぐには施工前に湿度計で確認する習慣を持つことが最も効果的です。スマートフォンのアプリで気象情報を確認するだけでも、作業のリスクを大幅に下げることができます。
参考:外壁塗装での白濁現象について原因と対処法が詳しくまとめられています。車の塗装にも共通する知識が得られます。
クリア塗装の白ボケとは?原因と防止対策を分かりやすく解説|現場ブログ
クリアコートスプレーの用途として、ボディ補修と並んで人気が高いのがヘッドライトの黄ばみ対策です。市販のクリーナーで磨くだけの方法と比べ、ウレタンクリア塗装を施すことで5〜7年という長い耐久性が期待できるとされています。
ヘッドライトが黄ばむのは、もともと施されているハードコート(紫外線吸収剤入りの保護層)が太陽光や熱によって劣化するためです。このハードコートが剥がれた状態でクリアコートスプレーをそのまま吹きかけても、密着せずすぐに剥がれてしまいます。ここが多くの方が見落とすポイントです。
正しい手順のポイントは次の通りです。
注意すべき独自ポイントとして、「ヘッドライトはボディより曲面が多い」という点があります。曲面への塗装は液垂れが起きやすく、特にウレタンクリアで垂れが発生した場合、硬化前に拭き取りを試みると塗膜を広範囲に傷める可能性があります。垂れが起きた場合は完全硬化(24時間以上)を待ってからペーパーで削り直すのが安全な対処法です。
また、缶スプレーで施工する場合、ヘッドライト1個あたりの面積はA4用紙の1.5〜2枚分ほどです。2液ウレタンの1缶(300ml程度)で左右のヘッドライト合計を施工するには量が不足する場合もあるため、事前に2缶用意しておくと安心です。
ウレタンクリアを開封(混合)したら12時間以内に使い切るという点は、ヘッドライト施工でも変わりません。事前に両側をマスキングまで完了させてから開封する、という段取りが成功の鍵です。
参考:ヘッドライトへのウレタンクリア塗装の手順と失敗原因について詳しく解説されているブログ記事です。
ヘッドライトの黄ばみをウレタンクリア塗装でキレイにする方法!|塗装屋ブログ

AZ(エーゼット) CCT-001 自動車用 ガラス系コーティング剤 アクアシャインクリア 300ml 中型車約7台分 マイクロファイバークロス 付き (AW301)