

Gセンサーの初期設定をしないと、平地でも下り坂判定され続けて減衰力が狂ったままになります。
EDFC ACTIVE PROはテイン(TEIN)製のショックアブソーバーと組み合わせて使う、電動減衰力コントローラーです。運転席に座ったまま4輪のダンパー減衰力を調整できるだけでなく、走行中の車速・加減速G・旋回Gに応じて減衰力を自動制御する機能を備えています。
システムは大きく3つのパーツで構成されています。まず「コントローラーユニット」は運転席周りに設置するメインの操作部です。Gセンサー・無線送信機・ディスプレイが一体化された縦22mm×横60mmのコンパクトなユニットで、ここから無線でドライバユニットに制御信号を送ります。次に「モータードライバユニット」は各ショックアブソーバーの近くに設置され、コントローラーからの無線信号を受けてモーターを駆動します。1台のドライバユニットが2個のモーターを制御する仕組みです。そして「モーター」は各サスペンションの減衰力調整ダイヤルに直接取り付けて、物理的にダイヤルを回します。
コントローラーとドライバユニット間は完全ワイヤレス通信です。これは実用上とても大きなメリットで、エンジンルームから室内に配線を引き込むバルクヘッド貫通作業が不要になります。
説明書には「テイン製ショックアブソーバーのみ装着可能」と明記されています。他社製の車高調には取り付けできない点は最初に確認しておきましょう。なお、別売りのGPSキット(¥13,200)を追加すると、高度・緯度・経度・トリップメーター・GPS精密時計の表示が可能になります。車速信号が取れない車両やすべての機能を使いたい場合にはGPSキットが必須です。
| パーツ名 | 品番 | 価格(税込) |
|---|---|---|
| コントローラーキット | EDK04-Q0349 | ¥66,000 |
| モーターキット(車種別) | EDK05-各番 | ¥19,250 |
| GPSキット(オプション) | EDK07-P8022 | ¥13,200 |
| ストラットキット(車種別) | EDK06-K4474 | ¥4,400 |
これがシステム全体の基本です。
テイン公式のEDFC ACTIVE PRO製品紹介ページでは、各オプションパーツの品番・価格・適合条件が一覧で確認できます。購入前に適合検索ページで自分の車種とショックアブソーバーの組み合わせを必ず確認してください。
TEIN公式 EDFC ACTIVE PRO製品ページ(価格・スペック・適合情報)
Gセンサーの初期設定は必須です。これを省くと、平地に停車していても「下り坂にいる」と誤判定した状態が続き、G感応自動調整モードが正常に機能しません。コントローラーを車に取り付けた後、またはコントローラーの設置場所・角度を変えた後は、毎回この手順を実施してください。
重要な前提として、EDFC ACTIVE PROのコントローラーには3軸Gセンサーが内蔵されています。これは「任意の向き・角度で設置できる」という特許機構を持っており、水平・垂直など方向を気にせず設置してよいのが特徴です。ただし、設置後に「自分がどの向きに付いているか」をシステムに認識させる作業(G補正)が必要です。
具体的な操作手順は次のとおりです。
途中で「G ERROR」が表示された場合は、道路が傾いていたり、蛇行してしまった可能性があります。より平坦な場所で最初からやり直してください。
なお、ステアリングコラムにコントローラーを設置している場合、チルトを動かすたびにコントローラーの角度が変わります。その場合は都度G補正が必要になります。固定設置が推奨されている理由はここにあります。これは意外に知られていない盲点です。
みんカラに掲載されているGセンサー初期設定の実際の操作手順(写真付き解説)は、実体験に基づいた情報で非常に参考になります。
みんカラ:Gセンサ初期設定 ~EDFC ACTIVE(操作手順の実体験レポート)
G補正が済んだら、次にいくつかの初期設定を済ませておく必要があります。説明書を読んでも操作体系がわかりにくいと感じる部分なので、順番に整理します。
まず「4輪独立制御モード(4WH)への切り替え」です。EDFC ACTIVE PROのデフォルトでは前後独立・左右同調の2ch制御になっているケースがあります。4輪それぞれを個別に制御したい場合は、MODEボタンとDISPボタンとダイヤルを同時に長押しし、ダイヤルを回して「CTRL」を選択、「4WH」に変更します。これをやっておかないと、「4輪独立なのに左右が連動している」という状況が続きます。つまり設定変更が原則です。
次に「調整段数(STEP)の変更」です。デフォルトは16段ですが、32段または64段に変更できます。DISPボタン長押し→「STEP」選択→任意の段数に変更します。自動調整モードを使う場合は32段または64段に設定すると制御の滑らかさが大幅に向上します。ただし、64段は細かすぎて違いが体感しにくいという声もあり、街乗りメインなら32段が扱いやすいという意見が多いです。
「VOL(ブザー音量)の設定」も重要です。VOL 1がキー操作音、VOL 2が自動制御時のブザー音です。VOL 2を「0」にしておかないと、自動調整モード中はコントローラーがずっとピッピッと鳴り続けます。不要なら最初に消音設定しておきましょう。
「M-RST(原点復帰動作の頻度)」は、モーターが正しい段数を維持するために一度フルハード(0段)まで回転してから指定の段数に戻る動作の頻度設定です。「毎回」「10回に1度」「行わない」の3択があります。毎回に設定するとエンジン始動時に全モーターが動作する音がしますが、正確な段数管理のためには「毎回」が推奨されています。
「G感応自動調整の開始速度」も設定できます。0〜50km/hの範囲で、この速度以下ではG感応制御を行わない設定が可能です。渋滞時や駐車場での低速走行でモーターが頻繁に動作するのが気になる場合は、たとえば15〜20km/hに設定しておくとモーター音が減り快適です。
| 設定項目 | 操作 | 推奨値・備考 |
|---|---|---|
| 4輪独立制御(CTRL) | MODE+DISP+ダイヤル長押し→4WH | 4輪独立使用時は必須 |
| 調整段数(STEP) | DISP長押し→STEP→選択 | 自動調整なら32〜64段推奨 |
| 自動調整ブザー音(VOL2) | DISP長押し→VOL2→0 | 0で消音 |
| 原点復帰頻度(M-RST) | DISP長押し→M-RST→ON | 毎回ONが精度維持の原則 |
| G制御開始速度 | DISP長押し→該当項目 | 0〜50km/hで設定可能 |
これだけ覚えておけばOKです。
EDFC ACTIVE PROの真価は自動調整モードにあります。説明書にはモードの種類が記載されていますが、「どれを選べばよいのか」については詳しく触れられていません。ここが実際にユーザーが最も迷うポイントです。
制御モードは大きく「マニュアルモード(M)」と「オートモード」に分かれます。オートモードはさらに4種類あります。
「Gアレンジモード(GA)」は、設定したG値に達した瞬間に設定した段数だけ減衰力を変化させるモードです。たとえば「0.2G以上になったら5段ハードにする」という動作をします。設定したGの閾値で段階的にジャンプするため、動作が明確でわかりやすいですが、切り替わりのショックが出ることもあります。
「Gリニアモード(GL)」は、設定G間を補完して滑らかに減衰力を変化させます。GAがアナログ式スイッチなら、GLは連続的に変化する滑らか制御です。乗り心地重視の街乗りにはこちらが合っています。
「速度アレンジモード(SA)」は、設定した速度に達した時点で段数を変化させます。「80km/h以上になったら3段ハードにする」という使い方です。
「速度リニアモード(SL)」は、速度と減衰力の関係を滑らかに変化させるモードです。速度が上がるにつれてじわじわとハードになっていきます。
これらは組み合わせも可能で、GLとSLを同時に使う「GL+SL」モードが最もバランスが良いとされています。G制御と速度制御の両方が同時に働き、どんな走行状況でも最適な減衰力に自動調整されます。MODEボタンをマニュアルモードから8回押すとGL+SLに到達します。これは使えそうです。
プリセットメモリ(P0〜P9)は最大10パターンの基準段数を記憶できます。「P0=街乗りソフト設定、P1=ワインディング、P2=サーキット」のように使い分けることができ、走行中にワンタッチで切り替えられます。旋回G・加減速G感応の制御はこのプリセット段数を基準に動作するため、シチュエーションごとにプリセットを切り替えるだけで自動調整の効き方も変わります。
サーキットと街乗りで同じセッティングを使い続けているなら、プリセット活用で走りの質が大きく変わります。
EDFC ACTIVE PROの取り付けでよくある失敗ポイントは説明書には詳しく書かれていないものが多くあります。実際に施工した経験者の情報から重要な注意点をまとめました。
まずモーターキットの品番選択です。モーターキットは同じ「EDFC ACTIVE PRO用」でも、ショックアブソーバーのピストンロッド先端のネジ径によって品番が異なります。M10・M12・M14の3サイズがあり、それぞれEDK05-10100・EDK05-12120・EDK05-14140などと対応しています。適合検索ページで必ず確認してから購入することが大切です。間違えると取り付け自体ができません。
次に「リア側のモーターは先付けが鉄則」という点です。フロント(前輪)側はエンジンルームから作業しやすいですが、リア(後輪)側はほとんどの車種で後部座席を外さないとショックアブソーバーの上部にアクセスできません。サスペンションを車から外した状態でモーターを取り付けてから車に組み付けるのが正解です。サスペンションを組み付けた後でモーターを後付けしようとすると、作業スペースの問題で非常に困難になります。
ドライバユニットの設置場所については、エンジンルーム内に設置する場合は防塵・防水性が確保された構造なので問題ありませんが、熱源の近く(排気管・触媒の近傍など)への設置は避けてください。専用の電源ケーブルが必要で、フロント用(2m)とリア用(5m)の2種類があります。設置場所の距離に合わせて選択します。
「ストラットキット(EDK06-K4474 ¥4,400)」が必要な車種も存在します。これは車高調整時に配線がサスペンションに巻きつくのを防ぐための部品です。適合検索で「ストラットキット必要」と出た場合は忘れず追加購入してください。これを忘れると、車高を調整するたびにモーターケーブルが断線する危険があります。
また、EDFC5のドライバユニットとEDFC ACTIVE PROのコントローラーは互換性がありません。「EDFC ACTIVE PROのドライバユニットにEDFC5のコントローラーを接続するとドライバユニットが破損します」とテイン公式サイトにも明記されています。中古品を組み合わせる場合は特に注意が必要です。
取り付けの流れを実際の施工例で確認したい場合は、以下のブログ記事が写真付きで非常に詳しく解説されています。
解説:TEIN車高調整式サスペンション用 EDFC ACTIVE PRO取り付け①(フロント側・配線配策の実例)
すでにEDFC ACTIVEを所有していて、EDFC ACTIVE PROに切り替えたいと考えている場合、実は買い替えなくても対応できるケースがあります。これは多くのユーザーが知らない選択肢です。
テインでは「EDFC ACTIVE → EDFC ACTIVE PROバージョンアップサービス」を提供しています。お手持ちのEDFC ACTIVEのコントローラーをテインに送付し、プログラムを書き換えることでEDFC ACTIVE PROと同等の機能に変更してもらえるサービスです。コントローラー本体を買い直す必要がなく、コスト削減につながります。
ただし、バージョンアップ後にEDFC ACTIVE PROと完全に同じ機能にするには、別売りのシグナルコンバータ(EDC01-Q0351 ¥14,300)の同時購入が必要です。シグナルコンバータを追加することで、車両から取得した車速信号による減衰力の自動調整機能と、外部信号入力機能が有効になります。シグナルコンバータなしの場合は一部機能が制限されます。
また注意点として、このシグナルコンバータはEDFC ACTIVE PRO/EDFC5専用品であり、旧型のEDFC ACTIVEには対応していないとテイン公式サイトに明記されています。バージョンアップ後のコントローラーと組み合わせて使用する前提の製品です。
バージョンアップサービスを利用する際は、テイン公式サイトから発注書(PDF)をダウンロードし、必ず内容を確認してから申し込む必要があります。発注書には注意事項・作業内容・発注方法が記載されています。バージョンアップサービスの詳細・発注書はテイン公式ページで確認できます。
TEIN公式:EDFC ACTIVE → EDFC ACTIVE PROバージョンアップサービス詳細ページ
なお、EDFC ACTIVE PROとEDFC5では、コネクターの互換性はありますが「ドライバユニット」の互換はありません。EDFC5のコントローラーをEDFC ACTIVE PROのドライバユニットに接続してはいけません。これはドライバユニット破損につながります。バージョンアップサービスを使う場合も、既存のモーター・ドライバユニットはそのまま使用できます。配線の引き直しは不要です。