デュアルクラッチトランスミッション搭載車の選び方とメリット

デュアルクラッチトランスミッション搭載車の選び方とメリット

デュアルクラッチトランスミッション搭載車の特徴

DCTの主な特徴
高速変速

2つのクラッチが奇数段と偶数段を交互に切り替え、途切れない加速を実現

💰
優れた燃費性能

トルク伝達効率が高く、MT車並みの低燃費を実現

🚗
ダイレクトな加速感

変速時にトルクが途切れず、スムーズで鋭い加速が可能

デュアルクラッチトランスミッション(DCT)は、2つのクラッチを搭載した有段自動変速機です。片方が奇数段を、もう片方が偶数段を担当し、交互に繋ぎ変えながら変速することで、非常に高速なギア切り替えを実現しています。2003年に市販車にトルクコンバーター無しで初採用されて以来、スポーツカーを中心に多くの車両で採用されてきました。​
この技術により、加速時にトルクが途切れないため伝達効率が良く、変速時のショックが少ないというメリットがあります。MT車と同じくらい燃費が良いという特徴も持ち合わせており、クラッチ操作を自動化していることから機械的に制御されるため、MT車に比べてクラッチ板の減りが少なくなります。
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一方で、シフトチェンジやクラッチ操作が自動なため、トランスミッションの内部構造は使用部品が多く複雑になっており、必然的にATに比べてコストが高くなっています。またアクセルを踏まずにブレーキを離しただけでゆっくり加速するクリープ現象がないため、渋滞時など少しずつ進みたいときに不便だと感じる場合があります。​

デュアルクラッチトランスミッションの仕組みと構造


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DCTは奇数段のギアを受け持つクラッチ1と、偶数段のギアを受け持つクラッチ2の2つのクラッチを内蔵しています。これらのクラッチはそれぞれ独立した入力軸に接続されており、エンジンからの動力をそれぞれの軸に伝えます。例えば1速で走行している場合、クラッチ1が接続され1速ギアに動力が伝わっている間に、DCTの制御ユニットが次に必要となる2速ギアを予測し、あらかじめクラッチ2側の入力軸に2速ギアを選択してスタンバイさせておきます。
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シフトアップが判断されると、瞬時にクラッチ1が切れ、同時にクラッチ2が接続されます。この「片方が切れ、もう片方がつながる」という動作がほぼ同時に行われるため、変速ショックが極めて少なく、連続的な加速フィールが得られるのです。この高速なシフトチェンジは加速性能の向上に直結し、スポーツカーや高性能車で採用される理由の一つとなっています。
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クラッチには乾式クラッチと湿式クラッチがあり、それぞれ特性が異なります。乾式クラッチは一般的に効率が良く、パワーロスが少なく、重量も軽い傾向があるため、効率を重視するエコカーやパワーロスを避けたいスポーツカーに使用されます。一方、湿式クラッチはより多くの熱を吸収可能で、摩耗が少ない傾向があります。
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デュアルクラッチトランスミッション搭載車のメリット

DCT搭載車の最大のメリットは、高速なシフトチェンジによる優れた加速性能です。エンジンとトランスミッションを切り離す必要がないため、変速が非常に速く、この特性が加速性能の向上に直結します。トルク抜けがないため、変速操作の際に動力が途切れず、スムーズな加速が可能となっています。​
燃費効率の面でも大きな利点があります。従来のオートマチックトランスミッションに搭載されているトルクコンバーターは燃費効率を低下させる要因となることがありますが、DCTはトルクコンバーターを必要としないため、燃料消費を抑えることができます。その結果、多くのDCT搭載車は環境にも財布にも優しい選択肢となっています。​
乗り心地の快適性も見逃せません。DCTはギアチェンジ時のショックがほとんどなく、非常にスムーズな乗り心地を提供します。特に長距離ドライブや都市部の渋滞時に、その快適性が実感できるでしょう。MTのようなダイレクト感とATの利便性を兼ね備えている点も大きな魅力となっています。
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デュアルクラッチトランスミッション搭載車のデメリットと注意点

DCTには注意すべきデメリットも存在します。2つのクラッチを交互に切り替える仕組みのため、変速時にどうしてもわずかなショックが発生しやすくなります。変速時の熱や発熱などによる変速ショックが大きくなりやすく、滑らかな発進や停止が難しいのがデメリットとなるでしょう。​
故障のリスクについても理解しておく必要があります。DCTが故障する主な原因は、構造上の特性と使用環境の影響によるものです。発進や低速走行時には負荷がかかりやすく、これがトラブルの引き金になることがあります。特に発進時のクラッチ操作がコンピュータ制御であるため、半クラッチ状態が長引く傾向があり、これによりクラッチ板が過度に摩耗し、摩擦熱が蓄積されて焼き付きや異音、ギクシャクした挙動が発生することがあります。
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渋滞やストップ&ゴーの多い市街地では、そのリスクが高まります。DCT専用のフルードを長期間交換しないまま使い続けた場合、潤滑性能が低下して部品が傷みやすくなります。オイルが劣化するとクラッチの摩耗だけでなく、内部のギアやメカトロニクスにも悪影響を及ぼします。​

デュアルクラッチトランスミッション搭載の国産車と輸入車

日本国内で販売されたDCT搭載車には、いくつかの特徴的なモデルがあります。日産R35GT-Rは「GR6」6速DCTのみを採用しており、スポーツカーとしての性能を最大限に引き出しています。三菱ランサーエボリューションXは5速MTのほか、「ツインクラッチSST」6速DCTを搭載していました。
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ホンダは複数のハイブリッド車にDCTを採用してきました。3代目フィットハイブリッド、2代目フリードハイブリッド、シャトルハイブリッド、グレイスハイブリッド、初代ヴェゼルハイブリッド、ジェイドハイブリッドには「i-DCD」ハイブリッドシステム7速DCTが搭載されていました。5代目レジェンドには「SH-AWD」ハイブリッドシステム7速DCTが、2代目NSXには9速DCTが採用されています。​
しかし、フィットとヴェゼルはモデルチェンジで新たな3モードハイブリッドシステム「e:HEV」へと切り替わり、グレイスとジェイドはモデル自体が廃止されたため、現在はR35GT-Rやシャトル、フリードやレジェンド、NSXの5車種しか残っていません。欧州メーカーではフォルクスワーゲン、アウディ、BMWなど多くのブランドがDCTを採用していましたが、最近ではBMWやメルセデスベンツ、ランボルギーニなど欧州各メーカーが新型スポーツモデルを中心に、DCTから電子制御された多段トルコン式ATへの切り替えを始めています。​

デュアルクラッチトランスミッション搭載車を長持ちさせる運転のコツ

DCT車を長持ちさせるためには、発進時の運転方法が重要です。停車状態から急激にアクセルペダルを踏み込むとDCTに大きな負荷がかかるため、ブレーキペダルを離して少し車が擬似クリープで前に進み出してからアクセルペダルを踏み込むと、DCTに負荷をかけずに発進することが可能になります。
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坂道での停止時には特に注意が必要です。登り坂で停止したときには、ブレーキから足を離さないでください。オートマチックトランスミッションの場合、ブレーキを離してもトルクコンバータが回転しているため車両をその場で保持できますが、DCT車ではクラッチパックが滑っている状態になり、クラッチパックに不要な熱が加わります。ブレーキに足を乗せていると、クラッチパックが切断され、クラッチパックが不要な熱を吸収して摩耗するのを防げます。​
車庫入れする際などリバースに入れてすぐにアクセルを踏むと大きなショックを発生させてしまうことがあるので、リバースに入れてからワンテンポ空けてからアクセルを踏んだほうが滑らかでDCTに優しい車庫入れが可能になります。アクセルペダルの踏み込み量を繊細に調整することがポイントで、駐車場での微速移動や渋滞時など、低速での丁寧なアクセルワークを意識することでスムーズな発進・停止が可能になります。​
定期的なメンテナンスも欠かせません。DCT専用のフルードの状態を確認し、必要であれば早めに交換することが重要です。メカトロニクスと呼ばれるDCT制御ユニットの診断も定期的に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。整備工場によって対応が異なりますが、基本的には車検と一緒に交換してもらえます。
参考)DCTは故障しやすいのか?DCTの特徴や長持ちさせる方法など…

Honda公式サイト DCT技術解説
DCTの詳細な仕組みや技術的な解説を確認できる公式技術資料です。

 

BMW DCTの故障の原因と対策と修理費用
DCTの故障原因と具体的な対処法について詳しく解説されています。

 

 


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