
アルミ製 5速 シフトパターンプレート スラッシュカット シルバー シフトパターンステッカー チェンジパターンステッカー ギアチェンジステッカー 【マッドマックス】
ターボ車でギアチェンジをする際に「プシュー」や「パシュー」という特徴的な音が聞こえることがあります。この音の正体は、ターボチャージャーに装着されている「ブローオフバルブ」という部品から発生する圧力解放音です。アクセルを踏んでいる時には、ターボチャージャーのコンプレッサーが空気を圧縮してエンジンに送り込んでいますが、ギアチェンジのためにアクセルを離すとスロットルバルブが閉じられます。しかし、ターボチャージャーは慣性によって高速回転を続けるため、圧縮された空気が行き場を失ってしまいます。
参考)『MT車でクラッチを踏むと?変速時? プシュー プシュー..…
この行き場を失った高圧の空気を解放する際に発生するのがプシュー音です。特に1980年代後半から2000年頃のスポーツモデル全盛期には、シフトチェンジのたびに「プシュー」と咆哮を上げていたターボチューン車が街中に溢れていました。当時はスカイライン、シルビア、スープラ、RX-7、インプレッサ、ランエボなど若者を中心に絶大な人気を誇るターボ車が多く存在し、ブローオフバルブの音は改造車の象徴的な存在でした。
参考)ターボ車の『プシュー音』…この正体を知ってますか?
ブローオフバルブは、スロットルが閉じられた際にコンプレッサーとスロットルバルブ間の余剰圧力を解放することで、スロットルレスポンスの悪化やコンプレッサーブレードの負荷の原因となるコンプレッサーサージングを防ぐ重要な部品です。ターボチャージャーは排気ガスの力でタービンを回転させ、その力でコンプレッサーを駆動して空気をエンジンに送り込みます。タービンの回転速度は自動車用の小型のもので20万rpmを超えることもあり、高温の排気(800~900℃)を直接受けて動作します。
参考)ブローオフバルブ - Wikipedia
アクセルを踏んでいる時は、ターボからエンジンに流れ込む空気はターボによる過給で強く圧縮されています。アクセルを離すとスロットルバルブは閉じますが、ターボからスロットルまでの空気の通路にはある程度距離があるため、ここに圧縮された空気が取り残されます。すると行き場を失った圧縮空気は、ターボに向かって逆流しようとし、この逆流する圧力波が「コンプレッサーサージ」と呼ばれる現象を引き起こします。これを防ぐためにアクセルを離した時、圧縮空気を放出するのがブローオフバルブの役割です。
参考)エンジンからプシュっと聞こえる音はなに!? ウェイストゲート…
ブローオフバルブには主に2つのタイプが存在し、それぞれ音の発生方法が異なります。一つ目は「リサーキュレーションバルブ(再循環バルブ)」と呼ばれるタイプで、解放した空気を大気に放出せずタービン手前の吸気管に戻す仕組みです。これは純正でも採用されており、プシュー音はほとんど出ません。現在のターボ車には全車このリサーキュレーションバルブという名称のパーツがついており、ブローオフバルブと同じ役割をしています。
参考)ブローオフバルブっていまでも需要あるの? ターボ車特有の「プ…
二つ目は「大気開放式(リリース式)」と呼ばれるタイプで、圧縮空気を大気へ直接放出するため、「プシュー」という特徴的な音が発生します。このタイプはほぼ社外品で、かつてブリッツのブローオフバルブが爆発的にヒットし、作ったらすぐ売れてしまうほどの人気でした。パーツ単体の価格は3万円前後で、DIYで簡単に取り付けられたのも広く支持された理由です。しかし、このタイプは圧縮空気と一緒に未燃焼ガスが放出されるため、後述する違法改造に該当します。
参考)アクセルオフ時の「プシュー音」は憧れだった! チューニングカ…
大気開放式ブローオフバルブを取り付けている車両は車検に通りません。ブローオフバルブから排出されるブローバイガスは大気汚染の原因につながるため、道路運送車両法の「ばい煙、悪臭のあるガス、有毒なガス等の発散防止装置」に抵触することから、車検非対応となります。純正品のように逆流した余剰圧力をサクション側に戻すタイプであれば車検に通りますので、社外品に交換する場合はサクションリターンタイプのブローオフバルブを選ぶ必要があります。
参考)ブローオフバルブ装着車は車検に通らない?
大気開放式のメリットは独特の大気開放音であり、ECUを含めセッティングをしっかり行えばレスポンスを向上させるカスタマイズにもつながると言われています。しかし、車検に通らない違法改造であること、また純正ECUがエラーを起こしエンジンに不具合を起こす可能性があることなど、デメリットが大きいため推奨できるものではありません。実際にインプレッサGDB-E型のオーナーからは、大気開放バルブではトルク抜けや燃調が狂う、エンストするといったデメリットが報告されています。
参考)『インプレッサ、ブローオフについて』 スバル インプレッサ …
プシュー音を楽しみたい場合でも、車検や法規制を考慮した対策が必要です。最も安全な方法は、純正強化ブローオフバルブや純正加工タイプのブローオフバルブを選択することです。これらは純正のリサーキュレーション機能を保ちながら、強化されたスプリングによって適切な圧力で作動し、音量も若干大きくなる特性があります。特にインプレッサGDBやジムニーJB64などの人気車種では、純正加工強化ブローオフバルブとレーシングサクションなどのエアクリーナーを組み合わせることで、車に負担をかけずに音を楽しむことができます。
参考)新型ジムニーJB64用ブローオフバルブでレーシーなプシュー音…
また、現在の主流であるダウンサイジングターボは、環境性能に優れ小排気量の燃費と上位クラスに匹敵するパワーを両立しています。これらの車種では、その存在からして大気開放音は必要なく、むしろリサーキュレーションバルブによる静かな動作が求められます。地球温暖化をはじめ環境問題がクローズアップされるようになり、排ガス規制も厳しくなったことで、2000年代に入って多くのターボスポーツモデルが姿を消し、街中で響いていたプシュー音も徐々に聞かれなくなりました。
<参考リンク>
ブローオフバルブの基本的な仕組みと車検への影響について詳しく解説されています
ブローオフバルブの役割と効果、仕組みについて解説|車検への影響も - Response
ターボチャージャーとブローオフバルブの関係性について技術的な詳細が記載されています
ターボチャージャの構造 - IHI
大気開放式と純正リサーキュレーションバルブの違いと法規制について解説しています
ブローオフバルブ装着車は車検に通らない? - コスモ石油販売