

ポリッシャーで磨くほど、バフ目はひどくなる場合があります。
バフ目とは、ポリッシャーでボディを研磨した際に塗装面に残る細かな磨きキズのことです。ボディを正面から見ると一見ツヤがあるように見えても、太陽光や蛍光灯の光を斜めから当てると、モヤがかかったようなギラギラした模様が浮き上がってきます。この現象こそがバフ目であり、特に黒・ネイビー・ダークグリーンといった濃色車では非常に目立ちます。
バフ目と混同されやすいのが「オーロラマーク」という呼び名です。実はこの二つは同じ現象を指しています。シングルアクションポリッシャーのように一定方向に回転する工具で磨くと、均一な向きの細かいキズが塗装面に刻まれます。そのキズが光を乱反射することで、まるでオーロラのようなモヤっとした光彩が生まれます。業界ではこれを「オーロラマーク」「バフ目」「オーロラキズ」と呼びますが、原因も対策も同一です。
つまりバフ目です。
バフ目は「磨いたのに出てきた傷」という意味で、傷取りの過程で必ず発生するものです。大切なのは、傷取り後の工程でいかにバフ目を消し切るかという段階管理の精度にあります。
「室内で確認したらキレイだったのに、外に出したらギラギラしていた」というのは、まさにこのバフ目が残っていたケースです。仕上げの最終確認は必ず斜めからの光で行うことが原則です。
自動車の塗装に関する解説として、塗装構造と磨きの関係がわかりやすくまとまっています。
ツヤツヤなコーティングにするために欠かせない「バフ」の種類と使い分けを解説|日本ライティング
バフ目が残ってしまう最大の理由は、ポリッシャー・バフ・コンパウンドの組み合わせが目的に対して適切でないことです。これを業界では「マッチングのミス」と呼びます。
まずポリッシャーの種類から整理します。研磨工具として使われるポリッシャーには、大きく3種類あります。「シングルアクションポリッシャー」は1方向に回転するだけのシンプルな構造で、研磨力が最も高い反面、バフ目が入りやすい工具です。「ダブルアクションポリッシャー」は回転しながら同時にランダムな偏芯運動もするため、磨きキズが一方向に偏らず、バフ目やオーロラマークが格段に出にくい構造になっています。「ギアアクションポリッシャー」はシングルとダブルの中間的な特性を持ち、安定したトルクで作業できます。
バフの種類についても理解が必要です。ウールバフは羊毛素材でできており、研磨力が高く深いキズ取りに向きますが、バフ目が残りやすいのが特徴です。スポンジバフ(フォームバフ)は研磨力こそウールに劣るものの、仕上げ精度が高くバフ目が出にくいため、バフ目消しの工程では主役になります。近年ではマイクロファイバーバフも普及しており、研磨力と仕上げ精度のバランスが良くダブルアクションとの相性が優れています。
バフ目は組み合わせで決まります。
問題が起きやすいのは、「シングルポリッシャー+ウールバフ+細目コンパウンド」という最強研磨の組み合わせで傷を取った後に、バフ目消しの工程を省いてしまったり、同じ組み合わせのまま続けてしまうケースです。ウールバフは構造上、規則的な方向の細かいキズを必ず残します。このキズを消すためには、次の工程でバフと工具を切り替えることが必須となります。
もう一点見逃されがちなのが、バフに付着した汚れの問題です。バフに砂や鉄粉が残ったまま磨くと、その異物が新たなキズの原因になります。作業前のバフ点検と、工程ごとにバフを交換する習慣が仕上がりの質を大きく左右します。
ポリッシャーの種類とバフ目の関係について詳しい技術解説が掲載されています。
ポリッシャーとバフとコンパウンドのマッチングが決める仕上がりの差|055オートディテイリング
バフ目を消すには、使うコンパウンドの番手(粒子の粗さ)と工程の順序が鍵を握ります。
コンパウンドは粒子が大きいほど研磨力が高く、小さいほど仕上げ精度が上がります。バフ目消しの文脈で重要になるのは「細目→極細目→超微粒子」の3段階です。それぞれの役割を整理すると、細目は洗車キズや浅めの傷を取り除くステップ、極細目は細目で生じた磨きキズを消すステップ、そして超微粒子は最終的な艶出しとオーロラマーク対策のステップです。
3段階が基本です。
特に注意が必要なのが黒などの濃色車です。白や淡色車であれば「細目→極細目」の2段階で十分に見た目がきれいになりますが、黒系の濃色車では極細目で生じた磨きキズが太陽光の下で白く目立ってしまいます。このため濃色車では「細目→極細目→超微粒子」の3段階が必須となります。
作業の具体的な手順を示すと以下のようになります。
Step3とStep4でバフとウェスを必ず交換するのが重要なポイントです。前工程のコンパウンドが次工程のバフに残ると、精度を上げるために番手を替えた意味が半減してしまいます。
また、暑い夏場の屋外作業では液体タイプのコンパウンドが乾燥しやすく、焼き付きが発生するリスクが高まります。温度管理が難しい場面では、伸びの良い油性コンパウンドや日陰での施工が推奨されます。
コンパウンドの番手と使い方について専門的な解説があります。
初心者でも簡単!車のボディについたスリキズや水アカ、コンパウンドで消す方法|ソフト99
「手順通りにやったはずなのにバフ目が消えない」というケースは、実際によくある状況です。その場合に見直すべきポイントがいくつか存在します。
最も多い原因のひとつが「確認光源のミス」です。室内の蛍光灯直下でバフ目が消えたように見えても、屋外で斜め方向の太陽光を当てると再び浮き上がることがあります。バフ目の最終確認は、斜めからの自然光か専用の作業ライトを使って行うことが原則です。コーティング専門店では、磨き中も常にライトをボディに当てながら傷の状態を逐一確認しています。
次に多い原因が「バフ・ウェスの汚染」です。コンパウンドの番手を変えてもバフやウェスを替えていない場合、前工程の粗い粒子が混在して精度が出ません。これは番手を3段階変えても効果がほぼ出ないという致命的なミスです。コンパウンドを変える工程では、バフとウェスを完全に新しいものに交換することが条件です。
もう一点、見落としがちなのが「ポリッシャーの動かし方」の問題です。特にシングルアクションポリッシャーで一定方向にのみ動かし続けると、規則的なバフ目が深く入ります。途中からランダムな動かし方に切り替えることで、キズの方向が分散されてバフ目が出にくくなります。
対処法は1つで十分です。
それでも消えないバフ目が残る場合、より細かいバフに交換するという選択肢があります。ある程度磨いていると、どうしても消えないバフ目が残ることがあります。その際は工程を一段階下げ、より細かいバフ+より細かい番手のコンパウンドで再度磨き直すことで解決できます。
プロのコーティング専門店では、バフ目が残った状態でコーティングを施工しません。バフ目の上にガラスコーティングを乗せてしまうと、バフ目が封じ込められて半永久的に消せなくなるからです。DIYでコーティングを検討しているなら、バフ目を完全に消してから施工する順番を守ることが重要です。
コーティング施工前の下地処理の重要性が詳しく解説されています。
【上級編】ガラスコーティングを完璧に施工したい人向けのマニュアル|日本ライティング
バフ目の消し方を正しく理解した上で、それを実際にDIYで行うべきかどうかを判断することも大切です。ここでは費用・リスク・仕上がりの観点から、DIYとプロ依頼の違いを整理します。
DIYの場合、初期投資としてダブルアクションポリッシャー(1万円前後〜)・スポンジバフ数種類(1,000〜3,000円程度)・コンパウンド3種(合計2,000〜5,000円程度)が必要になります。工具を一式そろえると合計で2万円前後になることもあります。これは維持費という観点では「今後も繰り返し使える投資」ですが、初回だけで考えると相応のコストです。
これは使えそうです。
プロに磨き(バフ目消し+オーロラマーク対策)を依頼した場合、車のサイズや状態によって費用は異なりますが、軽自動車で1〜2万円、普通車で2〜4万円程度が目安とされています。仕上がりの保証という観点ではプロ依頼が安心です。
DIYでのリスクとして特に注意が必要なのが、シングルポリッシャー+ウールバフ+粗目コンパウンドという「最強の組み合わせ」を初心者が使うことです。この組み合わせでは、プレスラインや角の近くで数秒間同じ場所を磨き続けるだけで、クリア層が剥がれて下地が露出するリスクがあります。再塗装の費用は部位によっても異なりますが、1パネルあたり3〜5万円になることも珍しくありません。
厳しいところですね。
初心者にはダブルアクションポリッシャーから入ることが強く推奨されています。バフ目が出にくく、塗装への負担も少ないため、失敗のリスクを大幅に下げられます。「ダブルアクション×スポンジバフ×超微粒子コンパウンド」の組み合わせは、初心者が安全に仕上げ磨きを行うための基本セットです。
自分の車の塗装状態・色・磨きの経験値を踏まえてDIYかプロかを選ぶことが、最も賢明な判断です。特に、黒などの濃色車で深いバフ目やオーロラマークが全面にある場合は、プロへの依頼を検討するのが時間・コスト・リスクの面でメリットが大きいでしょう。
初心者向けポリッシャーの選び方と費用感を比較した実用的な記事です。
【2025年】車用電動ポリッシャーおすすめ人気10選!初心者・プロ向け徹底解説|オートックワン

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