

アメ車マスタングの「故障が多いか?」は、まず世代と個体履歴で分けて考えるのが現場的です。たとえば旧い世代は燃料系や冷却系、電装のトラブルが重なりやすく、直しても次が出る“連鎖”になりがちです。実際に、燃料系トラブル(キャブの不調や燃料供給の問題)や冷却水漏れ、電気系などを「代表例」として挙げる解説もあります。
一方で、比較的新しい世代では信頼性が上がり「飛び抜けて大きな故障事例は多くない」としつつ、注意点としてオイル漏れや、整備上の癖(例:スパークプラグ取り外し時の折損リスクの言及)など、作業品質に直結するポイントが残ります。ここで重要なのは、一般論の“アメ車は壊れる”よりも、入庫時に「どの弱点の系統を先に潰すか」を決めることです。
参考)マスタングは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説…
現場で相談が増えやすい弱点として、エアコン故障・オルタネーター(発電機)・ラジエター水漏れを挙げている“部品屋視点”の整理もあります。これらは不具合の出方が分かりやすい反面、原因が1点ではなく、ハーネス・アース・カプラ・熱害など複合で再発することがあるため、交換だけで終わらせず周辺点検をルーチン化したいところです。
参考)フォード マスタングの弱点や故障、【部品屋の視点】で解説する…
アメ車マスタングはエンジンのバリエーションが広く、整備情報の取り違えがトラブルの起点になります。国内向け紹介記事でも、2.3L直4ターボ EcoBoostと、5.0L V8の2本立てで、トランスミッションは6MT/10ATが組み合わされる説明があり、同じ「マスタング」でもパワートレインが別車種級に異なると分かります。
V8側は世代により燃料供給の思想も変わり、V8に「直接噴射とポート噴射を併用するデュアルフューエルインジェクション」を採用している、と国内ショップ解説で触れられています。直噴化で終わりではなく、ポート噴射も併用する設計は、カーボン堆積や燃調の考え方、トラブルシュートの当たりの付け方に影響します(“直噴だから必ずこの症状”の短絡を避ける)。
参考)フォードマスタング|中古車から新車マスタング・エレノア・シェ…
ATまわりは10速AT搭載個体が増え、作業後に「学習値(自動適応)」が絡む相談が出やすくなります。フォード向け診断機(G-scanのフォード編マニュアル)には、PCMのKAMリセットや、TCMの学習値リセット/トランスミッションテーブルリセット等の作業サポート項目が明記されており、作業後の“違和感”を消すために「リセットできる手段」を工場側が持っているかが品質差になります。
参考:学習値リセット等の作業サポート(PCM KAMリセット、TCM 学習値リセット、トランスミッションテーブルリセット等)
G-scan 取扱説明書(フォード編)PDF
アメ車マスタングの足回りは、世代によって構造と“出る症状”が異なるため、問診の仕方を変えると診断が速くなります。たとえばS197系のリア足回りは、構造由来の挙動が絡みやすく、劣化やガタが進むとリアの安定性に影響しやすい、という整備士解説動画の指摘があります。
さらに、車高を落とす(ローダウン)などのカスタムが入ると、純正設計のジオメトリから外れて「左右のズレ」や直進性の違和感が出ることがあります。実際に、ローダウンで車体が左にズレるため調整式パンハードロッドで補正する、という作業例が国内ブログで具体的に書かれています。
参考)https://ameblo.jp/autogarageswap/entry-12645999411.html
ここは“故障修理”と“仕様変更後の補正”が混ざって入庫する領域です。異音の原因がブッシュ劣化なのか、調整不足(センターずれ・ピニオン角など)の結果なのかを切り分けるために、整備記録と装着部品の確認(どのメーカーの何を入れたか)を必須化すると、無駄な再作業を減らせます。
アメ車マスタングの維持費は、単純に「燃費」だけではなく、部品調達の時間と費用、そして診断・再学習の工数で上下します。故障解説記事でも、エアコン修理などで部品費用が10万円前後かかることがある、といった“部品代が効く”例が挙げられており、見積り時点で「部品代が読みにくい箇所」を先に説明するのが安全です。
エンジンオイルは、指定粘度や運用が話題になりやすい一方、実際の現場では「年式・エンジン形式・走行距離・使用環境」に合わせた落としどころが必要になります。ユーザー投稿ベースでは「指定は5W-20だが、距離が伸びたので5W-30にしていた」といった運用例も見られ、入庫車が必ずしも“教科書どおりの油種”で来ないことが前提になります。だからこそ、交換歴が不明な個体は、まず現状油種・漏れ・消費・異音の有無を記録し、次回点検で評価できる形に整えるとトラブルを減らせます。
参考)オイル交換 @初オートバックス(フォード マスタング クーペ…
ここで意外と効くのが「納期を短く見せない」説明です。輸入部品は在庫状況で一気に延び、さらに“交換後に学習が必要な系統(ATなど)”では、引き渡し直後のフィーリング差がクレーム化しやすい領域になります。前述のようにTCM学習値リセット等の機能が診断機側に用意されていることもあるため、工場の設備と手順(リセット→再学習→試運転)を見積りに含めて提示すると、後工程の揉め事を抑えられます。
検索上位の“故障あるある”だけで終わらせないなら、整備士側の独自視点は「世代判定を先に固定する」運用です。マスタングは世代でパワートレインや制御が変わり、同じ症状でも診断の入口(見るべきPID、点検順、必要なリセット)が変わります。たとえば現代の個体なら、PCMのKAMリセットやTCMの学習値リセットが“作業サポート”として整理されている一方、旧い個体ではそもそも機械式要因(燃料供給・点火・冷却)の積み重ねが本命になりやすい、という切り分けができます。
具体的には、入庫時に次の3点をテンプレ化すると、診断がブレにくくなります。
この運用の“意外な効能”は、部品交換の正解率よりも、説明の一貫性が上がる点です。アメ車マスタングはオーナーの期待値が高く、修理の過程も含めて納得したい人が多い車種なので、世代判定→系統立て→学習までを一連で語れると、整備の信頼が積み上がります。