

空気圧を入れ直しても、警告灯が消えない。
TPMSとは「Tire Pressure Monitoring System」の略で、タイヤの空気圧をリアルタイムで監視してドライバーに知らせる安全支援システムです。アメリカでは2007年から新車への搭載が100%義務化されており、ヨーロッパや韓国、中国でも法規化が進んでいます。日本は現時点では義務化されていませんが、レクサス全車・ランドクルーザー300系・日産アリア・GT-Rなど高価格帯の車種を中心に標準装備が増えています。
TPMSには大きく分けて「直接式」と「間接式」の2種類があります。この違いを理解しておくことが、説明書を正しく読み解くうえで最初の一歩です。
| 方式 | 仕組み | 説明書での主な設定作業 |
|---|---|---|
| 直接式 | タイヤ内のバルブにセンサーを取り付けて空気圧を直接計測し、無線で車内受信機に送信 | センサーのID登録・ペアリング・初期化が必須 |
| 間接式 | ABSのホイール回転数センサーのデータを演算して空気圧低下を推定 | タイヤ交換後に走行前のリセット操作が必要 |
直接式は空気圧の数値をリアルタイムで画面表示できる一方、タイヤ内にセンサーを組み込む必要があるため、スタッドレスタイヤへの交換時に追加センサーの購入が必要です。間接式は追加部品なしでリセット操作だけで済む手軽さがあります。
後付けの市販TPMSの多くは直接式です。説明書に「ID登録」「ペアリング」「学習」という言葉が登場する場合は直接式と考えて問題ありません。つまり、設定手順が多いほど直接式ということですね。
タイヤの空気圧は1ヵ月で約5%ずつ自然に低下することがJATMA(日本自動車タイヤ協会)の調査で明らかになっています。空気圧が規定値より20%低下すると、燃費が最大で5〜10%悪化するとも言われており、ガソリン代の見えない出費につながります。さらに偏摩耗が進んでタイヤの寿命が短くなるリスクもあります。TPMSはこうした見えないロスを防ぐためのシステムです。
参考:タイヤ空気圧監視システム TPMS の仕組みと空気圧管理の重要性について
太平洋工業 TPMS製品ページ(TPMSの仕組みと搭載義務化の状況)
市販の後付けTPMSセンサーには「キャップ式(外付け)」と「バルブ一体式(内蔵式)」の2タイプがあります。キャップ式はタイヤのバルブキャップをセンサー付きキャップに交換するだけなので、工具が不要で自分で取り付けられます。バルブ一体式はタイヤをホイールから外す必要があり、タイヤショップでの作業が前提です。
センサーの取り付けそのものよりも、設置後の「初期設定」でつまずくケースが多いです。これが基本です。バルブを締めただけでは機能しないモデルがほとんどなので、アプリの設定画面を開いてペアリングが完了しているかを必ず確認する、という1アクションを忘れないようにしてください。
なお、純正の直接式TPMSが搭載されている車両にセンサーを付け替えた場合や、タイヤローテーションを行った場合は、センサーのID(識別番号)を車両側に再登録しなければなりません。ID登録を行うには、ディーラーや整備工場が持つ専用のTPMS診断ツールが必要になるケースがほとんどです。IDの読み取りと登録作業の費用は1台あたり4,400円〜が相場となっています。
参考:タイヤ交換後のTPMSリセット・初期化手順についての公式案内
トヨタ公式FAQ:タイヤ空気圧警報システム初期化(リセット)方法
説明書を読んだのに警告灯が消えない、という相談は非常に多いです。
タイヤの空気を正しい圧力に補充しても警告灯が消えない場合、ほぼ確実に「初期化(リセット)操作」が完了していないか、センサーのID登録が済んでいないことが原因です。初期化を行わないままにしておくと、空気圧が実際には正常でも警告灯が消えない、逆に空気圧が低下しても警告が出ないという誤った状態になります。どちらも困りますね。
初期化の基本手順(直接式・間接式共通の流れ)
ただし、メーカーや車種によって操作手順は異なります。トヨタ・レクサスではメーターの操作スイッチから設定画面を呼び出す方式、日産ではステアリングスイッチからTPMSリセット画面を開く方式が採用されています。操作手順が正しくても「初期化操作時に警告灯が3回点滅しない場合は初期化されていない」(レクサスUX取扱説明書より)などの確認サインを見落とすことがあるため、必ず取扱説明書と照合してください。
後付けの市販TPMSでは、初期化の前に「ペアリングモード」に切り替える操作が必要なモデルも多いです。受信機のボタン長押しでLEDが点滅するなど、センサー側と受信機側の両方で操作が要るケースがあります。説明書の「ペアリング」の項目は飛ばしがちですが、これは必須です。
もし上記の操作を正しく行っても警告灯が消えない場合は、次の原因が考えられます。
センサーのID登録状況をセルフで確認したい場合は、OBD2対応の診断アプリ(CarScannerなど)をスマートフォンに入れ、OBD2ポートに接続する方法があります。TPMS関連のエラーコードを読み取ることができ、ディーラーに持ち込む前の切り分けに使えます。確認する、という1アクションで状況が把握できます。
参考:センサーID登録後も警告灯が消えないトラブルの実例と対処
レクサスNX 空気圧センサー警告灯解除・整備士が教える完全手順
直接式TPMSのセンサーは電池で動いています。電池寿命は車種やメーカーによって異なりますが、約5〜10年が目安とされています。重要なのは、この電池はセンサー本体に樹脂で封入されているため、電池だけを取り出して交換することができないという点です。
電池が切れたら、センサーごと丸ごと交換する必要があります。交換費用の目安は次のとおりです。
| 車種区分 | センサー1個あたりの費用目安 | 4本分の合計目安 |
|---|---|---|
| 国産車(純正品) | 3,000〜5,000円 | 12,000〜20,000円+工賃 |
| 輸入車(純正品) | 12,500〜20,000円 | 50,000〜80,000円+工賃 |
| 社外互換品 | 5,000〜10,000円 | 20,000〜40,000円+工賃 |
輸入車の場合、センサー4本分だけで5〜8万円の出費になることも珍しくありません。痛いですね。
さらに見落とされやすいのが、スタッドレスタイヤへの季節交換時の問題です。TPMS装備車でスタッドレス用のホイールセットを新たに購入する場合、そのホイールにも新たにTPMSセンサーを4本分取り付けなければ、走行中に警告灯が点灯し続けます。スタッドレスにもセンサーが必要、という点が盲点になりがちです。
加えて、ホイール自体が「TPMS対応ホイール」でなければセンサーを取り付けることができません。バルブの取り付け穴の形状がTPMS専用設計になっていないホイールには、センサーが固定できないためです。スタッドレス用のホイールを購入する際は、必ず「TPMS対応」の表記があるものを選ぶことが条件です。
なお、みんカラの投稿によれば、タイヤ交換のたびに純正TPMS設定のためだけにディーラーへ持ち込むと「タイヤ1本あたり8,000円、4本で32,000円」かかったという報告もあります。センサーのID登録作業は、専用テスターを持っている店舗への依頼が基本です。この作業をタイヤ交換と同時に依頼すれば、別途持ち込む手間と費用を抑えられます。メモするという1アクションで次回の無駄な出費が防げます。
参考:TPMS装備車のスタッドレスタイヤ購入時の注意点
TAS-PA ブログ:空気圧監視システム「TPMS」の仕組み・電池寿命・交換時期の解説
ここが最も読者に知っておいてほしい内容です。
市販のTPMSや後付けの空気圧センサーには、使用している無線周波数帯が製品によって異なります。日本では電波法の規定により、TPMSに使用できる周波数は315MHz帯に限定されています。ところがAmazonや海外ECサイトで流通している格安のTPMS製品の多くは、ヨーロッパ規格の433MHz帯を使用しています。
433MHz帯のTPMSを日本国内で使用することは、電波法違反です。つまり「Amazonで安いTPMSを買って取り付けた」という行動が違法になり得るということですね。
🚨 電波法違反の場合の罰則
格安品を取り付けた結果として最大100万円の罰金リスクを背負うことになりかねません。センサー1個数千円の節約が、取り返しのつかない出費につながる可能性があります。
購入時に確認すべきポイントは明確です。設定するという1アクションとして、購入前に以下を必ずチェックしてください。
なお、総務省は2025年2月27日に省令改正を公布し、433MHz帯の使用を一部正式に認可する方向に動いています。しかし現時点での適用範囲や条件は限定的であり、市販の個人向けTPMS製品がすべて合法化されたわけではありません。最新情報はカシムラやウェッズなど国内メーカーの公式サイトで確認するのが確実です。
参考:日本における TPMSの周波数帯と電波法上の取り扱いについて
TPMSは「異常を知らせるアラート」として使うのが一般的ですが、実はもっと積極的な使い方ができます。
多くのTPMSシステムは、空気圧が規定値の約20%低下してからアラートを発します。つまり、ランプが点くころにはすでに燃費悪化やタイヤ摩耗が相当進んでいる状態です。これは気づきにくいデメリットです。
そこで、スマートフォンアプリ連携型のTPMSを活用することで、アラートが鳴る前の「じわじわとした空気圧低下」を数値で把握できるようになります。例えばタイヤ空気圧が230kPaから210kPaに下がった段階でアプリで気づけば、給油のついでにガソリンスタンドで補充するだけで済みます。これは使えそうです。
具体的な活用フローとしては、次のような週次チェックがおすすめです。
タイヤの空気圧が規定値より20%低下すると燃費が最大10%悪化するという試算をもとに計算すると、月間で2,000km走る車の場合、燃費が15km/Lから13.5km/Lに下がることで月1リットル以上の余計な給油が発生します。年間に換算すると数千円〜1万円規模の差になることもあります。
さらに、冬タイヤへの交換直後は気温の低下によって空気圧が自然に下がりやすいことも覚えておきましょう。気温が10℃下がるごとに、タイヤ内の空気圧は約10〜20kPa低下するとされています。冬の朝にTPMSの警告灯が点灯しやすいのはこのためです。温度が戻れば空気圧も戻ることが多いですが、明らかに低い場合は補充が必要です。
空気圧をリアルタイムで把握できる環境を作れば、タイヤ交換コストの削減・燃費の安定・突発的なパンクリスクの低減という3つのメリットが同時に得られます。結論はTPMSを「警告器」ではなく「日常のメンテナンスパートナー」として使うことです。
参考:空気圧低下が燃費・タイヤ寿命に与える影響の詳細データ
トーヨータイヤ ON THE ROAD:進化するタイヤDX!タイヤ空気圧監視システム(TPMS)とは?

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