スピードリミッター解除と車検の関係・違法性と注意点

スピードリミッター解除と車検の関係・違法性と注意点

スピードリミッター解除と車検の関係・リスク・正しい方法

リミッターを解除した乗用車は、そのまま車検に通ります。


この記事でわかること
🔑
車検への影響

乗用車の180km/hリミッターはメーカーの自主規制なので、解除しても車検の保安基準に抵触しません。

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違法になるケース

大型トラックの90km/hリミッターは法律で義務付けられており、解除すると6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

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解除の正しい使い方

リミッター解除はサーキットなどのクローズドコース専用が大前提。メーカー保証・任意保険への影響も事前確認が必須です。


スピードリミッター解除が車検に通る本当の理由





「リミッターを解除したら車検に落ちるのでは?」と考えている人は多いですが、乗用車に関しては事実が違います。国産の一般乗用車に設定されている180km/hのスピードリミッター(軽自動車は140km/h)は、1970年代に自動車メーカーが当時の運輸省に忖度して自主的に設けたものであり、道路運送車両法の保安基準とは無関係です。


つまり、車検で見られる「保安基準への適合」という観点では、リミッターの有無や設定値は審査対象に含まれていません。乗用車の場合、スピードリミッターの解除は完全に合法です。


ただし、一点だけ注意が必要な車種があります。大型トラック・バスなど事業用大型車の90km/hリミッターは、2003年に道路運送車両法によって装着が法律で義務付けられました。この車両のリミッターを解除すると、道路運送車両法違反となり「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられます。運転者も「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」の対象です。


乗用車とトラックでは扱いが180度異なる、ということですね。


では、乗用車のリミッターはそもそもなぜ存在するのでしょうか。理由は安全性の確保です。速度が上がるほどタイヤやブレーキへの負荷は指数関数的に増大し、万一事故が起きた場合の被害が桁違いに大きくなります。法的義務はなくても、業界全体の暗黙のルールとして今も180km/hという壁が維持されています。


車種区分 リミッター根拠 解除の合法性 車検への影響
一般乗用車(普通車) メーカーの自主規制 ✅ 合法 なし
軽自動車 メーカーの自主規制 ✅ 合法 なし
大型トラック・バス 道路運送車両法(2003年義務化) ❌ 違法 車検不合格・罰則あり


なお、国産車でも日産GT-RやレクサスのFモデル(RC F・LC500など)は、GPSで特定のサーキットに入ったことを検知すると自動的にリミッターが解除される「サーキットモード」を標準装備しています。これはメーカー純正の機能であり、公道では絶対に解除されない仕組みになっています。


参考リンク(乗用車のリミッター解除が合法である根拠と詳細解説)。
解除はなんと合法だった!国産車登録車が「180km/hリミッター」解除する方法と費用 – WEB CARTOP


スピードリミッター解除の方法①ECU書き換えとその費用

スピードリミッターを解除する方法として最も根本的なのが、ECU(エンジンコントロールユニット)のデータ書き換えです。ECUには燃料噴射量・点火タイミング・スロットル開度など車の動作全般を制御するプログラムが格納されており、その中にリミッター設定値も含まれています。


専門のチューニングショップで書き換えると、リミッターを完全に無効化するのではなく「設定速度を500km/hなどの非現実的な値に変更する」手法が一般的です。こうすることで実質的に制限をなくしつつ、ECUの制御系統を安定させます。


費用の目安は国産車で税込み52,000円〜(ECU脱着費別途)が相場です。現車セッティングまで行う場合は10万円を超えることもあります。


ECU書き換えが条件です。


書き換えのデメリットとして重要なのが、メーカー保証の失効です。ディーラーや整備店がECU改変を確認した時点で、エンジンやパワートレインに関するメーカー保証は原則無効になります。新車で購入後まもないうちに書き換えを行うと、本来5年受けられる特定保証を手放すことになります。これは「数十万円以上の修理費用」を全額自己負担するリスクと直結します。痛いですね。


また、ディーラーでリコールや定期更新のためにECUが書き直された場合、リミッター解除が元に戻ってしまうことがあります。そのため再書き換えが必要となり、追加費用(1万6,500円〜4万4,000円程度)が発生することも覚えておきたいポイントです。


作業後は必ずOBD2診断機でエラーコード(DTC)を確認し、書き換えによって予期しないフォルトが発生していないかチェックする習慣が大切です。エラーを放置したまま走行すると、エンジンへのダメージに発展する場合もあります。


スピードリミッター解除の方法②後付けユニットの種類と費用

ECU書き換えに抵抗がある場合や、メーカー保証を残したい場合に選ばれるのが後付けユニットの装着です。代表的な製品として、HKSの「スピードリミットディフェンサー(SLD)」とブリッツの「スピードジャンパー」があります。


これらの仕組みは、ECUハーネスに割り込み配線を設け、車速センサーからECUへ送られる信号を意図的に改ざんすることでリミッターを作動させなくするものです。ECU本体のプログラムを書き換えるわけではないため、製品を取り外せばノーマル状態に戻せます。


費用はHKS SLD Type Ⅰが6,000円〜、Type Ⅱが約20,900円(税込み)、工賃別途という価格帯で、ECU書き換えに比べて低コストで導入できます。これは使えそうです。



  • ✅ HKS スピードリミットディフェンサー(SLD):CAN通信の車速信号のみを操作するため、他の制御系への影響が少ない設計。多くの国産スポーツカーに対応。

  • ✅ ブリッツ スピードジャンパー:取り付けやすさと車種対応の豊富さが特長。ECU書き換えが不安な人に向いている。


ただし、後付けユニットを装着した状態でディーラーに入庫すると、改造が発覚してメーカー保証が打ち切られるリスクがある点は変わりません。また、車速信号を改ざんするという構造上、ナビのルート案内・車速連動ドアロック・アイドリングストップ制御など、車速情報と連動した機能に誤動作が生じる車種もあります。事前に車種別の適合確認を行うことが条件です。


参考リンク(後付けユニットの仕組みと注意点)。
車検はOK?スピードリミッターを解除する2つの方法と費用 – Auto Messe Web


スピードリミッター解除後に任意保険とメーカー保証はどうなるか

「解除は合法だから何も問題ない」と思い込んでいると、事故のときに大きなダメージを受ける可能性があります。法的に問われないことと、保険が適用されることは別の話です。


まず任意保険について。保険約款には「法令に違反した改造」や「車両の性能を著しく変更する改造」があった場合に保険金の支払いを制限できる旨が定められています。リミッター解除そのものが違法でなくても、改造が事故の原因や損害拡大に影響したと保険会社が判断した場合、保険金の支払いが制限されたり、最悪の場合は支払われないケースがあります。


つまり事故時の全額自己負担リスクがあるということですね。


修理費・相手方への賠償・治療費など、事故の費用は数百万〜数千万円規模になることも珍しくありません。改造内容と保険の関係は、必ず保険会社に事前に確認することをおすすめします。担当者に「リミッター解除ユニットを装着したが補償範囲に影響はないか」と書面で確認を取ることで、後のトラブルを防げます。


次に、メーカー保証について。ECU書き換えや後付けユニット装着が確認されると、メーカーはパワートレインや電子系部品に関する保証を無効と判断することがあります。国産車の特定保証(エンジン・変速機など)は通常5年ですが、改造によって失効すると、その後に発生したエンジン故障の修理費(部品代6〜15万円+工賃1〜3万円)がすべて自己負担になります。



  • 🔴 保険金が支払われないリスク → 保険会社への事前確認が必須

  • 🔴 メーカー保証の失効 → 修理費全額自己負担の可能性

  • 🔴 ECU再書き換えが必要なケース → リコール・ディーラー作業後に追加費用が発生


これらのリスクを踏まえ、サーキット専用として利用する場合でも、整備記録を保管し、走行後には診断機でエラーチェックを行う習慣が重要です。


参考リンク(不正改造に関する罰則・法令の詳細)。
速度抑制装置(スピードリミッター)の解除・取り外しに関する法令 – 整備振興会


スピードリミッター解除を「公道で使う」と起きる法的リスク

リミッター解除そのものは乗用車なら合法ですが、公道でリミッター解除後に速度違反をした場合のペナルティは非常に重大です。ここは多くの人が混同しやすいポイントです。


道路交通法では、一般道の法定速度は60km/h、高速道路は100〜120km/hと定められています。これを超えた時点で速度違反となり、超過幅に応じた反則金・罰金・免許点数の減点が科されます。


超過速度 区分 罰則の目安(大型車) 違反点数
15〜20km/h未満 反則金 12,000円 1点
25〜30km/h未満 反則金 25,000円 3点
30km/h以上(一般道) 罰金 5〜10万円 6点・即時免停
50km/h以上 懲役・罰金 6か月以下の懲役または10万円以下の罰金 12点・免許停止


特に一般道で30km/h以上超過すると、その場で免許停止30日・違反点数6点が付加され、反則金では済まず罰金刑の対象になります。前歴があれば一発免許取り消しも起こりえます。


また、「危険運転致死傷罪」が適用されるケースも存在します。著しく高い速度で公道を走行して人を傷つけた場合、最高で20年以下の懲役が科される重罪です。リミッター解除は「公道で速く走って良い免許証」ではありません。これが原則です。


加えて、速度が上がるほど制動距離は急激に伸びます。時速60km/hでの制動距離が約44mとされる一方、時速180km/hでは同じブレーキ性能でも400m以上が必要になるとも言われています。東京ドームのグラウンド長さ(約120m)の約3倍以上の距離が止まるまでに必要になる計算です。リミッターを解除した状態での公道走行は、物理的に危険です。


スピードリミッター解除を知らないと損する「サーキット活用」の独自視点

「リミッターを解除すること自体」よりも、「解除した状態で安全に走れる環境を用意すること」のほうが、実はずっと重要です。これは検索上位の記事ではあまり掘り下げられていない視点です。


リミッター解除を活かすには、サーキット走行という選択肢が現実的です。日本各地には鈴鹿サーキット・富士スピードウェイ・筑波サーキット・岡山国際サーキットなど、一般ドライバーも走行会や走行枠を利用して入れるコースが存在します。こうした環境では、制限速度の縛りなく愛車の本来の性能を安全に試すことができます。


走行会への参加に際して、リミッター解除前後のチェックリストを整理しておくと、余計なトラブルを防げます。



  • 📋 走行前:OBD2診断機でエラーコードを確認・クリア

  • 📋 走行前:タイヤの空気圧・山の深さ・偏摩耗の有無を点検

  • 📋 走行前:ブレーキフルードの劣化・パッドの残量確認

  • 📋 走行後:エンジン冷却(クーリングラップ)後に再度診断機でフォルト確認

  • 📋 走行後:整備記録をデジタルで保存しておく


また、日産GT-Rやレクサス LBX・RC Fなど一部の国産スポーツカーには、GPSと連動した「サーキットモード」が純正で搭載されています。JAF公認サーキットのエリア内に入った場合のみ自動的にリミッターが解除される仕組みで、公道に出ると即座に制限が復活します。これはメーカーとして「解除する場所を限定する」という安全設計の答えの一つです。


リミッター解除後に走行の質を上げたい人向けとして、タイヤのグレードアップも検討する価値があります。スポーツタイヤ(ミシュランPilot Sport 4Sやブリヂストン POTENZA RE-71RSなど)は、高速域でのグリップ・排熱性能が一般タイヤとは段違いです。サーキット走行の場合は特に、タイヤ選びがラップタイムと安全性の両方に直結します。アプリ「みんカラ」や各サーキットの公式サイトで走行枠の予約・費用・装備の確認を1か所でできるので、入門として活用するといいですね。


参考リンク(サーキットモードの仕組みと対応車種)。
GRシリーズ サーキットモード|TOYOTA GAZOO Racing(公式)




HKS 電子系パーツ スピードリミットディフェンサー タイプ2 4502-RA003