
下取り車が事故に遭った場合、査定額への影響は避けられません。一般的に事故車になると、約30万円程度の減額が相場とされています。この減額幅は車の損傷程度や修復歴の有無によって大きく変動します。
具体的な減額要因として以下が挙げられます。
軽自動車の場合は約20万円、普通自動車では30万円から50万円の減額が一般的です。ただし、これらの数値はあくまで目安であり、実際の査定では個別の状況を総合的に判断されます。
損傷が軽微な場合でも、修復歴として記録されることで将来的な売却時にも影響を与える可能性があります。事故車の定義は明確で、車両のフレームやクロスメンバー、ピラーなどの骨格部分に修理や交換が行われた場合に該当します。
事故車を下取りに出す際の最も重要な注意点は、修復歴を正直に申告することです。修復歴を隠蔽した場合、2020年4月1日の民法改正により導入された契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任による具体的なリスク。
ディーラーはプロの査定士により詳細な検査を行うため、修復歴の隠蔽は高確率で発覚します。軽微な傷や凹みを自己修理して事故を隠そうとしても、専門知識を持つ査定士には見破られ、結果的により大きな減額を受ける可能性があります。
また、事故車の下取りには以下の追加費用も考慮する必要があります。
修復歴の有無は査定額に大きな影響を与えるため、その基準を正確に理解することが重要です。日本自動車査定協会の基準では、以下の部位が修理・交換された場合に修復歴ありと判定されます。
骨格部分(修復歴対象)。
非骨格部分(修復歴非対象)。
修復歴の判定において重要なのは、損傷の程度よりも修理対象部位です。軽微な損傷でも骨格部分に及んでいれば修復歴ありとなり、大きな損傷でも非骨格部分のみであれば修復歴なしと判定されます。
査定士は以下の点を重点的に確認します。
下取り予定車が事故に遭った場合、任意保険を活用することで修理費用や減額分を補填できる可能性があります。ただし、保険の活用には慎重な判断が必要です。
自己責任事故の場合。
相手方過失事故の場合。
事故減価額請求の具体例。
修理前査定額:200万円
修理後査定額:100万円
請求可能額:差額100万円
保険活用の判断ポイント。
なお、相手方に過失が大きい場合でも、下取り減額分の請求は困難とされているため、事前の保険内容確認が重要です。
ディーラー下取りと事故車専門買取業者では、査定基準や販路が大きく異なります。事故車の場合、専門業者の方が有利になるケースが多数存在します。
ディーラー下取りの特徴。
事故車買取業者の特徴。
査定額比較の実例。
ディーラー下取り:10万円
事故車買取業者A:35万円
事故車買取業者B:42万円
事故車買取業者C:38万円
事故車買取業者選定のポイント。
また、複数業者への見積もり依頼により、30万円以上の差額が生じるケースも珍しくありません。時間的余裕がある場合は、ディーラー下取りと並行して事故車買取業者の査定も受けることで、最適な売却方法を選択できます。
事故車の状態によっては、修理せずにそのまま売却した方が経済的に有利な場合も多く、専門業者であれば適切なアドバイスを受けられる点も大きなメリットといえるでしょう。