

s204 インプレッサは、WRX STIをベースにSTIが独自の仕様・装備を与えたモデルで、600台限定(受注生産)として発売された車両です。限定車は「同じ個体がほぼ存在しない」ほどコンディション差が出るため、整備士は入庫時に“標準状態の確認”から着手すると後工程が安定します(後述の専用部品照合にも直結)。
公式発表ではエンジンはEJ20で、最高出力235kW(320PS)/6400rpm、最大トルク432N・m(44.0kgf・m)/4400rpmが示されています。さらに専用の大型ツインスクロールターボ、低背圧チタンマフラー、専用スポーツECUなどが与えられ、ベース車比で出力・トルクを向上させた設計です。
ここで整備目線のポイントは、スペックを“誇る情報”ではなく“診断の基準値”として扱うことです。例えば、体感のレスポンスが鈍い個体は、単に点火系や吸気漏れだけでなく、過給圧制御が純正ECU前提で組まれている点も疑う必要があります(社外ECU化、ブースト制御変更、触媒・排気変更などで症状の出方が変わる)。
また、車両重量は参考値で1,450kgとされ、6MTの駆動系・ブレーキ・タイヤは高負荷走行を前提にしています。だからこそ、街乗り中心の個体でも「年数・走行距離の割に硬化や固着が出る部位」があり、整備の読み違いが起きやすいのがS204の難しさです。
・参考リンク(メーカー公式の装備/スペックと専用仕様の根拠として有用)
SUBARUニュースリリース:S204の専用ターボ/専用ECU/足回り/ブレーキ/装備概要
STI公式:S204の開発背景と主要スペック(限定600台、寸法、出力・トルク等)
S204は専用の大型ツインスクロールターボ、専用スポーツECU、低背圧チタンマフラーなどを採用し、過給圧制御の最適化で出力性能を狙っています。さらに吸気ダクトやエアダクトホースに強化シリコンゴムを採用し、高負荷時の膨張変形を抑えてレスポンス向上を図るなど、見えにくい“素材指定”も含めて専用化されています。
整備の入口は「純正の狙いを崩していないか」の確認です。S204は個体差を潰すため、ピストン・コンロッドの重量均等化やクランクシャフトの手作業バランス取り調整が説明されていますが、ここは“壊れにくい”という意味ではなく、“フィーリングと耐久の両立を狙った繊細な土台”という意味です。中古車では点火時期・ブースト・排気抵抗のズレが積み重なると、ノッキング学習や失火検出が出にくい範囲でも燃焼が荒れていくことがあるため、診断機のログ確認(学習値・失火カウンタ・A/F補正)と、吸気・排気漏れの基本点検を丁寧にやります。
具体的な見方(入庫時の実務)
“意外に効く”小ネタとして、強化シリコンゴムは硬化すると裂けるより先に「シール面の追従が落ちて微小漏れ」になり、負荷をかけたときだけ空燃比が乱れやすくなります。オーナーが気づく前に、整備士が試走ログで拾える典型パターンなので、問診で「冬だけ調子が悪い」などが出たら要注意です。
S204はBBS製18インチ×8.5JJ鍛造アルミホイールを採用し、4本で約6kgの軽量化をうたっています。さらにブレーキは専用ブレンボ製で、ブレーキローターはアウターベンチレーションタイプを採用し、高温時のローター変形抑制やパッド面圧の均一化による高負荷連続走行の信頼性確保が説明されています。
この領域は、整備の質が“効き”として出やすい反面、やり方を誤ると不具合も出やすいです。S204のブレーキ系はスポーツ走行を想定しているため、パッド残量やフルード沸点だけでなく、ローターの当たり、ハブ面の錆、締付トルクのばらつきが、ジャダーや片効きの原因として表面化します。18インチ化でタイヤ外径・慣性も変わるので、ホイールバランス不良が“足回りのガタ”に誤認されることもあります。
現場でのチェック項目(おすすめ順)
“あまり知られていない落とし穴”として、S204のような希少車は、過去に外装・足回りの「見た目優先の部品交換」がされ、ブレーキは純正ブレンボのままでもローターやパッドが銘柄バラバラ、熱容量や摩擦特性が合っていないケースがあります。スポーツ走行歴がなくても、街中の低温域で鳴きやすい組み合わせもあるため、整備士が“純正の狙い(連続高負荷でも安定)”と“ユーザーの使い方(街乗り中心)”をすり合わせ、適正なパッド選定・慣らしの説明までやるとクレームが減ります。
S204はSTIとヤマハ発動機が共同開発したパフォーマンスダンパーを装備し、旋回初期のリニアな操舵感やレーンチェンジ時の安定性向上を狙ったとされています。加えて、専用減衰のストラット、スプリング荷重を約50%強化した専用スプリング、ピロボールブッシュ式のリヤサスペンションリンク、リヤスタビの太径化(20φ→21φ)など、“ゴムで逃がす”より“機械的に制御する”方向の専用装備が多い構成です。
この構成は、整備士にとっては「劣化のサインが音とガタで出やすい」メリットがあります。逆に言うと、ユーザーが“スポーツ車だからこんなもの”と放置しやすく、入庫時には異音の種類(コトコト、ギシギシ、ゴッゴッ)と発生条件(加減速、舵角、荷重移動)を丁寧に切り分ける価値が高い車です。
特にピロボールは、快適性より応答性を優先するため、劣化すると一気に精度が落ち、アライメントが合っていても落ち着きがなくなることがあります。点検はブーツ破れやガタだけでなく、“左右差”に注目すると早期発見しやすいです。
作業時の注意点として、パフォーマンスダンパー系は締結状態で効きが変わりやすく、ヤマハ側のFAQでも1G状態(4輪接地状態)で規定トルク締付を求めています。リフトアップ状態で均等締めすると乗り味に悪影響が出る可能性が示されているため、足回り作業の手順管理(仮締め→1G締め)を徹底すると、作業後の違和感や再入庫を減らせます。
・参考リンク(締付手順の根拠として有用:1G締めを明記)
ヤマハ発動機:パフォーマンスダンパーFAQ(1G状態での規定トルク締付)
S204はメーカー資料上はBBS製18インチ×8.5JJ鍛造ホイールの採用が明記され、実車市場でも5H 114.3のホイールが“純正S204外し”として流通しているのが実情です。ここから整備士が拾える独自視点は、「PCD114.3=強い」では終わらない、ハブベアリングと締結条件の管理です。
インプレッサ系ではハブベアリングの弱点や改善策がユーザー側で語られ、PCD100車での対策(グリス変更、ナックル変更、PCD114.3化など)が挙げられることがあります。S204自体はPCD114.3側の個体が中心ですが、年式が古くなるほど「過去の修理で何が混ざったか」が問題になります(ナックル、ハブ、ベアリング、ドライブシャフト、ローターの組み合わせ違い)。
現場で効く“確認の型”
“意外な情報”として、ベアリング不良は車高短・太履き・硬いブッシュだけが原因に見えますが、実際は「分解整備の締付条件(トルク/手順)」「ハブ面の清掃不足」「ホイール座面の相性」など、整備品質の積み重ねで寿命が変わる領域でもあります。希少なS204ほど、部品供給や中古部品の個体差も絡むため、単に交換するより、再発しない“締結の作法”まで一緒に整えていくのがプロとしての価値になります。
・参考リンク(ユーザー事例として、ハブベアリング弱点と対策案の文脈を把握するのに有用)
みんカラ:インプレッサのハブベアリング弱点と改善方法の整理

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